ASUS JAPANからChromebookの新モデルが登場しました。ディスプレイ部分が360度回転する「Chromebook CM14 Flip(CM1402F)」です。価格.com最安価格69,800円という手ごろな価格が魅力の本モデルをレビューしていきましょう。
14型液晶ディスプレイを搭載する「Chromebook CM14 Flip(CM1402F)」
ASUS JAPANの公式ストアを見ると、2023年5月24日時点で20機種ものChromebookが販売されています。ゲーム向けの「Chromebook Vibe CX55 Flip」や4万円台の「Chromebook CX1」など選択肢は豊富。画面サイズも10.5型から15.6型まで、Windowsパソコン並みのバリエーションです。
今回取り上げる最新モデルの「Chromebook CM 14 Flip(CM1402F)」は、14型のディスプレイを搭載したオーソドックスなChromebookです。性能や機能面で特筆すべき点はありませんが、バランスのいいモデルで、仕事や勉強など日常使いに向いています。
「Flip」という製品名のとおり、ディスプレイ部分が360度回転し、タブレットスタイルやテントスタイルなどさまざまなスタイルで利用できるのが特徴です。ヒンジの剛性が高く、好みの位置でしっかり固定でき、タッチ操作をしても角度が変わることはありません。
ディスプレイ部分が360度回転し、タブレットスタイル(左上)、テントスタイル(左下)、スタンドスタイル(右下)など、いろいろなスタイルで使えます
ラインアップは「ASUS USI Pen」というスタイラスペンが付属するモデルと、付属しないモデルが用意されています。価格.com最安価格はどちらも変わらないので、スタイラスペンが付属するモデルを選びたいところです。今回はスタイラスペンが付属したモデルをレビューしています。
本体サイズは約324.6(幅)×226.7(奥行)×18.3〜20.8(高さ)mm、重量は約1.56Kg。米国軍用規格「MIL-STD 810H」に準拠しており、安心して持ち歩ける頑丈さがウリです。ただし、14型ノートパソコンとしては、厚めで重い部類に入るので、毎日持ち運ぶ人は、より薄型で小型のChromebookを選ぶといいかもしれません。
カラーはシンプルな色味の「グラヴィティグレー」。全体的にフラットで、直線的な形状です。複数のリサイクル素材を使用しており、環境にも配慮。金属製のモデルのような高級感はありませんが、チープな印象もありません。
本体カラーは「グラヴィティグレー」という落ち着いたグレー。天板にはChromebookとASUSのロゴが配置されています
底面にはスピーカー用のスリットが左右にあります。サウンドはやや籠もった音です
ディスプレイは1920×1080のフルHD液晶。タッチや付属のペンを使って操作できます。ベゼル(額縁)は最新モデルと比べると少し太め。数年前のChromebookに比べると、ずいぶんスッキリした印象ですが、最新のWindowsパソコンはかなり狭額縁化が進んでおり、それらと比べると額縁の太さが気になります。
画質は約7万円という価格を考えれば、不満のないレベルです。仕事や画質には問題なく使えるでしょう。なお、ディスプレイの表面は光沢タイプなので、使用環境によっては映り込みが気になるときがあります。
フルHD解像度の14型液晶ディスプレイ。表示品質は鮮やかさにやや欠けますが、日常使いには困らないクオリティです。左右のベゼルは細いのですが、上下の太さが気になります
光沢タイプなので、角度や使う環境では映り込みが気になります
ディスプレイ上部には約92万画素のWebカメラが搭載されています。プライバシーシールドがあり、使わないときは物理的にカメラをふさいでおけて安心。カメラの画質は標準的で、ビデオ会議などには十分なクオリティです。顔自動認証による露出補正があるので、暗い場所でも顔を明るく補正してくれます。
プライバシーシールドが搭載されており、意図せずカメラがオンになるのを防止できます。Webカメラ部分がオレンジ色(写真左)になっていれば、カメラがふさがれています
キーボードはキーピッチが実測で19mmと標準的なピッチです。ストロークは1.5mmでこちらも標準的。タイピングすると、カチャカチャと少しチープな音がしますが、これは防滴仕様のせいかもしれません。本モデルは、わずかな水なら排水できる防滴仕様のキーボードを備えており、子どもが飲み物を誤ってこぼしても安心して使えます。
また、キーボードやタッチパッドパッド、パームレストは「ASUSアンチバクテリア加工」がほどこされており、清潔に保てます。
防滴仕様のキーボード。大きめのタッチパッドでマルチタッチやジェスチャー操作も楽々です
スタイラスペンは本体右側に内蔵されています。軽く押し込むとペンの頭が飛び出る仕組みなので、簡単に引き出せます。ペン自体は短くて細め。システム手帳と一緒に使うような小さなペンのようなサイズ感です。メモくらいには問題ありませんが、本気のスケッチには向かないでしょう(弘法筆を選ばずかもですが)。
本体に内蔵されたスタイラスペン。押し込むと、ペンの頭が飛び出し、手書きツールがまとまった「タッチペンツール」が立ち上がります
スタイラスペンは細くて短いタイプ。好みは分かれそうですが、メモ程度には問題なく使えるでしょう
書き心地は、ディスプレイ面に適度な摩擦があり、つるつる滑って書きにくいということはありません。手を画面に置いた状態でも誤操作なしで書けます。仕事や勉強のメモには十分な書き心地です
最後にスペックをチェックしましょう。結論から言うと、決して高性能ではなく、バランスを重視したスペックです。
CPUは「MedeiaTek Kompanio 520」という8コアのSoCです。メモリーは8GB、ストレージは64GBのeMMC。高速なSoCではありませんが、WebアプリやAndroidアプリはサクサク動作しました。ブラウザーベースの作業には十分なパフォーマンスを備えていると言えるでしょう。
ベンチマークアプリ「Geekbench 5.5.1」の結果はマルチコアが1469、シングルコアが505でした。Snapdragon 600番台の上〜700番台の下あたりの結果です
バッテリー駆動時間はカタログスペックで約12.1時間。YouTubeを1時間連続再生してみたところで、100%から8%ほど減りました。Chromebookはもともとバッテリーの持ちがいいのがウリですが、本機も安心して外に持ち出せそうです。
外部インターフェイスは左側面にUSB 3.2 Gen1 Type-C、USB 3.2 Gen1 Type-A、3.5mmヘッドホン出力、microSDメモリーカードスロットを、右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-Cを搭載。USB 3.2 Gen1 Type-Cは本体の給電(USB Power Delivery)とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力に対応します。左右にあるのが地味に便利で、電源ケーブルが左右どちらにあっても無理なく接続できます。
充電、映像出力、データ転送に利用できるUSB 3.2 Gen1 Type-Cを左右に配置
ACアダプターは45Wタイプ。USB PDに対応しているので、手持ちのアダプターも使えました
「Chromebook CM14 (CM1402C) 」をレビューしてみて、Chromebookが年々進化していることを実感しました。決してスペックは高くありませんが、起動は高速でアプリもサクサク動きます。Chromebookが登場したてのころは、少し動作がもっさりしていましたが、本モデルはそんなことはありません。
また、アプリも豊富にそろっており、Chromebookだからと言って、「決定的にこれができない」ということはないのではないでしょうか。もちろん、できないこともありますが、その数は確実に減っていると思います。ブラウザーベースで仕事や学習が済むという人は、お手ごろ価格の「Chromebook CM14 (CM1402C) 」をチェックしてみてください。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!