ASUS JAPANは5.9インチのAndroidスマートフォン「Zenfone 9」を2022年11月2日に発表しました。販売開始は11月4日で、メーカー希望小売価格は99,800円(税込)から。本製品は5.9インチのコンパクトなボディに、Android用SoCとして最新、最速のクアルコム「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載。従来機と同様に「コンパクトなのにフラッグシップ」を売りにしたモデルです。今回は、本製品の実機を借用したので、スペック、パフォーマンス、カメラ画質、使い勝手などについて、いち早くレビューしていきましょう。
ASUS「Zenfone 9」。価格は99,800円(税込)から用意されています
「Zenfone 9」は、OSに「Android 12(Zen UI)」を、SoCにクアルコム「Snapdragon 8+ Gen 1」を採用。メモリーは8/16GB(LPDDR5)、ストレージは128/256GB(UFS 3.1)を搭載しています。本体カラー、メモリー容量、ストレージ容量で差別化が図られており、スペック的には下記の7モデルがラインアップされています。
・「ZF9-BK8S128」(ミッドナイトブラック/8GB/128GB)99,800円(税込、以下同)
・「ZF9-WH8S128」(ムーンライトホワイト/8GB/128GB)99,800円
・「ZF9-BL8S128」(スターリーブルー/8GB/128GB)99,800円
・「ZF9-RD8S128」(サンセットレッド/8GB/128GB)99,800円
・「ZF9-BK8S256」(ミッドナイトブラック/8GB/256GB)112,800円
・「ZF9-WH8S256」(ムーンライトホワイト/8GB/256GB)112,800円
・「ZF9-BK16S256」(ミッドナイトブラック/16GB/256GB)129,800円
採用するディスプレイは5.9インチのフルHD+有機EL(2400×1080ドット)で、リフレッシュレート、応答速度、タッチサンプリングレートはゲーミングスマホ並みのスペックを誇ります。
5.9インチディスプレイの主なスペック
・2400×1080ドット(445ppi、アスペクト比:20:9)
・輝度:屋外輝度800cd/m²、最大輝度1100cd/m²
・色再現性:sRGB比151.9%、NTSC比107.6%、DCI-P3比112%、HDR10+対応、色精度Delta-E<1
・リフレッシュレート:120Hz
・応答速度:1ms
・タッチサンプリングレート:240Hz
カメラは、背面に5000万画素の広角カメラと1200万画素の超広角カメラを、前面に1200万画素のフロントカメラを搭載。背面の広角カメラで利用できる「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー」は、X、Y、Z、ヨー、ピッチ、ロールに対応しており、動画撮影時に手ブレを強力に低減するとうたわれています。
ネットワークは5G(nanoSIMスロット×2)に、無線通信機能はWi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)に対応。有線インターフェイスはUSB Type-C(USB 2.0)、3.5mmイヤホンジャックを装備。おサイフケータイ必須の人もメイン端末として利用できるわけです。
本体サイズは約68.1(幅)×146.5(高さ)×9.1(厚さ)mmで、重量は約169g。4300mAhのバッテリーを内蔵しており、Webブラウジング(輝度200cd/m²、リフレッシュレート60Hz)でWi-Fi通信時約13.5時間、4G LTE通信時約13.3時間、5G通信時約11.5時間動作するとされています。
ボディはつや消しが施されたアルミ製ミッドフレームで、バックパネルは指紋の付きにくい新素材(ポリカーボネートとポリウレタンの組み合わせ)を採用。IP65/IP68の防水防塵性能を実現しています。
基本スペック
カメラ機能
その他機能
ディスプレイは5.9インチのフルHD+ 有機ELディスプレイ。フロントカメラはパンチホール仕様です
背面にはソニー製イメージセンサーを採用した5000万画素の広角カメラと、1200万画素の超広角カメラを搭載。ポリカーボネートとポリウレタンを組み合わせた新素材のバックパネルは手脂が目立たず、指が滑りにくいです
本体上面には3.5mmイヤホンジャック、本体下面にはUSB Type-C(USB 2.0)、nanoSIMスロットを用意
右側面にはボリュームボタン、指紋認証センサー一体型電源ボタン「ZenTouch」を配置
5G対応のnanoSIMスロットには2枚のnanoSIMカードを装着可能
パッケージには本体、専用ケース、USB ACアダプター、USBケーブル、SIMイジェクトピン、説明書類(ユーザーマニュアル、製品保証書)が同梱されています
USBケーブルの長さは実測90cm
USB ACアダプターの型番は「A299-200150U-US」。仕様は入力100-240V〜0.8A、出力5V 3A、9V 3A、12V 2.5A、15V 2A、20V 1.5A、3.3-11V 3A(PPS)、容量30W
専用ケースの重量は実測13.97g
本体の重量は実測172g
「Zenfone 9」は前述のとおり、小型ボディながらAndroid用SoCとして最新、最速のクアルコム「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載しています。定番ベンチマークを実施したところ、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V9.4.4」の総合スコアは最大1080507、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 5.4.4」のMulti-Core Scoreは最大4353、Computeは最大6587、3Dベンチマーク「3DMark」のWild Life Extremeは最大2829、AIベンチマーク「AI Benchmark」は最大1388を記録しました。
記事執筆時点のAnTuTu Benchmarkのランキングで「ROG Phone 6D Ultimate」がトップスコアの1133998を記録しており、「Zenfone 9」はその95%のスコアを叩き出したことになります。ちなみに「Zenfone 9」はランキング5位で、ASUS製スマホが1〜3位と5位を独占しています(記事執筆時点)。いずれにしても「Zenfone 9」が最新ゲーミングスマホ並みのパフォーマンスを備えていることは間違いありません。
総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V9.4.4」の総合スコアは最大1080507、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 5.4.4」のMulti-Core Scoreは最大4353、Computeは最大6587、3Dベンチマーク「3DMark」のWild Life Extremeは最大2829、AIベンチマーク「AI Benchmark」は最大1388を記録
「Zenfone 9」は、すべてのカメラにソニー製イメージセンサーが採用されています。今回、日中の屋外、室内、夜間の屋外でテスト撮影してみましたが、明るく、自然な発色で撮影できました。夜景は明るい看板がやや白飛びしていますが、ノイズは非常に少ないですね。光の軌跡を撮影できる「ライトトレイル」も楽しい機能です。
X、Y、Z、ヨー、ピッチ、ロールに対応した「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー」の効きは強力。さすがに走ったり、階段を上り下りしたりするとやや小刻みな揺れが発生しますが、物理的なジンバルスタビライザーに装着しなくてもそれに近い手ぶれ補正効果を得られます。動画撮影時に役立つ機会は多いことでしょう。
左が超広角カメラ、右が広角カメラ
超広角カメラ(0.6倍)で撮影、1/1221秒、F2.2、ISO26
広角カメラ(1倍)で撮影、1/1804秒、F1.9、ISO26
超広角カメラ(0.6倍)で撮影、1/758秒、F2.2、ISO26
超広角カメラ(マクロ)で撮影、1/589秒、F2.2、ISO26
広角カメラ(1倍)で撮影、1/50秒、F1.9、ISO66
広角カメラ(1倍)で撮影、1/50秒、F1.9、ISO64
広角カメラ(1倍)で撮影、1/60秒、F1.9、ISO53
広角カメラ(1倍)で撮影、1/60秒、F1.9、ISO53
広角カメラ(夜景)で撮影、1/24秒、F1.9、ISO353
広角カメラ(ライトトレイル)で撮影、1/6秒、F1.9、ISO124
「Zenfone 9」は、小型ボディを片手で操作しやすくするための多くの独自機能を実装しています。画面下部を下にスワイプすると画面全体を下にスライドさせる「片手モード」、指紋認証センサー一体型電源ボタン「ZenTouch」のスライド操作に通知のチェックやウェブページ/アプリの更新などを割り当てられる「クイックアクセス」、背面の2回タップにスクリーンショットやカメラ起動などを設定できる「背面ダブルタップ」などが用意されています。単にボディがコンパクトなスマホならほかにも選択肢はありますが、ここまで片手操作に特化した端末は珍しい存在と言えます。
「Zenfone 9」を片手でがっちりと握り込むことが可能。大型スマホのような落下に対する不安感はありません
端末を持ち替えることなく、フリック入力で推測候補を選択できます
画面下部を下にスワイプすると画面全体を下にスライドさせる「片手モード」。親指の届かない上部ボタンも操作できます
指紋認証センサー一体型電源ボタン「ZenTouch」のスライド操作に通知のチェックやウェブページ/アプリの更新などを割り当てられる「クイックアクセス」。メディアの前後移動、再生/一時停止を割り当てれば手探りでも操作できますね
背面の2回タップにスクリーンショットやカメラ起動などを設定できる「背面ダブルタップ」。ライトのオン/オフ、録音の開始/停止なども設定可能。多用する機能を割り当てると便利です
「Zenfone 9」には標準でケースが同梱されていますが、スマートスタンドとカードホルダーを脱着できる「Connex Accessories Set」(5,280円)、マグネットホルダーで脱着できる「Smart Backpack Mount」(9,980円、ASUS Store限定)というアクセサリーも用意されています。どちらのケースにも磁石が内蔵されており、「Connex Accessories Set」はスマートスタンドを立てたとき、「Smart Backpack Mount」はホルダーから外したときに特定のアプリを起動可能です。ASUS純正ケースならではの独自機能ですが、サードパーティー製アクセサリーでも利用できるようになるとよいですね。
スマートスタンドとカードホルダーを脱着できる「Connex Accessories Set」(5,280円)
スマートスタンドとカードホルダーはケースに空いている穴を利用して脱着できます
スマートスタンドを開く操作に「YouTube」アプリを割り当てれば、すぐに動画を視聴できます
マグネットホルダーで脱着できる「Smart Backpack Mount」(9,980円、ASUS Store限定)
本体を外す操作に「カメラ」アプリの起動を割り当てれば、不安定な場所でも片手で絶景を撮影可能です
小型ボディに、最新ゲーミングスマホ並みのパフォーマンス、6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーを組み合わせた50MP広角カメラを搭載した「Zenfone 9」は、ディスプレイの大型化が進んだスマホ市場に置いて貴重な存在です。望遠カメラを搭載していない点はちょっと残念ですが、そのぶん価格が抑えられていますし、いざとなれば5000万画素モードで撮影し、トリミングするという手段でカバー可能です。コンパクトでも処理能力、カメラ画質に妥協したくないという人に「Zenfone 9」は魅力的な存在と言えます。
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。