レビュー
普通のスマートウォッチではできないことができる

姿勢や集中具合がわかる。スマートグラス「JINS MEME」レビュー

体に装着して使用するウェアラブルデバイスと言えば、スマートウォッチやフィットネスバンドなど、腕に着ける腕時計型デバイスが主流です。しかし、近年は、いくつかのメーカーから、スマートグラスと呼ばれるメガネ型のウェアラブルデバイスが発売されています。

スマートグラスの多くは、コンピュータ機器関連やスマートフォン、IoT製品などを手がけるメーカーから販売されているのですが、2021年10月に発売された「JINS MEME(ジンズミーム)」は、日本のメガネブランドである「JINS」が手がけるスマートグラスです。ひと昔前は高価だったメガネをリーズナブルな価格で提供し、一躍誰もが知るほどのメガネブランドへと成長したJINSですが、同社が手がけるスマートグラスとは、一体どのような製品なのか。気になったので実際に試してみました。

JINSのスマートグラス「JINS MEME」をレビュー

JINSのスマートグラス「JINS MEME」をレビュー

買いやすくなった「JINS MEME」

スマートグラスは、これまでに業務用、一般用に限らず、さまざまな製品が開発、発売されており、それぞれでできることが異なります。かつてはGoogleが、デジタル情報をディスプレイ上に表示できるスマートグラス「Google Glass」を開発していましたが、一般向けには発売されず、現在は業務用としてのみ物流会社などに導入されています。

このほかでは、メガネのツルの部分にスピーカーを搭載し、音楽を聴けるなど、音声で情報を提供するスマートグラスが発売されています。ファーウェイの「HUAWEI Eyewear」シリーズや、Facebook(現Meta)とレイバンが共同で開発した「Ray-Ban Stories」などが、このタイプのスマートグラスです。ちなみに、「Ray-Ban Stories」はカメラを搭載しており、写真や動画の撮影も可能になっています。

いっぽう、今回レビューする「JINS MEME」は、上述の製品とはまったく違う方向性で作られています。言うならば健康管理型のスマートグラスで、目の周囲に装着するという特性を生かし、健康管理型ウェアラブルデバイスとして現在主流のスマートウォッチとは違うアプローチで、ユーザーに健康管理に役立つ情報を提供してくれるのです。決して、グラス上に何らかの映像が表示されたり、音声で何かを知らせたりしてくれるというものではなく、むしろ、身に着けるセンサーデバイスの一種と言えます。

JINSがスマートグラスを手がけるのは初めてのことではなく、「JINS MEME」が発売される5年前の2015年に初代「JINS MEME」を発売しています。しかし、4万円越えという価格やデザイン性の少なさから、話題にはなったものの多くのユーザーに浸透したとは言いがたい面がありました。筆者も初代モデルを使用したことがありますが、テンプル部にバッテリーが搭載されていたため、メガネよりもごつい"何か"を身に着けている感じがありましたし、価格を考慮すると「面白いけど手が出しにくい」というのが正直なところでした。

しかし、新しい「JINS MEME」は、直販価格が19,800円(税込。レンズ込み)と、一般的なメガネよりも多少高いレベルまで下がり、デザインもメガネタイプが4種類、各2色、サングラスタイプが2種類、各2色が用意されています。初代と比べてだいぶ買いやすくなった印象です。

新型は、見た目は普通のメガネと同様のサイズとデザインに進化。今回レビューしたのはメガネタイプですが、スポーティーなサングラスタイプもラインアップされています

新型は、見た目は普通のメガネと同様のサイズとデザインに進化。今回レビューしたのはメガネタイプですが、スポーティーなサングラスタイプもラインアップされています

ちょうど鼻の上、眉間のあたりに「CORE」と呼ばれる各種センサーとバッテリーが集約した装置が取り付けてあります

ちょうど鼻の上、眉間のあたりに「CORE」と呼ばれる各種センサーとバッテリーが集約した装置が取り付けてあります

「CORE」の部分は多少出っ張っているものの、かけ心地はとても自然。重量はモデルやレンズによって異なりますが、約20〜30gとのこと。一般的なメガネと比べると、少し存在感のある重さですが、着け心地は良好でした

「CORE」の部分は多少出っ張っているものの、かけ心地はとても自然。重量はモデルやレンズによって異なりますが、約20〜30gとのこと。一般的なメガネと比べると、少し存在感のある重さですが、着け心地は良好でした

充電は、同梱されている専用のクリップ式充電器で行います

充電は、同梱されている専用のクリップ式充電器で行います

デザインや着け心地は、普通のメガネと比べても大きく変わらず、初代よりも使いやすくなった印象です。ただし、やっぱり気になるのは、「JINS MEME」で一体何ができるの? という点でしょう。これについて、次項から解説します。

スマートグラス「JINS MEME」でできることとは?

「JINS MEME」には、回転方向や角度を感知する3軸の加速度センサーと、3軸のジャイロセンサー(合計6軸!)、さらにJINSが特許を取得した3点式眼電位センサーが搭載されています。この3点式眼電位センサーが、まばたきの強さや速度、間隔、視線移動の速さなどを測定。この情報を分析して、「BODY(カラダ)」「BRAIN(集中)」「MIND(ココロ)」という体のコンディションを測定できます。

3つのコンディションについては、専用のスマホアプリ「JINS MEME App」で確認できます。「BODY」はデスクワーク中の姿勢、「BRAIN」は集中具合、「MIND」は心の状態のことで、これに関して可視化してくれるという製品になっています。

専用スマホアプリ「JINS MEME App」と連動することで、主にデスクワーク中の姿勢や集中具合、心の状態などを可視化できます

専用スマホアプリ「JINS MEME App」と連動することで、主にデスクワーク中の姿勢や集中具合、心の状態などを可視化できます

本体をひっくり返すと、アプリとの接続(同期)が切れる仕組みです

本体をひっくり返すと、アプリとの接続(同期)が切れる仕組みです

「JINS MEME App」で確認できる各種データですが、まずは「BODY」から解説しましょう。これは、主にデスクワーク中など、イスに座っているときの左右の体の傾きや、猫背になっていないかなど姿勢のよしあしが確認できるものになります。評価は4段階で、リアルタイムで表示されるのが特徴です。

姿勢を4段階でリアルタイム評価してくれるため、現在の姿勢の状態を把握可能。また、いい姿勢の時間の割合や、時間帯別の姿勢スコアも確認できます

姿勢を4段階でリアルタイム評価してくれるため、現在の姿勢の状態を把握可能。また、いい姿勢の時間の割合や、時間帯別の姿勢スコアも確認できます

上記の動画を観ていただくとわかりますが、本機に搭載されている6軸センサーの感度、精度は非常に良好です。体のわずかな傾きもリアルタイムに、その状態が表示されます。

デスクワーク中に姿勢を確認しながら作業が行えます

デスクワーク中に姿勢を確認しながら作業が行えます

上記画像のような感じで、キーボードのすぐ前にスマホを置いて作業をしてみました。どうも体のクセが少しあるらしく、筆者の場合は左に傾きがちだということがわかりました。普段は気にもとめていなかったことなので、これはなかなかありがたい情報ですね。このように、姿勢に気を付けながら生活を送ると、だんだん体のクセや、姿勢の悪さが改善されていくのでしょう。

また、「BODY」では歩行時の運動量(歩行数、歩行時間など)や姿勢も測定してくれます。インストラクター監修のストレッチやヨガの動画も用意されていて、アプリから視聴可能です。動画は20秒〜3分と短いので、仕事の休憩時などにサクッと視聴できます。

次の「BRAIN」は、作業への集中具合を計測し、リアルタイムで0〜100ポイントのスコアをつけて表示する機能です。丸1日使用すれば、どの時間帯にどれくらいの時間集中していたかもわかります。人間は、集中するとまばたきの回数が少なくなったり、一点を凝視することが多くなることから、COREに搭載した3点式眼電位センサーまばたきの強さや速度、間隔、視線移動の速さ測定して、スコアに反映しているとのことです。

作業中の集中具合をスコア化してくれる「BRAIN」。時間帯別の集中度や集中時間も確認できます

作業中の集中具合をスコア化してくれる「BRAIN」。時間帯別の集中度や集中時間も確認できます

原稿の執筆時など、特に意識していなくてもグーッと集中していくと数値は確かに高まり、反対にちょっと視線をそらす、メールの通知などに気を取られると数値がすぐに下がってしまいます。「集中」という、評価が難しいものに点数がつけられたことで、点数を上げるために「集中」したくなるという、不思議な体験をしました。なかなか面白い機能だと思います。

3つ目は「MIND」、心の状態を可視化する機能です。「集中」よりも評価が難しい項目だと思いますが、前述の眼電位センサーから得た情報をもとに、「没入度」「安定度」「バイタリティ」の3項目が測定できます。

「没入度」「安定度」「バイタリティ」の3項目を円で表してくれます。○が大きいほどスコアも高いです

「没入度」「安定度」「バイタリティ」の3項目を円で表してくれます。○が大きいほどスコアも高いです

「没入度」は現状の作業にどれだけ熱中しているか、「安定度」は気持ちの乱れ、平静を保っているか、「バイタリティ」は、やる気の高さや気持ちの持続力を判定が判定され、それぞれ円の大きさで表示されます。

心が良好な状態になれば、3つの円が安定し重なって表示されるようですが、「BODY」や「BRAIN」とは違い、これを整えるのはなかなか難しいです。そのようなときは、心身状態を整えるための瞑想動画をアプリから視聴することで、改善することが可能だとか。取り組んだ結果は3段階で評価されます。こちらもストレッチやヨガの動画と同様に1〜3分と短いため、手軽に試せますね。

ランニング時の運動データも計測

「JINS MEME」は、基本的にデスクワークでの使用がメインになりますが、スポーツシーンでも使用できる機能が搭載されています。これが「RUN」です。6軸のセンサーを利用することで一般的なスポーツウォッチでは計測できないデータが収集可能。これはランナーにとってうれしい機能ではないでしょうか。

ちなみに自分が使用したメガネタイプは、スポーツ用ではありませんでしたが、フィット感が良好で、ランニング中にもズレたりすることはありませんでした。

スマートグラスながら、スマートウォッチのように運動のトラッキングデバイスとしても使える

スマートグラスながら、スマートウォッチのように運動のトラッキングデバイスとしても使える

「RUN」で走行中の姿勢をトラッキング。スマートウォッチのようにペースや走行距離も計測されますが、そちらはスマートフォンを利用

「RUN」で走行中の姿勢をトラッキング。スマートウォッチのようにペースや走行距離も計測されますが、そちらはスマートフォンを利用

スマートフォンで計測されるペースや走行距離などとは別に、「JINS MEME」では上半身の前後左右の傾きだけではなく、上下動も計測されます。興味深いのは左右別々の着地衝撃も計測できる点です。こういったデータは、片腕に着けて使用するスポーツウォッチではなかなか難しいのではないでしょうか。眼鏡をかけてランニングフォームを改善する、というのは新しいアプローチかもしれませんね。

まとめ

「JINS MEME」は、音楽再生用のスマートグラスなどとは異なるアプローチで、かつ、スマートウォッチでは計測できない独自の機能を備えます。普段メガネを着用している人で、デスクワーク中の姿勢や集中具合などを知りたい、改善したいという人はチェックしてはいかがでしょうか。

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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