日本マイクロソフトは2015年11月17日、「Windows 10」のIoTデバイス向けエディションである「Windows 10 IoT」に関する記者説明会を開催し、市場の拡大が見込まれるIoT分野における同社の取り組みを説明した。
IoTは、Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」という意味。家電や自動車、ヘルス機器など、あらゆるデバイスにネットワーク接続機能を持たせて、デバイス同士を接続したり、デバイスで取得した情報を集約してビッグデータとして活用したり、幅広い活用が見込まれている。IoTがカバーする領域は非常に広く、ガートナーやIDCの予測では、5年後の2020年までには250億のモノがインターネットにつながり、その市場売上規模は1.7兆ドルに達するという。マイクロソフトでは、Windows 10 IoTで、この分野にこれまで以上に注力していく考えだ。
今年2015年時点でも多くのデバイスがネットワークにつながっているが、5年後の2020年にはさらに多くの機器がネットワークにつながり、IoT分野は大きなビジネスに成長すると見込まれている
Windows 10 IoTは、広いIoT分野をカバーするために、想定するデバイスごとに3つのエディションを用意する。
「Windows 10 IoT Enterprise」は、業務用タブレット端末やPOS端末、キオスク端末、デジタルサイネージ向けのエディション。x86プロセッサーをサポートし、Win32アプリケーションに対応するなど、通常のWindows 10に近いものだ。高度なセキュリティ機能や特定の機能以外を実行できなくするデバイスロックダウン機能も備える。
「Windows 10 IoT Mobile Enterprise」は、モバイルPOSや小型業務端末向けのエディション。ARMプロセッサーをサポートするのが特徴だ。Windows 10 IoT Enterpriseと同様、デバイスロックダウン機能を搭載するほか、マルチユーザーもサポートする。
「Windows 10 IoT Core/Core Pro」は、ディスプレイのないデバイス向けのエディション。IoTゲートウェイ、スマートビル、スマートホーム、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)など、さまざまなデバイスへの搭載を想定している。シェル(デスクトップなど)はなく、ユーザーインターフェイスを自由にカスタマイズできるのがポイント。x86プロセッサーおよびARMプロセッサーをサポートする。プログラミングや電子工作を楽しめる超小型パソコン「Raspberry Pi 2」でも動作する。
Windows 10 IoTでは、Windows 10が稼働するどの機器でも共通のプラットフォームを提供する「ユニバーサルWindowsプラットフォーム」(UWP)も強みとなる。1つのUWPアプリをWindows 10 IoTを含むすべてのWindows 10搭載機器に利用できるので、アプリの開発スキルやリソースをエディションごとに確保する必要がなく、高いROI(投資対効果)を得られるという。また、ドライバーに関しても1つの「ユニバーサルWindowsドライバー」で、すべてのWindows 10搭載機器に対応できるのもポイント。さらに、機器間の連携では、IoTデバイスで標準規格になると見込まれている「AllJoyn」をサポートし、Windows 10 IoTを搭載していないデバイスとの連携も可能にして、高い相互運用性を確保している。
発表会では、Windows 10 IoTを搭載したデバイスが展示されていた。
プログラミングの学習や電子工作用として人気のRaspberry Pi 2。Windows 10 IoT Coreが動作する
ドローン用のフライトコントローラの開発・販売を手がけるドローンワークスは、ドローンの制御の心臓部であるフライトコントローラにWindows 10 IoT Coreを採用。各種センサーからのデータ収集、加工のアプリケーション開発が容易になったという
アドバンテックは、Windows 10 IoTで制御するランプ調光装置を展示。AllJoynをサポートするランプの明るさや色調を無線でコントロールできる
v-net社の高速バーコードリーダー。物流、包装、生産ラインを対象とした製品
Windows 10 IoT Enterpriseを搭載したNECの業務用タブレット「Shield PRO」
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!