シャオミのAndroidタブレット「Redmi Pad」が2022年10月28日に発売された。約10億色表示のディスプレイやサラウンド対応スピーカーを備えたエンターテインメント向けモデルだ。価格.com最安価格は34,500円(2022年12月2日時点のもの)からと手ごろなのも魅力。リーズナブルなエンタメタブレットの実力をチェックしよう。
ハイエンドモデル「Xiaomi Pad 5」に続く、シャオミのエンタメ志向の中価格帯タブレット「Redmi Pad」。その特徴に迫ろう
Androidタブレットは、一時期大手メーカーから新製品がほとんど登場しない状況が続いていた。しかし、シャオミから登場した安価なハイエンドタブレット「Xiaomi Pad 5」が注目を集めたのをきっかけに、高性能モデルから超大型モデル、高コスパモデルなど、個性的な製品が登場しており、少しずつ活気を取り戻している。今回取り上げる「Redmi Pad」は、コスパを重視したWi-Fiタブレットだ。
「Redmi Pad」のボディサイズは、約157.98(幅)×250.38(高さ)×7.05(厚さ)mm、重量は約445g。ディスプレイは1200×2000の解像度に対応した約10.61インチの液晶だ。これらのボディや画面のサイズはアップルの「iPad」や「iPad Air」に比較的近い。
背面はシンプルなデザインだが、アルミ製でしっかりとした、価格以上の印象を受ける
ディスプレイは、約10億色の色表示と90Hzの駆動に対応しており、階調表現と残像感の少ない画面スクロールが特徴だ。サウンド機能もなかなか強力で、「Dolby Atmos」と4基のスピーカーを組み合わせたサラウンド再生に対応している。なお、「YouTube」の1440pまでなら問題なく再生できるほか、セキュリティ保護機能であるWidevine CDMは、L1の対応なので、「Netflix」などでHD画質のストリーミング再生が行える。動画閲覧用途としては十分な性能だろう。
いっぽう、シャオミのペン入力デバイス「Xiaomi Smart Pen」には非対応で、専用のキーボードも用意されない。こうした点から「Redmi Pad」は、動画や音楽の視聴、電子書籍の閲覧といったメディアプレーヤーを志向しており、イラストや文書を作るといった用途はそれほど重視していないことがうかがえる。
ディスプレイは1200×2000の解像度と10億色表示、90Hzのリフレッシュレートに対応する。なお、HDR表示には対応していない
ディスプレイは60Hz駆動と90Hz駆動の2段階で切り替えられる
ボディの短辺にそれぞれ2基、全体で4基のスピーカーを搭載する。外部スピーカーやイヤホンなしで「Dolby Atmos」によるサラウンド再生が行える。なお、ヘッドホン端子は非搭載だ
基本性能を見てみよう。搭載されるSoCは、2022年初夏に登場したMediaTek製のミドルレンジ向け「MediaTek Helio G99」で、3GBメモリー+64GBストレージと4GBメモリー+128GBストレージの2モデルが用意される。microSDXCメモリーカードスロットを備えており、ストレージの増設も可能だ。プリインストールされるOSは、「Android 12」をベースにしたシャオミ独自の「MIUI13」。「MIUI13」には仮想メモリー機能が備わっており、ストレージ容量のうち1GBをメモリーとして利用できる。なお、割り当てる容量は1GBで固定されている。
microSDXCメモリーカードスロットを備えており、ストレージの増設が行える
仮想メモリー機能を搭載し、ストレージ容量のうち1GBをメモリーとして利用できる。なお、同機能は初期設定でオンになっている
また、「MIUI13」は通知メニューや設定画面のデザイン、アプリの一覧画面がない点などが「iPadOS」に似ている。この点で、「iPad」の代わりとして選ぶのも悪くはなさそうだ。
左は本機の右は「iPad」のプルダウンメニュー、機能やデザインなどがよく似ている。ホームデザインや設定画面もよく似ているため、「iPad」ユーザーでも比較的なじみやすいと言える
CPUの処理性能を測る「Geekbench 5」を使ってベンチマークテストを行ったところ、スコアはシングルコアが549、マルチコアは1789となった。競合になりそうなオッポ「OPPO Pad Air」のスコアはシングルコアスコアが386、マルチコアスコアが1665(価格.comマガジン調べの値)なので、本機のほうが処理性能では有利だ。
「Redmi Pad」の「Geekbench 5」の結果。価格帯や性能が似ている競合製品「OPPO Pad Air」のスコアは、シングルコアスコアが386、マルチコアスコア1665と比較すると、本機のほうが処理性能では有利と言える
そのほか、生体認証機能は顔認証を搭載。Wi-Fiは、Wi-Fi 5まで対応している。スペック面では、GPS、磁気センサー、ジャイロスコープといった位置や方角を感知するセンサーが搭載されていない点に注意したい。位置情報を使ったゲームやナビゲーションアプリには適していないので、屋外に持ち出して使う場合に一部制約が発生することは覚えておきたい。
搭載されるカメラは、メインカメラとフロントカメラともに約800万画素となっている。カメラ自体はそれほど高性能とは言えないが、AIシーン認識やオートHDR撮影を備えているため、カメラ任せで撮影しても失敗は抑えられる。試しに明るめの夜景を撮影してみたが、手ブレは起りにくく、メモや記録用としてなら十分なクオリティだった。なお、上記のようにGPSに対応していないが、Wi-Fi測位などを使った簡易的な測位を使ったジオタグ情報は記録できる。
「Redmi Pad」のメインカメラで撮影。解像感には乏しいが、AIシーン認識やオートHDRを使えば、メモや記録用には十分なクオリティの写真が撮影できる
撮影写真:(3264×2448、1.38MB)
本機は8000mAhのバッテリーを内蔵している。カタログスペックでは電子書籍なら26時間、動画再生なら21時間、ゲームなら12時間の連続使用が可能としている。検証期間中に1日に3時間ほどのペースで、スマートフォンの補助としてSNSなどを中心に利用したが、4日ほどでバッテリーの残量がなくなった。電源の確保が容易な家の中で使うなら十分な性能と言える。
なお、22.5Wの出力に対応したACアダプターが同梱されている。別途充電器を揃えなくてよいのは助かる。
「Redmi Pad」の競合として、オッポの「OPPO Pad Air」の名前があがる。この両機は中国メーカー製で発売時期や価格も近く、4基のスピーカーや「Dolby Atmos」に対応した動画閲覧を重視しているというコンセプトも似ている。動画を閲覧する場合この両機に大きな違いはないだろう。ただし、本機のほうが処理性能が高く、ディスプレイが90Hz駆動に対応している点で有利だが、価格については「OPPO Pad Air」のほうが多少安い(2022年12月初旬時点の価格.com最安価格を比較した場合)。また、「OPPO Pad Air」は、4ユーザーを切り替えられるマルチユーザー機能や子どもに使わせる場合に便利な「キッズスペース」を備えているので、家族と共用する場合は本機よりも適しているかもしれない。
最安モデルでも価格.com最安価格45,800円もする「iPad」の代わりとして本機を選ぶこともありだろう。よほど特殊なものでない限り近ごろのコンテンツ配信サービスはAndroid版とiOS版のアプリを両方用意しているし、iOS機器とAndroidの間でアカウントの共有が可能だ。iOS機器で購入したコンテンツをAndroidで開くこともできるし、動画の視聴履歴、電子書籍であればブックマークを引き継ぐこともできる。アプリが見当たらない場合でもWebブラウザーを使って閲覧できる場合もある。筆者もAndroidとiOS機器を一緒に使っているが、写真、動画、電子書籍の閲覧で問題を感じたことはない。
「プライベート用の安価なタブレットが欲しい」なら、本機は価格や性能のバランスにすぐれたちょうどよい選択肢となるだろう。Androidユーザーはもちろんだが、iPadの購入を考えているユーザーにもぜひチェックしてもらいたい。
FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。