スマートウォッチとして充実の機能を搭載しながら、睡眠中にじゃまにならない快適な装着感というバンド型ならではの特徴を備えるシャオミの最新スマートウォッチ「Xiaomi Smart Band 7」。希望小売価格6,990円(税込)というスマートウォッチとしては格安なのも特徴です。この「Xiaomi Smart Band 7」の実力や使い心地を徹底レビューで解説します。また、同時期に発売された、こちらもエントリーモデルの「HUAWEI Band 7」との違いについても触れつつ紹介していきます。
「Xiaomi Smart Band 7」をレビュー
従来機「Miスマートバンド6」のテストを行ったときには、その装着感のよさに加えて、搭載されている機能の多さに驚きましたが、最新モデルの「Xiaomi Smart Band 7」には、基本的な健康管理、運動トラッキングなどの機能のほかに、以下の機能が新しく追加されています。
・有酸素運動・無酸素運動のトレーニング効果の分析
・Vo2Max(最大酸素摂取量)の測定
これらを見てもわかるように、スポーツシーンや健康管理を行う場面で、より高度な情報を入手できるようになりました。これらの部分については後ほど詳しく紹介します。
健康管理や、運動トラッキング向けの新機能が追加
さて、従来機と同様に際立っているのが、装着感のよさです。モニターサイズは1.56インチから1.62インチと大きくなり、従来機が苦手としていた視認性が改善されています。画面サイズが大きくなったにも関わらず、厚さはほぼ変わらず。重量は1g弱ほど重くなっていますが、その違いはさすが気にならないレベルでした。画面の最大輝度は450nitから500nitに向上し、晴天下の屋外での視認性も改善されています。
もちろんのことながら、「Xiaomi Smart Band 7」はスマートウォッチに求められる基本的な機能が十分に備わっています。着信やメールなどの通知機能、歩数系や消費カロリー計測から、リアルタイム心拍数計測、血中酸素濃度計測といった健康関連の機能、スポーツのトラッキングなどを行うフィットネス機能、睡眠トラッキング、天気の確認など、1万円を切るスマートウォッチができることとしては非常に優秀です。筆者が使用していて気に入ったのは、天気予報の機能です。地点を最大5か所まで登録できるほか、週間天気も表示できるなど、フィットネス関連以外では最も使用していた機能でした。
ただ、気を付けたいのはGPSを搭載していない点と、本体による決済機能に対応していない点です。位置情報の取得などは、連携しているスマートフォンのGPSを利用します。ランニングを計測する際はスマートフォンを一緒に持ち歩く必要があることなどは、購入前に知っておくべきでしょう。また、決済機能に対応していないので、コンビニや電車利用時の決済に使うことはできません。
バッテリー駆動時間は最大約14日間となっています。このクラスのスマートウォッチではもはや一般的となった14日駆動は当然クリア。心拍数のリアルタイム計測など、各種の計測機能をオンにしておくと、当然、駆動時間はグッと減りますが、それでも丸一日使用して6%くらいの減少量です。あまり充電の心配はしなくていいモデルですね。
充電が面倒な人にはありがたい長時間バッテリー
本体ボディは、ボタンなどが配置されていないシンプルなデザインです。無駄なものがなく全体的にスッキリしています。操作は、すべてタッチパネルで行います。タッチ操作の反応は上々で、動作に関してストレスはありません。「スポーツモード」起動時には、画面にかかる水滴で誤作動しないように、自動で画面ロックがかかるなどの配慮がされています。
気に入った機能として、このデバイスを装着すると自動的に計測される数値「PAI」を紹介しましょう。これは、歩く、走るなど、日常のさまざまな動きによってポイントが加算されていく健康評価システムです。7日間でトータルのポイントを「100」以上に維持し続けられれば生活習慣病のリスクが軽減できるとされています。仕事中にちょっと立つ、歩くなどでも少しずつポイントが加算されていくので、ゲーム感覚で積極的に身体を動かそうという気持ちになります。つけっぱなしでも自動で計測してくれるため、習慣にも組み込みやすいのもポイント。毎日の健康のちょっとしたケアに使えるという感じです。
毎日計測される「PAI」。健康管理に指標を立てて、良好な状態を維持するのに使える
シリーズ最新モデルの「Xiaomi Smart Band 7」の特徴のひとつ、フィットネス機能を解説しましょう。各種運動のデータを計測する「スポーツモード」は、110種類以上のスポーツに対応。その中から「屋外ランニング」を試してみました。「屋外ランニング」など特定のスポーツは、そのスポーツに特化したデータの取得が可能になっています。
先ほども解説したように、本モデルにはGPSが搭載されていないため、このスマートウォッチだけでは走ったペースや速度、移動距離などを計測できません。「Xiaomi Smart Band 7」本体と連携されたスマートフォンを一緒に携帯する必要があります。筆者の場合、ランニング中にもスマホは携帯しているので特に問題はありません。GPSに関しては、携帯するスマートフォンによるところがありますが、今回試用した限りでは、ペースや移動距離などの精度についても問題はないという印象でした。
約1時間のランニングの計測データ。位置情報の追跡などは、スマートフォンがないと行えません
これは「屋外ランニング」時の心拍数のデータ。さまざまなスマートウォッチで計測してきたコースをいつもと同じペースで走りましたが、ほかのスマートウォッチで計測したデータと大差ありませんでした。ランニング時の心拍数をベースにした「運動強度」を振り返る機能も搭載されています
ランニング後には「トレーニング効果」も表示されます。今回のモデルに新しく搭載された機能のひとつですが、以前は同社のハイエンドモデルに搭載されていた機能。行ったランニングによる効果を、有酸素や無酸素といった運動別にわけ、それぞれがどれくらい前回から改善されたかを計測してくれるモードです。
継続して運動を行い、パフォーマンスを向上させたい人には便利な「トレーニング効果」。これが7,000円を切るモデルに搭載されているのは、格安モデルの高機能化を感じずにはいられません
運動と同時に大切なのが休養(睡眠)です。「Xiaomi Smart Band 7」この睡眠の部分においても正確なデータが計測できます。全体の睡眠時間のほか、レム睡眠、深い/浅い睡眠などの時間も計測。長期間にわたりデータを追うことによって、睡眠の質の向上に役立てることができるでしょう。これも睡眠時に着けていても違和感のない装着感のよさがあってこそだと思います。
睡眠のデータは、本体のほか連携させたスマートフォンの専用アプリから確認できる。自分の睡眠状態を知り、改善するには十分なデータが取得できます
「Xiaomi Smart Band 7」と同じ時期に発売されたスマートウォッチにファーウェイ「HUAWEI Band 7」があります。希望小売価格が8,580円(税込)と、1万円を切っていることもあり、「Xiaomi Smart Band 7」と購入を迷う人も多いのではないでしょうか。両モデルとも触ったことのある筆者が、その違いを解説します。
●価格:8,580円(税込)
●大きさ:44.35(幅)×26(奥行)×9.99(厚さ)o
●ディスプレイ:1.47インチ有機EL
●重量:16g
●価格:6,990円
●大きさ:46.5(幅)×20.7(奥行)×12.25(厚さ) mm
●ディスプレイ:1.62インチ有機EL
●重量:13.5g
どちらのモデルにもGPSが搭載されておらず、さらに健康管理やフィットネス機能などにも共通点が多く、2週間持続するバッテリーも同様です。両者の大きな違いは、デザイン的な部分と価格になります。側面にボタンがひとつあるスクエア型を採用した「HUAWEI Band7」は、画面の幅が広い分、運動中の視認性が高く感じました。ただ装着感の部分でいうと、タテ型の画面を採用した「Xiaomi Smart Band 7」のほうが軽量であり違和感なく着けていられる、着け心地です。
デザイン的にはスクエア型ディスプレイを搭載する「HUAWEI Band7」のほうがスタイリッシュな印象で、カジュアルからスーツスタイルまで自然にフィットするでしょう。
GPSは搭載されていませんが、健康管理&フィットネスの部分で多くの機能を搭載しながらも、6,990円という価格を実現した「Xiaomi Smart Band 7」。コストパフォーマンスという点では非常に高いものがあると思います。従来機もちょうどよく使えるスマートウォッチでしたが、最新版もしっかりとアップデートしています。汗をかきやすい夏の時期でも、違和感なく着けていられる着け心地をぜひ体感してみてください!
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。