レビュー
防水・防塵、240Hzディスプレイなどシャープの技術を詰め込んだミドルハイモデル

サウンド・映像に強い5Gスマホ「AQUOS zero5G basic DX SHG02」レビュー

5Gスマートフォンのラインアップ拡充を進めるau(KDDI)は、2020年9月19日に、「AQUOS zero5G basic SHG02」を発売した。FeliCaや防水対応など必要な機能を備えつつ、サウンドやビジュアル機能を強化し5G対応を果たした、ミドルハイモデルだ。

サウンドと映像の機能を強化しつつ、ハイエンドモデルより価格を抑えたミドルハイモデル

auは、製品ラインアップの5G対応を急速に推し進めており、先頃発表された2020年秋・冬モデルすべてが5G対応スマートフォンになった。5Gスマホを自然に選ぶ時代がすぐそこまできている。本機もまたそんな5Gの裾野を広げるミドルハイ向けの5Gスマートフォンだ。

本機のボディサイズは、約75(幅)×161(高さ)×9.0(厚さ)mmで、重量は約182g。搭載されるディスプレイは2,340×1,080のフルHD+表示に対応する約6.4インチの有機ELディスプレイだ。このディスプレイは、10億色の表示に対応するほか、1コマごとに黒い画面を差し込む残像低減機能を備えた120Hzの倍速駆動(残像低減を含めれば240Hz相当)と、240Hzの4倍速タッチスキャンレートに対応している(ゲーミングメニューの「ハイレスポンスモード」を選択した場合)。また、HDRのフォーマットのひとつである「HLG」や、YouTubeのHDRコンテンツ再生にも対応している。

ボディは、IPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアしており、浴室での利用も可能だ。機能面では、「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」の併用に対応するFeliCaポートと、NFCポートを備える。フルセグ・ワンセグのテレビチューナーは非搭載だが、FMラジオチューナーは備えている。前モデルの「AQUOS zero2」は、軽量ボディが魅力だったが、本機の重量は、このサイズとしてはごく平均的なものとなっている。

搭載される有機ELディスプレイは、発色のよさもさることながら、このような黒に近い映像のグラデーション表現などに強い。前モデル、前々モデルで指摘されることの多かったドット欠けも見られなくなった

搭載される有機ELディスプレイは、発色のよさもさることながら、このような黒に近い映像のグラデーション表現などに強い。前モデル、前々モデルで指摘されることの多かったドット欠けも見られなくなった

背面左上に、トリプルカメラを配置。今回の検証機はホワイトだが、ブラックも用意されている

背面左上に、トリプルカメラを配置。今回の検証機はホワイトだが、ブラックも用意されている

AQUOS zero2では省略されていたヘッドホン端子が復活。ボディ上面に配置される

AQUOS zero2では省略されていたヘッドホン端子が復活。ボディ上面に配置される

右側面には、下側から、電源、Google アシスタントの起動、ボリュームの各ボタンが配置される。なお、電源ボタンは約2秒以内の長押しでGoogle Payを起動できる

右側面には、下側から、電源、Google アシスタントの起動、ボリュームの各ボタンが配置される。なお、電源ボタンは約2秒以内の長押しでGoogle Payを起動できる

通知や充電などの状態を知らせるLEDはディスプレイの左下に配置されている

通知や充電などの状態を知らせるLEDはディスプレイの左下に配置されている

本機では、映像機能とともにサウンド機能にも注力されている。左右にステレオスピーカーを備えるほか、「AQUOS zero2」では省略されていたヘッドホン端子も復活している。また、サウンドエンハンサーの「Dolby Atoms」に対応するほか、ハイレゾ用のBluetoothコーデックとして、「aptX HD」「aptX Adaptive」「TWS Plus (TrueWireless Stereo Plus)」「LDAC」に対応している。

ボディ下面には、スピーカーホールが備わる。受話口と含めて2基のスピーカーでステレオ再生が可能だ

ボディ下面には、スピーカーホールが備わる。受話口と含めて2基のスピーカーでステレオ再生が可能だ

2年前のハイエンドモデルに近い処理性能を備える

次に基本スペックを見てみよう。5Gに対応するSoC「Snapdragon 765 5G」に、8GBのメモリーと128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 10で、発売日から2年間のOSバージョンアップが保証されている。GoogleのOSリリースに大きな遅れがない限り、Android 12の世代まで最新のソフトウェア環境で利用できるだろう。

なお、本機に搭載される「Snapdragon 756 5G」は、シャオミの「Mi 10 lite 5G」にも搭載されているが(厳密には「Snapdragon 765G 5G」)、これと比較すると、CPUの最大動作クロックが100MHz、GPUの処理性能も10%ほど落とされている。そのいっぽう、本機は8GBというハイエンドモデルに迫るメモリー容量と、microSDXCメモリーカードスロットを備えているという優位性がある。

実際の処理性能を定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(Ver.8.X)」を使って計測したところ、「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアは297,091(内訳、CPU:101,173、GPU:84,774、MEM:57,809、UX:53,335)となった。「Mi 10 lite 5G」は326,923(内訳、CPU:106,623、GPU:94,558、MEM:66,748、UX:58,994」だったので、本機のほうがやはり処理速度では1割ほど低い結果となった。なお、本機のこのスコアは2018年当時のハイエンドモデルよりも処理性能(CPU)は少し上、グラフィック性能(GPU)はやや劣るレベルである。

体感速度だが、メモリーの容量が十分確保されているので、「Mi 10 lite 5G」ではもたつくこともあったタスク切り替えは概してスムーズ。いっぽう、グラフィック性能では、ゲームの同じシーンでも「Mi 10 lite 5G」では起こらなかった処理落ちやコマ落ちが本機では現われる場合があった。いくつかのゲームを試してみたが、人気FPS「Call of Duty mobile」の画質調整では、グラフィック品質「最高」&フレームレート「最高」または、グラフィック品質「高」&フレームレート「最大」の組み合わせでもかなりなめらかに動作した。また、リズムゲームの「アイドルマスターミリオンライブシアターデイズ」では、最高画質でも大体スムーズに動作したが、負荷のかかる39人ライブでは部分的に処理落ちが発生した。おおむね問題はないものの、最新ゲームをフルに楽しむという点では、ややスペック不足を感じることもあった。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「Mi 10 Lite 5G」。両機は基本的に同じSoCを採用しているが、設定動作クロックの違いにより「CPU」や「GPU」のスコアに差が生じている

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「Mi 10 Lite 5G」。両機は基本的に同じSoCを採用しているが、設定動作クロックの違いにより「CPU」や「GPU」のスコアに差が生じている

「Call of Duty mobile」の画質調整では、グラフィック品質「最高」フレームレート「最高」または、グラフィック品質「高」フレームレート「最大」の組み合わせで、おおむね快適に動作した

「Call of Duty mobile」の画質調整では、グラフィック品質「最高」フレームレート「最高」または、グラフィック品質「高」フレームレート「最大」の組み合わせで、おおむね快適に動作した

本機の5G通信機能は、Sub-6のみの対応だ。ハイエンドモデルのように4G+5Gのキャリアアグリゲーションには対応していないので、通信速度は下り最大2.1GHz、上り最大183Mbpsにとどまっている。しかし、現状の5Gエリアであれば、下りで1Gbpsを越える通信速度は出ていたので、実際の使用ではスペック値ほどの差を感じることは少ないだろう。

本機の通信速度は下りで最大2.1Gbpsとなっており、5Gスマホとしては高いほうではない。しかし、実効速度では1Gbpsを超えることも珍しくない

本機の通信速度は下りで最大2.1Gbpsとなっており、5Gスマホとしては高いほうではない。しかし、実効速度では1Gbpsを超えることも珍しくない

バッテリーは、容量4,050mAhのバッテリーを内蔵する。電池持ち時間は4Gエリアでは約110時間、5Gエリアでは約105時間となっており、バッテリー持ちはさほど良好な部類とは言えない。今回の検証はほとんどが4Gエリアで行ったが、240Hz駆動ディスプレイでゲームを4時間以上行ったうえで、数GBのファイルのダウンロードやカメラの断続的な撮影を行った場合、フル充電から18時間程度でバッテリーがゼロになった。そのいっぽう、ゲームは行わずSNSやWebページや電子書籍の閲覧を主体にした場合なら48時間はバッテリーが持続した。「AQUOS sense」シリーズのようにバッテリー持ちが魅力とは言えないが、フル充電で1日以上の利用は十分可能だろう。

なお、前モデル「AQUOS zero2」は発熱の高さを指摘されることが多かったが、本機はボディ全体に熱を散らすように設計されており、長時間のゲームプレイでもボディの一部が極端に熱くなるようなことはなかった。顕著なパフォーマンスの低下や処理落ちも見られず、安定性についてはかなり改善されているようだ。

5.27倍の光学ズームに対応するトリプルカメラを搭載

本機のメインカメラは、約1,310万画素の超広角カメラ(35mm換算の焦点距離で15mm)、約4,800万画素の標準カメラ(26mm)、約800万画素の望遠カメラ(79mm)という組み合わせのトリプルカメラだ。このうち標準カメラは、新しいハイブリッドAFを採用することで、低照度のシーンでもピント合わせが高速に行えるようになっている。なお、フロントカメラは約1,630万画素(29mm)だ。従来のAQUOS zeroシリーズはカメラ性能をあまり重視しない傾向にあったが、本機のメインカメラは、超広角カメラを基準にした場合、望遠カメラは約5.27倍という高いズーム倍率になる。超広角カメラも15mmというかなりの広角なので、広角から望遠までさまざまな構図で撮影できるのは大きな魅力だ。

背面に備わるトリプルカメラは、上から超広角、標準、望遠という配列だ

背面に備わるトリプルカメラは、上から超広角、標準、望遠という配列だ

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した写真の作例を掲載する。初期設定のままカメラ任せのAIオートモードを使用している

超広角カメラで撮影

周辺部の荒れや解像感はいまひとつだが、池のほぼ全景が収まる。下の標準カメラよりも発色は淡泊な傾向だ

周辺部の荒れや解像感はいまひとつだが、池のほぼ全景が収まる。下の標準カメラよりも発色は淡泊な傾向だ

標準カメラで撮影

同じ構図を標準カメラで撮影。ホワイトバランスが正確でこれがいちばん肉眼の印象に近い。水面の波紋もよく残っている

同じ構図を標準カメラで撮影。ホワイトバランスが正確でこれがいちばん肉眼の印象に近い。水面の波紋もよく残っている

望遠カメラで撮影

全般にシアンに寄った発色になっている。構図の中央付近にピントを合わせたのだが、どこに焦点が合っているのかよくわからない

全般にシアンに寄った発色になっている。構図の中央付近にピントを合わせたのだが、どこに焦点が合っているのかよくわからない

超広角カメラで撮影

夜の街を撮影。AIは夜景と判断して長時間露光のナイトモードでの撮影となった。超広角らしい広々とした構図のいっぽうで、舗装されたタイルも比較的はっきり写っている

夜の街を撮影。AIは夜景と判断して長時間露光のナイトモードでの撮影となった。超広角らしい広々とした構図のいっぽうで、舗装されたタイルも比較的はっきり写っている

標準カメラで撮影

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影、こちらもナイトモードでの撮影だ。舗装されたタイルがさらにクッキリ写っている。色かぶりやノイズも抑えられており、高感度撮影機能はかなり向上しているようだ

上と同じ構図を標準カメラに切り替えて撮影、こちらもナイトモードでの撮影だ。舗装されたタイルがさらにクッキリ写っている。色かぶりやノイズも抑えられており、高感度撮影機能はかなり向上しているようだ

望遠カメラで撮影

さらに上と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。構図中央の彫刻が大きく写っているが、アンバーに偏った発色になっている。全体にぼんやりとした印象で、性能の限界に近いようだ

さらに上と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影、こちらもナイトモードだ。構図中央の彫刻が大きく写っているが、アンバーに偏った発色になっている。全体にぼんやりとした印象で、ナイトモードではあっても性能の限界に近いようだ

AQUOSシリーズはこれまでカメラの画質がややネックだったが、本機では、特に標準カメラの画質向上が著しい。夜景でも、光量の不足や解像感の著しい低下は見られず、オートフォーカスも速く正確で、歩留まりもいい。明るい場所ではもちろん安定した画質で撮影ができる。逆に望遠カメラと超広角カメラは、ホワイトバランスがやや不安定で、あからさまにトーンの異なる仕上がりになる場合が目立った。特に、望遠カメラはピントが甘くなる傾向がある。

シャープの技術を詰め込んだ野心作だが、競合機と比べてやや割高な面も

最後に価格も含めて、競合機種と比較してみよう。本機の直販価格は81,315円(税込)。やや高価に感じるが、5G対応のハイエンドモデルはおおむね10万円オーバーなので、これらと比べると確かに安価と言える。しかし、auの5G端末ラインアップでは、4万円台前半のシャオミ「Mi 10 Lite 5G」があり、この秋以降に、さらにサムスン「Galaxy A51 5G」や、シャープ「AQUOS sense5G」など、エントリークラスの製品の発売が控えている。また、処理性能や軽量ボディを重視するのであれば、本機の前身となる4Gスマホ「AQUOS zero2」は、現在82,100円であり、本機とほぼ同等の価格になっている。

本機は、トリプルカメラ、防水・防塵対応ボディや、残像低減機能付き倍速駆動有機ELディスプレイなど、シャープが得意とする機能が魅力、また、標準カメラについてはAQUOSシリーズとしては出色のできだ。だが、これらを豊富に取り入れた結果、ミドルハイ向けの製品としては少々割高になってしまった感は否めない。スマートフォンで映像視聴などをよく行うユーザーには適しているが、高コスパ以上ハイエンド未満というミドルハイモデルの陥りやすい、微妙な立ち位置とも言える。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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