レビュー
速くて安いヌビアの日本市場初参入モデル

6万円台で買える最速ゲーミングスマホ、ヌビア「RedMagic 5」レビュー

ZTE傘下に属する中国のスマホメーカー「ヌビアテクノロジー(Nubia Technology Co. Ltd.)」が2020年7月1日に発表した「RedMagic 5」は、最速のSoC「Snapdragon 865」を搭載する5Gスマホながら、629米ドルから買えるという高コスパのゲーミングスマホだ。購入時の注意やサポート体制を含めた本製品の総合的なレビューをお届けする。

ゲームに特化した機能を数多く備えた、生粋のゲーミングスマホ「RedMagic 5」

ゲームに最適化された性能を備えるゲーミングスマホは、日本でもASUS「ROG Phone」シリーズや、BlackShark「BlackShark2」などが発売されており、ゲームファンの注目を集めている。「RedMagic 5」もそうしたゲーミングスマートフォンのひとつで、グローバルで発表があった直後の2020年7月1日に、技術適合試験(通称、技適)を通過した日本向けモデルの発売が公表された

本機は日本向けモデルとして技適に適合しており、B18やB19といった日本専用のLTEバンドを含む4G回線、3G回線、Wi-FiやBluetoothを国内で合法的に使うことができる

本機のボディは、サイズが約78(幅)×168.56(高さ)×9.75(厚さ)mmで、重量が約218gと、大きく重い。このボディに、2,340×1,080のフルHD+表示に対応する6.65インチの有機ELディスプレイを搭載する。ディスプレイはかなりの大画面だが、解像度はそれほど高くはなく、あくまでゲームで使われることの多いフルHDレベルに抑えられている。ディスプレイ自体は、タッチミスの起りにくい平面ディスプレイを採用するほか、視界を妨げるノッチやパンチホールも備えておらず、ゲームの映像を全画面に表示できるのが特徴的。そのいっぽうで、リフレッシュレートは144Hz、90Hz、60Hzの3段階で調整できるほか、フレームレートを補正する独自技術「タッチコレオグラファー」を備えており、なめらかなゲーム描画・操作が行える。また、タッチ操作の感度を左右するタッチサンプリングレートが240Hzに高められているため、タッチ操作で起こりがちなタイムラグも起こりづらい。

今回の検証機は12GBのメモリーを備える「Eclipse Black」モデル。背面中央の「REDMAGIC」ロゴにはLEDが備わり、設定でさまざまな色に光らせることができる

6.65インチとかなりの大画面だが、ゲームプレイに特化しているため、解像度はフルHD+にとどめられている。ゲームの描画を妨げるノッチなども一切廃され、表面もゲームプレイが行いやすい平面ディスプレイとなっている

最大144Hzのリフレッシュレートと「タッチコレオグラファー」の組み合わせで、ゲーム描画の残像感は少なく、240Hzのタッチサンプリングレートのため、操作のキレも良好。リズムゲームでもタイミングがとりやすく、快適にプレイできた

ディスプレイの初期設定は、デジタルシネマの規格「DCI-P3」の色域に100%対応している。このほか、sRGB対応モードは元より、より鮮烈な色調のカラフルモードを備えており、写真鑑賞や動画鑑賞にも向いている

本機が備えるゲーム向けのユニークな機能のひとつとして、ボディ左側面に「ゲームブーストスイッチ」が備わる。このスイッチをオンにすると、ホーム画面がゲーム専用モードの「Game Space 2.1」に切り替わり、パフォーマンスの細かな調整や通知の制限が行えるようになるほか、マクロを使ったゲームの操作や、ボディ右側面に備わるタッチセンサーのトリガーボタンの利用が可能となる。特に、トリガーボタンはディスプレイのタッチセンサーを上回る300Hzのタッチサンプリングレートにより2msという超低遅延を実現しており、物理ボタンに近い応答性能を備えているのが自慢だ。

ボディ左側面に備わる「ゲームブーストスイッチ」をオンにすることで、ホーム画面がゲーム専用モード「Game Space 2.1」に切り替わる

「Game Space 2.1」では、登録したゲームのみ利用できる。ホームやタスクといった操作ボタンも表示されなくなる

右側面にタッチセンサーのトリガーボタンを2個備える。このトリガーボタンは「ゲームブーストスイッチ」をオンにした場合のみ動作する

トリガーボタンは「Fortnite(フォートナイト)」など、操作が複雑になりやすいFPSやレースゲームで重宝しそうだ。ほかのゲームについても、任意の場所の画面タッチを割り当てることができる

なお、サウンド機能だが、ゲームプレイでは重要となるヘッドホン端子とステレオスピーカーを搭載している。これに加えて、サウンドと連動したバイブレーション機能「4Dショック」も備える(一部のゲームアプリのみ対応)。また、バーチャルサラウンドの規格である「DTS: X Ultra」にも対応しており、同規格に対応するゲームなら、背後から忍び寄る敵の気配などをリアルに再現できる。

冷却ファンを本体に内蔵。熱だれを防ぎ、長時間のゲームプレイが可能

本機に搭載されるSoCは、今期のハイエンドスマートフォンで広く使われている「Snapdragon 865 5G」だ。これに、8GBのメモリー(LPDDR5)と128GBのストレージ(UFS3.0)を組み合わせたカラーバリエーション「Hot Rod Red」と、12GBのメモリ−と128GBのストレージを組み合わせた「Eclipse Black」という仕様の異なる2色のバリエーションが用意されている。なお、いずれのモデルもFeliCaポートは非搭載なので、おサイフケータイは利用できない。NFCには対応する。

カラーバリエーションは「Hot Rod Red」(写真左)と「Eclipse Black」の2色。両カラーはメモリーの容量が8GBと12GBで異なっている

高い負荷が長時間続くことが想定されるゲーミングスマホでは、冷却性能も重要だ。本機は液冷のチューブに多層黒鉛を組み合わせ、内蔵される毎秒15,000回転のファンでエアフローを確保する冷却システム「ターボファン3.0」を搭載している。冷却ファンを本体に内蔵するスマートフォンは、ゲーミングスマホでもあまり見かけない本機ならではの特徴だ。なお、このファンはかなり甲高い動作音がするので、使用する/しないの制御をユーザーが行えるのはありがたい。

「ターボファン3.0」は冷却ファンと液冷パイプ・多層黒鉛を組み合わせ、前モデル「RedMagic 3S」と比較して最大2倍の冷却性能を実現する

上記の「Game Space 2.1」や、設定画面からファンのオン/オフを設定できる

上記の「Game Space 2.1」や、設定画面からファンのオン/オフを設定できる

本機の実際の処理性能を、ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは589,721(内訳、CPU:184,335、GPU:211,817、MEM:96,297、UX:97,277)となった。このスコアは、「Snapdragon 865 5G」搭載機の中でも最上位クラスに位置するものだ。

なお、冷却性能を調べるため、上記のテストを行った後に、立て続けに5回ベンチマークテストを実施したところ、5回目の数値は 591,370となり、下がるどころかむしろアップした。誤差の範囲とも言えるが、わずかでも向上していたのは驚きである。これだけの冷却性能なら、長時間のゲームプレイでも安定した処理が期待できるだろう。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が初回のもの、右が立て続けに計測した5回目もの。スコアはサブスコア含めてほとんど変わっておらず、熱だれによる処理性能の低下もほとんど見られない

メニューの日本語化は課題。5G対応SIMカードの使用にも注意

本機は日本市場向けのモデルで、最低限の日本語マニュアルは同梱されているものの、設定メニューやプリインストールされるアプリの日本語化は部分的にとどまっている。上記のゲーム専用メニュー「Game Space 2.1」も英語表記だった。この点、本機と成り立ちの似ている中国製のゲーミングスマホ「BlackShark2」のメニューがほとんど日本語化されていたことと比べると、見劣りは否めない。また、サポート体制も、国内に修理窓口は存在せず、グローバルで用意される英語のオンラインサポートを利用することになる点には注意が必要だ。製品の初期トラブルや故障などがあった場合、サポート窓口に状況を英語で伝える必要がある。

左が設定画面、右はカメラアプリの設定画面。いずれも日本語化は徹底されていない

左が設定画面、右はカメラアプリの設定画面。いずれも日本語化は徹底されていない

通信機能でも注意が必要な部分がある。本機は5Gのn41とn78の2バンドに対応しており、NSAとSAの両モードにも対応している。国内では、NTTドコモとauがn78に対応しており、SAモードも来年度以降に実施されると見られている。しかし、本機はこれらの5Gの周波数帯の技適をパスしておらず、日本に定住するユーザーが私的に利用する場合、法的理由で利用できない(研究目的または、観光などで一時的に来日するユーザーが持ち込んだ場合など技適の特例に該当しているなら利用できる場合がある)。5Gの技適申請を見送った理由をヌビアは「日本での5Gの通信環境が広がっていないため」としている。日本国内での5Gのエリア展開が広がれば再度申請を行う可能性はあるが、現時点で本機は5G通信機能を利用できない点は注意が必要だ。

いっぽう、4Gの通信機能を見ると、DSDV対応のデュアルSIMスロットを備え、B1/2/3/4/5/7/8/20/12/17/18/19/26/34/38/39/40/41の各バンドに対応している。NTTドコモのB19や、auのB26(B18を内包)、ソフトバンク・ワイモバイルのB8、楽天モバイルのB3といった、4キャリアで提供中のプラチナバンド・コアバンドに対応しているうえ、4キャリアすべてのVoLTEに対応しているので、使えるSIMカードの幅は広い。なお、Wi-Fiについても、IEEE802.11a/b/g/n/ac/axの各規格に対応しており、Wi-Fi6(ax)も利用できる。

標準、超広角、マクロのトリプルカメラを搭載

本機のメインカメラは、約6,400万画素の標準カメラ(画角78.3°)、約800万画素の超広角カメラ(画角120°)、約200万画素のマクロカメラ(画角78°)という組み合わせのトリプルカメラ仕様。フロントカメラは約800万画素だ。

リアに備わるメインカメラは、写真上から、標準カメラ、超広角カメラ、マクロカメラという配列。なお標準カメラのイメージセンサーにはソニー製の高性能イメージセンサー「IMX686」が使われる

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。なるべく初期設定のまま撮影を行っているが、一部ほかの撮影モードを利用している場合がある。

標準カメラで撮影

運河のある風景を撮影。構図手前にある堤防の草の細部はしっかり写っているが、青空の色が肉眼の印象よりもややくすんで見える

超広角カメラで撮影

同じ風景を超広角カメラに切り替えて撮影。超広角らしい広々とした風景が撮影できた。なお、超広角カメラへの切り替えはプロモード(マニュアルモード) でないと行えなかった。空の青さはこちらのほうが肉眼の印象に近い

標準カメラで撮影

夜の街を撮影。手持ちで撮影したが、手ぶれは見られず、明暗差が大きいものの階調の破綻も見られない。ノイズもほとんど目立たない

同じ風景を超広角カメラに切り替えて撮影。中央の街路樹にピントを合わせたが合焦が少々甘い。ハイライトが飽和しているほか。構図左上のビルの壁にはカラーノイズも見られる

マクロカメラで撮影

被写体の花に数センチまで近寄って撮影。なお、マクロ撮影を行うにはマクロモードに切り替える必要がある。マクロカメラは画素数が約200万画素と高くないが、ピントを合わせた中央の花びらは質感もよく再現されている

ゲーミングスマホということで、本機のカメラ機能に対するニーズはさほど高くないかもしれない。しかし、本機のカメラは予想外にキレイな写真が簡単に撮れた。特に標準カメラは高感度撮影に強く、手ぶれや被写体ぶれもほとんど見られないなど、ポテンシャルが高い。

画質より気になったのはむしろ操作方法だ。設定画面が分散しているうえに英語表記のカメラ用語を理解するのは慣れないうちは骨が折れた。2週間ほど使った筆者でも、カメラの切り替え方法がわかったのは最後のほうだった。

周辺機器も豊富に用意。バッテリー持ちは設定次第で大きく変わる

なお、本機専用の周辺機器としてコントロールパッド「E-Sports Handle」や充電ドック「Magic Adapter for RedMagic 5」や2種類の保護カバーなどが用意されている。特に、「Magic Adapter for RedMagic 5」は、ヘッドホン端子、USB Type-Cポートに加えて、有線LANポートを備えており、LTEやWi-Fiに比べて低遅延の通信環境を利用できるのが魅力だ。

また、バッテリーに目を向けると、本機は4,500mAhの大容量バッテリーを内蔵している。USB PDを使った急速充電に対応しており、別売りの55Wの出力に対応した充電器を使えば最短40分という短時間でフル充電可能だ。なお、同梱の充電器は18Wの出力対応となっている。
電池持ちだが、リフレッシュレートやファンの利用などに大きく左右される傾向がある。144Hzの高速リフレッシュレートでファンを常に利用しながらゲームをプレイした場合は1分に約1%のペースというかなりの速度でバッテリーを消費したこともあった。いっぽう、リフレッシュレートを60Hzに抑えつつファンを使用しない条件でなら、1日に3時間程度(ゲーム1時間を含む)利用しても 、大体2日はバッテリーが持続し、ほかの「Snapdragon 865 5G」搭載機と大きな違いは感じられなかった。

コントロールパッド「E-Sports Handle」は単体で31.9米ドル、コントロールパッドと併用できる保護カバーとのセットなら39.9米ドルとなる

充電ドック「Magic Adapter for RedMagic 5」は、有線LANポートやUSB Type-Cポート、ヘッドホン端子を備える

同梱の充電器は18W出力に対応。出力表を見るとUSB PD(PPS)とQuickChargeにも対応しているという記述がある

最速のゲーミングスマホが7万円以下で買えるのは魅力。課題は日本語への対応とサポート体制

本機は、メーカーの直販サイトのみで販売され、国内の家電量販店やECサイトでは販売されない。価格は8GB/128GBの「Hot Rod Red」が629米ドル(1ドル106円換算で約67,000円)、12GB/128GBの「Eclipse Black」が649米ドル(1ドル106円換算で約69,000円)となっており、PayPalかクレジットカード払いが原則だ。なお、この料金には、送料や輸入消費税などの諸経費がすべて含まれている。

ほとんどが10万円を超えるSnapdragon 865 5G搭載スマホの中にあって、6万円台で買える本機はかなり割安に感じられる。しかし、5Gが現時点では法的に使えず、ソフトウェアの日本語化も徹底されていないうえに、日本語のサポートもないなど、注意が必要な部分も少なくない。端末自体の性能や価格は魅力的だが、使う人を選ぶのは間違いない。もっと多くのユーザーに手に取ってもらえるような取り組みをメーカーには求めたい。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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