レビュー

大画面2in1 PC「XPS 13 2-in-1」レビュー、スタイリッシュで高性能だけど弱点は?

「XPS 13 2-in-1」はデル・テクノロジーズのフラグシップブランド「XPS」の2in1パソコン。2023年1月16日時点のオンラインストア価格は192,441円(税込)から。CPUに「Core i7-1250U」を搭載したハイスペックなモデルを試すことができたので、その実力をチェックしていきたい。

本体とキーボードが分離するデタッチャブルタイプの2in1パソコンに生まれ変わった「XPS 13 2-in-1」。「Core i7-1250U」、16GBのメモリー、512GB SSDを搭載下もデルの価格は222,735円(税込)

本体とキーボードが分離するデタッチャブルタイプの2in1パソコンに生まれ変わった「XPS 13 2-in-1」。「Core i7-1250U」、16GBのメモリー、512GB SSDを搭載下もデルの価格は222,735円(税込)

“タブレット+カバー兼キーボード”に生まれ変わったフラグシップ2in1

デルの「XPS 13 2-in-1」といえば、これまでディスプレイ部分が360°回転するコンバーチブルタイプの2in1パソコンだったが、今回取り上げる最新モデルは日本マイクロソフトの「Surface Pro」シリーズのようなWindowsタブレットとカバー兼キーボードを組み合わせたデタッチャブルタイプに生まれ変わった。

具体的には、13型の液晶ディスプレイを搭載するWindowsタブレットに、マグネット着脱式のキーボードボードスタンドを組み合わせる。4096段階の筆圧検知に対応したタッチペンも付属し、手書き入力も可能だ。海外モデルはキーボードスタンドやタッチペンは別売だが、国内モデルは最初からすべてセットで販売される。

まずは本体をチェックしていこう。本体サイズは約292.5(幅)×201.2(奥行)×7.4(高さ)mm、重量は約736g。13型クラスのWindowsタブレットとしてはスリムで軽量な部類に入る。2in1パソコンのパイオニアである「Surface Pro」の最新モデル「Surface Pro 9」とサイズ感は近いが、「XPS 13 2-in-1」のほうがスリムで軽量だ。

ボディはCNC削り出し低炭素アルミニウムで、高級感のある仕上がり。カラーは青みの強いシルバーで軽やかな印象だ。仕事用としてもプライベート用としても使いやすそうだ。両サイドにはスピーカーホールが並び、底面にはキーボード用の充電ポートがある。上部には指紋認証センサー搭載の電源ボタンと音量調整ボタンが備わっている。

フラグシップの「XPS」らしく、質感の高いボディ。カラーは青みがかったさわやかなシルバー

フラグシップの「XPS」らしく、質感の高いボディ。カラーは青みがかったさわやかなシルバー

上部の電源ボタンは指紋認証付き。ボリュームボタンは画面の向きに合わせて+/−が入れ替わり、直感的な操作が可能だ

上部の電源ボタンは指紋認証付き。ボリュームボタンは画面の向きに合わせて+/−が入れ替わり、直感的な操作が可能だ

本体がスリムな分、外部インターフェイスはThunderbolt 4(USB Type-C)が2基のみという割り切った仕様。「USB-C - USB-A v3.0アダプター」と「USB-C - 3.5mmヘッドセット アダプター」が付属するので、USB機器やヘッドホンは接続できる。アダプターを持ち歩かないといけないのは面倒だが、別途アダプターを購入せずに済むのはありがたい。

外部インターフェイスは左側面にThunderbolt 4(USB Type-C)×2を搭載。左右にあるとうれしかったが、2つあるだけでも及第点をあげたい

外部インターフェイスは左側面にThunderbolt 4(USB Type-C)×2を搭載。左右にあるとうれしかったが、2つあるだけでも及第点をあげたい

付属する「USB-C - USB-A v3.0アダプター」と「USB-C - 3.5mmヘッドセット アダプター」

付属する「USB-C - USB-A v3.0アダプター」と「USB-C - 3.5mmヘッドセット アダプター」

高品質なディスプレイで動画も写真も仕事も高画質で

13型のディスプレイは2880×1920と高精細で、最大輝度500カンデラ、sRGB100%カバーと高品質なディスプレイだ。高精細かつ鮮やかな表示で、動画や写真を高画質で楽しめる。高解像度で文字もシャープな表示だ。表面はグレアタイプで、見る角度によっては光の反射が気になるときがある。タブレットなので、しょうがないが指紋も目立つ。

スピーカーは横向き時にステレオ再生が可能な2W×2のステレオスピーカーを搭載。薄型ボディながら、クリアで大きな音が鳴る。動画を迫力のある音で楽しめるし、ビデオ通話などで相手の声も聞き取りやすかった。

カメラは背面と前面に2基搭載する。背面は500万画素(1080p)のWebカメラで、クリアな画質でビデオ通話やWeb会議に参加可能。背面は1100万画素の広角カメラで、4K動画も撮影できる。ドキュメントやホワイトボードの撮影など、仕事や勉強に役立ちそうだ。

1100万画素の広角カメラ。キーボードスタンドの一部を折り曲げないと撮影できない

1100万画素の広角カメラ。キーボードスタンドの一部を折り曲げないと撮影できない

キーボードはマグネットでの固定がやや不安定

付属のキーボードは、本体と専用端子で接続するタイプで充電は不要。カバーとスタンドにもなり、固定する位置を変えることで、100度、112.5度、125度の3段階で本体(画面)の角度を調節できる。本体背面にマグネットで固定する簡易的なものだが、机の上で使う分には十分安定している。ただし、膝の上など不安定な場所だと、すぐにマグネットが外れてしまう。

キーボードの重量は約560g。本体とあわせると約1296gで、約1.3kgの重さだ。タブレット本体は軽量だが、キーボードと合わせると重めのモバイルノートといったとことだ。

キーボードは本体背面にマグネットで固定することでスタンドとして利用できる。膝の上など不安定な場所だと、マグネットが外れてしまう

キーボードは本体背面にマグネットで固定することでスタンドとして利用できる。膝の上など不安定な場所だと、マグネットが外れてしまう

本体とキーボードは専用端子で接続するので、キーボードの充電は不要

本体とキーボードは専用端子で接続するので、キーボードの充電は不要

100度、112.5度、125度の3段階で本体(画面)の角度を調節できる

マグネットで固定する場所を変えることで、100度、112.5度、125度の3段階で本体(画面)の角度を調節できる

キーボード自体はバックライト付きで、フルサイズキーボードだが、ケースを兼用しているためスリムなためキーストロークは浅い。長時間タイピングする場合は別売のキーボードが欲しくなるかもしれない。

キーボードはキーピッチが実測で18mm〜19mmのフルサイズ。バックライトも備わっている

キーボードはキーピッチが実測で18mm〜19mmのフルサイズ。バックライトも備わっている

カバーを兼用しているので、構造上キーストロークは浅い

カバーを兼用しているので、構造上キーストロークは浅い

4096段階の筆圧検知に対応したタッチペンは、ペン先が滑りにくく、書きやすかった。ペン自体も太すぎず、細すぎず、握りやすい。手書きのメモはもちろん、写真のレタッチなどクリエイティブな作業にも活用できるだろう。また、紛失防止機能「Tile」が埋め込まれているのもユニーク。万一紛失しても、スマホアプリを使ってどこにあるかを探せる。

タッチペンは4096段階の筆圧検知をサポート。滑らかな書き心地で「Whiteboard」で仕事や勉強がはかどる

タッチペンは4096段階の筆圧検知をサポート。滑らかな書き心地で「Whiteboard」で仕事や勉強がはかどる

紛失防止機能「Tile」が埋め込まれたタッチペン

紛失防止機能「Tile」が埋め込まれたタッチペン

タッチペンは本体の上部にマグネットで固定兼充電できる。NFCが組み込まれており、ペアリング操作も不要。2時間以内のフル充電で最大50日間使えるという

タッチペンは本体の上部にマグネットで固定兼充電できる。NFCが組み込まれており、ペアリング操作も不要。2時間以内のフル充電で最大50日間使えるという

超低消費電力CPUでも日常使いには十分なパフォーマンスを発揮

最後にスペックをチェックしていこう。CPUには第12世代Coreプロセッサー(開発コード名「Alder Lake」)の薄型軽量パソコンおよびタブレット向けのUシリーズを搭載する。TDP(標準電力)が9WのUシリーズのなかでも消費電力の低い超低消費電力CPUだ。

今回試した「XPS 13 2-in-1」の主なスペック
○CPU:Core i7-1250U TDP(標準電力)9W、最大電力29W
Pコア:2コア8スレッド、基本動作周波数1.1GHz、最大周波数4.4GHz
Eコア:8コア8スレッド、基本動作周波数0.8GHz、最大周波数3.50GHz
○メモリー:16GB(LPDDR4x-4267)
○ストレージ:512GB SSD

超低消費電力CPUはバッテリー駆動時間を重視するため、パフォーマンス不足というイメージを持っている人もいるかもしれないが、最新CPUはパフォーマンスが高い。各種ベンチマークでも高いスコアを記録し、日常使いはもちろん、仕事も遊びもサクサクとこなせそうだ。もちろん、PCゲームやクリエイティブ系の高負荷なアプリを長時間動作させるのには向かないが、持ち運び用のマシンとしては十分な性能だ。

パソコンの総合性能を測定する「PCMark 10 Professional Edition」の結果。快適に動作する目安は、基本性能を示すEssentialsが「4100」、Officeアプリなどビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが「4500」、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationが「3450」となっているが、本製品はいずれも大きく超えている

パソコンの総合性能を測定する「PCMark 10 Professional Edition」の結果。快適に動作する目安は、基本性能を示すEssentialsが「4100」、Officeアプリなどビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが「4500」、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationが「3450」となっているが、本製品はいずれも大きく超えている

グラフィック性能を測定する「3D Mark Basic Edition」の結果。DirectX 12世代のテスト「Time Spy」のスコアは「1220」と、3Dゲームを遊ぶのには向かない(もちろん、ゲーム用のPCではないが)

グラフィック性能を測定する「3D Mark Basic Edition」の結果。DirectX 12世代のテスト「Time Spy」のスコアは「1220」と、3Dゲームを遊ぶのには向かない(もちろん、ゲーム用のPCではないが)

最後に、「CrystalDiskMark 8.0.4 x64」でストレージの性能も測ってみた。PCI Express 4.0接続だけあって、読み書きも高速だ

最後に、「CrystalDiskMark 8.0.4 x64」でストレージの性能も測ってみた。PCI Express 4.0接続だけあって、読み書きも高速だ

バッテリー駆動時間は公表されていないが、49.5Whrの3セルバッテリーを内蔵。無線LANに接続した状態で、ベンチマークやWebサイトでの調べ物などを行っても、なかなかバッテリーは減らず、肌感覚ではあるが、バッテリー駆動時間はなかなか優秀な印象だ。ACアダプターは45Wで、USB PDにも対応する。

ACアダプターはコンパクトだが、ケーブルが太くて長い

ACアダプターはコンパクトだが、ケーブルが太くて長い

そのほかワイヤレス通信はWi-Fi 6EとBluetooth 5.2をサポート。LTEモデルはラインアップされていないが、最新モデルらしく最新の仕様だ。

柔軟な使い方ができる完成度の高い2in1パソコン

「XPS 13 2-in-1」は完成度の高いデタッチャブルの2in1パソコンだ。カバーをするのがもったいない洗練されたボディに、13型の高品質なディスプレイを搭載。ただし、カバー兼キーボードは好みが分かれそうなところだ。まず、ストロークが浅く、浅めのキーボードが苦手な人は、好みのキーボードを組み合わせるなど工夫が必要になるかもしれない。マグネットで固定するスタンドも、使い方や使う場所によっては不安定だ。

超消費電力のCPUは、パフォーマンス面では心配は不要。仕事や勉強、日常使いで遅く感じることはまずないだろう。

「XPS 13 2-in-1」はタブレットとしての使いやすさや、タッチペンを使った手書き入力に魅力を感じる人向けのモデルと言えるだろう。2in1パソコンなので、もちろんノートパソコンのように使うこともできる。この柔軟性が「XPS 13 2-in-1」の大きな力と言える。新生活にあわせて、新しいパソコンを探している人はぜひチェックしてみてもらいたい。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!

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