ゲーミングチェアに座ってPCゲームをする時間も集中力もない――。そんなPCゲーム好きの大人に注目してほしいのが、テックワンが8月下旬に発売する中国One-Netbook TechnologyのゲーミングUMPC(ウルトラモバイルPC)「ONEXPLAYER」だ。どんなモデルなのかレビューしていきたい。
ポータブルゲーム機のような見た目のONEXPLAYER。8.4型の大きなディスプレイとコントローラーを備える。価格はオープンで、直販価格は146,300円(税込)から
One-Netbook TechnologyはUMPCを手がける中国のメーカー。価格.comマガジンでもいくつかのモデルを取り上げているが、コンパクトなボディに高性能なCPUを搭載するなど、技術力の高さが光るメーカーだ。
そんなOne-Netbook TechnologyのONEXPLAYERは、「OneGx1」「OneGx1 Pro」に続く、3モデル目のゲーミングUMPC。OneGx1とOneGx1 Proは、ノートパソコンタイプのUMPCに別売の着脱式のコントローラーを組み合わせたもので、ゲームに熱中して手に力が入ると、コントローラーと本体の接続部分が少しガタついてしまうことがあった。それに対して、ONEXPLAYERはコントローラー一体型でガタつくことがなく、ゲームに集中できるのが特徴だ。
ONEXPLAYERはゲーム用のコントローラー付きのUMPC。コントローラーのレイアウトはXbox用のもの
コントローラーにもこだわっており、アナログスティックは本格的なゲームパッドにも使われているALPS社製。アナログ入力対応のトリガーは、押した強さによって細かい操作ができる。ボタンの配置は、Xbox用のコントローラーと同じだ。人間工学に基づいて開発したという丸みのあるボディもホールドしやすい。また、マットブラックの部分はサラサラとした手触りで、長時間ゲームをプレイしてもべたつかずに快適にゲームを楽しめる。
アナログ入力対応のトリガー
ホールドしやすく、操作時にコントローラーがガタつくこともない
ホールドしやすい、人間工学に基づいたフォルム。吸排気口が持ち手に干渉しないように配慮されているので、ゲームプレイ中に熱を感じることはない
ディスプレイは、UMPCとしてはやや大きな8.4型液晶。ポータブルゲーム機としては大大きく、6.2型の液晶ディスプレイを搭載する任天堂「Nintendo Switch」と比べると、その大きさがよくわかる。解像度は2560×1600(358ppi)で超高精細だ。発色もよく、ゲームを楽しむのには十分すぎる画質だ。リフレッシュレートは60Hzで、シューティングゲームやFPSを本格的に楽しみたいという人には物足りないかもしれない。
8.4型(2560×1600)のディスプレイ。パソコンとしては小さいが、ポータブルゲーム機として見ると、非常に大型で見やすい
上が8.4型のONEXPLAYER、下が6.2型のNintendo Switch
本体の重量は約820gと少々重め。膝の上や寝転がってお腹の上に置いて使うのが現実的かもしれない。裏面にはステンレスのスタンドが付いており、自立させることができる。長時間ゲームをプレイする場合は、スタンドで立たせながら遊ぶとよさそうだ。
強度が高いステンレス製のキックスタンド。最大65°まで倒せて、その間であれば好きなところで固定できる
外部インターフェイスは上部に配置されている。USB 4.0×2、USB 3.0、microSDメモリーカードスロット、3.5mmの音声入出力端子を備える
ACアダプターはUSB 4.0に接続するPD充電機(65W Gan v窒化ガリウム採用)
ONEXPLAYERのラインアップは、「アルティメットエディション」「プロエディション」「スタンダードエディション」の3モデル。主なスペックは以下の通り。
●アルティメットエディション:Core i7-1185G7(最大4.8GHz)、Iris Xe Graphics(96EU)、16GB、1TB SSD/2TB SSD、198,000円(1TBモデル)/239,800円(2TBモデル)
●プロエディション: Core i7-1165G7(最大4.7GHz)、Iris Xe Graphics(96EU)、16GB、1TB SSD、166,100円。
●スタンダードエディション:Core i5-1135G7(最大4.2GHz)、Iris Xe Graphics(80EU)、16GB、512GB SSD/1TB SSD、146,300円(512GBモデル)/151,800円(1TBモデル)
今回は中位機種のプロエディションを試用。CPUは開発コード名「Tiger Lake」でおなじみの第11世代Coreプロセッサー。4コア8スレッド、動作周波数は2.80GHz、最大4.70GHzというスペック。TDPは20Wだが、右下の「Turbo」ボタンを押すと28Wに引き上げられる。ゲームやベンチマークプログラムを実行すると自動でTurboに切り替わるときもあった。
ゲームで重要なグラフィックはCPU内蔵の「Iris Xeグラフィックス」(実行ユニット96)。CPU内蔵グラフィックとしては強力なもので、AAAタイトを含む幅広いゲームを楽しめる。ただ、高フレームレートが求められるようなタイトルだと、画質を低めに設定しなければならないものも出てくる。遊ぶタイトルと求める画質や品質によるとところがあるので、何でも最高画質で楽しめるとは言えないので、その点は注意したい。
各種ベンチマークは以下の通り。
パソコンの総合性能を測定する「PCMark 10 Professional Edition」(UL)の結果は、「5097」。ゲーミングUMPCをうたうモデルだけに、総合性能は高め
「3D Mark Professional Edition」の「Time Spy」の結果。TDPは280W時。CPU内蔵グラフィックとしては優秀なスコアだが、ヘビー級のPCゲームを最高画質で楽しむのにはパフォーマンス不足の部分もある
7月11日に公開された「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(スクウェア・エニックス)の結果。1920×1080高品質(デスクトップPC)のスコアは4892で、評価は「普通」
実際にいくつかのゲームをしてみた。Electronic Artsのアクションシューティング「STAR WARSバトルフロントII」は、画質などを設定せずにそのままプレイできた。ストーリーを楽しむタイトルは問題なし。マイクロソフトのオープンワールドレーシングゲーム「Forza Horizon 4」は、アナログトリガーでアクセルを微調整できて、ONEXPLAYERとの相性は抜群。グラフィックも美麗だ。宇宙を舞台にした人気「人狼」ゲーム、InnerSloth「Among Us」は、ソファーやベッドでリラックスして楽しめた。高いグラフィック性能を求めないカジュアルゲームではあるが、ONEXPLAYERでリラックスして楽しめるという点では、ONEXPLAYERに適したタイトルではないだろうか。
いっぽう、Epic Games「フォートナイト」とElectronic Arts「Apex Legends」という、高リフレッシュレートが求められるタイトルは、さすがに最高画質では遊べず、画質を低めに設定しなければならなかった。
フォートナイトやApex Legends、ヘビー級のFPSをONEXPLAYERで快適に楽しみたいなら、USB 4.0で接続できるeGPU Boxを使う手がある。同社のオンラインストアではAKiTiO「Node Titan」を4万円の特別価格で同時購入できる。実際にNVIDIAの「GeForce RTX 2080 SUPER」を搭載した、Node Titanを使ってみたが、フォートナイトやApex Legendsを最高画質で快適に楽しめた。
USB 4.0で接続できるeGPU BoxのNode Titan。テックワンのオンラインストアでは、ONEXPLAYERと同時購入で4万円 で入手できる
GeForce RTX 2080 SUPERを搭載したNode Titan を接続した場合のTime Spyの結果。「8115」とIris Xeグラフィックスの4.5倍のスコア
ONEXPLAYERはゲームに特化したUMPCで、PCゲームをいつでもどこでも楽しみたい人に向けたモデルだ。こだわりのコントローラーで好きなゲームをとことん楽しんでもらいたい。バッテリー駆動時間は公表されていないが、1時間、2時間ですぐバッテリー切れになることはなく、ゲームやベンチマークテストを実施しても、3時間、4時間は使えた。ソファーでゆっくり楽しんだり、寝る前に楽しむのにはちょうどいいのかもしれない。
もちろん、ゲーム専用機ではないので、パソコンとして仕事や勉強にも使える。その場合は、別売のマグネットキーボード(直販価格は税込9,680円、同時購入で税込4,840円)を一緒に購入するといいだろう。WASDキーがオレンジ色でかっこいいキーボードだが、英語配列かつかなり窮屈なキー配列なので、仕事や勉強でがっつりキー入力する場合は、好みのキーボードを使うといいだろう。
別売のマグネットキーボード。本体下部に専用コネクターがあり、接続設定は不要。折りたたんで、画面を保護することもできる
パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。