レビュー
10倍程度までなら十分実用的なデジタルズーム。ミリ波5Gにも対応

5Gスマホ、サムスン「Galaxy S20+ 5G」1週間使用レビュー(ミリ波体験レポあり)

NTTドコモとauから発売中の5Gスマートフォン「Galaxy S20+ 5G」は、この春発売された5Gスマートフォン代表するハイエンドスマートフォンのひとつだ。そのNTTドコモ版「SC-52A」を使ったレビューを、5Gの新通信方式である「ミリ波」の体験も合わせてお届けする。

さらなる狭額ベゼルで全面に広がる約6.7インチの大画面と、現在最速レベルの処理性能

サムスンのスマートフォンGalaxyシリーズのラインアップは、本機を含むハイエンドの「S」シリーズと、価格を抑えた「A」シリーズの2種類に大きく分けられる。本機は「S20 5G」「S20+ 5G」「S20 Ultra 5G」の3モデルからなる「S」シリーズの最新機種で、この3モデルの中ではちょうど画面サイズ的には中間クラスに当たる製品だ。国内では、NTTドコモ版「SC-52A」(6月25日発売)、au版「SCG02」(6月4日発売)が発売されている。

「Galaxy S20+ 5G」は、約74(幅)×162(幅)×7.8(厚さ)mmで、重量約186gのボディに、3,200×1,440のQHD+表示に対応した、約6.7インチの有機EL曲面ディスプレイ「Dynamic AMOLED 2X」を組み合わせる。この有機ELディスプレイは、 120Hzの倍速駆動やディスプレイ指紋認証、パンチホールといった新技術を取り入れたものとなっている。

前モデル「Galaxy S10+」と大きさを比較すると、横幅と厚さはほぼそのままだが、ディスプレイが0.4インチ拡大したことで高さが約4mm拡大された。また、ディスプレイ上下(短辺)の狭額縁化がさらに進み、表面がほとんど画面という印象だ。なお、前モデルから引き続きIPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアしている。

ディスプレイのサイズは「Galaxy S20 5G」(約6.2インチ)や「Galaxy S20 Ultra 5G」(約6.9インチ)と異なるが、解像度は共通。なお、初期設定時の解像度はフルHD+になっているので、WQHD+表示にするには設定を変更する必要がある。

表面いっぱいに広がるディスプレイ。120Hzの倍速駆動対応でアクションゲームや画面スクロールがなめらか。初期設定はフルHD+だが粗さは感じられない

徹底した狭額縁設計のためディスプレイ上下のベゼルはとても狭い。操作ボタンをうっかり触れないためには豊富に選べるカバーを装着するのがよいだろう

NTTドコモ版「SC-52A」はコスミックグレー1色の展開

NTTドコモ版「SC-52A」はコスミックグレー1色の展開

au版「SCG02」はコスミックグレーに加えてクラウドブルー(写真右)が選べる

au版「SCG02」はコスミックグレーに加えてクラウドブルー(写真右)が選べる

本機は、外部接続インターフェイスとしてUSB Type-Cポートを備える。また、ワイヤレス充電のQiポートや、FeliCa・NFCポートも搭載される。いっぽう、ヘッドホン端子は非搭載で、USB Type-C接続の有線イヤホンが同梱される。手持ちの有線イヤホンを使う場合、オプションの変換アダプター「USB Headset Jack Adapter」などが必要だ。フルセグ・ワンセグチューナーも本機から非搭載になった。(2020年7月6日訂正:Galaxy S10シリーズはヘッドホン端子非搭載と記載しておりましたが搭載されております。以上訂正し、お詫びいたします。)

ボディ下面にUSB Type-Cポートを配置。Galaxy Note 10と同じくヘッドホン端子は非搭載となっている

ボディ下面にUSB Type-Cポートを配置。Galaxy Note 10と同じく引き続きヘッドホン端子は非搭載となっている

ボタンは右側面に集中。サムスン独自のAIアシスタント機能「Bixby」の呼び出しボタンは「Galaxy S10」シリーズ同様、省略されている

基本スペックは「Galaxy S20」シリーズ共通の仕様で、最新のハイエンドSoC「Snapdragon 865 5G」に、12GBのメモリーと、128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 10だ。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って実際の処理速度を計測したところ、総合スコアは544,052(内訳、CPU:170,171、GPU:214,087、MEM:79,058、UX:81,186)で、Snapdragon 865搭載機としては順当なスコアだった。体感速度も最新のハイエンドモデルらしくとてもスムーズで、特にGPUの負荷が高い3Dゲームの描画でもかなり余裕が感じられた。「Snapdragon 865」搭載機として、現時点で最速のAndroidスマートフォンのひとつであるのは間違いないだろう。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「Galaxy S20 5G」のもの。ハードウェアの構成が同じため、スコアは誤差の範囲に収まっている

「Galaxy S20+ 5G」でミリ波を体験。特にSub-6よりも上りが2〜4割は速い傾向

本機の5G通信機能は、すでに国内でサービスが始まっている周波数帯「Sub-6」に加えて、今夏に開始される予定の高周波数帯「ミリ波」にも対応している。ミリ波の通信エリアでは、「Sub-6」より高速な下り最大4.1Gbps/上り最大481Mbps(au版の値。NTTドコモ版は下り最大480Mbps)という通信速度を実現する。

今回は、通信キャリアの屋内施設で、 用意された「Galaxy S20+ 5G」を使って「ミリ波」を実際に体験する機会を得た。ミリ波のアンテナは天井裏に配置されて見えない状態だったが、このあたりがアンテナの真下というところで1〜2分ほど静止してから通信速度を計測してみたところ、下りで最大1Gbps以上、上りは100Mbpsを越える通信速度を記録することもあった。特に、上りの通信速度は「Sub-6」の実効速度と比較しても2〜4割は速い。

なお、ミリ波で指摘されることの多い、遮蔽物に弱く、電波の届く範囲が狭いという欠点だが、上記の計測地点から10mほど離れたところに移動したところ、「そこではだいぶ電波が弱くなっているはずだ」と言われた。また、アンテナを背にしても通信速度が低下するなど、やはり周囲の環境には敏感なようである。なお、ミリ波は雨や湿気といった空気中の水分量によっても電波が減衰する性質なので、実用化された場合も、屋外より、屋内施設や屋根のあるスタジアムといった環境で使われることが予想される。

デジタルズームを積極的に活用可能なメインカメラ。10倍ズーム程度までなら良好な画質を維持

本機は、カメラ性能も大きな魅力だ。メインカメラは、約1,200万画素の超広角カメラ(焦点距離13mm)、約1,200万画素の広角カメラ(焦点距離26mm)、約6,400万画素の望遠カメラ(焦点距離28mm)、被写界深度を計測する深度測位カメラという組み合わせのクアッドカメラだ。なお、フロントカメラは約1,000万画素のシングルカメラとなっている。

本機のメインカメラは望遠カメラだけが約6,400万画素と極端に高画素だが、この設計によって、ハイブリッド光学3倍、超高解像度ズーム(デジタルズーム)では最大30倍というズーム撮影が行える。画像の中心部を切り取って拡大するイメージのデジタルズームは画質が劣化しやすいが、元の画素数が高ければ、ある程度切り取っても画質は十分に実用的なレベルを保てる。実際、本機のデジタルズームは10倍くらいなら画質の荒れはさほど目立たず、十分実用的に使える印象だ。

メインカメラは超広角、広角、望遠、深度測位カメラという組み合わせのクアッドカメラだ

メインカメラは超広角、広角、望遠、深度測位カメラという組み合わせのクアッドカメラだ

フロントカメラは約1,000万画素のシングルカメラ。デュアルピクセルイメージセンサーが使われている

フロントカメラは約1,000万画素のシングルカメラ。デュアルピクセルイメージセンサーが使われている

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のままカメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

超広角カメラで撮影

構図中央の遠景に滝を収めた。周辺までディテールがしっかり残っており、画質はかなり良好

構図中央の遠景に滝を収めた。周辺までディテールがしっかり残っており、画質はかなり良好

広角カメラで撮影

上と同じ構図のまま、広角カメラに切り替えて撮影。超広角カメラと比べて画質の変化が少なくこちらも周辺までかなりの高画質

望遠カメラで撮影(3倍ハイブリッドズーム)

さらに上と同じ構図で撮影。純粋な光学ズームではないが、ノイズはほとんど見られない

さらに上と同じ構図で撮影。純粋な光学ズームではないが、ノイズはほとんど見られない

望遠カメラで撮影(10倍デジタルズーム)

10倍くらいならデジタルズーム特有のノイズもかなり抑えられている。構図中央の滝や岩肌のディテールも残っており、十分実用的なレベルだ

望遠カメラで撮影(30倍デジタルズーム)

最高の倍率まで引き上げてみた。さすがにディテールがぼやけてくるものの、デジタルズーム特有のノイズはまだまだ抑えられている

超広角カメラで撮影

トンネルの中を撮影。岩肌の質感が周辺までよく残っている。光量も十分で肉眼以上に鮮明な仕上がりだ

トンネルの中を撮影。岩肌の質感が周辺までよく残っている。光量も十分で肉眼以上に鮮明な仕上がりだ

広角カメラで撮影

上と同じ構図を撮影。岩肌のディテールや光量はこちらのほうが少し増した。鮮明で手ぶれも見られない。暗い場所でもとても扱いやすい

望遠カメラで撮影(3倍ハイブリッドズーム)

さらに同じ構図を望遠カメラで撮影した。壁面のディテールが甘くなるが、手ぶれは抑えられているしノイズも目立っていない。また、超広角・広角カメラと比較してトーンの変化が少なく、扱いやすい

近ごろはエントリー・ミドルレンジ機でも、望遠や広角のカメラを備えたものが増えた。スペックを見る限りでは、本機との違いはあまりないようにも思える。しかし実際に撮影してみると、画質や扱いやすさでは大きな違いがある。本機のカメラは高感度撮影、超広角、ズーム撮影のいずれでも安定した画質で撮影できた。また、デジタルズームをメインにした望遠撮影機能は、10倍ズーム程度までなら顕著な手ぶれや画質劣化は見られず、十分実用的。「Galaxy S」シリーズは以前から高感度撮影には強かったが、本機ではさらに超望遠撮影という魅力も加わり、さらに強化された印象だ。

4,500mAhの大容量バッテリーを内蔵し、フル充電で2日半は持つ。充電時間も短い

本機は4,500mAhという大容量バッテリーを内蔵する。電池持ちの指標を見ると「電池持ち時間」は、NTTドコモ版「SC-52A」が約130時間(LTEエリア)、au版「SCG02」は約145時間(LTEエリア)となっており、前モデル「Galaxy S10+」の約140時間と同レベルのバッテリー性能が維持されている。今回の検証は7日間行ったが、1日に3時間程度のペースで利用したところ、フル充電で2日半はバッテリーが持続した。5G対応やディスプレイの大画面化など基本性能がアップしているが、LTE区間で使う限り、電池持ちが大きく悪化した印象はない。なお、25WまでのUSB PDに対応しており、最短約110分でフル充電が行える。大容量バッテリーを採用しつつ、充電時間が短いので、バッテリー関係で困ることはまずないだろう。

トータルでの完成度が高いハイエンドスマホ。ミリ波対応の5G通信機能や、望遠が強化されたカメラも魅力

以上、「Galaxy S20+ 5G」のレビューをお届けした。本機はNTTドコモ版「SC-52A」が114,840円(税込、割引なしのオンライン直販価格)、au版の「SCG02」が133,280円(税込、オンライン直販価格)とかなり高価な製品だが、現状最高レベルの処理性能、 ミリ波対応による将来性、高感度撮影に加えて望遠撮影にも向いたカメラ機能といった美点が多く、多くの人が満足できる内容だ。

また、性能に余裕があるうえに、最近のサムスンのスマートフォンは、OSのバージョンアップを時間はかかってもきちんと行ってくれるので、今後2〜3年は安心して使うことができそうだ。それだけの期間安心して使えるのであれば、決して割高というわけでもないだろう。

本機の競合モデルはとしては、同様にカメラ機能を重視した5Gスマートフォンのハイエンドモデルである「Xperia 1 II」があげられるが、ミリ波対応している点では本機が有利だ。またカメラ機能も、簡単にキレイな撮影が可能な本機に対して、どちらかと言えば凝った撮影に向いている「Xperia 1II」では、方向性や使い勝手がやや異なる。どちらの製品も完成度は高く、最後は好みの問題くらいと言ってよさそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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