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DDR5メモリーって実際どうなの? DDR4メモリーと各種ベンチマークでいろいろ比べてみた

DDR5メモリーって実際どうなの? DDR4メモリーと各種ベンチマークでいろいろ比べてみた

2022年後半は、久々に自作PCが盛り上がりそうだ。インテルは、第12世代のデスクトップ向けCPU“Alder Lake”の改良版となる“Raptor Lake”を今年後半に投入、ライバルAMDも、Zen 4コアを採用したデスクトップ向け最新CPU「Ryzen 7000」シリーズを投入することを明らかにしている。ほかにも、NVIDIAからも次世代GPUの投入がうわさされており、まさに自作PCを行うのに絶好のタイミングと言えるだろう。

そんな新製品の登場タイミングには、さまざまな新技術が投入されることが間々ある。なかでも、昨年投入されたインテル第12世代デスクトップ向けCPU“Alder Lake”から始まったDDR5メモリーは要注目。ライバルAMDが今後投入する予定の「Ryzen 7000」シリーズでDDR5メモリーの対応を発表するなど、今後もますます目が離せない技術のひとつと言えるだろう。

DDR5メモリーを簡単に説明すると、DDR4メモリー規格の後継となる最新のメモリー規格のことだ。既存のDDR4メモリーに比べ、動作クロックや転送効率が大きく引き上げられているのが大きな特徴(帯域の向上と引き換えにレイテンシーはやや悪化している)。また、ユーザーに直結する扱いやすさという点では、「Intel XMP」のバージョン3.0に新たに対応し、ユーザーが作成したプロファイルを格納できるようになったところも大きなポイントと言えるだろう。

■DDR5の進化ポイント
・メモリークロックが向上
・データの転送効率が向上し、帯域幅が拡張
・オンダイECCを実装し、信頼性が向上
・Intel XMP 3.0に対応。メーカープロファイル含めて最大3つまで格納可能
・メモリ電圧が1.1Vスタートに

いっぽうで、こういったさまざまな進化を実現するため、DDR5メモリー規格ではハードウェアレベルで変更となった部分も多く、DDR4メモリーと同じ288ピンだが、物理的な互換性は一切なくなってしまった。その結果、AMDに先駆けてDDR5メモリーへの対応を発表したインテルは、DDR4メモリーとDDR5メモリーの両方をサポートしたが、DDR4メモリーとDDR5メモリーの間で物理的な互換性がなくなってしまったため、マザーボードはDDR4メモリー用とDDR5メモリー用に完全に分かれた形になってしまっている。

写真上がDDR5メモリー、下がDDR4メモリー。配線は288ピンと同じだが、切り欠きの位置が変更されており、互換性はない

写真上がDDR5メモリー、下がDDR4メモリー。配線は288ピンと同じだが、切り欠きの位置が変更されており、互換性はない

各社のマザーボードラインアップを見ていくと、全般的にハイエンドマザーボードはDDR5メモリーを、コスパ重視のミドルクラスはDDR4メモリーをサポートしているということが多いのだが、実際にDDR5メモリーとDDR4メモリーで実際にどれくらいパフォーマンスの違いがあるのかというのは、多くのユーザーが気になるところだろう。そこで、今回はDDR5メモリーのCorsair「CMT64GX5M2B5200C40」と、筆者の所有するDDR4メモリーのCrucial「CT2K16G4DFD832A」を用意。各種ベンチマークで、DDR5メモリーの実力を探ってみた。

なお、今回の検証環境については以下のとおりだ。マザーボードについては、まったく同じ構成のものが手に入らないため、同一のチップセットを搭載、グレードが近いASUS「ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI」とASUS「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」を用意した。メモリーはDDR5メモリーとDDR4メモリーの間で容量に違いがあるが、マシン構築時に必要なアプリケーション以外のバックグラウンドアプリをすべてOFFにし、メモリー使用量を均一にすることで公平性を担保している。メモリークロックは、DDR5メモリーをXMIに設定されている5200に、DDR4メモリーを定格の3200に設定。CPUのAIオーバークロック機能についてはすべて切った状態としている。メモリーとマザーボード以外の構成はすべて同一のものだ。

Corsair「CMT64GX5M2B5200C40」。同社のオーバークロックハイエンドメモリー「DOMINATOR PLATINUM RGB」に属する製品だ。32GB×2のパッケージで、DDR5-5200設定時のCASレイテンシーは40- 0-40-40-77

Corsair「CMT64GX5M2B5200C40」。同社のオーバークロックハイエンドメモリー「DOMINATOR PLATINUM RGB」に属する製品だ。32GB×2のパッケージで、DDR5-5200設定時のCASレイテンシーは40- 0-40-40-77

大型のヒートシンクを搭載。天面には「CAPELLIX RGB LED」を搭載する

大型のヒートシンクを搭載。天面には「CAPELLIX RGB LED」を搭載する

同社独自のソフトウェア「iCUE」を使うことで、イルミネーションをコントロール可能

同社独自のソフトウェア「iCUE」を使うことで、イルミネーションをコントロール可能

DDR5メモリーのテストで用いたマザーボードは、ASUS「ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI」

DDR5メモリーのテストで用いたマザーボードは、ASUS「ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI」

DDR5メモリーを装着したところ

DDR5メモリーを装着したところ

DDR5メモリーはXMPのメーカープロファイルから呼び出し、オーバークロックのDDR5-5200の設定で使用

DDR5メモリーはXMPのメーカープロファイルから呼び出し、オーバークロックのDDR5-5200の設定で使用

DDR5メモリーを搭載した環境でCPU-Zを実行したところ

DDR5メモリーを搭載した環境でCPU-Zを実行したところ

DDR4メモリーに組み合わせたマザーボードは、ASUS「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」

DDR4メモリーに組み合わせたマザーボードは、ASUS「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」

DDR4メモリーを搭載した環境でCPU-Zを実行したところ

DDR4メモリーを搭載した環境でCPU-Zを実行したところ

ベンチマークレポート

まずは、DDR5メモリーとDDR4メモリーの間でどれくらいパフォーマンスに違いがあるのか、代表的なベンチマークアプリ「AIDA64」でチェックしてみた。

グラフ01:AIDA64

グラフ01:AIDA64

メモリーの読み込み・書き込みともにDDR5メモリーのほうがDDR4メモリー比べて1.6倍近く高速になっている。レイテンシーが遅めなのは想定どおりだ。とはいえ、レイテンシーが遅くても、メモリークロックと帯域幅の拡張でスペックをしっかりと担保しているあたりはさすが最新規格といったところか。確かに、DDR5メモリーはしっかりとポテンシャルがあるようだ。

しかし、このポテンシャルが実際のアプリケーションでは、どれくらい影響があるのか。続いて、実アプリを用いたテストを実施してみた。今回使用したのは、プラットフォーム全体のパフォーマンスを測るFuturemarkの統合ベンチマーク「PCMark 10」と、3Dパフォーマンスを測るFuturemarkのベンチマーク「3DMark」、マルチメディア系のベンチマークとして、CPUのレンダリング性能を測るMAXON「CINEBENCH R23」と、同じくレンダリング性能を測る「Blender Benchmark」。さらに、圧縮・解凍ツール「7-Zip」のベンチマーク、ペガシス「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使った動画エンコードの処理時間、市川ソフトラボラトリー「SILKYPIX Developer Studio 11」を使ったRAW現像時間も計測してみた。なお、ここからは外付けのGPUを接続した環境とCPU内蔵GPUでどのような違いがあるかについてもチェックを行っている。(「3DMark」のみ、外付けGPUは「TIME SPY」「FIRE STRIKE」、CPU内蔵GPUは「Night Raid」を選択)。

グラフ2:PCMark 10

グラフ2:PCMark 10

グラフ3:3DMark TIME SPY EXTREME

グラフ3:3DMark TIME SPY EXTREME

グラフ4:3DMark TIME SPY

グラフ4:3DMark TIME SPY

グラフ5:3DMark FIRE STRIKE ULTRA

グラフ5:3DMark FIRE STRIKE ULTRA

グラフ6:3DMark FIRE STRIKE EXTREME

グラフ6:3DMark FIRE STRIKE EXTREME

グラフ7:3DMark FIRE STRIKE

グラフ7:3DMark FIRE STRIKE

グラフ8:3DMark Night Raid(CPU内蔵GPU環境)

グラフ8:3DMark Night Raid(CPU内蔵GPU環境)

グラフ9:CINEBENCH R23

グラフ9:CINEBENCH R23

グラフ10:Blender Benchmark(v3.1.0)

グラフ10:Blender Benchmark(v3.1.0)

グラフ11:7-Zip

グラフ11:7-Zip

グラフ12:TMPGEnc Video Mastering Works 7

グラフ12:TMPGEnc Video Mastering Works 7

【TMPGEnc Video Mastering Works 7 動画エンコード計測方法】
4.36MBフルHD動画をMP4に変換した時間をストップウォッチで計測。

グラフ13:SILKYPIX Developer Studio Pro 11

グラフ13:SILKYPIX Developer Studio Pro 11

【SILKYPIX Developer Studio Pro 11 RAW現像速度計測方法】
ファイル数100、合計約1.94GBのRAWファイルをJPEG変換(SILKYPIX標準設定)した時間をストップウォッチで計測。

圧縮・解凍ツール「7-Zip」を除く全般的な傾向としては、DDR5メモリーのほうがDDR4メモリーのパフォーマンスを多少上回ってはいる。ただ、外付けのGPUを接続した環境だと、劇的な差というのはないというのが正直なところ。いっぽうで、非常に面白い結果が出たのが、CPU内蔵GPUの環境。メモリー負荷が高くなるCPU内蔵GPUだと、外付けのGPUを接続した環境に比べパフォーマンスアップへの寄与が大きいことが確認できた。圧縮・解凍ツール「7-Zip」については、暗号化によるメモリーへのアクセスが多くなるようで、帯域幅の大きいDDR5メモリーほうが、DDR4メモリーに比べてパフォーマンスが大きく伸びていた。

最後は、ゲーミング環境下でのパフォーマンスをチェックしてみた。チョイスしたタイトルは、「Borderlands3」「FarCry 6」「Red Dead Redemption 2」「F1 2021」「Fortnite」「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」。「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」のみ、CPU内蔵GPUでのテストも実施している。

グラフ14:Borderlands3 平均フレームレート

グラフ14:Borderlands3 平均フレームレート

【Borderlands3 計測設定】
Borderlands3のベンチマークモードを使用。グラフィックAPIを「DirectX 12」、全体的な品質を「バッドアス」、ディスプレイ・モードを「フル・スクリーン」、垂直同期を「オフ」に変更。そのほかの設定は変更せず、プリセットに従う。1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度でベンチマークを実施。計測値の平均フレームレートは最新のベンチーマーク・レポート出力の平均FPSの値を採用。

グラフ15:FarCry 6 平均フレームレート

グラフ15:FarCry 6 平均フレームレート

【FarCry 6 計測設定】
FarCry6のベンチマークモードを使用。画質を「最高」に、リフレッシュレートを「60」に、ウィンドウモードを「フルスクリーン」に設定。1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度でベンチマークを実施し、計測値はベンチマーク結果の値を採用している。

グラフ16:Red Dead Redemption 2  平均フレームレート

グラフ16:Red Dead Redemption 2 平均フレームレート

【Red Dead Redemption 2計測設定】
Red Dead Redemption 2のベンチマークモードを使用。グラフィックスの精密度プリセットレベルをMAX設定の「20」に、リフレッシュレートを「60」に、スクリーンタイプを「フルスクリーン」に、垂直同期を「オフ」に設定。1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度でベンチマークを実施し、計測値はベンチマーク結果の値を採用している。

グラフ17:F1 2021 平均フレームレート

グラフ17:F1 2021 平均フレームレート

【F1 2021計測設定】
F1 2021のベンチマークモードを使用。アドバンス設定(グラフィック)の詳細プリセットを「超高」に、リフレッシュレートを「60」に、ビデオモードの表示モードを「フルスクリーン」に、Vsyncを「オフ」に、フレームレート制限を「オフ」に設定。1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度でベンチマークを実施し、計測値はベンチマーク結果の値を採用している。

グラフ18:Fortnite 平均フレームレート

グラフ18:Fortnite 平均フレームレート

【Fortnite計測方法】
Fortniteを使用。レンダリングモードを「DirectX 12(ベータ)」、クオリティプリセットを「最高」、ウィンドウモードを「フルスクリーン」、最大フレームレートを「無制限」に変更。そのほかの設定は変更せず、プリセットに従う。1,600×900ドット、1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドットの3種類の解像度で計測を実施している。なお、Fortniteにはベンチマークモードが用意されていないため、計測にはCapFrameXを使用し、リプレイデータの特定シーン1分間を再生した時のフレームレートを計測。平均フレームレートは、CapFrameXのAverageの値を採用している。

グラフ19:ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 平均フレームレート(外付けGPU環境)

グラフ19:ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 平均フレームレート(外付けGPU環境)

【ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(外付けGPU環境)計測設定】
公式ベンチマークプログラムを使用。グラフィック設定プリセットを「最高品質」、スクリーンモードを「フルスクリーンモード」に変更。そのほかの設定は変更せず、プリセットに従う。1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類の解像度でベンチマークを実施し、計測値はベンチマークのレポート出力の値を採用している。

グラフ20:ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 平均フレームレート(CPU内蔵GPU環境)

グラフ20:ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 平均フレームレート(CPU内蔵GPU環境)

【ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(CPU内蔵GPU環境)計測設定】
公式ベンチマークプログラムを使用。グラフィック設定プリセットを「標準品質(デスクトップPC)」、スクリーンモードを「フルスクリーンモード」に変更。そのほかの設定は変更せず、プリセットに従う。1,280×720ドット、1,920×1,080ドットの2種類の解像度でベンチマークを実施し、計測値はベンチマークのレポート出力の値を採用している。

今回は各タイトルのベンチマークモードや実プレイを使って平均フレームレートを計測したが、こちらもマルチメディア系のテスト同様、DDR5メモリーのほうがわずかに高いパフォーマンスを示し、外付けのGPUを接続した環境よりもCPU内蔵GPUのほうが伸びしろが大きいという結果となった。フレームレートにシビアな「Fortnite」でも、差は立った2%弱ということで、体感で差を感じるのはやや難しいところか。今回は実プレイを想定した検証だったので、もしかしたらゲームプレイと同時に配信などを行えば多少違いが感じられるかもしれないが、ゲームプレイだけに限るとDDR5メモリーとDDR4の差はごくわずかだ。

ここまでの結果を踏まえると、圧縮・解凍作業はDDR5メモリーの圧勝、それ以外のマルチメディア系処理やゲーミングについては、パフォーマンスは多少アップするが、外付けGPU環境よりもCPU内蔵GPU環境のほうがよりパフォーマンスアップのメリットを体感しやすいということだろう。

まとめ

というわけで、ここまでいろいろと検証を行ってきたが、確かにDDR5メモリーを活用することでパフォーマンスが上がっており、特に圧縮・解凍などの暗号化処理においてはDDR5の帯域の広さが効果的に働いているようで、大きく高速化されていることがわかった。また、うれしい誤算だったのが、CPU内蔵GPU環境での伸びしろだ。正直、DDR5メモリー登場当初は価格もかなり高く、費用対効果を考えるとDDR4メモリーでいいんじゃないかと思っていたが、CPU内蔵GPU環境でのパフォーマンスアップを見ると、RDNA 2グラフィックスを搭載する予定の「Ryzen 7000」シリーズでも対応マザーボードのラインアップ次第では、うまくパフォーマンスアップに寄与してくれそうではある。

最近の急激な円安傾向もあり、円安進行前から在庫のあるDDR4メモリーに比べると、DDR5メモリーの価格はまだまだ割高ではあるし、現時点で体感できるほどの劇的なパフォーマンスアップを感じられるシーンというのもかなり限られてはいるが、今後のインテルやAMDの新CPUプラットフォームでDDR5メモリー対応を押し進めていくことは確実だ。新しい技術でまだまだ発展途上ということで製品の進化も目覚ましく、今回使用したDDR5-5200をさらに上回るDDR5-6200なんて製品も登場してきている。利用シーンにもよるが、コスト面がクリアできるという人であれば、将来を見据えて今から自作PCにDDR5メモリーを先取りするというのはアリかもしれない。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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