ディスクリートGPU(dGPU)のパワーを生かして動画や写真の編集、CG制作やプログラミングなど、いろいろなことに挑戦したい――。そんな人に注目してほしいのが、最新CPUとdGPU、それに美麗な15.6型有機ELディスプレイを搭載するASUS JAPANの「Vivobook Pro 15X OLED」だ。クリエイティブな作業だけでなく、エンタメや最新ゲームまで楽しめる欲張りな1台をレビューしていこう。
「Vivobook Pro 15X OLED」。価格.com最安価格は199,800円(2022年9月30日時点)
まずは外観から見ていこう。ディスプレイを閉じた状態では、シンプルで落ち着いた印象。カラーは「0°ブラック」というかっこいい名前が付けられた黒色だ。天板の一部が立体的にデザインされており、そこに「ASUS Vivobook」という文字がプリントされている。ヒンジの背面にはオレンジ色で「READY TO EXPLORE」という文字があしらわれているほか、底面のゴム足やEscキーもオレンジ色で、オレンジがデザイン上のアクセントとなっている。ハイスペックな感じが伝わる精悍な黒いボディに、遊び心のあるオレンジ色がうまく融合したデザインだ。
天板の一部が立体的にデザインされている。「0°ブラック」はつやのある黒色で精悍な印象。ただ、手の指紋汚れが少々目立つ
オレンジ色のEscキー。半角/全角 漢字キー、Tabキーなどはグレーで、遊び心とハイスペックさを上手に表現できている。“使える道具感”が漂う
底面のゴム足(後ろ側の1本スタイル)もビビットなオレンジ色
使用中は見えないが、ヒンジ部分に「READY TO EXPLORE」(探求・探求する準備)というオレンジ色の文字があしらわれている
本体サイズは約355.4(幅)×239.8(奥行)×20.9〜21.9(高さ)mm、重量は約2.17kg。dGPUを搭載していることもあり、キーボード側(本体)はやや厚みがある。同社のモバイルノートなどに採用される「エルゴリフトヒンジ」は非搭載で、パームレストがフラットかつ高さがあるので、人によっては手が置きにくいと感じるかもしれない。
ディスプレイはASUS JAPANが多くのモデルで積極的に採用をすすめる有機EL。解像度が2880×1620の15.6型だ。アスペクト比は16:9。珍しい解像度で、価格.comで調べた限り、本モデルとAMDのCPUを搭載した「Vivobook Pro 15 OLED」および「Vivobook 15X OLED」しかなかった。
2880×1620の15.6型有機ELディスプレイを搭載
DCI-P3カバー率100%の色域をカバーし、発色がよく鮮やかな表示だ。ピーク輝度は600ニト。ゲーミングノートPCではないが、120Hz のリフレッシュレート、0.2msの応答速度に対応しており、ゲームにも十分使えるスペックだ。
有機ELのフルHDモデルは写真や動画は見やすいが、価格.comでは文字が読みにくいというクチコミをときどき見るが、本モデルは2880×1620とフルHDよりも高精細で、文字も読みやすかった。鮮やかな発色だが、ギラギラした感じはなく、高品質なディスプレイだ。
低解像度の有機ELディスプレイは文字が読みにくい場合があるが、2.8Kの高解像度な本モデルは文字も読みやすい
鮮やかな表示で写真や動画を楽しめる。見るのはもちろん、コンテンツ制作にも高画質なディスプレイは重宝する
続いてスペック面をチェックしよう。搭載するCPUはインテルの第12世代Coreプロセッサーである「Core i7-12650H」。10コア16スレッドのゲーミングPCやクリエイター向けPC向けの高性能は「Hプロセッサー」だ。dGPUにはNVIDIAの「GeForce RTX 3060 Laptop GPU」(NVIDIA Optimus Technology対応)を搭載する。ミドルレンジクラスのGPUだが、ゲームにもクリエイティブな作業にも高いパフォーマンスが期待できる人気のGPUだ。
メモリーはDDR5-4800の16GB、ストレージは512GBのSSD(PCI Express 3.0 x2接続)。プロ向けではメモリーとストレージ容量が物足りないだろう。メモリーはDDR5で高速だが、2022年9月30日時点では32GBや64GBの選択肢が用意されていない。SSDはエントリークラスで、容量も512GBと本格的なクリエイティブな作業には少ない。このあたりは、これからクリエイティブな作業をはじめるという人向けなのだろう。
ベンチマークプログラムの結果は以下の通り。
CPUの処理性能を計測するベンチマークプログラム「CINEBENCH R23」の結果。「15218」(Multi)はかなりのハイスコアだ。ファンモードを「パフォーマンス」にしたときの数値だが、標準の「バランス」にしてもそれほどスコアは変わらなかった
パソコンの総合性能を計測するベンチマークプログラム「PCMark 10 Professional Edition」も「6660」のハイスコアを記録。dGPUを搭載していることもあり、クリエイティブ作業の快適さを示す「Digital Content Creation」が「9524」と非常に高い結果となった
グラフィック処理性能を測定するベンチマークプログラム「3DMark Professional Edition」の「Time Spy」の結果。ゲーミングノートPCではないが、「GeForce RTX 3060 Laptop GPU」を搭載しているだけあってハイスコアだ
「IceCool Pro」という冷却テクノロジーは、高い冷却性能と静かさを重視。厳密に比較はしていないが、ゲーミングノートPCの「ROG」シリーズのように盛大にファンが回ることは少ないが、その分、パフォーマンスは控えめという印象を受ける。底面を見ると大きなファンが見える
最後に使い勝手をチェックしていこう。キーボードのキーピッチは19.05mm、キーストロークが1.4mmで、余裕のあるレイアウト。ストロークが深いため、少し遊びのある打鍵感だ。3列のテンキーも備えるので、数値を入力する機会の多い人にはうれしいはず。Fnキーが小さく右にいくほど、左にずれていたり、Backspaceキーの左の¥キーが極細で、一部気になるところはあるが概ね使いやすかった。
オレンジ色のEscキー、グレーのキー、黒のキーと色分けされたキーボード。キーレイアウトはオーソドックスだが、小さめのキーもある。メインのキーには0.2mmの窪みがあり、指の収まりがいい
キーボードバックライトは白色。輝度は3段階で調整できる
Webカメラは207万画素。物理カバーが付いており、プライバシーをしっかり保護できる。顔認証機能は搭載していないが、指紋認証が搭載されているので、セキュリティも万全だ。AIノイズキャンセリングや「Dolby Atmos」対応のharman/Kardonスピーカーなどサウンド面の装備も充実している。鮮やかな有機ELディスプレイと高音質なスピーカーにより、エンタメも存分に楽しめる。
プライバシーシャッター付きのWebカメラ
外部インターフェイスは最大4K 120Hz/8K 60Hzの映像出力に対応するHDMI 2.1のほか、Thunderbolt 4(USB Type-C)、USB 3.2 Type-C(Gen2)、USB 3.2 Type-A(Gen2)、USB 3.2 Type-A(Gen1)、microSDメモリーカードスロット、マイク入力/ヘッドホン出力、2.5GbE対応の有線LANを備える。
外部インターフェイスは充実。有線LANも備える
バッテリー駆動時間はカタログスペックで約9.0時間。76Whの大容量バッテリーを搭載していることもあり、スタンダードノートかつ「Hプロセッサー」搭載モデルとしては長めだ。
「Vivobook Pro」シリーズは14インチから16インチまで幅広いラインアップがそろっているので、自分に合った高性能なモデルが見つかるはずだ。その中でも今回レビューした「Vivobook Pro 15X OLED」は上から2番目にハイスペックなモデル。高性能なCPUとdGPUを搭載しており、動画や写真の編集、Unityを使ったCG制作などクリエイティブな作業を快適にこなせるはずだ。プロ向けと考えると、メモリーとストレージ容量が足りないかもしれないが、これから始めるという人には十分ではないだろうか。
クリエイティブな作業はそれほどしないが、高性能なノートPCを探している人にも注目してもらいたい。「GeForce RTX 3060 Laptop GPU」を搭載しているので、ゲームも余裕で楽しめる。価格.com最安価格199,800円と価格は高めだが、パソコンを使っていろいろなことに挑戦したい人にぜひチェックしてもらいたい。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!