レビュー

縦折りスマホ「Galaxy Z Flip5」レビュー! 従来機と比べると進化しすぎ

auとドコモから、サムスンの縦折りAndroidスマートフォン「Galaxy Z Flip5」が2023年9月1日に発売される。本機は背面のカバーディスプレイを3.4インチへサイズアップし、メインディスプレイを開かずに情報が確認できるほか、高画質なアウトカメラで自撮りが可能だ。

今回は、従来機「Galaxy Z Flip4」と比較しながら、どのような点が進化したのか実機レビューをお届けしよう。

劇的に進化したサムスン「Galaxy Z Flip5」

劇的に進化したサムスン「Galaxy Z Flip5」

基本スペック&主な特徴

「Galaxy Z Flip5」はCPU(SoC)に「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を採用。メモリーは8GB、ストレージは256GBまたは512GBを搭載している。このSoCは、最大クロック周波数を通常版の3.20GHzから最大3.36GHzに引き上げたGalaxy専用仕様だ。

ディスプレイはメインに6.7インチの有機ELディスプレイOLED(2640×1080、120Hz)、カバーに3.4インチの有機ELディスプレイ(720×748)を搭載している。

カメラは背面(外側)に1200万画素の広角(F1.8)と超広角(F2.2)、前面(内側)に1000万画素のフロントカメラ(F2.2)を装備。「Galaxy Z Fold4」以降の端末のメインディスプレイに採用されている、アンダーディスプレイカメラは見送られている。

通信は5G(nanoSIM+eSIM)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応。インターフェイスはUSB 3.2 Gen 1 Type-Cを搭載。もちろん、FeliCaセンサーによる「おサイフケータイ」も利用可能だ。

本体サイズは、オープン時で71.9(幅)×165.1(高さ)×6.9(厚さ)mm、クローズ時で71.9(幅)×85.1(高さ)×15.1(厚さ)mm。重量は約187g。防水防塵はIPX8に対応。3700mAhのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はビデオ再生で最大20時間、インターネット使用で最大17時間だ。

なお、「Galaxy Z Flip5」はauとドコモから販売されるが、512GBモデルが用意されるのはauのみ。au版は256GBモデルが154,300円(税込、以下同)、512GBモデルが179,900円、ドコモ版は256GBモデルが160,820円と価格も異なる。購入するのなら、この点を踏まえて検討してほしい。

カラーは今回試用したミントのほかに、グラファイト、クリーム(au版のみ)、ラベンダー(ドコモ版のみ)が用意されている

カラーは今回試用したミントのほかに、グラファイト、クリーム(au版のみ)、ラベンダー(ドコモ版のみ)が用意されている

本体底面にUSB Type-Cポート(3.2 Gen 1)を、右側面にボリュームボタンと指紋認証センサー一体型電源ボタンを、左側面にSIMカードトレイ(nanoSIM)を搭載

本体底面にUSB Type-Cポート(3.2 Gen 1)を、右側面にボリュームボタンと指紋認証センサー一体型電源ボタンを、左側面にSIMカードトレイ(nanoSIM)を搭載

クローズ時の厚さは15.1mm

クローズ時の厚さは15.1mm

劇的に大きくなったカバーディスプレイで使い勝手が大幅に向上

3.4インチと大型化したカバーディスプレイ「フレックスウィンドウ」は、視認性、機能性が大幅に向上。左右スワイプで通知、時計、カレンダー、天気、アラーム、歩数計などのウィジェットを切り替え表示可能だ。また、大画面を生かして、動画の壁紙、文字盤、スタイルをカスタマイズできるなど、自由度が向上している。個性をアピールするディスプレイとして利用できるわけだ。

左右にスワイプするとウィジェットを切り替えられる

左右にスワイプするとウィジェットを切り替えられる

カバーディスプレイは動画の壁紙、文字盤、スタイルなどをカスタマイズできる

カバーディスプレイは動画の壁紙、文字盤、スタイルなどをカスタマイズできる

事前に設定が必要だが、マップ、メッセージ、Netflix、YouTubeなどの一部アプリをカバーディスプレイに表示して操作することが可能。カバーディスプレイはソフトウェアキーボードが利用できるため、メインディスプレイを開くことなく文字入力を行いメッセージを返信できる。

ただし、対応アプリが非常に少ないのが残念な点。モトローラの縦折りスマホ「motorola razr 40 Ultra」のほうが多くのアプリをカバーディスプレイで利用できる。「Galaxy Z Flip5」でも、今後もっと多くのアプリに対応できるようになることを期待したい。

カバーディスプレイでアプリを利用するためには、「カバー画面→カバー画面で許可されたアプリ(ラボ)→カバー画面で許可されたアプリ」でアプリを選択する必要がある。なお、すべてのアプリが対応しているわけではない

カバーディスプレイでアプリを利用するためには、「カバー画面→カバー画面で許可されたアプリ(ラボ)→カバー画面で許可されたアプリ」でアプリを選択する必要がある。なお、すべてのアプリが対応しているわけではない

「カバー画面で許可されたアプリ」でアプリを有効にすると、カバー画面のウィジェットにアイコンが表示される。各アプリではソフトウェアキーボードでテキスト入力が可能だ

「カバー画面で許可されたアプリ」でアプリを有効にすると、カバー画面のウィジェットにアイコンが表示される。各アプリではソフトウェアキーボードでテキスト入力が可能だ

縦折りスマホの利点のひとつが、ボディを折り曲げることで三脚なしに平面に設置できること。カメラを起動した状態でディスプレイを折り曲げると、プレビューが上半分だけに表示され、手を広げるジェスチャー操作で写真撮影が行える。カバーディスプレイが大型化された「Galaxy Z Flip5」では、より大きくプレビューを見られるようになっており、自撮りスマホとしての使い勝手は抜群だ。

カメラを起動した状態で折り畳むと、プレビューが上半分だけに表示される

カメラを起動した状態で折り畳むと、プレビューが上半分だけに表示される

手を広げるジェスチャーで、端末から離れた場所からでも自撮りが可能だ

手を広げるジェスチャーで、端末から離れた場所からでも自撮りが可能だ

大きなカバーディスプレイではリアカメラで自撮りする際に、構図や色合いを細かくチェックできる

大きなカバーディスプレイではリアカメラで自撮りする際に、構図や色合いを細かくチェックできる

従来機と比べると、めちゃくちゃ進化している

「Galaxy Z Flip4」から「Galaxy Z Flip5」へのスペック上の主な進化点をあげると下記のようになる。

SoC:
Snapdragon 8+ Gen 1
→Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy
ROM:
128GB→256GB/512GB
カバー画面:
1.9インチ有機ELディスプレイ(260×512)
→3.4インチ有機ELディスプレイ(720×748)
フロントカメラ:
1000万画素(F2.4)→1000万画素(F2.2)
通信:
5G(nanoSIM+eSIM)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
→5G(nanoSIM+eSIM)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
インターフェイス
USB Type-C(2.0)→USB Type-C(3.2 Gen 1)
バッテリー駆動時間:
ビデオ再生時間:最大19時間、インターネット使用時間:最大16時間
→ビデオ再生時間:最大20時間、インターネット使用時間:最大17時間
カラー:
ボラパープル、グラファイト、ピンクゴールド
→ミント、グラファイト、クリーム、ラベンダー

使い勝手に大きく関わるところではストレージ容量の増加があげられる。128GBでも運用できなくはないが、写真や動画をたくさん撮影する場合はこまめに整理する必要がある。基本モデルが256GBで、au版では512GBモデルも用意されたことにより、動画をひんぱんに撮影する人も容量不足に悩まされることはなくなるはずだ。

メインディスプレイは「Galaxy Z Flip5」(左)、「Galaxy Z Flip4」(右)のどちらも6.7インチ。また、フロントカメラはパンチホール仕様となっている

メインディスプレイは「Galaxy Z Flip5」(左)、「Galaxy Z Flip4」(右)のどちらも6.7インチ。また、フロントカメラはパンチホール仕様となっている

「Galaxy Z Flip5」(左)、「Galaxy Z Flip4」(右)。背面カメラが縦並びから横並びに変更。また、背面全面をカバーする強化ガラスがCorning「Gorilla Glass Victus2」になっている

「Galaxy Z Flip5」(左)、「Galaxy Z Flip4」(右)。背面カメラが縦並びから横並びに変更。また、背面全面をカバーする強化ガラスがCorning「Gorilla Glass Victus2」になっている

カバーディスプレイは「Galaxy Z Flip5」(左)のほうが圧倒機に大きいことがわかるだろう

カバーディスプレイは「Galaxy Z Flip5」(左)のほうが圧倒機に大きいことがわかるだろう

クローズ時の厚みは「Galaxy Z Flip5」(左)が15.1mm、「Galaxy Z Flip4」(右)が15.9〜17.1mm。閉じたときの隙間が、「Galaxy Z Flip5」ではピタッと閉じるようになった

クローズ時の厚みは「Galaxy Z Flip5」(左)が15.1mm、「Galaxy Z Flip4」(右)が15.9〜17.1mm。閉じたときの隙間が、「Galaxy Z Flip5」ではピタッと閉じるようになった

「Galaxy Z Flip5」(左)のほうがヒンジのつなぎ目が詰められている

「Galaxy Z Flip5」(左)のほうがヒンジのつなぎ目が詰められている

従来機からGPU性能がアップ

次は、「Galaxy Z Flip5」のパフォーマンスを確認していく。「Galaxy Z Flip5」は「Galaxy Z Flip4」に対して、定番ベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark V10」(総合性能)の総合スコアで約125%、「Geekbench 6」(CPU)のMulti-Core Scoreで約122%、GPU OpenCL Scoreで約142%、GPU Vulkan Scoreで約135%、「3DMark」(グラフィック)のWild Life Extremeで約130%、AI Benchmark(AI)の総合スコアで約113%相当のスコアを記録した。

ベンチマークを総合的に見ると、CPU性能よりも、GPU性能の伸びが顕著だ。ディスプレイの最大リフレッシュレートは120Hzと滑らかな描写も楽しめるため、ゲーム用スマホとしての適性も高いと言えよう。

「Galaxy Z Flip5」の各ベンチマークテストの結果

「Galaxy Z Flip5」の各ベンチマークテストの結果

「Galaxy Z Flip4」の各ベンチマークテストの結果

「Galaxy Z Flip4」の各ベンチマークテストの結果

カメラを比較してみた

次はカメラ機能について比較してみよう。「Galaxy Z Flip5」と「Galaxy Z Flip4」で同じ被写体を撮影してみたが、「Galaxy Z Flip5」のほうが実際の色に近く、「Galaxy Z Flip4」のほうが鮮やかさな画作りとなっていた。

「Galaxy」シリーズはクラスを問わずカメラ画質に定評があるが、色が強調される傾向があった。個人的には画像編集アプリでいくらでも鮮やかなエフェクトをかけられるので、実際の色により忠実になった「Galaxy Z Flip5」の画作りは大歓迎だ。

広角カメラ比較

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip4」

「Galaxy Z Flip4」

超広角カメラ比較

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip4」

「Galaxy Z Flip4」

10倍ズーム

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip4」

「Galaxy Z Flip4」

ナイトモード

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip5」

「Galaxy Z Flip4」

「Galaxy Z Flip4」

今すぐ縦折り型スマホが欲しいのなら「Galaxy Z Flip5」を購入して後悔はない

「Galaxy Z Flip5」最大の進化点は、やはり3.4インチのカバーディスプレイ。ウィジェットにより多くの情報を表示可能うえ、数は少ないが一部アプリも表示・操作できるようになった。

また、カメラ撮影時にも3.4インチの大画面でプレビューできることにより、使い勝手が大幅に向上している。さらに処理性能、ストレージ容量、バッテリー駆動時間など改良点は多岐にわたっている。

記事執筆時点での「Galaxy Z Flip5」と「Galaxy Z Flip4」の販売状況を見ると、ドコモオンラインショップでは「Galaxy Z Flip4」は売り切れている。また、auオンラインショップでは「Galaxy Z Flip4」の機種代金が159,870円、「Galaxy Z Flip5」の機種代金が154,370円と、「Galaxy Z Flip4」のほうが高くなっている。こうした状況を踏まえると、「ボラパープル」カラーのモデルが欲しいという以外に、従来機をあえて選ぶ理由は現時点ではないだろう。

少しでも安価に購入したいのなら、「Galaxy Z Flip4」の値崩れを待つのもいいが、価格が必ず下がるという保証はない。今すぐ縦折りAndroidスマートフォンが欲しいのなら、「Galaxy Z Flip5」を購入して後悔はないはずだ。

ジャイアン鈴木

ジャイアン鈴木

レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る