久しぶりにiPhoneを買い替えようと思ったとき、豊富なラインアップの中からどのモデルを選ぶか判断するのは骨が折れる作業です。特にここ数年は、Apple Store(オンライン)でも数年前のモデルが併売されるようになっており、ユーザーは8機種の中から検討しなくてはなりません。
そこで本記事では、現行のiPhoneのラインアップと特徴を整理。各機種がどんな人におすすめできるのかをまとめました。
2023年11月時点において、iPhoneシリーズの最新ナンバリングは「15」です。ただし、Apple Store(オンライン)では、最新世代以外の「14」「13」も併売されており、ラインアップとしては以下の8モデルが並びます。
・iPhone 15 Pro Max:2023年9月発売、6.7インチ、A17 PRO搭載
・iPhone 15 Pro:2023年9月発売、6.1インチ、A17 PRO搭載
・iPhone 15:2023年9月発売、6.1インチ、A16 Bionic搭載
・iPhone 15 Plus:2023年9月発売、6.1インチ、A16 Bionic搭載
・iPhone 14:2022年9月発売、6.1インチ、A15 Bionic搭載
・iPhone 14 Plus:2022年9月発売、6.1インチ、A15 Bionic搭載
・iPhone 13:2021年9月発売、6.1インチ、A15 Bionic搭載
・iPhone SE(第3世代):2022年3月発売、4.7インチ、A15 Bionic搭載
本記事では、これらのモデルに絞って、解説していきましょう。なお、表記する価格はApple Storeでの販売価格になります。
現行のラインアップの中で最も安く入手できるのが「iPhone SE(第3世代)」です。価格は、64GBモデルの62,800円(税込、以下同)から。最安価のモデルでありながら、搭載するチップセットは「A15 Bionic(4コアGPU版)」なので、処理性能としては2021年のスタンダードモデルと同等です。現行ラインアップの中で唯一、生体認証でTouch IDを利用できるという点も、指紋認証にこだわりのある人ならばメリットでしょう。
ただし、画面サイズは4.7インチと小さく、バッテリー持ちが最大15時間と短め。背面カメラの構成も1200万画素の標準カメラのみで、ほかの機種と異なり超広角撮影は利用できません。
また、暗所でも明るく撮れる「ナイトモード」にも非対応です。一度、「iPhone X(テン)」シリーズ以降のiPhoneを使ったことがある人ならば、物足りなく感じる仕様ではあります。
たとえば、iOS 17でサポート対象外になってしまった「iPhone 8」などの旧機種モデルを長年使い続けてきた人が、慣れ親しんだスタイルを継続できる選択肢として魅力があります。あるいは、子どもや親に初めてiPhoneを持たせる際にも有力候補になるでしょう。
なお、「iPhone SE(第3世代)」は、現在のラインアップのうち、唯一最小構成のストレージが64GBである点は把握しておきましょう。64GBは長期使用を前提にOSアップデートなどを繰り返すうえで、心もとない数値ですので、購入時に128GBモデルなどの上位構成を選択したり、クラウドストレージや外部ストレージの活用を考えたりする必要が出てきます。
数年振りにiPhoneを買い替えるという人は、最新ナンバリングのスタンダードモデル「iPhone 15」を検討しましょう。「iPhone 15」では、仕様に大きな変化が3つあったからです。
1つ目は、「iPhone 15」では背面カメラが「標準」と「超広角」の2種類でありながらも、カメラアプリの中のUIとして、2倍望遠カメラが備わったような体験に整ったことです。
標準カメラの解像度が4800万画素にアップしたことで、中央の1200万画素を使いながら、擬似的な光学2倍ズームを再現できるようになりました。つまり、これまで“画質の落ちにくい望遠撮影”は上位の「Pro」シリーズのみの特権でしたが、こうした体験が部分的にスタンダードモデルにも降りてきたわけです。
2つ目は、ディスプレイのノッチがなくなり、インカメラは「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」というUIと連動したパンチホールインチのデザインに変更されたことです。この機構は、2022年発売の上位モデル「iPhone 14 Pro/Pro Max」で採用されていたものですが、こちらも「iPhone 15」のスタンダードモデルに降りてきました。
たとえば、タイマーをセットした際に、ホーム画面のままで残りの秒数を確認できたりします。さらに、画面輝度もピーク輝度(HDR)1600nit、ピーク輝度(屋外)2000nitへ向上したことで、直射日光下での視認性などが向上していることも見逃せません。
3つ目は、USB Type-Cポートが採用されたことです。iPadやMacを併用している人にとっては、充電ケーブルなどを共通化させやすくなりました。ただし、USBの規格は、従来のLightningコネクタと同じ「USB 2.0(※Appleでの表記は「USB 2」)」のまま。つまり、データ伝送速度は速くなっていないので、あらかじめ理解しておきましょう。
価格は、124,800円(128GB)から。カラーバリエーションは「ピンク」「イエロー」「グリーン」「ブルー」「ブラック」の5色展開です。なお、背面は磨りガラスのような質感になっており、従来世代のスタンダードモデルと比べても質感が洗練されています。
先述した「iPhone 15」の画面サイズが6.1インチであるのに対し、「iPhone 15 Plus」は6.7インチまでサイズアップします。たとえば、電子コミックを閲覧する際に、セリフの文字が小さくて読みづらかったという人は、6.7インチの大画面モデルを選択することで、視認性が向上します。もちろん、画面が大きくなるため動画視聴をひんぱんに行う人にもピッタリです。
ただし、サイズは77.8(幅)×160.9(高さ)×7.80(厚さ)mm、重量は201gです。これは「iPhone 15」の71.6(幅)×147.6(高さ)×7.80(厚さ)mm、重量171gと比べてひと回り大きいサイズ。そのため、タイトなズボンのポケットに収納したままだと、座りづらさを感じることもあるかもしれません。
なお、基本的な仕様は「iPhone 15」と共通していますが、バッテリー持ちに関しては、「iPhone 15 Plus」のほうが長いのがポイント。たとえば、仕様表におけるビデオ再生時のバッテリー持ちの数値は、「iPhone 15」だと最大20時間ですが、iPhone 15 Plusでは最大26時間です。
価格は最小構成の128GBモデルで139,800円から。「iPhone 15」と比べると+15,000円で手が届きます。カラーバリエーションは、「iPhone 15」と共通です。
「iPhone 15 Pro」は、「iPhone 15」と同じ6.1インチの端末です。筐体の素材として新たにチタニウムが採用され、強度を保ったまま軽量化を実現しているのがポイント。ここ数年の「Pro」シリーズは重量が増加傾向にありましたが、「iPhone 15 Pro」では187gまで抑えられています。
これは2020年発売の「iPhone 12 Pro」と同等です。つまり、「iPhone 11 Pro」や「iPhone 12 Pro」のユーザーが久しぶりに買い替えを検討するうえで、重さの変化を気にせずに済むと言えます。
先述したとおり、「iPhone 15」シリーズでは、スタンダードモデルでも擬似的な光学2倍ズームが可能になったり、Dynamic Islandが搭載されたりと、従来では「Pro」シリーズならではの体験だった部分が、いくつか降りてきました。
しかし、「Pro」シリーズだけのメリットは、ほかにも多く残っています。ここでは、以下の4つを把握しておきましょう。
1つ目は、常時表示ディスプレイに対応していること。iOS 17で追加された「スタンバイモード」では、充電時に端末を横向きにすることで、置き時計やフォトフレームのような使い方ができるようになりました。常時表示は、こうした機能を有効活用するうえで、欠かせない仕様です。
2つ目は、カメラの差です。「iPhone 15 Pro」では、光学3倍相当の望遠カメラが備わっていて、スタンダードモデルよりも高倍率での撮影が可能です。撮影機能も豊富で、「ナイトモードのポートレート」や「マクロ写真撮影」などが使えます。
また、プロ向けの機能も多く、Apple ProRAWでの静止画撮影や、ProResビデオ撮影などができます。「Pro」の名を関するとおり、撮影機材としても魅力がある端末です。
3つ目は、USB Type-Cのデータ伝送速度が速いこと。「iPhone 15 Pro」のUSB Type-Cポートは、「USB 3.2 Gen 2」に対応しています。同規格に対応するケーブルを用意すれば、10Gbpsでのデータ転送が行えます。iPhoneを撮影機材として使い、尺の長い動画などを撮影した場合、それを有線経由でMacやPCへと吸い出しやすくなっています。
4つ目は、「A17 Pro」チップセットのGPUが強力であること。スタンダードモデルが搭載する「A16 Bionic」も十分パワフルなので、普段使いではあまり差を意識しなくて済む部分でしょうが、ゲーミングに関しては明確な差があります。
「A17 Pro」は、「レイトレーシング」というゲーム空間内の光をリアルに再現する技術に対応しており、これに対応した「iPhone 15 Pro」では、AAA級のゲームタイトルも遊べます。
価格は159,800円(128GB)から。ストレージの選択肢は、スタンダードモデルでは128GB、256GB、512GBの3つでしたが、「Pro」シリーズはこれらに加えて1TBも選択できます。カラーバリエーションは「ナチュラルチタニウム」「ブルーチタニウム」「ホワイトチタニウム」「ブラックチタニウム」の4種類です。
「iPhone 15」と比べると+35,000円の差があるので、先述したようなポイントに付加価値を感じられるかどうかが選択の分かれ目となるでしょう。
「iPhone 15 Pro Max」では、上述したような「Pro」シリーズの特徴を備えながら、かつ6.7インチの大画面ディスプレイを備えるのが特徴です。
ただし、「iPhone 15 Pro」とも異なる「iPhone 15 Pro Max」だけの機能として、光学「5倍」相当の望遠カメラが用意されています。ちなみに、カメラユニットとしては「テトラプリズム」と呼ばれる機構を採用していて、大きなイメージセンサーを配置しやすくなっています。
つまり、「iPhone 15 Pro Max」は、撮影機器としてより柔軟な構図を選択しやすいのがポイント。6.7インチの大画面によって、撮影した画像や映像を細部までチェックしやすいというメリットも兼ね備えます。
また、6.7インチの大画面は、将来的にiPhoneで遊べるAAAタイトルが増えてくることを考えた際に、ゲーミングデバイスとしてのメリットにもつながるでしょう。
ただし、価格は189,800円(256GBモデル)から。「iPhone 15」と比べると+65,000円、iPhone 15 Proと比べても+30,000円の差があります。カラーバリエーションはiPhone 15 Proと共通。ストレージの最小構成は256GBモデルからで、最大容量は1TBです。
以降は、併売されている旧世代モデルの紹介です。まず、2022年発売の「iPhone 14」は、チップセットに「A15 Bionic(5コアGPU)」を搭載。価格は最小構成の128GBモデルが112,800円で、「iPhone 15」と比べると、12,000円ほど安価に購入できます。
「iPhone 14」以前のモデルは、充電コネクタにLightningが採用されています。たとえば、MacやiPadを使っておらず、必要な周辺機器がUSB Type-Cに変わってしまうと、余計なコストがかかってしまうという人ならば、あえてiPhone 14を選択するメリットがあるでしょう。
その中でも後述する、「iPhone 13」ではなく、「iPhone 14」を選択するメリットは、主にカメラにあります。
ここからは「iPhone 13」との比較になりますが、たとえば、「iPhone 14」では標準カメラのF値が1.6から1.5に下がったほか、静止画としては「Photonic Engine」機能をサポート。インカメラもオートフォーカスに対応しています。また、動画については「アクションモード」に対応し、まるでジンバルを使ったようなブレの少ない映像が撮影できます。
そのほか、「衝突検知機能」を備える点や、Bluetooth 5.3をサポートしていることなども「iPhone 14」以降のモデルの特徴です(※「iPhone 13」まではBluetooth 5.0)。
カラーバリエーションは、「ブルー」「パープル」「イエロー」「ミッドナイト」「スターライト」「(PRODUCT)RED」の6色が用意されています。
「iPhone 14」シリーズに関しては、6.7インチの「Plus」も併売されています。主なメリット&デメリットは、「iPhone 15 Plus」で紹介したような内容とほぼ共通します。たとえば、「iPhone 14 Plus」の仕様表におけるビデオ再生時のバッテリー持ちの数値は、「iPhone 14」だと最大20時間ですが、「iPhone 14 Plus」では最大26時間です。
いっぽう、「iPhone 14 Plus」の価格は、124,800円(128GB)。「iPhone 15 Plus」と比べると、15,000円安く入手できます。大きな画面やバッテリー駆動時間に魅力を感じるものの、少しでも予算を抑えたい人には魅力的なモデルでしょう。
「とにかく安く端末が欲しいけれど、iPhone SEでは画面サイズが小さすぎる」という人は、「iPhone 13」も候補に上がってきます。端末価格は、95,800円(128GB)。Face IDによる顔認証を採用した新世代デザインの機種としては、最も安価な選択肢です。たとえば、「iPhone SE(第3世代)」を購入するための予算に、+33,000円を出せば、こちらに手が届きます。最小構成のストレージが同世代からは128GBになっている点も安心です。
なお、「iPhone 14」のところで述べたようなカメラ機能や衝突検知機能の差を除けば、大きな体験差はありません。ビデオ再生時のバッテリー持ちが、「iPhone 14」が最大20時間、「iPhone 13」が最大19時間と、わずかに異なる程度です。
古い機種ゆえにOSサポート期間が若干短くなることが問題なければ、「iPhone 13」を選択したほうが、17,000円安価に入手できます。iPhone 14が気になった場合には、こちらも合わせてチェックしておくとよいでしょう。
カラーバリエーションは、「(PRODUCT)RED」「スターライト」「ミッドナイト」「ブルー」「ピンク」「グリーン」の6つです。
アップルは、初期不良などで返品された製品を点検・整備したうえで、「認定整備済製品」としてやや安価に販売する仕組みを用意しています。これまでMacやiPadなどが取り扱われていましたが、2023年2月にはiPhoneも登場。バッテリーや外装が新しいものに交換された状態で提供されています。
認定整備済品をチェックするメリットは、過去世代の上位モデルのiPhoneが、安価に手に入る可能性があること。たとえば、実際に認定整備済製品をチェックしてみると、2023年10月中旬時点では、「iPhone 12 Pro Max(512GBモデル)」が133,800円で販売されていました。過去世代とはいえ、「Pro」シリーズの大容量モデルをこの価格で購入できるのは魅力的です。
なお、認定整備済品は、在庫数が限られており、購入できるかどうかは早い者勝ちで決まります。気になる製品が見つかった際には、早めの決断を心掛けましょう。
また、価格.comではiPhoneの中古端末もラインアップされています。新品が高くて手が届かないという人は、中古端末をチェックしてみるとよいでしょう。
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