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【PS5】ゲーマーが有線イヤホンから完全ワイヤレスへ移行した結果

ゲームの音声を聞き取りやすくし、よりゲームに没入するためのガジェットとして人気のゲーミングヘッドセットやゲーミングイヤホン。ゲーマー界隈では、ヘッドセットにしろ、イヤホンにしろ、有線派と無線派に分かれています。

PS5をメインに遊ぶ筆者は、数年前に愛用していたゲーミングヘッドセットからゲーミングイヤホンへと乗り換えましたが、どちらも有線を使っていました。理由は、FPSやTPSなどのオンライン対戦ゲームをメインでプレイするため遅延が何よりも心配だったからです。

しかし、さまざまな事情から1か月ほど前にロジクールのゲーミング完全ワイヤレスイヤホン「ロジクールG FITS」(以下、「G FITS」)に移行しました。そこで今回は、有線から無線へと切り替えて、ゲーム体験がどう変わったのかをレポートしましょう。

有線イヤホンからゲーミング完全ワイヤレスイヤホン「G FITS」に移行した結果は?

有線イヤホンからゲーミング完全ワイヤレスイヤホン「G FITS」に移行した結果は?

有線から無線へと移行した理由

まずは、ゲーミング完全ワイヤレスイヤホンに移行した理由を説明させてください。

数年前までは、音の臨場感や迫力、没入感といった魅力から有線のゲーミングヘッドセットを利用していました。しかし、ゲーミングヘッドセットは有線でも無線でも重量が大きく(筆者が使用していたのは約300g)、長時間プレイしているとどうしても頭や首に疲れを感じるんですよね。また、耳の蒸れも気になるポイントでした。

ゲーミングヘッドセットはすごく気に入っていましたが、重量がネックでした

ゲーミングヘッドセットはすごく気に入っていましたが、重量がネックでした

耳を包み込む迫力のサウンドや定位の取りやすさは非常に魅力的だったのですが、そろそろ限界ということで、次はブームマイク付きの有線ゲーミングイヤホンに乗り換えました。

乗り換えた有線ゲーミングイヤホンは、エントリーからミドルクラスのちょうど中間くらいのモデルだったため、使用していたゲーミングヘッドセットより音質が下がってしまったのですが、やはり重たいヘッドセットからの解放がいちばんよかったですね。長時間プレイしていても頭や首が疲れることはありませんし、取り回しが非常に楽でした。

しかし、使っているうちにイヤーピースの着け心地がよくなく耳に痛みを感じたり、席を外すときにいちいち取り外したりするのが面倒だと感じるようになります。

そこで次の候補にあがったのが、ゲーミングに特化した完全ワイヤレスイヤホンです。

やっぱり低遅延接続は外せない

ゲーム用の完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ際に重視したのは、以下の点です。

1.長時間つけっぱなしでも耳が痛くなりにくい
2.Bluetooth以外の低遅延接続対応
3.マイクの音質が良好

「1」については、イヤーピースを別途購入することで解決できそうですが、完全ワイヤレスイヤホンにイヤーピースを付けるときは、イヤーピースを付けた状態で充電ケースにちゃんと入るかどうかが実際に使ってみるまでわからないんですよね。

ということで、いろいろ悩んだ結果たどり着いたのがロジクールの「G FITS」です。次の章から、着け心地、遅延と定位、操作性、音質、マイクという5つのポイントで解説します。

着け心地

「G FITS」の大きな特徴は、イヤーチップのカスタムフィットテクノロジー「LIGHTFORM」です。これは耳の型取りができる機能で、パッケージから取り出して最初に装着する際に、イヤホン内部のUVライトの熱によりシリコン製イヤーチップをやわらかくしてユーザーの耳型を取って、そのまま固めてしまうというもの。つまり、自分の耳だけにフィットするイヤホンが作れちゃうというわけです。

「G FITS」は、初回使用時にアプリで耳の型取りを行います。型取りは最初の1回しかできないのですが、アプリの指示に従えばミスらないと思います

「G FITS」は、初回使用時にアプリで耳の型取りを行います。型取りは最初の1回しかできないのですが、アプリの指示に従えばミスらないと思います

これは型取り前の写真ですが、型取り後も見た目は同じです。「イヤーピースでかくないか!?」と思ったのは私だけではないでしょう

これは型取り前の写真ですが、型取り後も見た目は同じです。「イヤーピースでかくないか!?」と思ったのは私だけではないでしょう

自分の耳の穴にぴったりとフィットするイヤーピースにより、ほかのイヤホンよりも圧迫感などが少なく、かつ、自然なパッシブノイズキャンセリングを実現できるとされています。

実際に「LIGHTFORM」で型取りして着用してみましたが、これがなかなか心地よいフィット感なんですね。耳にグイッと強く押し込まなくても自然にフィットしてくれて、耳への圧迫感が全然ないんですよ。個人差があるかもしれませんが、5時間くらいゲームを連続で遊んでも、耳の痛みは感じませんでした。

実際に着用すると、強く押し込まないでも隙間なくピッタリと耳の穴にフィットしてくれます。ほかの製品ではなかなか味わえないフィット感です

実際に着用すると、強く押し込まないでも隙間なくピッタリと耳の穴にフィットしてくれます。ほかの製品ではなかなか味わえないフィット感です

遅延と定位

完全ワイヤレスイヤホンをゲームに使うときに気になるのが、やっぱり遅延です。ここが怖くてなかなか移行できないという人もいるでしょう。

「G FITS」は、2種類の接続方式に対応していて、ひとつはBluetoothです。方式はSBCに加えて、SBCよりも高音質&低遅延のAACにも対応しています。もうひとつは、ロジクール独自のワイヤレス通信技術「LIGHTSPEED」です。

スマートフォンなどで利用する場合には、Bluetooth接続でしか利用できません。「LIGHTSPEED」は、専用のアダプターをPS5やNintendo Switch、PCに差し込むことで利用できます。

スマートフォン利用時はBluetoothで接続。ゲームだけではなく、音楽試聴にも使えますよ

スマートフォン利用時はBluetoothで接続。ゲームだけではなく、音楽試聴にも使えますよ

「LIGHTSPEED」は、超低遅延の接続方式で、BluetoothのAACよりも高速とのこと。今回はPS5で使用しましたが、一度接続してしまえば、PS5を起動すると自動で接続してくれます。また、イヤホン本体を3回タップすることで「LIGHTSPEED」とBluetoothを切り替えることもできます。切り替えのスピードは数秒しかかからず、遅いと感じることはありません。

「LIGHTSPEED」のアダプターはPS5のUSBポートに差し込んで接続。写真のように本体正面のUSBポートに差し込むとじゃまなので、背面のほうがいいと思います

「LIGHTSPEED」のアダプターはPS5のUSBポートに差し込んで接続。写真のように本体正面のUSBポートに差し込むとじゃまなので、背面のほうがいいと思います

実際に試してみましたが、遅延に関しては正直なところ、有線のイヤホンと比べても体感的に違いを感じないくらいに高速でした。これまで心配していたのは何だったのかというレベルです。

音の臨場感という点ではゲーミングヘッドセットに劣るものの、敵の足音や銃声の方向など定位もしっかり取れるため、この点に関しても満足です。

タップ操作

操作系統で言うと、イヤホンのタップの精度が気になるところです。1回タップで音量を上げられるのですが、タップの認識範囲がそれほど広くないため、検知してくれないこともあります。有線ヘッドセットやイヤホンであれば、ケーブルに付いている音量ボタンで調節できるので、正直そちらのほうが快適です。

タップ操作の認識精度はそこまで高くありません

タップ操作の認識精度はそこまで高くありません

あと、これは「G FITS」固有の問題だと思いますが、プレイ中に耳から外して離席して、数分後に戻ってくると「LIGHTSPEED」接続が切れていることが多々あります。その場合は、着用してイヤホンを3回タップして……と手間がかかり、若干のストレスポイント。あと、再接続時はなぜか音声のボリュームが小さいデフォルトの状態に戻ってしまうことがあり、いちいちイヤホンをタップして音量を上げるのが面倒でした。

やはり、本体をタップして操作するのは、物理ボタンが付いている有線ヘッドセットやイヤホンには快適さでかなわないなという印象です。

音質

ゲーミングイヤホンということで、音質もチェックしましょう。実際にプレイしてみると、音自体はクリアなのですが、高音と中音が弱くて、低音が若干強めな印象。個人的な好みになりますが、ゲームをするときは、特にFPSの場合は低音が強いと、迫力はあるのですが、爆発音などが大きすぎて、周囲の状況がわからなくなります。

また、個人的にいちばん聞こえてほしい足音を大きくしたいため、高音を強めにしたいです。低音は小さめ、中音は普通で高音は若干強めというのが好みです。

これに関して、「G FITS」はスマートフォン向けアプリ「Logicool G FITS」でイコライザーの調整が可能です。ここを調整すると、自分好みのバランスに設定できたので、問題ありませんでした。

イコライザーにはデフォルトの「Gシグネチャー」のほか、「低音ブースト」「FPS」「MOBA/RPG」といったモードも用意。カスタマイズで自分専用の設定を作れるのが便利です

イコライザーにはデフォルトの「Gシグネチャー」のほか、「低音ブースト」「FPS」「MOBA/RPG」といったモードも用意。カスタマイズで自分専用の設定を作れるのが便利です

ただし、イコライザーはアプリでしか設定できません。PS5に接続した状態のままイコライザーの設定ができないので、スマートフォンに「G FITS」を接続してYouTubeのゲーム動画を見ながらイコライザーを調整し、PS5に再接続して確認するという、なかなかに面倒な手間がかかります。

また、音質のリッチさやクリアさという点では、同じ価格帯(価格.com最安価格が3万円程度)の完全ワイヤレスイヤホンと比べると、全体的にちょっと下がるかなという感じ。「LIGHTFORM」テクノロジーが価格を押し上げているところがあるので、音質については少しグレードが下がると思ってもらっていいと思います。個人的にはゲームにそこまで高音質を求めていないので許容範囲でした。ただ、約3万円という価格は決して安くはないので、音質が気になる人は気になるかもしれません。

マイク

オンライン対戦ゲームなどでボイスチャットを使う場合に重要なのがマイク性能ですよね。マイク性能が低いと、コミュニケーションが取りづらくて、自分だけではなくフレンドにも迷惑がかかっちゃいます。

「G FITS」は、ユーザーの声を優先して拾うビームフォーミングマイクを搭載しています。ビームフォーミングマイクとは、複数のマイクを使ってユーザーの声や周囲のノイズがどの方向から届いているかを判別し、声だけを優先的に拾ってくれるというものです。

実際に使ってみたところ、マイクの音質は残念ながらよくありません。ひとつ前に使用していたエントリークラスの有線ゲーミングイヤホンは、低価格ですがブームマイクが付いていており、これと比べても劣るという印象です。

いくらビームフォーミングマイクを搭載していても、ブームマイクのような物理マイクには音質的にかなわないことを実感しました。実際に、2つのマイクに話しかけた音声を録音してみたのでご確認ください。

下記の動画はゲーム画面を録画して、さらにYouTubeにアップロードしているので、実際よりも音質は劣化していますが、2つの差分を確認するには問題ないかと思います。

音声を確認すると、「G FITS」は音声が割れているのがわかるかと思います。ただ、「何を言っているかわからない」というレベルではないので、そこまでボイスチャットを使用しない人だったら問題ないかもしれません。

筆者は、フレンドと遊ぶことが多いのでボイスチャットを多用します。そのため「G FITS」のマイク性能については妥協できず、友人から譲り受けたコンデンサーマイクをPS5に接続して使用することにしました。

こういったマイクデバイスを別途用意するのには追加で費用がかかります。「G FITS」のような完全ワイヤレスイヤホンに移行しようとしている人のなかで、ボイスチャットをひんぱんに使う人は、しっかりと対策を考えたほうがいいと思います。

まとめ

有線イヤホンから「G FITS」に移行して感じたメリット&デメリットは以下のとおりです。

〇メリット
・とにかく取り回しがいい
・長時間着けていても疲れない
・遅延は感じない

〇デメリット
・物理マイクと比べてマイク性能が悪い
・タップ操作の反応が微妙
・充電は忘れずに

有線イヤホンから「G FITS」に移行してみて、遅延は感じないし、とにかく耳から外したりしないで済む取り回しのよさが完全ワイヤレスイヤホンの最大の魅力だと再確認しました。弱点はやはりマイクですね。ここが唯一の不満点です。

タップ操作については、物理ボタンに比べたら快適性は下がりますが、ほかのメリットを考えると、まあしょうがないですよね、という感じです。

また、これは完全ワイヤレスイヤホンの宿命ですが、充電するのを忘れると、いざというときにバッテリー切れで使えません。使ったら充電するのを習慣づければ問題ないんですけどね。

結果的には、有線イヤホンから完全ワイヤレスへ移行してみて、非常によかったと思っています。とにかく取り回しがいいので、一度使うと、もう有線イヤホンやヘッドセットには戻れなくなりそうです。

水川悠士(編集部)

水川悠士(編集部)

最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。

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