レビュー
スピーディーなカメラも魅力

高性能&コンパクトを両立し、ゲームプレイに適したスマホ、「Xperia 5 II」レビュー

auとソフトバンクから2020年10月17日に発売された5G対応スマートフォン「Xperia 5 II」(ソニーモバイル製)は、従来モデルの「Xperia 5」よりも大幅にスペックアップを行い、シリーズ最上位モデル「Xperia 1 II」のほぼ同等の性能を、よりコンパクトなボディに詰め込んだ注目の製品だ。「Xperia 1 II」との違いや、本機ならではの特徴に迫ろう。

国産コンパクトスマホの流れを受け継ぐ軽量薄型ボディ

「Xperia 5 II」のボディサイズは、約68(幅)×158(高さ)×約8.0(厚さ)mmで、重量は約163g。前モデル「Xperia 5」と比較すると、幅と高さは同じで、わずかではあるが、0.2mm薄く、1g軽くなった。なお、「Xperia 1 II」と比較すると、幅が約4mm、高さが約8mm、重量が約18g軽い。いっぽう厚さは本機が0.1mmだけ厚い。

持ちやすさと高性能が高度にバランスされたモデルだ

持ちやすさと高性能が高度にバランスされたモデルだ

デジタルスケールで量った重量は、スペック値通りの163gだった。ハイエンド向け5Gスマホの多くが180g近い重量である中、サムスン「Galaxy S20」の163gと並ぶ軽さだ

デジタルスケールで量った重量は、スペック値通りの163gだった。ハイエンド向け5Gスマホの多くが180g近い重量である中、サムスン「Galaxy S20」の163gと並ぶ軽さだ

外見は、基本的に「Xperia 5」のデザインを継承しているが、ボディ右側面、カメラのシャッターボタンの隣に、新たに、Google アシスタントをワンプッシュで起動させられる「Google アシスタントキー」が配置されている。なお、本機能はスリープ中でも利用できるが、起動から先の操作には結局ロックの解除が必要となるので、設計的に少々中途半端な印象も受ける。

左上に配置されるメインカメラのデザインは「Xperia 1 II」や「Xperia 10 II」と共通モチーフのフラットなデザインで、左上にまとめられたカメラの並びなども同じだ

左上に配置されるメインカメラのデザインは「Xperia 1 II」や「Xperia 10 II」と共通モチーフのフラットなデザインで、左上にまとめられたカメラの並びなども同じだ

右側面には「Google アシスタントキー」(写真左)と、シャッターキー(写真右)が並ぶ。両キーの高さに微妙な差が作られており、感触だけで識別できるように工夫されている

右側面には「Google アシスタントキー」(写真左)と、シャッターキー(写真右)が並ぶ。両キーの高さに微妙な差が作られており、感触だけで識別できるように工夫されている

搭載される約6.1インチの有機ディスプレイは、2,560×1,080のフルHD+表示に対応する。縦横比が21:9の超縦長で、シネスコサイズの動画をほぼそのまま表示できるほか、Twitterのタイムラインや、LINEのトークのように、縦方向にスクロールするコンテンツの表示に適している。いっぽう、ディスプレイの短辺は約63mmで、縦横比16:9のディスプレイを採用するスマホでは、5インチ台前半の製品とほぼ同じ横幅となる。そのため、ディスプレイの横幅に影響される文字や画像はさほど大きく表示されないので、受ける印象としては、約6.1インチというスペック値よりも小さめに感じる。

最近のXperiaシリーズの特徴である縦横比21:9の超縦長ディスプレイ。この縦横比に対応していないアプリの場合、ディスプレイの左右に黒帯が入る

最近のXperiaシリーズの特徴である縦横比21:9の超縦長ディスプレイ。この縦横比に対応していないアプリの場合、ディスプレイの左右に黒帯が入る

ディスプレイはBT.2020の色域と、10bit階調表示が可能な「クリエイターモード」に対応。「Netflix」アプリなどの対応アプリでは、自動で同モードに切り替わる

ディスプレイはBT.2020の色域と、10bit階調表示が可能な「クリエイターモード」に対応。「Netflix」アプリなどの対応アプリでは、自動で同モードに切り替わる

基本的なスペックは「Xperia 1 II」と変わりはない。SoCはハイエンド向けの「Snapdragon 865 5G」で、8GBのメモリー、128GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 10だ。なお、ボディは、IPX5/8の防水等級とIP6Xの防塵等級に対応している。FeliCa/NFCポートは引き続き搭載されるが、フルセグ・ワンセグのテレビチューナーは非搭載。5G通信機能はSub-6のみの対応で、この点も「Xperia 1 II」と同じだ。

実際の処理性能を、ベンチマークアプリ「GeekBench 5」を使って計測したところ、シングルコアは905、マルチコアは3305となった。価格コムマガジンで計測した「Xperia 1 II」のスコアはシングルコアが894、マルチコアが3255なので本機のほうがわずかであるがスコアが伸びている。なお、「Xperia 5」のスコアはシングルコアが712、マルチコアが2509だったので(Geekbench公式サイト「Geekbench Browser」で公表されている値)、25〜30%ほど処理能力が上がっていることになる。

体感速度だが、アプリごとに起動に多少違いを感じることはあったが、「Xperia 1 II」との有意な違いは感じられなかった。

なお、高い処理性能が求められるmiHoYoの最新ゲーム「原神」の描画性能を最高レベルまで引き上げても、フィールド移動における描画は概してスムーズだった。「Xperia 5」と比較すると描画レベルを1段階は上げられるだけのグラフィック性能は備えている。

「GeekBench 5」でのテスト結果。総合スコアは、「Snapdragon 855」を搭載していた「Xperia 5」と比較して、スコアは25%ほど高く、「Snapdragon 865 5G」搭載機としては順当なスコアと言える

「GeekBench 5」でのテスト結果。左が本機、右はXperia 1 IIのもの。総合スコアは、「Snapdragon 855」を搭載していた「Xperia 5」と比較して、スコアは25%ほど高く、「Snapdragon 865 5G」搭載機としては順当なスコアと言える

9月に登場した最新ゲーム「原神」のグラフィック設定を最高レベルまで引き上げてみたが、描画は概してスムーズ。ただしボディの発熱はかなり高くなる

9月に登場した最新ゲーム「原神」のグラフィック設定を最高レベルまで引き上げてみたが、描画は概してスムーズ。ただしボディの発熱はかなり高くなる

最大240Hz相当駆動の有機ELディスプレイを駆使できる「GameEnhancer」で、幅広いゲームに対応

「Xperia 5 II」の大きな魅力は、通常の60Hz駆動と120Hzの倍速駆動を切り替えて利用できる倍速駆動ディスプレイだ。また、ゲーム最適化機能「GameEnhancer」に登録したアプリについては、40Hz、60Hz、120Hz、240Hz(120Hz駆動の1コマおきに、残像感低減のための黒い画面を差し込む4倍速相当)という4段階のリフレッシュレートを選べる。なお、「GameEnhancer」には、ゲーム以外のアプリも、すべてではないがユーザー側で追加できる。

倍速駆動ディスプレイは、サムスン「Galaxy S20」シリーズや、オッポ「Find X2 Pro」、シャープ「AQUOS zero2」などでも採用されている、近ごろの注目技術だ。なめらかな画面スクロールや動画再生時の残像感の低減などが期待できるが、動きの激しいFPSやリズムゲームなどの視認性向上が期待でき、ゲームプレイで有利になる。なお、「GameEnhancer」は、最大240Hzまでの「タッチ反応速度調整機能(4段階)」も備えており、「Xperia 5」と比較してタッチ操作の応答速度が約35%速くすることが可能だ。また、タッチ判定の抜けを調節する「タッチ追従性調節機能(3段階)」も備わっており、タッチ判定の緻密な設定も行える。

「GameEnhancer」に登録したアプリは、リフレッシュレート、タッチ反応速度調整、タッチ追従性調節を個別に設定できる

「GameEnhancer」に登録したアプリは、リフレッシュレート、タッチ反応速度調整、タッチ追従性調節を個別に設定できる

「GameEnhancer」にはユーザー側でアプリを追加できる。ただし、Google Mapや、YouTubeなど、ニーズの多そうなアプリの追加は検証機では行えなかった

「GameEnhancer」にはユーザー側でアプリを追加できる。ただし、Google Mapや、YouTubeなど、ニーズの多そうなアプリの追加は検証機では行えなかった

本機で、FPSやリズムゲーム、パズルゲーム、オープンワールドRPGなどを試してみたが、FPSでは、残像感の少なさやダイレクトな操作性といった本機の持ち味を感じやすい。また、超ワイドディスプレイは表示範囲が広い点でもゲームプレイに有利だ。リズムゲームでは流れ落ちるノーツ(リズムのシンボルマーク)の視認性が高まり、タイミングをつかみやすくなる。なお、逆にリフレッシュレートを抑えて消費電力を節約することもできる。

ディスプレイとタッチ操作の設定はゲーム中でも変更できる。操作が不自然だと感じた場合にすぐに調整可能だ

ディスプレイとタッチ操作の設定はゲーム中でも変更できる。操作が不自然だと感じた場合にすぐに調整可能だ

「Xperia 1 II」の画質とレスポンスを受け継ぐカメラ。ただしAF性能に差がある

本機のメインカメラは、約1,200万画素の超広角カメラ(16mm、1/2.6インチセンサー)、約1,200万画素の標準カメラ(24mm、1/1.7インチセンサー、 光学手ぶれ補正機構)、約1,200万画素の望遠カメラ(70mm、1/3.4インチセンサー、位相差AF、光学式手ぶれ補正)という組み合わせのトリプルカメラで、いずれもT*コーティングの施されたZEISS監修のレンズを採用している。このカメラは「Xperia 1 II」に搭載されているものと共通で、メーカーでは両機に画質の違いはないとしている。ただし、本機では「Xperia 1 II」に搭載されていた「3D iToFセンサー」が省略されており、オートフォーカスの精度や速度に多少影響が出る可能性がある。なお、「Xperia 1 II」でも好評だったカメラアプリ「Photography Pro」は、本機でもプリインストールされている。

3基のカメラは「Xperia 1 II」とイメージセンサーやレンズは同じだが、3D iToFセンサーは省略されている

3基のカメラは「Xperia 1 II」とイメージセンサーやレンズは同じだが、3D iToFセンサーは省略されている

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画を掲載する。「Photography Pro」と通常のカメラアプリの両方を初期設定のまま使っている。

超広角カメラで撮影(Photography Pro)

丸の内の夕方の景色。秋の空に焦点を合わせている。薄暗いビルや淡い青空など肉眼の印象のままの仕上がりだ。逆光気味だが、T*コーティングの影響でフレアは抑えられている

丸の内の夕方の景色。秋の空に焦点を合わせている。薄暗いビルや淡い青空など肉眼の印象のままの仕上がりだ。逆光気味だが、T*コーティングの影響でフレアは抑えられている

標準カメラで撮影(Photography Pro)

上と同じシーンを標準カメラに切り替えて撮影。現実をそのまま撮影するという全般的なトーンはそのままだ。周辺部分まで解像感は失われておらず画質はもっとも安定している

上と同じシーンを標準カメラに切り替えて撮影。現実をそのまま撮影するという全般的なトーンはそのままだ。周辺部分まで解像感は失われておらず画質はもっとも安定している

望遠カメラで撮影(Photography Pro)

さらに上と同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。70mmの焦点距離だと同じシーンでもかなり印象が異なる。こちらもカメラを替えたことによるトーンの変化は感じられない

さらに上と同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。70mmの焦点距離だと同じシーンでもかなり印象が異なる。こちらもカメラを替えたことによるトーンの変化は感じられない

超広角カメラで撮影(Photography Pro)

オフィス街の夜の広場を撮影。床のタイルは周辺まではっきりしており、ノイズも全般に少ない。暗い部分は暗く、明るい部分は明るいという肉眼の印象は夜景撮影でも変わらない

オフィス街の夜の広場を撮影。床のタイルは周辺まではっきりしており、ノイズも全般に少ない。暗い部分は暗く、明るい部分は明るいという肉眼の印象は夜景撮影でも変わらない

標準カメラで撮影(Photography Pro)

上と同じシーンを標準カメラに切り替えて撮影。ただし、出力をRAW+JPEGに変更している。構図の中央や右のハイライト部分がやや飽和している。RAW+JPEGにすることでDレンジオプティマイザーが動作しなくなるようだ

上と同じシーンを標準カメラに切り替えて撮影。ただし、出力をRAW+JPEGに変更している。構図の中央や右のハイライト部分がやや飽和している。RAW+JPEGにすることでDレンジオプティマイザーが動作しなくなるようだ

標準カメラで撮影(カメラアプリ)

上と同じシーンを、カメラアプリを使って撮影。ハイライトが飽和していない。なお、Photography ProでもJPEG出力にすればカメラアプリと画質の違いは感じられない

上と同じシーンを、カメラアプリを使って撮影。ハイライトが飽和していない。なお、Photography ProでもJPEG出力にすればカメラアプリと画質の違いは感じられない

望遠カメラで撮影(Photography Pro)

上と同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。トーンは変わっておらず、もっと暗い構図でも対応できる余裕を感じる。ただし、オートフォーカスの迷いが落ち着くまでは少し時間がかかった

上と同じシーンを望遠カメラに切り替えて撮影。トーンは変わっておらず、もっと暗い構図でも対応できる余裕を感じる。ただし、オートフォーカスの迷いが落ち着くまでは少し時間がかかった

本機のカメラで気になるのは、3D iToFセンサーがないことの影響だろう。その違いは暗めのシーンや、複雑な構図の被写体、素早く動く被写体に対するオートフォーカスの速度と正確性に現われる。こうした場合は、「Xperia 1 II」では簡単に撮れるものが、本機では撮れない、あるいは撮りにくくなる場合がある。

本機のカメラの美点としては、自然で落ち着いた画質とともに、「Xperia 1 II」譲りの高速なスピード・レスポンスがあげられる。カメラの起動も速く、AE/AF連動の毎秒20コマの連続撮影、シャッタータイムラグ(シャッターを押してから撮影が始まるまでの時間)や、夜景撮影の露光時間も総じて短い。そのため、シャッターチャンスを逃さず気軽に撮影でき、カメラを使う頻度も増えるだろう。こうしたレスポンスへのこだわりは、デジタルカメラ「α」シリーズを展開してきたソニーならではと言える。

4,000mAhのバッテリーを搭載。5G対応による電池持ちの悪化は抑えられている

本機は4,000mAhのバッテリーを搭載している。これは前モデル「Xperia 5」の3,140mAh(ソニーモバイルによる容量基準変更後の値、基準変更前の容量は3,000mAh)と比べると860mAhという大幅な容量アップとなっている。これにより、カタログスペックでは、連続通話時間は約1,760分から約1,870分へ、連続待受時間は約410時間から約530時間へ、電池持ち時間は約105時間から約120時間へそれぞれ伸びている(いずれも4Gエリアのもの)。5Gエリアでは電力消費が多少悪化するが、エリアが極度に限られている現状では影響は無視してよいだろう。

実際の電池持ちだが、1日に4時間ほどゲームをプレイするなど、かなりヘビーに使った場合でも24時間経過した時点でまだバッテリーには10%程度の残量があった。待ち受け主体(WebやSNS主体で1日1時間程度使用)の利用パターンなら2日半以上バッテリーが持続している。なお、本機は、上記の倍速駆動ディスプレイなど、ユーザー側で設定することでバッテリー消費を調整できる幅が広い。逆に、倍速駆動やタッチレスポンスの向上などでフル性能を使った場合、かなりのペースでバッテリーを消費することもある。バッテリーの持ちは、ユーザーの使い方や設定次第という面がほかの製品よりも強めだ。

コンパクトスマホの系譜に連なる、かつゲームにより適したXperia

上位モデル「Xperia 1 II」と基本スペックがほぼ同じで、しかも1割ほど安価な価格設定である「Xperia 5 II」は、「Xperia 1 II」の廉価版として見られやすい。しかし、「Xperia 1 II」にはない倍速駆動ディスプレイを備えており、ゲームプレイの快適さを重視するならむしろ本機のほうが適している。また、本機は、日本のメーカーが得意としていた小型ハイエンドスマホの系譜に連なる最新モデルという一面もある。「Xperia XZ2 compact」や「AQUOS R2 compact」といった2世代前のSoC「Snapdrago 845」を搭載した製品からの買い換え候補としても適しているだろう。

携帯性と処理性能のバランス、カメラ性能、ゲーム向けの諸機能など、重視したい性能があるのなら、本機はその期待を裏切らない1台だ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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