Googleが、Androidスマートフォン/タブレット向けAndroid OSの最新版「Android 13」を正式にリリースしました。注目の新機能をチェックしておきましょう。
「Android 13」では、Google製以外のアプリアイコンも、壁紙のテーマや色に合わせてカスタマイズできるようになった(アプリ側の対応が必要)
Googleは、2022年8月15日(米国時間)に「Android 13」を正式にリリースしました。
現在、アップデートできるのは「Pixel 4/4 XL」以降のPixelスマートフォンのみとなっています。
そのほかのサムスン、 オッポ、 シャープ、 ソニー、 シャオミなどのスマホについては、来年前半にかけて順次提供する予定だとGoogleがアナウンスしています。
筆者は「Pixel 5」をアップデートしましたが、アップデート直後の第一印象は、見た目は「Android 12」とさほど変わらないな、というものでした。
しかしもちろん、見た目の派手さは少ないものの、さまざまな機能が改良/追加されています。
特徴としては、「Android 12」で採用されたインターフェイスデザイン「Material You」の進化に見られるような、既存機能のブラッシュアップがひとつ。
また、スマホを安全に利用するために、各種コンテンツへのアクセス権の制御が細かく行えるようになりました。
そしてもうひとつが、ヘッドホンやChromebookなどとのマルチデバイス連携機能の強化と、タブレット向け機能の充実です。
特に注目したいのは、タブレット向けの機能です。
Googleは、2019年に自社タブレットの開発から撤退したと表明していました。そのため、Androidタブレット市場は先細りとなり、タブレット向けアプリの開発もあまり進んできませんでした。
ところが、今年5月に開催されたテクノロジーカンファレンス「Google I/O 2022」において、タブレット端末「Pixel Tablet」の概要を発表。
プロセッサーに同社独自の「Google Tensor」を搭載する以外の詳細はまだわかりませんが、Androidタブレット市場の注目度が上がることへの期待は膨らんでいます。
この流れを受け、「Android 13」にはタブレット向けの新機能も盛り込まれています。来年の「Pixel Tablet」の発売に向けて、さらに新しい機能が追加されるかもしれません。
では、「Android 13」の新機能を見ていきましょう。
ロック画面やホーム画面で画面を下方向にフリック/スワイプすると表示される「クイック設定」の一部仕様が変更されました。
タイルに「QRコードのスキャン」など、追加できる項目が増えています。
また、タイルの直下に表示されていた電源、設定、ユーザーの選択(設定による)ボタンが、画面下部に移動されています。
ボタンの配置が変更されたクイック設定。タイルも増えている
「Android 12」で採用された「Material You」は、壁紙のテーマや色に合わせてロック/ホーム画面をカスタマイズできる機能です。選択した色に合わせてアプリアイコンの色を統一する「テーマアイコン」もあります。
「Android 13」では、「壁紙の色」で選べる色が12セット、「基本の色」は16セットに増えました。
「Material You」で選択できるカラーセットの数が増えた
また、「Android 12」では「テーマアイコン」を適用できるのがGoogle製のアプリのみでしたが、「Android 13」では他社製のアプリにも適用できます。ただし、アプリが「テーマアイコン」に対応している必要があります。
「テーマアイコン」(ベータ版)をオンにすると、対応するアプリであればホーム画面のアイコンのデザインが統一される
音楽やポッドキャストなどの再生時、ロック/通知画面に表示されるメディアコントロールのデザインが変更されました。
背景全体にアルバムのアートワークを表示し、再生スライダーのバーが波形のアニメーションになっています。
ロック画面に表示されるメディアコントロール。通知画面でのデザインも共通だ
スクリーンショットを撮影すると、画面左下にツールが表示され、編集などを行うことができます。
「Android 13」では、この機能のテキストデータ版が追加されました。テキストデータをコピーすると左下に表示され、ここから直接、ほかのアプリと共有することができます。
テキストデータをコピーするとツールを表示。ここから直接、共有できる
スマホ全体の言語を変更することなく、アプリごとに異なる言語を設定できるようになりました。
設定の変更は、「設定」アプリ→「システム」→「言語と入力」→「アプリの言語」とタップ。言語の選択に対応しているアプリが一覧表示されるので、タップします。
次の画面で設定したい言語を選ぶと、そのアプリだけ言語を変更できます。
対応したアプリであれば、アプリごとに異なる言語を自由に設定できる
「おやすみ時間モード」を、ディスプレイの色調整やグレースケールでカスタマイズできるようになりました。スター付きの連絡先からの着信や同一発信者による再着信などのみを通知するようにもできます。
設定は、「設定」アプリ→「Digital Wellbeingと保護者による使用制限」→「おやすみ時間モード」とタップ。「カスタマイズ」の項を展開し、「おやすみ時間の画面オプション」をタップ。
次の画面で、ディスプレイの色調整やグレースケールの設定ができます。
「おやすみ時間の画面オプション」で、ディスプレイの色調整やグレースケールの設定などを行う
これまでは、アプリをインストールすると自動的に通知がオンになりました。オフにするには、設定を変更する必要があります。
しかし「Android 13」では、起動時にユーザーに通知の許可を得る必要があります。これにより、アプリのインストール時点で必要な通知のみを受け取るようにすることができます。
初回起動時に、通知の許可を求めるようになった
個人情報保護の観点から、メールアドレス、電話番号、ログイン資格情報などの情報をコピーした場合、短時間でクリップボードの履歴を自動的に消去するようになりました。
現状は、写真編集のように、スマホに保存している写真や動画にアクセスする必要がある場合、メディアライブラリ全体を共有する必要があります。
しかしこれが、アクセスする必要のある特定の写真や動画のみを選択できるようになります。
将来的に、「Android 11」以降で提供される予定です。
音源の位置を頭の向きに合わせて調整する空間オーディオに対応しました。コンサートの音源や、映画の視聴時に没入感を得ることができます。
ただし空間オーディオは、ヘッドトラッキングに対応したヘッドホンが必要になります。Googleのヘルプセンター情報によると、「Google Pixel Buds Pro」がヘッドトラッキング付き空間オーディオに近日対応予定となっています。
Bluetoothオーディオ規格である「Bluetooth Low Energy (LE) オーディオ」を採用しました。
これによりオーディオ品質が向上し、遅延が減少します。また、複数デバイスでの同時再生にも対応します。
普段、Androidスマホでやり取りしているメッセージを、Chromebookのメッセージアプリでも利用できるようになりました。
Chromebookを使用中であれば、スマホを取り出すことなくメッセージの送受信ができます。
いっぽうのAndroid端末でコピーしたテキストデータ、URL、画像、動画などを、別のAndroid端末でペーストできるようなります。
たとえば、Androidスマホでコピーしてタブレットにペーストする、といった使い方です。この機能は、2022年8月25日現在、近日公開予定となっています。
Androidタブレットにおいて、2つのアプリを同時に表示して作業ができるマルチタスクの機能が進化しています。
タブレットのタスクバーが新しくなり、すべてのアプリをひと目で確認できます。また、ライブラリ内のアプリを分割画面モードに簡単にドラッグ&ドロップして利用できます。
Androidタブレットにおいて、手のひらによるタッチと、スタイラスペンによるタッチを別のタッチ操作として登録できます。
これにより、スタイラスペンを使用時に、手のひらのタッチによる誤入力を軽減させることができます。
歴代のAndroid OSと同様に、「Android 13」にもイースターエッグが隠されています。
イースターエッグとは、開発者がユーモアのひとつ、あるいは隠し機能として仕込んでいるメッセージや画面のことです。表示するには、裏技的な特定の操作が必要になります。
「Android 13」のイースターエッグを表示するには、「設定」アプリ→「デバイス情報」→「Androidバージョン 13」とタップして開く画面で「Androidバージョン 13」を3回タップします。
時計が表示されたら、長針をドラッグして回転させ、1時にセット。すると、画面中央に「13」と表示された画面が表示されます。
この画面を長押しするたびに、デザインが変わります。デザインはたくさん用意されているので、興味がある方は試してみてください。
時計の長針を回転させて1時にセットすると、イースターエッグの画面を表示。長押しするたびにデザインが変わる
「Android 13」は、派手さは少ないものの、プライバシー情報の保護など、重要な機能が充実しています。また、前述のように、タブレット向けの機能にも要注目です。
今回は、Googleが公式ブログで公開しているおもな新機能を中心に紹介しましたが、ほかにも多数の新機能が盛り込まれています。
Pixelシリーズ以外のAndroid端末の場合、アップデートを少し待たなければなりませんが、その時期が来たらアップデートし、新しいOSをしっかりと活用してください。
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。