一生で一番大きな買い物と言えばマイホーム。そこにはキッチン、お風呂、トイレ、照明、ドア、窓etc...とさまざまな住宅設備が取り付けられています。建売住宅を購入すれば一式セットで付いてくるけれど、すべてが好みに合うとは限りませんよね。
今どきのネット時代なら、ハウスメーカーに頼らなくても住宅設備は全部自分で調べられるし、住宅設備メーカーには自前のショールームもあります。だったら、家電製品をネットで調べて買うように、住宅設備のひとつひとつまで徹底的にこだわり、自分で選んだものを指定して、注文住宅で建ててもらうこともできてしまいます。
新たにスタートするこの連載は、普段はお隣「AV家電」のカテゴリーで薄型テレビやヘッドホンを取材しているオーディオ&ビジュアルライターの僕(と嫁)が、今年新築で建てる家で実際に採用する住宅設備を、徹底的に調べて、気になるメーカーには取材を申し込み、決めて回る、個人的なこだわりの連載です。
ちなみに、価格.comには以前から「住宅設備・リフォーム」のカテゴリーもあるので、気になった住宅設備はチェックしてみてくださいね!!
連載第1回で取り上げるべき住宅設備はなにか−−と考えて真っ先に浮かんだのが「キッチン」です。
僕らの建てる家のリビングは、アイランド型のキッチンが置かれた開放的なLDK。リビングを中心に間取りの方針が決まった後、嫁が彼女のインテリアの趣味である「ブルックリン・スタイル」(“男前インテリア”なんて呼ばれ方もします)に合うデザインはないかと、真っ先にネットで調べ始めたのがキッチンなのです。
キッチンの大手メーカーがどこかも知らず、ネットで情報収集を始めた僕達に最初に響いたキッチンメーカー……それは「サンワカンパニー」でした。
東京・外苑前にあるサンワカンパニーのショールームから連載取材がスタート
サンワカンパニー−−住宅設備メーカーとしては新興で、一般的なハウスメーカーには採用されないブランドです。その理由は、既存の住宅関連の流通を介さずに、ネット通販で住宅設備・建材を業者割引ナシで販売するビジネス形態だからです。ただ、そんなことは注文住宅の施主である僕らには関係ないし、家一軒の内装をみずから選び始めると、遅かれ早かれサンワカンパニーには行きつくでしょう(経験談)。
東京・外苑前駅を出てすぐ、南青山ブライトスクエア1Fにあるサンワカンパニーのショールームへと足を踏み入れると、ひと目で他の住宅機器メーカーと違いを感じるオシャレさ。事前に取材申し込みをしてあったので、キッチンについて詳しく説明を聞くことができました。もちろん、一般のお客さんも説明を聞けるし、見学も自由にできます。
僕らがサンワカンパニーで最初に惹かれたキッチンは「パティーナ・キッチン」(Pattina Kitchen)でした。
キッチンには珍しい“木目のパネル×黒のスチール足”のスタイリングは、まさにブルックリン・スタイル。ただし、説明を聞いてみると、デザイン色のハッキリと出た「パティーナ・キッチン」は、サンワカンパニーとしては異端なタイプのようです。
「パティーナ・キッチン」(Pattina Kitchen)。価格は33万4500円から
足と揃えられた非常に珍しい黒色のシンク。”女性は黒が嫌い”という住宅業界の思い込みを打ち破るデザイン
サンワカンパニーによるキッチンのデザインコンセプトが現れている代表的なキッチンのひとつは、まずショールーム入って正面に鎮座している「エレバート」(Elevato)でしょう。
重厚感あるデザインでありながら、足元はスッキリした「エレバート」(Elevato)。価格は49万6000円からと最上級
まさに“ドーンと存在感がある”と形容したくなる「エレバート」。特徴はステンレスワークトップ、直線的な形状、重厚感あるデザイン。ミニマリズムを追求して、モダンでスタイリッシュ。キッチンの角もわずかに先端を小さく丸めるだけの構造です(一般的なキッチンは子供が頭をぶつけて怪我しないように丸められます)。
サンワカンパニーのキッチンのコンセプトは、”造作家具で作れそうなデザイン”。ステンレス職人に、家の間取りに合うように指定して作ったようなキッチンです。いっぽうで、収納の棚の中は食器に合わせた仕切りなどはなく、一般的な棚の容積と間仕切りがあるだけ。発想が“機能的なキッチン”ではなく、“家具”なんですよね。
引き出しは、容積はともかく中はシンプル。「エレバート」は足元がスリムなので一番下には収納がありません
そして、サンワカンパニーで巡り合ってしまった理想のキッチンデザインが「グラッド45」(Grad45)です!!
オールステンレスで、直線的なライン。ひと目見て、その圧倒的な存在感に惚れ込み、そして家のリビングに「グラッド45」が鎮座しているところを思い浮かべても、あーもうこれは……カッコよすぎる……。
オースステンレスのマテリアル感。重厚感。スタイリッシュさ。すべてが揃う「グラッド45」
説明を聞きながらも「グラッド45」の意匠の美しさに惚れ惚れ……
ステンレスの仕上げは一般的なヘアラインではなくバイブレーション仕上げも指定可
見栄え、そして作業効率にも関わるキッチン幅は2700mmを展示。もちろん、1800・2100・2400・2550mmといったほかの幅も選択可能です
嫁のお気に入りはカウンター型。キッチンでコーヒーも飲めちゃいます
サンワカンパニーのキッチンのなかでも「グラッド45」はデザインで指名買いされることが多いそうで、「グラッド45」を気に入った人は他のキッチンを見ても結局戻ってくるとか。
サンワカンパニーは自社製品に値引きがないこともあって、価格についてもオープンに語ってくれます。レンジフード、食洗器、加熱機器はサンワカンパニーのオプションでも選べるけど、「ここは価格.comで買ったほうが安いです」なんて情報まで教えてくれます。コンロ、食器洗い機などは、自社扱いのない製品だろうが、注文の際に入れたい機種のメーカーと型番を伝えれば、必ずちゃんと収まるように製造してくれるそうです。
ステンレスで一体化しているシンクも超カッコいい直線的なデザイン。水栓も選べます
食洗機はサンワカンパニーのオプションで選べる三菱電機製なら4万7500円(税込)
デザインにも一体感のあるレンジフードは他社製のアリアフィーナ製
「グラッド45」はサンワカンパニーのキッチンとしては上から3番目のミドルクラスのラインで価格は29万9500円から。なお、キッチンとおそろいのカップボードも一緒に選んでいるのですが……長いので省略します。
取材を終えた段階で「グラッド45」、自宅の仕様に合うキッチンにもっとも安い食洗機など一般的なオプションを組み込んだ状態で見積もりを出してもらうと……総額約127万円(設置工事込)。サンワカンパニーは値引きナシなので、Web見積もりでもまったく同額にたどり着きます。ショールームで実物を見ても、買う時は結局ネットなんですよね。
「グラッド45」は、僕も嫁も本当にひと目惚れというくらいに気に入って、キッチンをデザインで選ぶなら1位の座は今後とも不動だと思います。
でも、キッチンはお料理をするための住宅設備なんです。機能性に納得できれば、デザインに妥協もできます(嫁談)。
そんなことを考えながら、2社目に取材したのが「パナソニック」です。