米アップルは2022年9月7日(現地時間)、「Far out.」(日本名:超えよう)と題したイベントを開催し、「iPhone 14」シリーズを発表した。ラインアップは「iPhone 14」「iPhone 14 Plus」「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」の4モデル。小型の「mini」がなくなり、大画面の「Plus」が追加された。
日本国内では9月9日の午後9時から予約を受け付ける。発売は「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」が9月16日、「iPhone 14 Plus」が10月7日。
アップルストア価格は、「iPhone 14」が119,800円(税込、以下同)から、「iPhone 14 Plus」が134,800円から、「iPhone 14 Pro」が149,800円から、「iPhone 14 Pro Max」が164,800円から。
「iPhone 14」と「iPhone 14 Plus」
「iPhone 14」シリーズのベーシックモデルは、6.1インチの「iPhone 14」と6.7インチの「iPhone 14 Plus」の2モデル。「iPhone 12/13」シリーズにあった小型の「mini」がなくなり、大画面の「Plus」が追加された。「Plus」が登場するのは5年ぶりだ。
本体サイズは「iPhone 14」が71.5(幅)×146.7(高さ)×7.80(厚さ)、重量が172g。「iPhone 13」と比べると厚さが0.15mm増え、重量が1g軽くなった。「iPhone 14 Plus」は78.1(幅)×160.8(高さ)×7.80(厚さ)mm、重量が203g。サイズ感としては「iPhone 13 Pro Max」に近い。アルミニウムボディの防沫性能、耐水性能、防塵性能はIP68等級で、「iPhone 13」シリーズから変わっていない。
ディスプレイの仕様は「iPhone 14」は「iPhone 13」と同じ。6.1インチOLEDディスプレイで、解像度が2532×1170/460ppi。コントラスト比が200万:1(標準)、最大輝度が800ニト(標準)、ピーク輝度1200ニト(HDR)、「P3」や「True Tone」をサポートする。「iPhone 14 Plus」は21%大きい、6.7インチOLEDディスプレイで解像度が2778×1284/458ppi。そのほかの仕様は「iPhone 14」と同じだ。
カメラ機能はどちらもメインと超広角の「デュアル12MPカメラシステム」(1200万画素)。センサーシフト光学手ブレ補正や、2倍の光学ズーム、最大5倍のデジタルズームといった仕様は「iPhone 13」シリーズと同じだが、メインカメラは大きなセンサーと明るいレンズ(F値1.6からF値1.5に)により、49%多くの光りを取り込めるようになったという。暗い場所で鮮明な写真を撮影できる「ナイトモード」の露出も最大2倍速くなっている。新機能として「Photonic Engine」を搭載。露出の異なる複数のピクセルからベストなものを選び、1枚の画像に合成してくれる機能で、暗い場所でもより明るくリアルな色彩な写真を撮影できるという。
1200万画素の「TrueDepthフロントカメラ」もより明るいレンズ(F値2.2からF値1.9)を採用し、集光性能が38%向上。暗い場所でも、色鮮やかで鮮明な写真を撮れる。
動画では「シネマティックモード」が4K HDR、最大30fpsに対応(「iPhone 13」シリーズでは1080p、30fps)。映画と同じ24fpsでの撮影もサポートする。また、ジンバルで撮影したような強力な手ブレ補正効果を発揮する「アクションモード」も追加された。
「アクションモード」の効果
SoCは「iPhone 13 Pro」と同じ「A15 Bionicチップ」を搭載。6コアCPU、5コアGPU、16コアNeural Engineで構成される。「iPhone 13」と比べるとGPUが4コアから5コアに増えており、グラフィック性能が向上。さらに、内部の設計を改良することで、熱効率を高め、すぐれたパフォーマンスが長く続くようになっているという。
バッテリー駆動時間は「iPhone 14」が最大20時間(ビデオ再生)で、「iPhone 13」より1時間伸びている。「iPhone 14 Plus」は最大26時間(同)で、無印モデルよりも6時間長い。バッテリーの持ちを重視したい人にとっては「iPhone 14 Plus」は魅力的なはずだ。
安全面では、緊急SOSに加えて、衝突事故検出を搭載。自動車の衝突事故を想定した機能で、万一衝突事故に遭った場合に自動で緊急連絡先に知らせられるという機能だ。速度の急激な変化や車内の気圧変化、衝突時の音、急激な方向の変化などを検知し、衝突事故であることを認識するという。また、携帯電話の電波やWi-Fiが届かないエリアでも、衛生経由で緊急SOSの発信ができる機能も発表された。同機能は米国とカナダから提供される予定だ。
衝突事故検出機能を搭載
衛星経由での緊急SOS利用時は、iPhoneが衛星の向きを教えてくれる
そのほか、米国版は全モデルがeSIMのみに対応することも発表された。
カラーバリエーションはミッドナイト、パープル、スターライト、(PRODUCT)RED、ブルーの5色。ストレージ容量は128GB、256GB、512GBの3タイプを用意する。
カラーバリエーションは5色。「iPhone 12」でラインアップされていたパープルが復活
「iPhone 14」のアップルストア価格は、128GBモデルが119,800円、256GBモデルが134,800円、512GBモデル164,800円。
「iPhone 14 Plus」のアップルストア価格は、128GBモデルが134,800円、256GBモデルが149,800円、512GBモデル179,800円。
新機能が詰め込まれた「Pro」
「iPhone 14」シリーズのプロモデルは、新機能が盛りだくさんだ。ラインアップは6.1インチの「iPhone 14 Pro」と6.7インチの「iPhone 14 Pro Max」(こちらは名称に「Max」が引き続き使われている)。
まずはノッチがなくなり、「Dynamic Island」というまったく新しい機能へと進化している。一見すると、横長のパンチホールに見えるが、通知やアラート、音楽再生のコントロールなどさまざまな機能にあわせて表示と形(物理的ではなくUIにより)が変わる、「iPhoneの新しい体験」となっているのだ。ハードウェアとソフトウェア、チップの開発しているアップルだからこそできる機能と言える。言葉で説明するよりも、以下のGIF動画で見てもらったほうがわかりやすいので、ぜひチェックしてもらいたい。
「Dynabic Island」
また、ディスプレイは常時表示をサポート。「iOS 16」でははロック画面をカスタマイズすることができるが、カスタマイズした情報を常にロック画面上に表示しておくことができる。なお、バッテリーを節約するために、画面を下にして置いている場合やポケットに入れているときは画面が暗くなるという。
常時表示ディスプレイを採用
「Super Retina XDRディスプレイ」と呼ばれるディスプレイは、リフレッシュレートが最大120Hzの「ProMotion」を引き続き採用。解像度は「Dynamic Island」を搭載したことで、わずかだが変更されている。屋外でのポーク輝度が2000ニトに引き上げられており、太陽の下でも画面が見やすくなっている。HDRビデオや写真を表示するときの最大ピーク輝度も1200ニトから1600ニトにアップした。
カメラ機能では、ついにメインカメラの画素数が4800万画素にアップ。iPhoneは1200万画素を長く続けてきただけに、大きな決断と言えそうだ。センサーは「iPhone 13 Pro」よりも65%大きいクアッドピクセルセンサー。4つのピクセルを1つに結合し、4倍多くの光りを取り込み1200万画素サイズでも撮影できるようだ。4800万画素でProRAW写真を撮影し、現像し大きくプリントするといったことも可能だ。
レンズ構成はメイン(4800万画素/F値1.78)、超広角(1200万画素/F値2.2)、望遠(1200万画素/F値2.8)のトリプルカメラ。3つの固定焦点レンズだが、ズームオプションは0.5倍、1倍、2倍、4倍の4つを搭載。新たに加わった2倍は、メインカメラのクアッドピクセルセンサーの真ん中の1200万画素を使ったものだ。2倍望遠は「ポートレードモード」の撮影に適しているという。
メインカメラが4800万画素のクアッドピクセルセンサーに進化。ついに1200万画素から画素数がアップした
そのほか、暗い場所での性能が超広角カメラは最大3倍、メインカメラと望遠カメラは最大2倍の性能を発揮。「iPhone 14」と同様、「Photonic Engine」も搭載する。「アダプティブTrue Toneフラッシュ」は焦点距離に合わせて9つのLEDのパターンとメイドを調整し、ベストな光りを被写体に当てられるようになった。
動画性能は「アクションモード」や4Kで最大30fps対応の「シネマティックモード」を搭載。
前面の「TrueDepthフロントカメラ」(1200万画素)はオートフォーカスを備えたほか、F値1.9の明るいレンズを採用し、より鮮やかで鮮明なセルフィーを撮影できるようになっている。
SoCは約160億個のトランジスタを搭載する「A16 Bionic」。5コアGPUのメモリー帯域幅が50%広くなり、より複雑なグラフィック処理に対応する。クアッドセンサー用の先進的なISPやすぐれた電力効率も特徴だ。コア数などは「iPhone 13 Pro」と同じで、6コアCPU(2つの高性能コア、4つの高効率コア)と5コアGPU、それに16コアのNeural Engineで構成される。
バッテリー駆動時間は「iPhone 14 Pro」が最大23時間(ビデオ再生)、「iPhone 14 Pro Max」が最大29時間。MagSafeも引き続きサポートする。
安全性などは「iPhone 14」と同様、緊急SOSと衝突事故検出を備える。
カラーバリエーションはディープパープル、ゴールド、シルバー、スペースブラックの4色。ストレージ容量は128GB、256GB、512GB、1TBの4タイプを用意する。
「iPhone 14 Pro」のアップルストア価格は、128GBモデルが149,800円、256GBモデルが164,800円、512GBモデル194,800円、1TBモデルが224,800円。
「iPhone 14 Pro Max」のアップルストア価格は、128GBモデルが164,800円、256GBモデルが179,800円、512GBモデル209,800円、1TBモデルが239,800円。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!