ダイヤテックがメカニカルキーボードの新製品「Majestouch-MINILA-R-Convertible」を2020年8月26日に発売しました。同社はFILCOブランドでメカニカルキーボードを展開している老舗メーカーです。Majestouch-MINILA-R-Convertibleは超小型のメカニカルキーボードで、メカニカルキーボード好きはもちろん、小型キーボードが好みの人に注目してもらいたいキーボードです。価格.com最安価格は15,800円から(搭載するキースイッチによって価格が異なります)。今回はJP(日本語)配列の茶軸モデルを1週間ほど利用してみたので、その使い勝手をレポートします。
Majestouch-MINILA-R-Convertible は、Bluetooth接続とUSB接続に対応する超コンパクトなメカニカルキーボード。今回試用したモデルはダイヤテック公式オンラインショップ限定のCamouflage(カモフラージュ)
筆者はオフィスではFILCOのテンキー付きのメカニカルキーボードを利用しています。現在は在宅勤務がメインとなり、ちょっと浮気して東プレイの「REALFORCE」のテンキーレスキーボードを利用しています。その理由は机が狭いから。筆者のように在宅勤務で、キーボードを設置するスペースが限られるという人は意外と多いのではないでしょうか。
そんなときに気になったのが、このMajestouch-MINILA-R-Convertibleです。名前の通り、非常にコンパクトで設置場所を取らないのがポイント。本体サイズは297(幅)×124(奥行)×40(高さ)mm。コンパクトなキーボードとして人気のPFUの「Happy Hacking Keyboard」と同程度の大きさです。重量は680gで少しだけ重いですが、コンパクトなのでカバンに入れて余裕で持ち運べます。家でも会社でも、外出先でも同じキーボードで作業したいという人にもいいでしょう。
JS配列でキー数は66。キー配列はスペースキーの左右にFnキーを配置したダブルFnキーという新しい配列です。もちろん、US配列のモデルもラインアップされています
ホームポジションに左手を添えた状態。コンパクトですが、キーピッチは19mmと同社のほかのキーボードと変わりません
キーストロークは4mm。キー縦列に高低差のないフラットタイプです。手前に厚みがあるため、人によってはパームレストが必要になるかもしれません
スタンドを使うともう少し傾斜をつけられます
接続はBluetoothの無線接続とUSB2.0による有線接続の2通りから選べます。Bluetooth接続できるデバイスは4台。右上部のボタンを長押しすることで接続する機器を切り換えられます。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットとも接続可能。DIPスイッチでMac専用モードにすることもできます。
なお、USB2.0の有線接続とも混在できるので、最大5台までつなげておけます。机の上がガジェットで溢れているという人にはピッタリのキーボードです。
右上にBluetooth設定ボタン(左から4つ)、USB切り換えボタン(右から3つ目)、CapsLock LED(右から2つ目)、レベルチェックLED/ScrollLock LED(一番右)。今回試したCamouflageには印字はありませんが、Matte BlackやSky Grayなどには数字や文字が印字されています
USB接続は付属のケーブルを使ってminiBを利用します。その左側にあるType-AポートはUSB接続時にしか使えませんが、USBメモリーやワイヤレスレシーバーなどを接続して利用できます
単三形電池2本で動きます。USB接続時は電池不要で、背面の電源スイッチをオフにしてもキー入力できました
本当にコンパクトなMajestouch-MINILA-R-Convertibleですが、コンパクトなキーボードの宿命としてキーレイアウトが特殊すぎて慣れるのに時間がかかるという問題があります。Majestouch-MINILA-R-Convertibleは5列で、一般的なキーボードにあるFnキーがありません。その代わりに、スペースキーの左右にFnキーが配置されており、ほかのキーと組み合わせて代用する仕様です。親指でFnキーを押しながら操作することになると思います。
デフォルトの配列では、EscキーやカーソルキーがFnキーとのコンビネーションなのが不便に感じました。スペースキーの両脇で変換・無変換を使って日本語を入力している人も困るのではないでしょうか。
そんなときは自分が使いやすいようにDIPスイッチを利用しましょう。DIPスイッチは6つあり、それぞれの効果は以下の通りです。
背面にあるDIPスイッチは先の細い爪楊枝などでオンにします
Escキーをよく利用する人は、DIPスイッチ2でCapsLockとEscを切り換えるといいでしょう。変換・無変換を使って日本語を入力しているならDIPスイッチ4でFnキーを変換・無変換に切り換えましょう。
DIPスイッチだけ変えてもキーの印字は変わらなくて使いにくいという心配は不要。「Patch Keycap(パッチキーキャップ)」という2段階のキーで、印字を入れ替えることができます。ここまでやるかという、すごいこだわりです。
キーは専用キープラーを使って簡単に取り外せます
付属の交換用キーキャップと専用キープラー、USBケーブル(1.8m)
ベース部分とキートップ部分が別々になった「Patch Keycap(パッチキーキャップ)」。専用キープラーの逆側を使って外します。ちょっと力を入れないといけないので、壊さないように慎重に作業したいところ
DIPスイッチ1のCapsLockキーと左Ctrlキーの入れ替え
DIPスイッチ2のCapsLockとEscの表裏を入れ換え
DIPスイッチ3は親指Fnキーを変換キーと無変換キーに変えます。Fnキーは無変換キーの左に設定されます
DIPスイッチ4は右下カーソルキーを上面にするモードです
細かいですが、E/S/D/Fのカーソルが無効になるので、ベース部分を回転してカーソルが見えないようにします(写真は変更前)
DIPスイッチ5はMac専用モードです。Commandキー、英数キー、かなキーなどを取り付けます
筆者はEscキーをよく使うのでDIPスイッチ2をオンに。さらに、カーソルキーはなんだかんだよく使うのでDIPスイッチ4をオンにして使ってみました。DIPスイッチ4をオンにすると「/」「?」キーがFnキーとのコンビネーションになる点は慣れが必要ですが、それ以外は特に困らずに使えています。ちなみに、「?」は「Shift」キー+「Fn」キー+「/」キーで入力できます。「・」は「Fn」キー+「/」キーです。
メカニカルキーボードはキーひとつひとつが個別のスイッチになっており、メンテナンス次第ではありますが、長く使い続けられるのが特徴です。FILCOはドイツ・CHERRY社のCHERRY MXスイッチを長年採用しています。メカニカルならではのカチカチというクリック感があり、気持ちいい打ち心地が魅力と言えるでしょう。
ドイツ・CHERRY社のCHERRY MXスイッチを採用。写真はメカニカルキーボードで代表的なMX茶軸です
Majestouch-MINILA-R-Convertibleは、キースイッチ(軸)を5種類(CHERRY MX黒軸を採用した海外向けモデルはダイヤテック公式オンラインショップ限定)から選べます。今回は代表的なMX茶軸を試しました。重めの押下圧で、気持ちのいいクリック感があります。各キースイッチの特徴は、製品ページに詳しい説明があるのでぜひ確認してみてください。メカニカルキーボードの音が気になるという人は、「MX SILENT 静音軸」もラインアップされているので、こちらを選ぶといいかもしれません。
選べるのはキースイッチだけではありません。カラーはMatte Black、Sky Gray、ASAGI(オンラインショップ限定フレーム)、Camouflage(オンラインショップ限定フレーム)の4つから選択可能。さらにJP配列とUS配列があるので、選択肢はかなり豊富です。なお、オンラインショップだと組み合わせによっては在庫がなく、近日入荷となっています。
Majestouch-MINILA-R-Convertibleは、メカニカルかつ小型のキーボードを探していた人にピッタリのキーボードです。キー配列にクセはあるものの、カスタマイズ性が非常に高いので自分仕様にとことんカスタマイズすれば、仕事や趣味のよき相棒になってくれるはずです。単純ですがコンパクトなので机の上で場所を取らずに置けるのもうれしいところ。電池で動作し、可搬性が高いのでノートパソコンと一緒に持ち運んで、どこでもいつもどおりの入力ができるのも魅力です。価格.com最安価格15,800円からと高級なキーボードですが、ハマる人はハマってしまうキーボードではないでしょうか。
パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。