2020年11月に登場したソニーの最新家庭用ゲーム機「PlayStation 5」(以下、PS5)。未だ入手困難な状態が続いている中、PS5を発売初期に入手できた僕はラッキーな一人とも言えるのですが……実は最近深刻な悩みを抱えています。
僕が購入以来ゲームプレイなどで活用しているPS5
PS5の内蔵SSDストレージ容量が、もう限界なんです……。発売時には1TBあったPS5の内蔵ストレージですが(正確にはユーザーが使える容量は667GB)、PS StoreでPS5/PS4ゲームをダウンロードして遊んでいたら、どんどんSSDの容量を圧迫。2021年末にPS StoreのセールでPS5/PS4ゲームを4タイトルほど大人買いしたら、ついにSSD容量の残りが9.26GBに。
PS5標準の内蔵SSD容量の残り9.26GBという危機的状況
PS5/PS4のゲームは1本あたり20〜60GB程度の容量があるので、新規ゲームの購入もできないし、空き容量の不足でソフトウェアアップデートに失敗。仕方なく、一度クリアしたゲームはすぐに内蔵SSDから削除したりと、ギリギリの状態でしのいでいます。
そんなPS5ユーザーの僕が、熱烈に興味を持っていたのが、2021年9月のPS5システム・ソフトウェアアップデート対応で利用可能になった、M.2 SSDによるSSDストレージ増設。
そんな中、コルセアが2月2日にNVMe対応M.2 SSDの「MP600 PRO LPX」シリーズ4製品を発表しました。正式名称は「MP600 PRO LPX 500GB PCIe Gen4 x4 NVMe M.2 SSD - PS5 Compatible」です。
ひとまず略称の「CORSAIR MP600 PRO LPX」と呼ぶとして、発表されたのは500GB(12,380円)、1TB(21,800円)、2TB(39,800円)、4TB(104,800円)の4モデル。このうち1TB、2TBは2月2日に発売済み。500GB、4TBは2月下旬発売予定です。
コルセアが2月2日に発売した「MP600 PRO LPX」シリーズ。容量違いで4モデルラインアップされています
まさに、僕が切実に欲しかったPS5増設用M.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」。先行して発売された2機種のうち容量2TBモデルの「CSSD-F2000GBMP600PLP」を最速で入手して、僕の私物のPS5への取り付けに挑戦してみます。
2月2日に発売したばかりの2TBモデルの「CSSD-F2000GBMP600PLP」(39,800円)。今回はこちらをPS5に取り付けます
「CORSAIR MP600 PRO LPX」のスペックは、シーケンシャルリードが最大7,100MB/s、シーケンシャルライトは最大6,800MB/s(2TBと4TBのみ、1TBは最大5,800MB/s、500GBは最大3,700MB/s)と性能はPS5向けにも十分。テクニカルスペックもチェックすると、コントローラーはPhison「PS5018-E18」、NANDはMicronの176層3D TLC(B47R)、DRAMキャッシュは500GB/1TBモデルが1024MB、2TB/4TBが2048MBとあります。
「CSSD-F2000GBMP600PLP」の中身
正式名称にも入っている通り、「CORSAIR MP600 PRO LPX」はPS5への増設を想定されて設計されており、出荷時から薄型アルミニウム製のヒートシンクが取り付け済み。PS5の増設用M.2 SSDの条件を満たしています。(詳細はコチラ)。僕は以前からPS5増設用M.2 SSDを狙っていて、別売りヒートシンクなどもチェックしていたのですが、専用ヒートシンクが最初から取り付け済みというのは安心ですね。
「CORSAIR MP600 PRO LPX」は出荷時から専用ヒートシンクが装着済み
背面もヒートシンクでカバーされています
さて、ここからは「CORSAIR MP600 PRO LPX」の2TBモデルを実際に僕のPS5に増設していきます。
PS5への取り付け手順については、公式のサポートサイト、そしてPlayStationJapanが公開している「PlayStationRにM.2 SSDを装着する方法」という動画が参考になります。僕もこの動画を見ながら取り付けているので、流れを紹介していきます。
PS5と取り付ける「CORSAIR MP600 PRO LPX」を用意。iPadで動画を流して手順を確認しつつ進めます
最初の難関がPS5のカバー外し。右手でカバーを上に持ち上げて左にスライド
PS5の内部。写真上にあるカバーがM.2 SSDの拡張スロットです
拡張スロットのカバーを外します
スロットが見えたら、左側のネジとスペーサーを取り外します
外したスペーサーを「80」と書かれた場所にセット
右側のスロットに「CORSAIR MP600 PRO LPX」を斜めから差し込みます
SSDを差し込み、浮き上がらないように指で押さえた状態でスペーサーとネジを固定します
これで「CORSAIR MP600 PRO LPX」の取り付け完了。拡張カバースロットを戻します
PS5の本体カバーも元に戻せば増設は完了です
CORSAIR「MP600 PRO LPX」を実際にPS5に増設にかかる時間は、10分程度でしょうか。僕は取り付けより撮影に時間がかかりましたが……。最も難易度の高いポイントは最初のPS5のカバーを外すステップで、それ以外はまったく迷うところはありません。
「CORSAIR MP600 PRO LPX」取り付け後、PS5の電源を入れると、取り付けたM.2 SSDのフォーマット画面が表示されますので実行します。ちなみに、このフォーマットの実行と同時に読み込み速度測定が行われます。2TBモデルの「CSSD-F2000GBMP600PLP」の結果は5576.124MB/sでした。
装着後の最初の起動時に「CORSAIR MP600 PRO LPX」のフォーマットを実行
読み込み速度の測定結果は5576.124MB/sでした
「CORSAIR MP600 PRO LPX」のPS5への取り付けとセットアップの流れは、これで完了です。PS5のストレージ画面にM.2 SSDストレージの画面が表示されて、空き容量2.00TBを確認。これであと何本のゲームをダウンロードできるのかとテンション上がりまくりです。
増設したM.2 SSDストレージ「CORSAIR MP600 PRO LPX」の画面。空き容量はしっかり2.00TBとなっています
PS5の本体ストレージやM.2 SSDのゲームとアプリは、設定画面上から自由に相互で移動が可能です。さて、少し気になるのは本体内蔵ストレージと増設したM.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」で起動速度などに差が出ないかというところ。2021年12月に公開された『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』(映画『マトリックス』シリーズを題材にした、Unreal Engine 5のデモソフト)で起動時間などを測ってみました。ゲーム扱いのソフトで、このタイトル全体の容量は25.31GBです。
PS5のストレージ画面で、本体ストレージとM.2 SSDの間で移動が可能
まず、PS5の内蔵SSDから『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』を起動。操作可能なメニューが現れるまでの時間が31.08秒。次に、PS5の内蔵SSDからM.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」に移動。移動時間に約24秒でした。そして、M.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」から『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』を起動すると30.51秒。数値上は「CORSAIR MP600 PRO LPX」のほうがわずかに速いのですが、ほとんど同じくらいですね。
PS Store無料で公開されている『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』で検証
起動時間でもっと差が出るゲームはないかと目を付けたゲームがPS5ゲームの『Call of Duty: Black Ops Cold War』。この1本で224.0GBもあるユーザー泣かせのタイトルです。これもPS5の内蔵SSDとM.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」で比較すると、PS5の内蔵SSDは起動時間約15.38秒に対して、M.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」は14.76秒。こちらも、数値上は「CORSAIR MP600 PRO LPX」のほうがわずかに速いのですが、0.62秒差では誤差レベルかなと。
『Call of Duty: Black Ops Cold War』を本体とM.2 SSDで移動しつつ検証
ただ検証の準備などでストレージの操作をしていると、あることに気が付きました。本体ストレージ上の『Call of Duty: Black Ops Cold War』は全体の容量225.1GBあるのですが、移動の際には162.9GB扱い。ただし、移動後にM.2 SSD上で見ると225.1GBになっていたりと、容量の扱いに何か裏がありそうです。また、PS5の内蔵ストレージとM.2 SSDの「CORSAIR MP600 PRO LPX」では、移動速度がまったく違います。『Call of Duty: Black Ops Cold War』をPS5内蔵ストレージ→「CORSAIR MP600 PRO LPX」の移動時間は2分54秒、「CORSAIR MP600 PRO LPX」→PS5内蔵ストレージの移動時間は16分16秒。容量の違いだけでは済まない時間の差です。いずれにせよ、大容量のゲームはM.2 SSDに置くようにしておいたほうがよさそうです。
今回の検証を受けて、僕はすべてのゲームをM.2 SSDに移動しました
新規のソフトもM.2 SSDを優先してインストールするように設定しています
「CORSAIR MP600 PRO LPX」を増設したおかげで2TBもSSD容量が増えて、PS5の内蔵ストレージ容量不足のお悩みも解決。これで引き続き、快適なPS5ライフを送れそうです。
ところで「CORSAIR MP600 PRO LPX」の増設と検証を終えた直後、ふとPS Storeを除いてみたら旧正月セールの真っ最中でした。僕が前作をクリアしたばかりの、龍が如くスタジオの最新作『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』もセール対象に……。
僕が「CORSAIR MP600 PRO LPX」の増設をした日はPS Storeがセール真っ最中
もう、無意識のうちにポチっと購入してしまいました
「欲しい!!」と思った瞬間に、新しいゲームも買えちゃう。やっぱり、PS5のストレージには余裕が必要ですね。
PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。