手軽に使えるバンドタイプから、頑丈なアウトドアタイプまで、さまざまなラインアップを展開しているスマートウォッチブランド、「Amazfit」(アマズフィット)。近ごろ、国内でも認知を高めつつあるこのブランドから、高級感あふれるデザインを採用した最新モデル「Amazfit GTR 4」が登場しました。業界初となる最新のGPSや心拍計測機能を搭載した高コスパモデルを実際に使用してレビューします。
「Amazfit GTR 4」をレビュー
Amazfitは、スマートフォンなどで知られるXiaomi(シャオミ)のスマートウォッチをOEM製作するなど、着実にその勢力を広げているブランドです。低価格でありながらも、スマートウォッチそのもののクオリティが高く、しかもそれと連動する「ZEPP」アプリも使いやすい印象です。
今回紹介する「Amazfit GTR 4」の大きな特徴は、ビジネスシーンでも使える高いデザイン性と、業界初の最新機能を搭載する点です。
デザインはスポーツカーからインスピレーションを得て作られたと言う
本体ケースはマット処理が施されたアルミ合金製。クルマのような流線形のストリームラインは所有欲を満たしてくれるデザインです。1.43インチのAMOLED(有機EL)ディスプレイは、68.1%の画面占有率を実現しており、視認性も良好。スマートウォッチとしては大きい画面を採用しながらも重量は34g、10.6mmと薄型で、1日中装着していても、そのサイズが使用感を妨げるようなことはありませんでした。
"タイヤ"をイメージしたデジタルクラウン(リューズ)のデザイン
右側上部にはデジタルクラウン、その下には使いたいアプリにすぐにアクセスできるショートカットボタンを装備。基本的にタッチパネルで操作をしますが、要所要所で物理ボタンを使用する必要があります。スムーズに使いこなすまではちょっと慣れが必要な気もしますが、そこまで難しくはないかと思います。
バッテリー駆動時間は標準的な使用で14日間、最大で50日間
充電はマグネット式の専用ケーブルを使用します。50%くらいから、1時間ほどでフル充電されました。公称値では、約2時間の充電でフル充電が完了するとのこと。バッテリー駆動時間は標準的な使用で14日間、最大で50日間と、ロングバッテリーも実現しています。
次は、「Amazfit GTR 4」の特徴的な機能を解説しましょう。まず、紹介したいのは業界初「デュアルバンド円偏波技術」に対応したGPS機能です。
あまり聞き慣れない「円偏波」という言葉ですが、円を描くようにらせん状に進む電波のことを言います。衛星放送などに使われる電波方式で、従来のスマートウォッチに使用されている「直線偏波」に比べて精度が高いのが特徴になっています。
さらに、「Amazfit GTR 4」は、GPS、みちびき、GLONASSなどに加え、インドの衛星システム「NAVIC」も捕捉でき、合計6つの衛星システムに対応しています(これまでは5つでした)。今まで以上にビルが立ち並ぶ都市部や、木々が生い茂る山間部でも正確な位置情報を得ることが可能になっています。
障害物が多いところでも、素早く位置を捕捉
もうひとつ紹介したい特徴的な機能は、背面に搭載された高精度の生体認証光学センサー「BioTracker 4.0 PPG生体光学センサー」です。皮膚に向かって光を射出するLEDを2基搭載したことにより、血管から反射される光が増え、より多くの信号を取り込むことが可能。また、精度も向上しており、運動中でも正確な心拍データが収集可能になっています。センサーの表面は薄型のガラスでカバーされており、自然な装着感で睡眠中でもじゃまになりません。
前世代のセンサーに比べて、33%データ収集量がアップした新世代センサーを搭載
睡眠中データも精度が向上しているとのことです
この最新の心拍センサーにより、運動中の心拍データはもちろん、血中酸素レベル、ストレスレベル、さらには睡眠の質のほか、睡眠時の呼吸数も正確に計測します。
アマゾンの音声アシスタント「Alexa」にも対応。音声操作でスマートホーム機器の操作もできます
バッテリー駆動時間や円偏波GPSの精度などを確認するために、「Amazfit GTR 4」をランニングでテストしてみました。最新のGPS機能が搭載されているということで、バッテリーの消費量は高くなりますが、GPSモードを「高精度」にして走ってみました。結果としては、以前テストし位置情報の捕捉スピードが速いと感じた「Amazfit T-REX2」以上のスピードを感じました。
レビューでは「ランニング」をテスト。150種類以上のスポーツに対応しています
いつもレビューでテストするコースを走りましたが、距離やペースも正確に計測されていました
土手の上、その下の河川敷という隣接するコースを走ってみたのですが、それも正確に計測されているのがわかります
また、走り終わった後に回復までの時間を教えてくれる「完全回復時間」もありがたい機能です。最初は"目安"の数値が出ますが、普段のランニングのデータを蓄積していくことで、より自分の実力に合わせた回復時間を表示してくれるようになります。
回復までの時間のほか、1週間の練習強度も表示して故障を防止します。
スポーツのSNSと言えるサードパーティー製アプリ「ストラバ」や「アディダス ランタスティック」にも対応。設定をすれば、走り終わった後にアプリにデータが自動でアップロードされます。
気になるバッテリーの消費具合ですが、24時間使用している間に高精度のGPSモードを使用し、かつ、消費電力が高いウォッチフェイスに設定してみても、バッテリーの消費量は7%ほどでした。バッテリーを多く消費する設定にしてもこれくらいなので、ロングバッテリーモデルと言えるでしょう。
「Amazfit GTR4」は普段使い、ビジネスシーンにもフィットする高級感のあるデザインを採用しつつ、スポーツを本格的に楽しむ人に向けた機能も充実しています。
アニメーションが動くものなど、多彩なウォッチフェイスが用意されています
ウォッチフェイスは、デジタル/アナログ表示のものから、かわいいものまで豊富にラインアップ。その中には、バッテリーを多く消費するものもありますが、スタミナバッテリー仕様なので、バッテリー残量を気にすることもないでしょう。
そのほか、毎朝、天気や睡眠状態を知らせてくれる「モーニングアップデート」やGoProのアクションカム「HERO Black」シリーズのリモート操作ができるなど、さまざまなシーンで使える機能が満載です。これだけの機能を揃えながらも、メーカー希望小売価格は31,900円(税込)と、3万円強に押さえられているのもポイント。できるだけ価格を抑えつつも、高機能なスマートウォッチが欲しい人は要チェックです。
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。