レビュー
4万円前後で買えるXperiaの最新ミドルレンジ機

「Xperia 10 II」レビュー。長所は軽量ボディとバッテリー持ち。カメラ機能にやや難あり

NTTドコモ、au、ワイモバイルの各キャリアから発売される4Gスマートフォン「Xperia 10 II」(ソニーモバイル製)は、4万円台前半に価格を抑えながら、トリプルカメラや超縦長有機ELディスプレイなど、上位モデル「Xperia 1 II」の長所を受け継いだ設計が魅力の1台だ。au版「SOV43」を使ったレビューをお送りしよう。

超縦長ディスプレイと、151gの軽量ボディが特徴のミドルレンジ機

Xperiaシリーズの最新ミドルレンジモデル「Xperia 10 II(エクスペリア・テン・マークツー)」は、昨年海外で発売された「Xperia 10」の後継機だ。国内では「Xperia Ace」や「Xperia 8」の後継として、5月29日にワイモバイルから、6月4日にauからそれぞれ発売されており、6月以降にNTTドコモからも発売される予定だ。

「Xperia 10 II」は、2,520×1,080のフルHD+表示に対応する縦横比21:9の約6.0インチ有機ELディスプレイを搭載する。ボディサイズは約69(幅)×157(高さ)×8.2(厚さ)mm、重量は151gだ。Xperiaシリーズではハイエンドモデルのみに搭載されていた、平面・ノッチなしの超縦長有機ELディスプレイが、ミドルレンジの本機に採用されたことは大きなポイントだろう。残像感が少なくコントラストの高い映像は、液晶とはひと味違う画質のよさがあるが、有機ELディスプレイとしてはやや発色が淡泊に感じられる。なお、本機の超縦長ディスプレイは、横位置で見ることでシネスコサイズの動画を画面いっぱいに再生できるほか、縦に2つ分割してのマルチウィンドウ機能を使えるといったメリットがある。

縦横比16:9の動画と、縦横比9:16の画面を同時に表示できるのが本機のディスプレイのポイントだ

縦横比16:9の動画と、縦横比9:16の画面を同時に表示できるのが本機のディスプレイのポイントだ

いずれも有機ELディスプレイを搭載するGoogle「Pixel 3a」(左)、本機(中央)、サムスン「Galaxy S9」(右)でカラーバーを表示して画質を比較。写真ではわかりにくいかもしれないが、本機は赤とイエローの発色が少し淡い印象を受ける

画質設定はオリジナルモードとスタンダードモードの2種類が用意される。上位モデル「Xperia 1 II」に搭載される、プロ用モニターに近い画質の「クリエイターモード」は搭載されない

有機ELディスプレイで気になる最大輝度だが、初夏の直射日光でも視認できるだけの明るさが確保されている

有機ELディスプレイで気になる最大輝度だが、初夏の直射日光でも視認できるだけの明るさが確保されている

もうひとつのポイントは軽量ボディだ。前モデル「Xperia 8」と比較して19gも軽くなった。近ごろのスマートフォンはボディが大きくなったこともあって全般に重くなっているが、本機の軽さは大きなアドバンテージだろう。なお、ボディはIP65/68というハイレベルの防水・防塵性能に対応している。

ボディデザインについては、上位モデル「Xperia 1 II」や「Xperia 5」のイメージを継承しており、Xperiaらしくシャープなデザインだ。また、ヘッドホン端子や指紋認証センサーを内蔵した電源ボタンを側面に備えるなど、全体的に「Xperia 1 II」と共通する部分が多い。

背面のデザインは「Xperia 1 II」などと共通のモチーフ。質感も良好

背面のデザインは「Xperia 1 II」などと共通のモチーフ。質感も良好

その他の機能面では、NFCおよびFeliCaポートを備える。なお、本機は、交通系ICカードの「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」を併用できる数少ない1台だ。指紋認証センサーは、右側面中央部に配置された電源ボタンに内蔵されている。なお、フルセグ・ワンセグのテレビチューナーは非搭載で、ワイヤレス充電のQiポートも搭載されていない。ヘッドホン端子は搭載されているが、スピーカーはディスプレイ下部1か所のみに配置され、ステレオ出力には対応していない。

ボディ下面には、USB Type-Cポートを搭載。急速充電が行えるUSB PDに対応してい

ボディ下面には、USB Type-Cポートを搭載。急速充電が行えるUSB PDに対応してい

ボディ上面にはヘッドホン端子が配置される

ボディ上面にはヘッドホン端子が配置される

指紋認証センサーはボディ右側面の電源ボタンに内蔵されている。一時期途絶えたが、最近復活したXperiaならではのインターフェイスだ

基本スペックについて見てみると、本機は2019年春に登場したミドルレンジSoC「Snapdragon 665」に4GBのメモリーと64GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせている。OSはAndroid 10。処理性能をAnTuTuベンチマークで計測してみたところ、総合スコアは167,550(内訳、CPU:71,163、GPU:26,237、MEM:38,220、UX:31,930)となった。これを、価格.comマガジンで以前計測した前モデル「Xperia 8」のスコア105,760(内訳、CPU:40,452、GPU:16,951、MEM:28,494、UX:19,863)と比較するとだいたい5割増しという大幅な伸びとなる。ただし、サブスコアを見るとGPUのスコアは26,000点程度でさほど高くはない。3Dを使ったゲームなどではやや力不足に陥る場面もありそうだ。

左が本機、右が前モデル「Xperia 8」のAnTuTuベンチマークの計測結果。「Xperia 8」と比較して処理性能は全般的に大きく伸びたものの、グラフィック性能はさほど高くないので、3Dを使ったゲームなどにはやや力不足という印象だ

かなりヘビーに使っても2日は持つバッテリー

ボディが軽くなったいっぽうで、内蔵バッテリーの容量は「Xpeira 8」の2,760mAhから、3,600mAhへと大幅に増加している。これにより、連続通話時間は約1,700分から約1,940分へ、連続待ち受け時間は約580時間から約680時間へ、電池持ち時間は約100時間から約140時間へそれぞれ伸びている(いずれもauのカタログスペック値)。使用した印象でも、バッテリーの消費ペースは遅い印象だ。今回の検証にともない26時間断続的に利用したところ。バッテリーは57%消費した。この間、セットアップで1時間ほどの継続的な通信や、1時間ほどの3Dゲームプレイ、合計200ショット近くのカメラ撮影など、1日で4時間近く使った。利用状況としては比較的ヘビーなほうだが、24時間経過してもおよそ半分のバッテリー消費で済んでいるのは良好な部類と言える。

大容量バッテリーのネックである充電時間だが、本機はUSB PDに対応しており最短約140分でフル充電が可能だ。なお、Xperiaシリーズには充電にともなうバッテリーの劣化を低減させる独自機能「いたわり充電」が搭載されているが、本機ではオン/オフの設定をユーザーが行えるようになった。

検証26時間が経過したバッテリー消費の様子。重い処理をかなり頻繁に行ったが、2日弱はバッテリーが持続する計算だ

いたわり充電の使用/不使用をユーザーが選べるようになった。充電時間を少しでも短くしたい場合はこちらをオフにするといい

超広角、広角、望遠のトリプルカメラを搭載。画質には少し注意が必要

本機のメインカメラは、約800万画素の超広角カメラ(16mm)、約1,200万画素の標準カメラ(26mm)、約800万画素の望遠カメラ(52mm)という組み合わせのトリプルカメラで、超広角カメラを基準として3.25倍の光学ズームが行える。

各カメラの焦点距離は「Xperia 1」や「Xperia 5」と共通だが、イメージセンサーが異なるほか、超広角と標準の中間領域のデジタルズームが行えるなど、細かな機能には違いがある。「プレミアムおまかせオート」を備えており13種類のシーンと4種類のコンディションを組み合わせた撮影が行える点は従来と変わらないが、撮影する機会の多い「料理」の色味や「人物」の肌の質感をよりなめらかにするチューニングが施されている。なお、フロントカメラは約800万画素で、美肌補正機能「ポートレートセルフィ」を備えている。

メインカメラは、超広角、標準、望遠という構成のトリプルカメラ。デザインも「Xperia 5」に似ている。なお、側面のシャッターボタンは非搭載だ

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のままカメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

超広角カメラで撮影

林の中の祠を撮影。背景を広く撮影できるので周囲の様子がよく分かる。周辺部分を見ると画質の荒れが目立つ。また、構図左となる空のハイライト部分には白飛びが起こっている

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラで撮影。周辺部分まで比較的画質が均一だ。構図手前の木の幹から遠景の鳥居や祠の解像感も高い

望遠カメラで撮影

さらに上と同じ構図を望遠カメラで撮影。標準カメラに対して2倍の光学ズームとなり、ゆがみの少ない仕上がりとなった

超広角カメラで撮影

夜の街を撮影。明暗差が大きいカメラには厳しい構図ということもあって、暗部に全体的にノイズが目立つ。また、床面の色がアンバーに寄っている。この写真に限らず、総じて手ぶれにもシビアだった

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影。ノイズが少なく陰影も自然で、肉眼の印象にもっとも近い

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影。ノイズが少なく陰影も自然で、肉眼の印象にもっとも近い

望遠カメラで撮影

さらに同じ構図を望遠カメラで撮影。明るさは十分確保されているが全般にぼんやりとした印象でノイズも見られる、カメラの性能の限界に近いようだ

標準カメラで撮影

標準カメラで人物を撮影、肌の補正機能を試した。確かに肌はなめらかだが、自然さよりもSNSで映えることを目的とした画質チューニングのようだ

本機のカメラは、「Xperia 1」や「Xperia 5」と同じ焦点距離のトリプルカメラということで期待している人も多いだろう。画質に関して見れば、標準カメラは解像感も比較的良好でノイズも少なく及第点は付けられる。いっぽう、超広角カメラと望遠カメラは、夜景などの高感度撮影時で限界を露呈しやすく、撮影シーンをやや選ぶ。基本的には、ある程度光量のある昼間などのシーンで使うことを想定したカメラと言えそうだ。

また、カメラアプリの不安定さも気になった。長時間露光のナイトモードで撮影を行うと、そのまま処理落ちしてしまい、撮影できないという現象が検証中にたびたび発生した。後日アップデートなどでこの問題が解消されることを期待したい。

全体的な価格性能比は高いが、不満はカメラ性能

上位モデル「Xperia 1 II」が10万円を大きく越えるいっぽうで、本機の販売価格は、NTTドコモ版「SO-41A」が43,200円、au版「SOV43」が39,790円、ワイモバイル版が41,760円(いずれも税込価格)と比較的手ごろだ。近年、この4万〜5万円弱の価格帯は大激戦区で、ざっと思いつくものだけでもGoogle「Pixel 3a」、OPPO「Reno A」、シャープ「AQUOS sense3」、アップル「iPhone SE(第2世代)」など、魅力的な強敵ぞろいだ。これらと比較した場合の本機の強みとしては、軽量ボディ、大容量バッテリー、トリプルカメラ、フルHD+対応の有機ELディスプレイといった要素があげられる。

不満があるとすれば、意外なことにカメラということになる。トリプルカメラのうち、超広角と望遠は、高感度撮影でやや難がある印象だ。カメラの扱いやすさや満足度では、シングルカメラのGoogle「Pixel 3a」や、アップル「iPhone SE(第2世代)」のほうが明らかに上だ。また、グラフィック性能も上記の競合モデルよりも劣る。軽量ボディやバッテリー持ちのよさ、超縦長ディスプレイなどの魅力もあるが、カメラ機能をどこまで重視するかで、本機の評価は大きく変わってきそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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