モトローラから2023年8月に発売された「motorola razr 40 ultra」。約6.9インチのメインディスプレイに加えて、約3.6インチの大型アウトディスプレイを搭載する折りたたみスマートフォンだ。
このアウトディスプレイは、同じく大型アウトディスプレイを搭載する「Galaxy Z Flip5」の約3.4インチより大きい。加えて、任意のアプリを表示、操作可能だ。アウトディスプレイを活用するという意味では、現在最も自由度の高い端末と言える。
今回は本製品の実機を使って、詳細スペック、パフォーマンス、カメラなどをレビューしていく。
モトローラ「motorola razr 40 ultra」。公式サイトでの販売価格は155,800円
「motorola razr 40 ultra」は、プロセッサーに最新世代のひとつ前のハイエンドSoC「Snapdragon 8+ Gen 1」を採用。メモリーは8GB、ストレージは256GB。microSDメモリーカードは非対応だ。
端末内側は約6.9インチ、外側には約3.6インチの有機ELディスプレイを搭載。どちらも色域はDCI-P3で、HDR10+に対応している。サウンド機能は、Dolby Atmos、Spatial Sound、Qualcomm Snapdragon Soundに対応したデュアルステレオスピーカーと、マイク3基を搭載。オーディオビジュアルの側面では、ハイエンドスマートフォンらしい高いスペックだ。
カメラは、1200万画素の広角カメラ(F1.5、デュアルピクセル位相差検出フォーカス、OIS)、1300万画素の超広角+マクロカメラ(F2.2)、3200万画素のインカメラ(F2.4)を搭載する。
バッテリーは3800mAhを内蔵。バッテリー駆動時間は非公表だ。
メインディスプレイは約6.9インチの縦長タイプ
開いたときの本体サイズは約73.95(幅)×170.83(高さ)×6.99(厚さ)mm。重量は約188gだ
アウトディスプレイは約3.6インチ。背面の多くをディスプレイがカバーしている
閉じたときは、手のひらに収まるくらい小さい。少しタイトなズボンのポケットなどに入れても違和感は少ないはずだ
折りたたみ時は隙間がほぼなく、チリやホコリの混入は少ない
物理SIMカードはnanoSIMカードを1枚利用できる
パッケージにはポリカーボネート製の専用カバーが同梱される。ちなみに、充電用のケーブルやアダプターは自分で用意する必要がある
同梱の専用ケースは装着すると厚みが増すが、そもそもの本体がコンパクトなので大きな問題ではないだろう
「motorola razr 40 ultra」の最大の特徴は、縦折りタイプの折りたたみスマホで最大サイズの大型アウトディスプレイだ。ここにはアプリ、連絡先、カレンダー、天気、ゲームなどのウィジェットを表示できるだけでなく、個別に設定が必要だが、任意のAndroidアプリを表示、操作可能だ。
背面のカメラと干渉するため、画面のアスペクト比が変則的であり、ボタンなどのレイアウトがおかしくなり操作できなくなるアプリもある。しかし、各アプリの対応を待たずにアウトディスプレイを活用できるのは大きなメリットだ。端末の開閉に応じて、アプリがメインディスプレイとアウトディスプレイを行き来する機能も非常に便利だ。
また、本製品の専売特許ではないが、縦折りタイプの折りたたみスマホは端末を折り曲げた状態で、三脚なしにテーブルなどに置いて自撮りできる。「motorola razr 40 ultra」はアウトディスプレイが大きいので、遠くからでもプレビュー画面をハッキリ確認可能。個人的にはディスプレイを少し曲げて横置きして、動画コンテンツを視聴するスタイルが非常に気に入った。
アウトディスプレイに表示するコンテンツはスワイプ操作で、アプリ、連絡先、カレンダー、天気、ゲームと画面を切り替えられる
左上から、カメラ、電卓、レコーダー、マップ、メッセージ、Gメールを表示したところ。このほかにも多くのAndroidアプリが利用可能だ
撮影時にディスプレイを曲げれば、テーブル上で安定して撮影できる
アウトディスプレイにプレビュー画面を切り替えれば、フロントカメラより高画質なアウトカメラで自撮りが可能だ
ディスプレイのヒンジは無段階で角度を変えられるので、このようなテントスタイルでも設置できる。ケースを装着していれば、端末に傷が付く心配はない
ヒンジをわずかに広げて横置きすれば、フリーハンド&大画面で動画を視聴可能だ
パフォーマンスについては、定番ベンチマークを実施したところ、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは4746、Single-Core Scoreは1783、「3DMark」のWild Life Extremeは2838、「AI Benchmark」の総合スコアは1740となった。
競合となる「Galaxy Z Flip5」は最新SOC「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を搭載しており、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは5280、Single-Core Scoreは2006、「3DMark」のWild Life Extremeは3686、「AI Benchmark」は1984というスコアを記録した。
つまり「motorola razr 40 ultra」は「Galaxy Z Flip5」に対して、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは約90%、Single-Core Scoreは約89%、「3DMark」のWild Life Extremeは約77%、「AI Benchmark」の総合スコアは約88%相当のスコアを記録したことになる。スコアには明確な差があるが、実際に使っていて「motorola razr 40 ultra」のパフォーマンスに不満を覚える局面はないはずだ。
「motorola razr 40 ultra」のベンチマークテスト結果
続いて「motorola razr 40 ultra」のカメラを解説しよう。広角カメラの画素数は1200万と高くはないが、露出やホワイトバランスの自動調整は正確だ。色味はいい意味で鮮やか過ぎず、実際の色に忠実。ただし、広角カメラの画素数が低いため、8倍デジタルズームではどうしても塗り絵的な写真となってしまう。ズーム撮影が苦手という点には注意してほしい。
また、AIによる「自動ナイトビジョン」機能が搭載されているが、明るい看板などで白飛びする現象が見られた。夜景撮影については、「Galaxy Z Flip5」のほうが上だというのが率直な感想だ。
広角カメラ
広角カメラ(上)、超広角カメラ(下)
広角カメラで撮影(8倍デジタルズーム)
広角カメラ(自動ナイトビジョン)
本製品はプロセッサーが一世代古いが、前述のとおりアウトディスプレイで任意のAndroidアプリを利用できるのは大きなアドバンテージだ。多少の操作なら端末を開くことなく完結でき、利便性は非常に高い。
一般的なスマートフォンであれば対応しているFeliCaセンサー(おサイフケータイ)が使えないことは弱点だが、NFCを搭載しているので対応クレジットカードでタッチ決済は行える。
競合である「Galaxy Z Flip5」と比較すると、一世代古いプロセッサーとFeliCaセンサー非搭載という点はマイナスポイント。この2点のマイナスポイントと、アウトディスプレイでの自由度の高さを天秤にかけて、どちらを買うべきか決断してほしい。
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。