レビュー
シャオミ国内初投入の高コスパハイエンドモデル

シャオミのスマホ・コスパ番長「Xiaomi 11T Pro」と、弟分「Xiaomi11T」レビュー

シャオミは、5G対応のAndroidスマートフォン「Xiaomi 11T Pro」と「Xiaomi 11T」を、2021年11月5日に発売した。「Xiaomi 11T Pro」は69,800円〜、「Xiaomi 11T」は54,800円(いずれも税込)というシャオミらしい攻めた価格設定に注目が集まる。 両機の違いに注目したレビューをお届けしよう。

待望のハイエンドスマートフォンが2機種登場。その違いは?

2019年末にスマートフォンの日本市場に参入したシャオミは、価格性能比にすぐれた製品を数々投入し、注目を集めている。auやソフトバンクでもシャオミの製品がラインアップされており、日本市場参入からわずか2年で、かなり定着してきたと言えるだろう。しかし、これまでに投入されてきたラインアップは中〜低価格帯のみで、日本市場向けのハイエンドモデルは、今回取り上げる「Xiaomi 11T Pro」と「Xiaomi 11T」が初の製品となる。ハイエンド向けと言え、シャオミらしい思い切った価格設定で、「Xiaomi 11T Pro」は69,800円(8GB/128Gモデル)、「Xiaomi 11T」は54,800円(初期キャンペーン時の直販価格で49,800円)と格安。現在のハイエンドスマホの相場のざっと半額だ。

まずは両機の概要を簡単に解説しよう。外見はほぼ共通で、ボディサイズは、両機種とも、約76.9(幅)×164.1(高さ)×8.8(厚さ)mm。重量は約204g(「Xiaomi 11T」は203g)だ。このボディは、IPX3の防水仕様と、IP5Xの防塵仕様をクリアしている。なお、IPX3とは、垂直から60°の範囲で水滴が10分間かかるという条件に耐えられるというもので、風雨などにも耐えられる生活防水レベルだ。

フルHD+表示に対応する約6.67インチの平面有機ELパネルを採用。120Hzのリフレッシュレートと、480Hzのタッチサンプリングレートに対応し、HDR10 +もサポートする。 サウンド機能では、ステレオスピーカーを搭載するが、ヘッドホン端子は非搭載。なお、製品パッケージにも、ヘッドホン端子の変換アダプターは同梱されない。このほか、サウンドエンハンサーの「Dolby Atoms」に対応している。

カメラ部分が大きくデザインされた背面のデザイン。高級感も価格以上のものだ

カメラ部分が大きくデザインされた背面のデザイン。高級感も価格以上のものだ

「Xiaomi 11T Pro」にSIMカードを1枚挿した状態で計測した重量は、カタログ値より4g重い208gだった

「Xiaomi 11T Pro」にSIMカードを1枚挿した状態で計測した重量は、カタログ値より4g重い208gだった

小型のパンチホールを備えた有機ELディスプレイ。6.67インチというサイズは、Androidスマートフォンとしてはかなりの大画面だ

小型のパンチホールを備えた有機ELディスプレイ。6.67インチというサイズは、Androidスマートフォンとしてはかなりの大画面だ

ボディ右側面に、電源ボタン一体の指紋認証センサーを搭載する。指紋認証は速度も精度も良好だった

ボディ右側面に、電源ボタン一体の指紋認証センサーを搭載する。指紋認証は速度も精度も良好だった

ボディ下面にUSB Type-CポートとSIMのトレーを配置。ヘッドホン端子は搭載されない

ボディ下面にUSB Type-CポートとSIMのトレーを配置。ヘッドホン端子は搭載されない

ハイエンドモデルでは今や常識の120Hz駆動に対応。なお、ちらつきを防ぐDC調光との併用はできない

ハイエンドモデルでは今や常識の120Hz駆動に対応。なお、ちらつきを防ぐDC調光との併用はできない

「Xiaomi 11T Pro」と「Xiaomi 11T」では、搭載されるSoCが異なる。「Xiaomi 11T Pro」は、クアルコム社の「Snapdragon 888」だが、「Xiaomi 11T」は、メディアテック社の「MediaTek Dimensity 1200-Ultra」が使われる。メモリーはいずれも8GBだが、ストレージについては、「Xiaomi 11T」が128GBのみの設定なのに対し、「Xiaomi 11T Pro」は128GBのほか、後日発売の256GBの2種類が選べる。microSDメモリーカードスロットは両機種とも非搭載。OSは、いずれもAndroid 11をベースにしたMIUI12.5となる。なお、「Xiaomi 11T」には、3GBのストレージをメモリーとして使える「メモリ増設」機能が備わる。

このほかにも、両機種は細かな違いがある。以下に、両機種の機能上の違いをまとめた。

「Xiaomi 11T Pro」にあって「Xiaomi 11T」にはないもの
・FeliCaポートを搭載
・カメラが8KおよびHDR10+の動画撮影に対応。レンズの汚れと傾きの通知機能を搭載
・ディスプレイがP3ワイドカラーとDolby Visionに対応。AI画像エンジンを搭載(動画の超解像や画像補正を行う)
・「Harman Kardon」監修のスピーカーの搭載
・サウンドアシスタント機能に「スピーカー音の許可」と「ワイヤレスマイク」項目を追加
・スピーカークリーニング機能を搭載
・120Wの急速充電に対応(「Xiaomi 11T」は67W)

「Xiaomi 11T Pro」のほうが、日本市場で重要となるFeliCaポートを搭載するほか、カメラ、ディスプレイ、サウンドなど諸機能がより強化されている。ディスプレイは、基本的な画質に変わりはないが、HDR対応コンテンツを再生した場合「Xiaomi 11T Pro」のほうが階調はなめらかで、陰影の情報量も増える。「Harman Kardon」監修のスピーカーも搭載しているので、サウンドの迫力も1枚上だ。

「Xiaomi 11T Pro」はFeliCaポートを搭載。「モバイルSuica」や「モバイルPASMO」の併用にも対応している

「Xiaomi 11T Pro」はFeliCaポートを搭載。「モバイルSuica」や「モバイルPASMO」の併用にも対応している

両機種の処理性能には、どれくらいの違いがあるのだろうか。定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って、処理速度を計測したところ、「Xiaomi 11T Pro」の総合スコアは570,830(内訳、CPU:110,338、GPU:283,215、MEM:86,979、UX:90,298)で、「Xiaomi 11T」は、605,055(内訳、CPU:160,490、GPU:219,720、MEM:98,153、UX:126,691)と、なぜか「Xiaomi 11T Pro」のほうが低めという結果となった。特にCPUスコアが低めに出ているが、同アプリによるSnapdragon 888搭載機の総合スコアは70万以上が一般的なので、「Xiaomi 11T Pro」はSnapdragon 888搭載機としてはふるわないスコアと言える。さまざまな媒体で公表されている本機のAnTuTuベンチマークの結果も、これと大差がない。今回の計測は初期設定の「バランスモード」で行ったが、このモードでは、処理性能とグラフィック性能に制限がかけられている。フル性能を発揮する場合「パフォーマンスモード」に切り替える必要がある。「パフォーマンスモード」は、消費電力が増加し、オーバーヒートの問題が発生する可能性があるため、ユーザーの長期的なメリットを考慮して「バランスモード」が初期設定となっている。(2021年11月18日:初期設定で課せられている処理性能とグラフィック性能に関する制約について追記)

AnTuTuベンチマークの結果。左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」のもの。CPU性能では「Xiaomi 11T」が、グラフィック性能は「Xiaomi 11T Pro」が高めに出ているが、CPU性能の結果にはやや疑問が残る

AnTuTuベンチマークの結果。左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」のもの。CPU性能では「Xiaomi 11T」が、グラフィック性能は「Xiaomi 11T Pro」が高めに出ている。いずれも「バランスモード」で計測したものだ

アプリの起動時間など体感速度は、両機の間にはっきりとした違いは見られず、ほぼ互角という印象を受けた。ただし、グラフィック性能がものを言うゲームでは「Xiaomi 11T Pro」のほうに余力が感じられる。ゲームアプリはSnapdragonを優先して最適化を行うことも多いので、「Xiaomi 11T Pro」のほうがそうした用途では適していそうだ。

両機のカメラは画質に違いがある。オーディオズームや自動エフェクトなどユニークな動画撮影機能を搭載

カメラ機能は両機とも同じで、メインカメラは、1億800万画素の広角カメラ、約800万画素の超広角カメラ、約500万画素のテレマクロカメラという組み合わせのトリプルカメラとなる。フロントカメラは約1,600万画素だ。1億越えの広角カメラはかなりの高画素だが、フォトダイオードを縦3個、横3個の9個をひとつにまとめてピクセルピッチ2.1μmとして、高感度性能と高画素化を両立させている。なお、いずれも、レーザーオートフォーカスや光学式手ブレ補正機構など、ハイエンドモデルでは一般的な機能が搭載されていない。

また、動画撮影機能を注力しており、撮影した動画に手軽に映画のようなエフェクトをかける「ワンクリック AI シネマ」機能を備える。また、オーディオズーム機能を備えており、サウンドでもユニークな表現を付けることができる。

メインカメラは両機種で共通。「Xiaomi 11T Pro」は動画撮影で8KやHDR+に対応する

メインカメラは両機種で共通。「Xiaomi 11T Pro」は動画撮影で8KやHDR+に対応する

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画と動画(メーカー提供)の作例を掲載する。いずれも初期設定のままカメラ任せで撮影を行っている。

広角カメラで撮影(左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」)

逆光の風景を撮影。「Xiaomi 11T Pro」のほうにはフレアが見られるが、「Xiaomi 11T」はフレアを抑える処理が強めで、全般的にアンダーな仕上がりとなった

逆光の風景を撮影。「Xiaomi 11T Pro」のほうにはフレアが見られるが、「Xiaomi 11T」はフレアを抑える処理が強めで、全般的にアンダーな仕上がりとなった

広角カメラで撮影(左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」)

超広角カメラに切り替えて撮影。太陽が直接構図に収まるため、露出や階調の違いがわかりやすい。「Xiaomi 11T Pro」は、ハイライトの階調を可能な限り維持しようとしているのに対し、「Xiaomi 11T」は、構図下部の明るさを優先しているようで、ハイライトの飽和部分がより広がっている

超広角カメラに切り替えて撮影。太陽が直接構図に収まるため、露出や階調の違いがわかりやすい。「Xiaomi 11T Pro」は、ハイライトの階調を可能な限り維持しようとしているのに対し、「Xiaomi 11T」は、構図下部の明るさを優先しているようで、ハイライトの飽和部分がより広がっている

広角カメラで撮影(左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」)

赤いバラを撮影。「Xiaomi 11T Pro」は花びらの階調が少なくのっぺりとした印象。「Xiaomi 11T」はディテールがよく残っているが、発色は肉眼の印象よりも誇張されている。どちらも傾向は異なるが、色の表現にクセがある。日の丸構図だが、オートフォーカスは少々迷いがあった

赤いバラを撮影。「Xiaomi 11T Pro」は花びらの階調が少なくのっぺりとした印象。「Xiaomi 11T」はディテールがよく残っているが、発色は肉眼の印象よりも誇張されている。どちらも傾向は異なるが、色の表現にクセがある。日の丸構図だが、オートフォーカスは少々迷いがあった

テレマクロカメラで撮影(左が「Xiaomi 11T Pro」、右が「Xiaomi 11T」)

「Xiaomi 11T Pro」は一見鮮やかだが、階調やディテールが乏しく、こちらものっぺりとした印象。「Xiaomi 11T」のほうが肉眼に近い印象

「Xiaomi 11T Pro」は一見鮮やかだが、階調やディテールが乏しく、こちらものっぺりとした印象。「Xiaomi 11T」のほうが肉眼に近い印象

広角カメラで撮影(Xiaomi 11T Pro」)

夜景を撮影。10ショットほど撮影したが数枚に手ブレが見られた。ただし仕上がりは良好で、ハイライトから暗所までなかなかキレイだ。

夜景を撮影。10ショットほど撮影したが数枚に手ブレが見られた。ただし仕上がりは良好で、ハイライトから暗所までなかなかキレイだ。

広角カメラで撮影(「Xiaomi 11T」)

上と同じ風景を撮影。比較するとややアンダー気味だが、ハイライト部分はこちらのほうが飽和は目立たない。なお、いずれも解像感やノイズ処理では大きな違いはない。歩留まりも同じようなものだった

上と同じ風景を撮影。比較するとややアンダー気味だが、ハイライト部分はこちらのほうが飽和は目立たない。なお、いずれも解像感やノイズ処理では大きな違いはない。歩留まりも同じようなものだった

「ワンクリックAIシネマ」のサン動画動画

「オーディオズーム」のサンプル動画

両機種とも、ハイエンド機としてみると、フレアの現われやすさといった逆光耐性、今回で言えばバラの発色がやや不自然など、少々詰めの甘さを感じる部分がある ただし、高感度撮影機能はなかなか良好で、この点はかなり力点を置いているようだ。両機種の間にはレスポンスや仕上がりで印象が異なる部分が少なくない。シャッタータイムラグが比較的短く、オートフォーカスも比較的速いのは「Xiaomi 11T Pro」で、やや緩慢なのが「Xiaomi 11T」のほうだ。また、「Xiaomi 11T」はシャッター音がかなり大きい。動画撮影機能は両機とも共通だが、オーディオズーム機能はなかなかユニーク。動画撮影時の表現力を増してくれるだろう。

両機のカメラの画質が異なる原因として、SoCの違いが考えられる。SoCは、構図認識やオートフォーカス、画像処理といったカメラ性能に大きな影響を与える「ISP(Image Signal Processor)」を備えている。両機のSoCはメーカーからして異なるので、画像処理やレスポンスに違いがあるのは当然だろう。シャオミも、両機のカメラ性能を近づけるようにしているが、同じではないとしている。

バッテリー持ちはあまりよくないが、強力な急速充電が魅力

両機種とも5,000mAhのバッテリーを内蔵している。ただし、ハイエンドモデルということもあり、バッテリーの消費ペースは速い。いずれも、1日に3時間程度使用するペースなら2日持てばよいほうだ。その欠点を補うように、強力な急速充電機能を備えており、「Xiaomi 11T Pro」は同梱の120W充電器を使えば約17分で、「Xiaomi 11T」も67Wの急速充電に対応しており、約36分でそれぞれフル充電が行える。

「Xiaomi 11T Pro」の急速充電は、驚くほど速い。数分で10%単位の充電ができるので、この充電器が使えるのならバッテリーの残量は気にならない。「Xiaomi 11T」はさすがにそこまで高速ではないが、それでも十分すぎるほど速い。なお、ワイヤレス充電には両機種とも非対応だ。

両機種とも充電器は専用品で、大きくずっしりと重い。また、充電中に充電器はかなり熱を持つ。また、幾重にも安全装置が備わっているとは言うが、扱うエネルギーが大きいだけに、慎重な取り扱いが必要だろう。なお、充電速度は速くないものの通常のUSB Type-C充電器も利用できる。

「Xiaomi 11T Pro」に同梱される120WのACアダプター。これに同梱の専用ケーブルを組み合わせて使用する

「Xiaomi 11T Pro」に同梱される120WのACアダプター。これに同梱の専用ケーブルを組み合わせて使用する

国内4キャリアの5Gと4Gに対応

通信機能は両機種とも共通しており、nanoSIMカードスロットを2基備えたDSDV対応だ。4キャリアのVoLTEにも対応している。

5Gの対応周波数帯は、n1/3/5/7/8/20/28/38/40/41/66/77/78とかなり多い。高速のデータ通信が可能なSub 6帯はn77とn78に対応しているが、NTTドコモがn78と併用しているn79には非対応。ミリ波(n257)にも対応していない。そのいっぽうで、KDDIやソフトバンクが実施している4Gからの転用周波数帯、n3やn28に対応している。5Gに限れば、NTTドコモ系よりも、KDDIやソフトバンク系のSIMカードのほうが相性はよさそうだ。

4Gの対応周波数帯は、B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/26/28/32/38/40/41/42/66で、こちらもかなり多い。これらの周波数帯の中には、NTTドコモのB19、KDDI系のB18、ソフトバンクのB8、楽天モバイルのB3といったコアバンドやプラチナバンドが含まれている。4Gを念頭にするならSIMカードについては、どこのものを使っても問題なさそうだ。

基本性能やディスプレイ性能、充電機能などは十分にハイレベル。カメラ機能がやや平凡なのが惜しまれる

ハイエンドモデルのスマートフォンは、機能面でそつがないのが一般的だ。しかし、「Xiaomi 11T Pro」も「Xiaomi 11T」も、ハイエンド機のわりにカメラ性能がさほど高くない点、ヘッドホン端子非搭載、防水性能もそこそこなど、やや物足りない部分も見受けられる。

そのいっぽうで、ハイエンドSoCの採用、不満のないメモリーとストレージ容量の確保、120Hz駆動や480Hzリフレッシュレートに対応する高性能ディスプレイ、急速充電性能など、注力すべき点はかなりのハイレベル。特に、コスト面で犠牲になりやすいメモリー容量をきちんと確保している点は評価できる点だ。

正直、機能のすべてがハイレベルというわけではない。しかし、アプリやゲーム、映像コンテンツなどを快適に楽しみたいのであれば、本機で十分満足できるはずだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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