レビュー
12.9インチモデルの「Liquid Retina XDRディスプレイ」もチェック

まだまだiPadは進化しそう! M1チップ搭載「iPad Pro」(第5世代)レビュー

発売から少し経ったが、アップルの「12.9インチiPad Pro」(第5世代)をレビューしていきたい。外観は昨年2020年に発売された第4世代モデルからほとんど変わっていないが、同社がMac向けに設計したSoC「Apple M1チップ」を搭載することでパフォーマンスが飛躍的に向上している。外部インターフェイスもThunderbolt 4に対応し、より高速にデータのやり取りが可能となった。12.9インチモデルだけだが、「Liquid Retina XDRディスプレイ」を採用したのも見どころだ。

12.9型のLiquid Retina XDRディスプレイを搭載する12インチiPad Pro(第5世代)。8コアCPU/8コアGPU/16コアNeural EngineというApple M1チップを搭載する。今回試したモデルはストレージが1TBのモデルで、メモリーは16GB。価格.com最安価格は210,000円(2021年6月11日時点)

12.9型のLiquid Retina XDRディスプレイを搭載する12インチiPad Pro(第5世代)。8コアCPU/8コアGPU/16コアNeural EngineというApple M1チップを搭載する。今回試したモデルはストレージが1TBのモデルで、メモリーは16GB。価格.com最安価格は210,000円(2021年6月11日時点)

第5世代の12.9インチiPad Proを動画でも紹介しているので、ぜひチェックしてもらいたい。

Macだけでなく、iPad ProにもApple M1チップを搭載

第5世代のiPad Proは、11インチモデルと12.9インチモデルともにSoCが、これまでの「A○ Bionicチップ」から、最新のMacと同じApple M1チップに変わった。Apple M1チップは、同社がMacのために自社設計し、パフォーマンスと電力効率を高い次元で両立した爆速のSoC。最新の「iMac」にも使われており、デスクトップ用としても使えるほどパワフルなのが魅力だ

そんなApple M1チップが薄型ボディのiPad Proに搭載されている。搭載されるApple M1チップは、8コアCPU/8コアGPU/16コアNeural Engineなどで構成されており、「MacBook Air」や「13インチMacBook Pro」「iMac」「Mac mini」に搭載されているものと同じ。SoCの変更により、これまでiPad Proではスペック表に記載されていなかったメモリー容量が、Apple M1チップを搭載した第5世代モデルでは明記されるようになった。ただ、メモリー容量を選択することはできず、ストレージ容量ごとに異なる。128GB/256GB/512GBのストレージ搭載モデルのRAMは8GB、1TB/2TBのストレージ搭載モデルが16GBだ。

Macに搭載されるApple M1チップを採用した12.9インチiPad Pro(第5世代)

Macに搭載されるApple M1チップを採用した12.9インチiPad Pro(第5世代)

外観は2020年に発売された第4世代モデルからほとんど変わっていない。本体サイズは幅と高さは第4世代モデルと同じで、厚みが5.9mmから6.4mmへとわずかに厚くなった

外観は2020年に発売された第4世代モデルからほとんど変わっていない。本体サイズは幅と高さは第4世代モデルと同じで、厚みが5.9mmから6.4mmへとわずかに厚くなった

USB-CポートがThunderbolt 4に対応

USB-CポートがThunderbolt 4に対応

ストレージ容量に2TBが登場したのもトピック。写真や動画を大量に扱うクリエイターなら、ストレージは多いに越したことはない。ただ、ストレージが増えるとかなり価格もアップする。今回試した12.9インチの1TBモデル(Wi-Fi)の価格.com最安価格は210,000円。最大容量の2TBモデルだと、Wi-Fiモデルが259,182円。

Apple M1チップのパフォーマンスを定番のベンチマークプログラム「Geekbench 5」で測定してみた。比較用として、Apple M1搭載のMacの結果も記載している。結果は、Macのスコアはほとんど変わらず、同じチップが搭載されていることがうかがえる。
「A12Z Bionicチップ」を搭載した12.9インチiPad Pro(第4世代)と比べると、シングルコア/マルチコアともに1.5倍以上スコアがアップしている。

○12.9インチiPad Pro(第5世代) Apple M1チップ(8コアCPU/8コアGPU)
シングルコア:1712、マルチコア:7204
○12.9インチiPad Pro(第4世代) A12Z Bionicチップ
シングルコア:1113、マルチコア:4663
○iPad Air(第4世代) A14 Bionicチップ
シングルコア:1582、マルチコア:3881
○MacBook Air  Apple M1チップ(8コアCPU/7コアGPU)
シングルコア:1734、マルチコア:7526
○13インチMacBook Pro  Apple M1チップ(8コアCPU/8コアGPU)
シングルコア:1724、マルチコア:7429
○Mac mini  Apple M1チップ(8コアCPU/8コアGPU)
シングルコア:1730、マルチコア:7656
○iMac  Apple M1チップ(8コアCPU/8コアGPU)
シングルコア:1749、マルチコア:7628

Geekbench 5の「CPU」の結果

Geekbench 5の「CPU」の結果

これだけのパワーがあれば、MacBook ProやMacBook Airの代わりにもなりそうだが、OSが違うので、利用できるアプリが違うことは覚えておきたい。特に動画編集では、アドビの「Premier Pro」やブラックマジックの「DaVinci Resolve」といった、プロの動画クリエイターが使うアプリにiPad版がまだない。アップルの「Final Cut Pro」もだ。Final Cut Proや音楽制作アプリ「Logic Pro」のiPad版が出るという噂はよく聞くが、Apple M1チップ搭載のiPad Proが登場したことで、プロ向けアプリのiPadへの対応が進むかもしれない。

12.9インチモデルだけに搭載された「Liquid Retina XDRディスプレイ」

第5世代のiPad Proはディスプレイも見どころだ。12.9インチモデル限定ではあるが、ミニLEDを採用したLiquid Retina XDR(Extreme Dynamic Range)ディスプレイを搭載している。ディスプレイの裏にミニLEDが1万個以上も敷き詰められており、映像の明るさに合わせてバックライトの明るさを最適に調整するというもの。これにより、明るい部分は明るく、暗い部分は暗く再現してくれる。テレビと同じように、バックライトを複数の領域に分割しているが、その領域は2500以上と細かい。これにより100万:1という高いコントラスト比を実現。有機ELディスプレイを搭載する「iPhone 12 Pro」のコントラスト比は200万:1で、さすがに有機ELディスプレイには劣るものの、メリハリのある超美麗なディスプレイだ。

実際に使ってみると、明るさがスゴイ。第4世代モデルの輝度は最大600nitだったが、Liquid Retina XDRディスプレイを搭載する最新の第5世代モデルは最大1000nit、HDR再生時のピーク輝度は1600nitと大幅にアップしている。暗い部屋で輝度を最大にして、HDR対応コンテンツを視聴するとまぶしく感じるほどだ。

100万:1の高コントラスを実現した12.9インチiPad ProのLiquid Retina XDRディスプレイ

100万:1の高コントラスを実現した12.9インチiPad ProのLiquid Retina XDRディスプレイ

最大輝度が1000nitと明るく、暗い場所では画面がまぶしく感じるほどだ。HDRの写真や動画の編集はもちろん、対応コンテンツを高画質で楽しめる

最大輝度が1000nitと明るく、暗い場所では画面がまぶしく感じるほどだ。HDRの写真や動画の編集はもちろん、対応コンテンツを高画質で楽しめる

そのほかにも「Apple Pencil」(第2世代)を使ったときに滑らかな書き心地と快適なゲームプレイを実現する「ProMotion」(リフレッシュレート120Hz)や、環境光によってホワイトバランスを自動調整する「True Tone」、デジタルシネマ規格の「P3」をカバーする広色域といった、第4世代のiPad Proに搭載されていたテクノロジーもしっかりと搭載されている。

Apple Pencil(第2世代)を使っての手書きも可能。アップルストア価格は15,950円(税込)

Apple Pencil(第2世代)を使っての手書きも可能。アップルストア価格は15,950円(税込)

ZoomやTeamsにも対応する「センターフレーム」を試す

第5世代のiPad Proには、コロナ禍で増えているビデオ通話やオンライン会議を快適にする「センターフレーム」という便利な機能が搭載されている。122°の超広角な「TrueDepthカメラ」と機械学習を使って、ビデオ通話に写っている人を画面の中央に自動で配置してくれるというもの。物理的にカメラが動くものではなく、画像処理で実現している。複数人がいる場合は、全員の顔が画面におさまるように調整してくる。

「FaceTime」を起動するとセンターフレームが体験できる。機械学習を利用して、人物を理解して、自動で画面の中央に人を配置してくれる。オンライン会議やビデオ電話で、動きながら話をする場合に便利な機能だ

「FaceTime」を起動するとセンターフレームが体験できる。機械学習を利用して、人物を理解して、自動で画面の中央に人を配置してくれる。オンライン会議やビデオ電話で、動きながら話をする場合に便利な機能だ

実際に「FaceTime」で試してみた。自分が左右に動くと、自分の顔が自動で中央にゆっくりと移動する。激しく動くとさすがについてくれなかったり、122°以上に大きく画面から外れると追いかけてくれなかったりする。便利だと感じたのが、複数人で会話をするとき。以前なら2人、3人が収まるように、iPadを動かしたり、自分たちが動いたりしていたが、センターフレームがあれば面倒な調整は必要なくなる。

センターフレームは、FaceTimeだけでなく、他社製のビデオ会議アプリにも対応している。センターフレームが必要ないという場合は、機能をオフにすることも可能だ。

センターフレームに対応する「Zoom」には、画面内に「センターフレームをオフにする」というボタンが表示されている

センターフレームに対応する「Zoom」には、画面内に「センターフレームをオフにする」というボタンが表示されている

「Teams」は設定の画面からセンターフレームのオン/オフができる。黒板やホワイトボードを使って、ビデオ会議などをする場合は、オフにするといいだろう

「Teams」は設定の画面からセンターフレームのオン/オフができる。黒板やホワイトボードを使って、ビデオ会議などをする場合は、オフにするといいだろう

FaceTimeも設定でセンターフレームのオン・オフが可能

FaceTimeも設定でセンターフレームのオン・オフが可能

12.9インチiPad Pro(第5世代)用の「Magic Keyboard」。写真のブラックに加えて、新色のホワイトが登場した。アップルストア価格は41,580円(税込)。価格は高いが、文字入力の頻度が高く、屋外で作業する機会の多いユーザーなら本体と合わせて購入したいところだ

12.9インチiPad Pro(第5世代)用の「Magic Keyboard」。写真のブラックに加えて、新色のホワイトが登場した。アップルストア価格は41,580円(税込)。価格は高いが、文字入力の頻度が高く、屋外で作業する機会の多いユーザーなら本体と合わせて購入したいところだ

まとめ

iPad ProにApple M1チップが搭載されたのは驚いたが、パワーを求めるプロの要望に応えるという意味ではApple M1チップの搭載は理にかなっている。Macだけでなく、iPadに搭載されれば、製造数が増えてコストを抑える効果が出てくるかもしれない。

先日の「WWDC21」では、Macのキーボードとマウスで、iPadをコントロールする「ユニバーサルコントロール」が披露された。詳細はまだ不明だが、MacとiPad Proがより密接に連携できれば、MacとiPad Proの両方を使っているユーザーにとってはうれしいはず。また、前述したFinal Cut ProやPremiere ProなどのアプリがiPadに対応すれば、Apple M1チップのパワーが存分に発揮されるはずだ。Apple M1チップと今秋提供される「iPadOS 15」により、iPad Proはまだまだ進化していきそうだ。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る