レビュー
有機ELディスプレイを新搭載。2021年版の「ちょうどいいスマホ」

薄くて軽い! さらに電池持ちも最高レベル。シャープ「AQUOS sense6」レビュー

シャープのスマートフォン「AQUOS」シリーズの最新スタンダードモデル「AQUOS sense6」が、2021年11月4日より順次発売開始された。「ちょうどいい」をコンセプトにした新モデルの実力と強化点に迫ろう。

薄く軽くなったボディは、高級感がアップ

シャープのスタンダードモデルの最新モデルとなる「AQUOS sense6」(以下、「sense6」)がこの11月に登場する。au版「SHG05」は11月4日より発売済みで、NTTドコモ版「SH-54B」は同11日から発売開始される。また未発表ではあるが、オープンマーケット向けのSIMフリーモデル「SH-M19」(仮称)が、シャープから登場する見込みだ。

「sense6」の製品のコンセプトは、歴代の「sense」シリーズと共通で「ちょうどいい性能」というもの。この点はしっかり押さえつつ、5G対応や有機ELディスプレイの採用といったアップデートが施されている。

外見のモチーフは、従来の「AQUOS sense」シリーズを受け継いだもの。ボディサイズは約70(幅)×152(高さ)×7.9(厚さ)mmで、重量は約156gとなっており、昨年発売の「AQUOS sense4」とシルエットを比べると、幅と厚さがそれぞれ1mm小さくなり、重量も約20g軽量化している。

手にした実機は、前世代の「AQUOS sense4」や「AQUOS sense5G」よりも、だいぶスリムな印象だ。背面の素材はアルミから変更はないものの、ボディの薄型・軽量化や、ボタンの押し心地の改善などにより、高級感が増した。手触りや外見を見る限り、上位モデルではあるが軽さの代償で樹脂感が強い「AQUOS zero6」をはるかに上回る高級感と言える。

アルミ製の背面。アンテナを埋め込んだモールがあちこちに走っているが、一体感が高く、高級感が漂う

アルミ製の背面。アンテナを埋め込んだモールがあちこちに走っているが、一体感が高く、高級感が漂う

側面には折り目が付けられている

側面には折り目が付けられている

右側面にまとめられたボタン。写真左から、電源(長押しで、電子決済アプリを起動する「Payトリガー」)、Googleアシスタント起動)、ボリューム調整という並び。※(2021年11月10日訂正、ボタンの機能配置が一部間違っておりました。以上訂正しお詫びいたします)

右側面にまとめられたボタン。写真左から、電源(長押しで、電子決済アプリを起動する「Payトリガー」)、Googleアシスタント起動)、ボリューム調整という並び。※(2021年11月10日訂正、ボタンの機能配置が一部間違っておりました。以上訂正しお詫びいたします)

デジタルスケールで計測した重量は、カタログ値と同じ156gだった。近ごろのスマートフォンとしては軽量な部類だ

デジタルスケールで計測した重量は、カタログ値と同じ156gだった。近ごろのスマートフォンとしては軽量な部類だ

機能性も豊富だ。ボディはIPX5/8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様に対応していることに加えて、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の17項目をクリアしたタフネスボディ。また、アルコールを含んだシートで拭いたり、浴室での利用も可能となっている。おサイフケータイで利用するFeliCaポートももちろん搭載。生体認証は指紋認証と顔認証の双方を搭載する。なお、指紋認証センサーは、ディスプレイ指紋認証に変更された。

指紋認証センサーが廃止され、ディスプレイ指紋認証に変更された。顔認証と合わせてアンロックなどに利用できる

指紋認証センサーが廃止され、ディスプレイ指紋認証に変更された。顔認証と合わせてアンロックなどに利用できる

サウンド面では、ヘッドホン端子を引き続き搭載。スピーカーはモノラルのままだが、スピーカーの容積が増えて音圧が増しており、シャワー中に音楽を聴くような場合でも、よりハッキリと音を聞き取れるようになった。

ボディ下面に、スピーカーホール、USB Type-Cポート、ヘッドホン端子を配置する

ボディ下面に、スピーカーホール、USB Type-Cポート、ヘッドホン端子を配置する

ディスプレイは、従来のIGZO液晶から、自社製の有機ELディスプレイ「IGZO OLED」に変更された。サイズも、約5.8インチから約6.1インチに拡大され、より縦長になったものの面積自体はさほど変わらない印象だ。なお、画面解像度は2,432×1,080のフルHD+表示に対応している。

このディスプレイは、倍速や1.5倍速といった高速駆動には対応していないが、「AQUOS sense4」シリーズに搭載されていた可変リフレッシュレート機能を備えており、表示される内容によって1〜60Hzの範囲で1Hz刻みで自動調整される。なお、タッチサンプリングレートは120Hz対応なので、操作感覚は良好。ゲームなど素速い操作が必要な用途でも快適に操作できる。

IGZO液晶から有機ELに変更されたことで、発色が濃くなり、コントラストも高くなった

IGZO液晶から有機ELに変更されたことで、発色が濃くなり、コントラストも高くなった

基本性能は「AQUOS sense5G」と変わりなし

続いて、基本スペックを見てみよう。搭載されるSoCは、「Snapdragon 690 5G」で、4GBのメモリーと64GBのストレージ、1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 11で、発売後2年間のバージョンアップを予定している。これらの基本性能は「AQUOS sense5G」と同じだ。

今年2月発売の「AQUOS sense5G」と同じSoCである点がやや気になるが、シャープによると、後継となる適当なSoCが登場していない点が大きいとのこと。4GBのメモリーと64GBのストレージは実用上最低レベルという感じだが、メモリーとストレージ容量がもう少し必要なら、オープンマーケットモデルで、6GBのメモリーと128GBのストレージを組み合わせたものが登場する予定なので、それを待つとよいだろう。

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って、実際の処理性能を計測したところ、総合スコアは310,839(内訳、CPU:107,301、GPU:58,275、MEM:63,484、UX:81,779)となった。同アプリを使った「AQUOS sense5G」のスコアは大体30万前後なので、やはり大きな違いはない。体感速度としても、2021年秋に発売されるミドルクラスのスマートフォンとしては標準的なもので、メールやSNSを使うといった用途なら不満なく使うことができる。ただし、やはり4GBというメモリーは実用上はギリギリの容量なので、アプリの起動が増えると、切り替えでもたつく場面はあった。

AnTuTuベンチマークの結果。処理性能を表わすサブスコア「CPU」は10万以上だが、ゲームなどで重要なグラフィック性能を表わす「GPU」は約5.6万となっており、最新のSoCを搭載するモデルでは10万以上のものが出てきていることと比較すると、今ひとつといったところ

AnTuTuベンチマークの結果。処理性能を表わすサブスコア「CPU」は10万以上だが、ゲームなどで重要なグラフィック性能を表わす「GPU」は約5.6万となっており、最新のSoCを搭載するモデルでは10万以上のものが出てきていることと比較すると、今ひとつといったところ

通信性能は、NTTドコモ版、au版ともに、5GはSub 6のみの対応で、それぞれの5G用周波数帯に最適化されている。なお、4Gの対応周波数帯は、NTTドコモ版au版いずれもが、NTTドコモのB19やKDDIのB18といったプラチナバンドに対応している。また、eSIM対応は、au版とオープンマーケットモデルのみで、NTTドコモ版は対応していない。

高感度撮影機能が向上したカメラ。改善されたものの、キビキビ感はイマイチ

メインカメラは、約4,800万画素の標準カメラ(35mm換算の焦点距離26mm。以下同)、約800万画素の広角カメラ(15mm)、約800万画素の望遠カメラ(53mm)という組み合わせのトリプルカメラだ。上位モデルである「AQUOS zero6」とよく似ているが、本機はToFセンサーを省略しているので、オートフォーカスの性能に違いがある。

シャープは、ドイツの光学メーカー、Leica(ライカ)と協業しており、Leica監修のカメラを備えた「AQUOS R6」を発売している。本機のカメラはLeicaの監修を直接受けてはいないが、「AQUOS R6」にも採用される画像処理エンジン「ProPix3」を搭載している点に注目だ。シャープによると、「ProPix3」の搭載によって、白飛びや黒つぶれといった階調の破綻がより細部まで徹底的に抑えられた点と、画像処理のやり過ぎを抑えて自然に見えるようになった点が大きな改良だという。

広角、標準、望遠という組み合わせのトリプルカメラを搭載する

広角、標準、望遠という組み合わせのトリプルカメラを搭載する

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも、初期設定のままカメラ任せのAIオートモードで撮影を行っている。

標準カメラで撮影

日中の公園を撮影。スマートフォンのカメラでは、青空や雲などの色を極端に鮮明に調整するものも珍しくないが、本機では自然に感じられる仕上がりとなっている

日中の公園を撮影。スマートフォンのカメラでは、青空や雲などの色を極端に鮮明に調整するものも珍しくないが、本機では自然に感じられる仕上がりとなっている

広角カメラで撮影

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。広角のため青空や風景がより広く構図に収まっている。全般的なトーンは良好だが、この明るさでも周辺部分では画質の荒れやノイズが現れ始めている

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。広角のため青空や風景がより広く構図に収まっている。全般的なトーンは良好だが、この明るさでも周辺部分では画質の荒れやノイズが現れ始めている

望遠カメラで撮影

同じ風景をさらに望遠カメラに切り替えて撮影。紅葉した街路樹が拡大されているが、葉の解像感はほどほどだ

同じ風景をさらに望遠カメラに切り替えて撮影。紅葉した街路樹が拡大されているが、葉の解像感はほどほどだ

標準カメラで撮影

赤いバラを撮影。低価格モデルでは階調の再現が難しい場合が多いが、映像エンジン「ProPix3」の効果で、繊細な赤の表現が保たれている

赤いバラを撮影。低価格モデルでは階調の再現が難しい場合が多いが、映像エンジン「ProPix3」の効果で、繊細な赤の表現が保たれている

標準カメラで撮影

銀座四丁目交差点の日没直前の夜景。明るめの夜景だが、空や街の雰囲気はよく再現されている

銀座四丁目交差点の日没直前の夜景。明るめの夜景だが、空や街の雰囲気はよく再現されている

広角カメラで撮影

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。周辺部分の画質のざらつきはやや目立つものの、これくらいの明るさなら十分鮮やかに写せる

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。周辺部分の画質のざらつきはやや目立つものの、これくらいの明るさなら十分鮮やかに写せる

望遠カメラで撮影

上と同じ風景を望遠カメラに切り替えて撮影。解像感もしっかりあり、色調の変化も少ない

上と同じ風景を望遠カメラに切り替えて撮影。解像感もしっかりあり、色調の変化も少ない

標準カメラで撮影

深夜の美術館を撮影。かなり暗いシーンのため、自動で長時間露光のナイトモードに切り替わった。ToFセンサーを搭載していないため、ピント合わせに時間がかかったが、かろうじてピントが合った。写真自体も暗めだ

深夜の美術館を撮影。かなり暗いシーンのため、自動で長時間露光のナイトモードに切り替わった。ToFセンサーを搭載していないため、ピント合わせに時間がかかったが、かろうじてピントが合った。写真自体も暗めだ

従来のAQUOS sensesシリーズのカメラは、メインとなる標準カメラの画質は比較的良好なものの、広角カメラや望遠カメラでは、きれいに撮れる条件が、ある程度光量が十分な場合などに限られていた。しかし、本機のカメラでは、その条件が改善されているようだ。また、青空や紅葉などの、スマートフォンのカメラでは鮮やかに写りすぎることが多いような被写体でも、本機のカメラでは肉眼の印象に近い自然な仕上がりとなっているのは好感が持てる。なお、SNSで目立つような鮮やかな写真にしたいなら、プリインストールされるフォトレタッチアプリ「Adobe Photoshop Express」で、自在に編集できる。

気になった点だが、シャッターをタッチしてから撮影が始まるまで少しタイムラグがあり、キビキビとした操作性とは言えない。少し長めに保持しないと手ブレが起こりやすい。また、画質には直接関係はないものの、カメラの切り替えボタンが小さめなうえに、各ボタンの距離が近いため、切り替えがとっさにできない場合があった点も、操作性を損なっている。

「AQUOS sense5G」とほぼ同じ、現状最高レベルの電池持ち

電池持ちのよさは、AQUOS senseシリーズの重要な魅力のひとつだ。本機は、「AQUOS sense5G」と同じ、4,570mAhのバッテリーを内蔵している。電池持ちに関するカタログスペックを見ると、連続通話時間は「AQUOS sense5G(au版)」の約2,890分から約3,010分にわずかながら伸びている。なお、連続待受時間については約920時間のまま変わっていない。シャープによると、有機ELディスプレイやボディの軽量化を行っても、従来機種と変わらないバッテリー持ちを目指したという。なお、充電については引き続き18WのUSB PD対応とすることで、最短150分のフル充電が可能となっている。

今回の検証では、前半5日間は待ち受け主体で1日1時間程度の利用ペース、後半2日は撮影やゲーム、ベンチマークテストなど、1日4時間程度のペースでそれぞれ使用したが、前半5日が終了した時点でも、まだ数%ほどのバッテリーは残っていた。また、後半の、ある程度使い込んだ状況でも、バッテリー消費はゆるやかで、フル充電で3日以上は余裕で持ちそうだ。AQUOS senseシリーズはスマートフォンをある程度使った場合でもバッテリーの消費がゆるやかという美点があるが、本機もその傾向を受け継いでいる。スマートフォンに電池持ちを期待するのであれば、「sense6」は引き続き最有力候補と言えるだろう。

日本市場で求められる性能をオールラウンドに搭載した1台。キャリア間での価格差に注意

以上、「AQUOS sense6」のレビューをお届けした。本機が属するミドルレンジのスマートフォン市場は、かなりの激戦区だ。ざっとあげるだけでも、ライバルとしては、ソニー「Xperia 10 III」、オッポ「OPPO Reno5 A」、シャオミ「Mi 11 Lite 5G」「Redmi Note 10 JE」などがあがる。これらと本機を比較すると、価格に対する処理性能など、いわゆるコスパ面で見ると不利な面は否めない。しかし、タフネスボディや、良好な電池持ちといった美点は、大きなアドバンテージ。日本市場に長く関わるシャープだからこそ実現できた、日本市場でより多く求められる性能をしっかり身につけている。

むしろ気になるのは、性能面よりもその価格設定だろう。au版「SHG05」の端末価格は、40,470円なのに対して、NTTドコモ版「SH-54B」は57,024円となっており、両社の販売価格には16,554円もの差がある。なお、両機の5Gの対応周波数帯は自社の対応バンドに最適化されており、上記の通りeSIM対応の有無という違いがある。また、近々登場する予定のオープンマーケットモデルは、過去の例から見てさらに対応周波数帯が増えそうだ。従来使ってきた通信キャリア版を選ぶか、オープンマーケットモデルの詳細が明らかになるまで保留するか、少々悩ましいところではある。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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