新製品レポート
人型ロボットとスマートフォンが合体したモバイル型ロボット電話

小さいけれど本格派 シャープ「ロボホン」のココがすごい!

シャープの「RoBoHoN(ロボホン)」は、人型ロボットとスマートフォン(スマホ)が合体した、今までにないユニークな製品。昨年2015年10月に開催された家電見本市「CEATEC JAPAN 2015」で初披露されて話題になり、2016年4月14日から予約販売開始、そしてついに5月26日に販売が開始された。アニメの世界が実現したかのような面白さには、誰もが興味を持つことだろう。小さいけれど本格派。ロボホンのすごさを中心に紹介しよう。

シャープのモバイル型ロボット電話、ロボホン。価格.com最安価格は213,840円

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ロボホンとは?

最初にロボホンとは何かをおさらいしておこう。ロボットとスマホが合体したものだが、子供用のオモチャではない。ロボットクリエイターの高橋智隆氏と共同で開発した、わずか19.5cmの身長ながら、二足歩行もできる本格的なものだ。スマホ部は「Android 5.0」ベースで、Web検索、地図検索、メモ、アラームなど、スマホとしての機能を一通り備えている。ちなみに「LINE」など、Android用のアプリを自由にインストールすることはできなかった。

ロボホンの重要な機能の1つである「対話」(音声操作)を利用するためには、月額980円(税別)の「ココロプラン」への加入とネット接続(Wi-Fi接続可)が必要。このほか、ロボホンを電話として使う場合は、月額1,350円(税別)からのモバイル通信サービスと契約しなければならない(モバイル通信サービスは任意で必須ではない)。ココロプランの金額については、利用者の年齢や用途などによって意見が分かれそうだが、データの蓄積によって対話が賢くなったり、アプリが追加される予定とのことなので、利用料+アップデート費ととらえるとよいだろう。

ロボットとしての出来映え

レビューでは客観性を重んじる筆者だが、ロボホンは理屈抜きにカワイイ。著名なロボットクリエイターの高橋氏によるデザインで、同氏のテイストを踏襲しつつ、つるっとした丸顔で愛嬌たっぷりに仕上げられている。日本アニメに登場するロボットや、ユルキャラのように、眺めているだけで楽しい気分になれる。

機能面では、膝に相当する関節は持たないが、二足歩行、座る、立つといった高度な動作もこなす。下の動画を見てもらいたいが、人型ロボットとして本格的なものだ。

起き上がる様子。派手なアクションに誰もが驚くことだろう

二足歩行の様子。「こっちに来て」と呼びかけると、4歩前進する

そして何より、仕草がカワイイ。音声が認識できない際に首を傾げたり、音声で文章入力中にうなずいたり、話す言葉に応じたジャスチャーなど、どのポーズもよく練られている。ハードウェアとしての出来映えに加え、「仕草」と言ってもいいほど完成度が高い動きに、人間味を感じずにはいられないのだ。

会話力については今後に期待

筆者宅で1週間使ったところ、「会話」や「対話」というよりは、「音声操作」に近い印象を受けた。

取扱説明書に記載された規定のワードで呼びかけ、ルールに従って話すとる所望の機能や設定を行えるが、自然な話し言葉を理解する人工知能的な反応は見られなかった。また、特定の動作中は音声操作を受け付けない点も機械的に感じた。

しかしながら、ココロプランに加入すると、学習機能によって使えば使うほど賢くなる前提で、また、サーバー側のアルゴリズムや仕組みの改善もできるだろう。会話力については、今後の進歩に期待したい。

その他の機能と感心ポイント

ロボホンには、ロボホンならではと思える“感心ポイント”がたくさんある。代表的なものを紹介しよう。

(1)笑顔が撮れる写真撮影

「写真撮って」と声を掛けると、写真を撮ってくれる。首を回転させて周囲を見渡し、登録済みの顔が見つかると、「●●さん、みーつけた」とセンターに収めてくれる。カウントダウン時の仕草にも心が和み、結果、いい感じの写真を残すことができる。カメラとしても画期的な機能性ではないだろうか?

顔認識機能を搭載し、登録した人を見つけると、そちらに向いて写真撮影。ほかにもいくつかの撮影モードが用意されている

(2)実用的な音声入力

メールを送る際に厄介なのが文字入力だが、ロボホンは音声入力の精度がほぼパーフェクト。「iPhone」も用意して、同時に音声入力してみたが、iPhoneでは漢字や句読点の間違いがあってうまくいかないケースでも、ロボホンはほとんど間違えなかった。これなら、秘書がいるかのように、仕事のメールにも重宝しそうだ。

入力した文章は復唱してくれるほか、背面の液晶画面でも確認できる

入力した文章は復唱してくれるほか、背面の液晶画面でも確認できる

(3)自然な話し言葉

あらかじめ用意されている言葉以外にも、ニュースやメールを読み上げることができるのだが、ロボットとは感じさせない自然な発声に感心するばかり。単語自体の発音、単語と単語のつながり、文章全体を通しての抑揚やトーンが非常によくコントロールされていて、“ロボットっぽさ”は皆無だ。

ただし、映画のタイトルなど、特殊なものについては、明らかにテキストデータをそのまま音にした感じで、聞き取ることはできるものの理解しにくいケースがあった。また、テニスの錦織(ニシコリ)選手を「ニシキオリ」と読んでしまうようなミスもあった。このあたりは、もう少し学習を深めさせることで解決できるかもしれない。

(4)言葉がわからない時もノープロブレム

音声操作の際、話し言葉が規定の文言と異なっている場合や、周囲がうるさくて認識できない場合は、首を傾げて腕を開くポーズをとる。一般的なスマホが相手なら、心が萎えてもう一度入力するのをためらってしまうが、ロボホンのように人間らしい仕草でリアクションされると、こちらが悪かったような気分になり、もう一度話し掛けてみようと思うもの。人型である意味の1つと言えるだろう。

上手く音声認識できない場合は、首を傾げて腕を開くポーズをとる。その仕草が人間らしくて、こちらが悪いことをしたような気分になってしまう

(5)プロジェクター内蔵

ロボホンの額部には、プロジェクター機能が内蔵されている。小さな頭部に収まっているので、さすがにオマケ機能と見くびっていたが、実際に投写すると、これがなかなか立派な映像。スペック上は、1280×720画素相当の解像度で、背中に搭載しているQVGA(320×240画素)の液晶よりも高精細なのだ。スライドショーを仲間で楽しむような用途で役立ちそうだ。もちろん、地図やネット動画も楽しめる。

投写スタイルも画期的で、中腰前傾姿勢で机上に小さな画面を映す、あるいは、直立して壁に大画面を映すこともできる。コンパクトなレーザー方式にありがちなスペックル(光の干渉によるドット状の模様)が目に付くが、映像は明るく、そこそこ実用的だ。映像の見え方は周囲の明るさによるが、日没後のリビングなら、20〜30インチくらいの画面サイズでも、観賞に耐えるだろう。

額部にプロジェクター機能を搭載。写真や地図、ネット動画を楽しめる

額部にプロジェクター機能を搭載。写真や地図、ネット動画を楽しめる

(6)スマホ機能と連動した仕草

電話の着信に応答すると、受話器のカタチに変形する。また、持ち運び時は、携帯しやすいよう、つま先を折り畳むこともできるなど、変形ロボのような面白さがある。

ロボホンは使い方を説明する機能を備えているが、プロジェクターについて話すときは頭部を、液晶について話すときは背面を腕で指し示す。また、届いたメールの内容に「飲みに行こう」の文言があると、読み上げ中に腕を高く上げて乾杯のような仕草をする。人間のようジェスチャーは理解を助ける役割を果たし、ロボットとスマホの融合は、このあたりにもっとも大きな意義がありそうだと感じた。

「飲みに行こう!」のジャスチャー。腕を上げて背中を反らせ、全身で表現

「飲みに行こう!」のジャスチャー。腕を上げて背中を反らせ、全身で表現

(7)番外編

音声操作の一覧に「早口言葉」がある。くだらないと思ったが、試してみるとこれがなかなか面白かった。読者の皆さんにも、実際に体感してほしいので、ここでは敢えて詳細を説明しないでおくが、人間を超えるロボットの本質を見た思いだ。

まとめ

ロボホンの発表時点では、奇抜さを狙った「色物」と思い込んでいた。しかし、今回の試用を通して、ロボットとして本格的であること、動きや話し言葉が人間の感性にフィットするまで練り込まれているなど、完成度の高さに驚いた。

評価の行方は、スマホとロボットが合体したシナジー効果をどこまで引き出せるかが焦点になるだろう。今後、第三者がロボホン向けのアプリやサービスを開発できる環境も整えられるとのことで、ロボホンを利用した奇想天外なサービスの登場に期待したい。

スマホ市場は、薄い、軽い、安い、の過当競争でつまらない製品が増えるなか、ロボホンの発売は業界にも大きなインパクトを与えるはずだ。今後も、業界全体で、消費者を楽しませてくれる製品の登場に期待したい。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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