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【徹底比較】石油ファンヒーター 3大メーカーの最新モデルをチェックする!

12月もいよいよ終盤。本格的な寒さが訪れている日本列島だが、皆さん、暖房には何をお使いだろうか。最近ではエアコンや電気ストーブで暖房を間に合わせているという人も多いだろうが、寒さの厳しい地域では、いまでも暖房の中心は、ガスや灯油を燃焼させるヒーターやストーブである。なかでも、設置や取り扱いが楽で、なおかつ十分な暖かさを得られることで人気なのが石油ファンヒーターだ。本特集では、そんな寒ーい冬の強い味方、石油ファンヒーターの3大メーカーの最新モデルをピックアップ。詳細なテストを含めた徹底レビューにより、各メーカーごとの設計思想の違いを明らかにしていく。

石油ファンヒーターを選ぶポイント

ところで皆さんは、石油ファンヒーターをどのように選んで購入しているだろうか。何となく店頭で安かったから、そんな理由だけで選んでいたりしないだろうか。「石油ファンヒーターなんて、どの製品でも性能はほとんど同じでしょ?」という声も聞こえてきそうである。しかし、はっきり言って、こうした考えは間違いだ。メーカーによっても、設計思想が異なっていたり、こだわりポイントも違う。同じメーカーでも、多彩なラインアップがあるので、その性能や機能は結構違ってくる。この点を理解しないで、何となく買ってしまうと、後で「何となく物足りない」というようなことにもなりかねないので、十分に注意したい。

では、石油ファンヒーターを選ぶ際に押さえておいたほうがいいポイントとは、どんなものなのか? 以下にわかりやすく3つのポイントで整理してみた。

1)メーカーによって異なる3つの燃焼方式

現在、石油ファンヒーターを国内販売しているメーカーは数社に限られる。2018年12月時点において、価格.com上で取り扱いのあるメーカーは4社あるが、そのうち、ダイニチ工業、コロナ、トヨトミの3社が、一般的には「3大メーカー」と呼ばれており、この3社でほとんどのシェアを占めている(このほかに「アラジン」ブランドで知られる日本エー・アイ・シーがある)。以前は、大手の国内電機メーカーも石油ファンヒーターの製造・販売を行っていたのだが、ここ10年くらいのうちに相次いで撤退しており、今ではほぼこの3社に限られた市場となっているのだ。

石油ファンヒーターの構造はシンプルで、基本的には、灯油を燃焼させるバーナー(燃焼塔)と、風を送るファンの2つから構成される。燃焼塔内のバーナーで灯油を燃焼させて空気を暖め、そこにファンで作られた風を送ることで、温風を吹き出させるという構造は、どのメーカーの製品も変わらない。ただ、このバーナー部の作りが、3社間では異なっている。ここがもっとも重要なポイントだ。

どのメーカーの製品も、燃料となる灯油を空気と混合して気化させ、それをバーナーで燃焼させることで熱を発生させるという基本構造は変わらないが、その気化方式が微妙に異なっているのだ。まず、この市場でトップシェアを誇るダイニチでは、「ブンゼン(気化)式」と呼ばれる方式を採用している。これは、灯油を(電気)ヒーターで一度暖めてからノズルで吹き出し、燃焼させるというもの。灯油を温めてから気化させるため、燃焼効率が高く、大火力を短時間で得られるのがメリットだが、燃焼中にも電機ヒーターを使い続けるため、その他の方式よりも消費電力が多くなるのがデメリットとなる。

これに対して、コロナは、電気ヒーターを使わない「ポンプ噴霧(気化)式」を採用する。燃料を気化させるための熱は、基本的に灯油の燃焼熱でまかなうため、上記のブンゼン式よりも電力消費が少なくて済むのがメリットだが、点火までに時間がかかるのがデメリットとなる。

また、トヨトミは、上記2社のようなノズルを使わない「ポット(気化)式」を採用する。構造的には、燃焼筒内のポット(蒸発皿)の上に灯油を流し込んで、自然気化させた灯油を燃焼させる方式となる。一般的な石油ストーブと同じシンプルな方式だ。こちらも、燃焼中の消費電力が小さくて済むというメリットがあるが、やはり点火までには時間がかかる。なお、ノズルではなくポット上の灯油を直接燃焼させられるため、不純物などを燃やしきれるというメリットもあり、昨年残りのやや劣化した灯油でも使えるというメリットもある。

このように、実は3大メーカーの石油ファンヒーターの燃焼方式にはそれぞれ違いがあり、これが各メーカーの製品の特色ともなっている。メリット・デメリットを簡単にまとめるなら、下記のようになる。

・ダイニチ(ブンゼン式)・・・短時間で暖まり火力が強いが、消費電力が大きい。
・コロナ(ポンプ噴霧式)・・・消費電力が低くて済むが、点火にやや時間がかかる。
・トヨトミ(ポット式)・・・劣化灯油でも燃焼でき消費電力も低いが、点火にやや時間がかかる。

上記のように整理すると、ダイニチの製品だけがやや特殊で、コロナとトヨトミの製品は基本的な性質的には似ているとも言える。まずはこの違いだけでも知っておくと、石油ファンヒーターの選び方がグッとわかりやすくなるはずだ。

参考リンク:ダイニチ工業ホームページ「石油ファンヒーターの選び方」

2)暖房出力と対応畳数を確認する

今回ピックアップした3機種の油タンク比較。左からコロナ「FH-WZ5718BY」、ダイニチ「FW-5718SGX」、トヨトミ「LC-SL53H」となる。コロナとトヨトミが7Lクラスなのに対して、ダイニチのみが9Lクラスと、大きな容量のタンクを採用している

当然のことだが、暖房製品である石油ファンヒーターには、それを使う部屋の広さ(対応畳数)のめやすが設けられている。各メーカーのラインアップでは、どちらかと言えば小さな部屋向きのシリーズ、どちらかと言えば大きな部屋向きのシリーズが用意されており、対応畳数によって選ぶシリーズが変わってくるのが一般的だ。使う部屋の広さを確認して、出力不足に陥らないように注意したい。可能なら、実際の部屋の大きさよりもワンランクくらい大きな対応畳数の製品を選んだほうが、性能的には余裕が出てくる。たとえば12畳の部屋で使うのであれば、それよりワンランク上の15畳対応の製品を選んだほうが、何かと安心だ。

なお、当たり前の話だが、暖房出力が大きい(火力が強い)製品ほど、対応畳数は大きくなる。そして、暖房出力が大きくなればなるほど、燃料は多く消費することになる。この点は忘れないようにしよう。むやみに出力の大きな製品を購入してしまうと、燃費が悪くなるということも十分に考えられるからだ。

本特集では、3大メーカーの最大出力クラスに当たる「19〜20畳対応(コンクリート)」クラスの最新モデルをピックアップした。各モデルの暖房出力と対応畳数のめやす、そして燃焼時の消費電力は下記の通りとなる。

・ダイニチ「FW-5718SGX」(対応畳数:20畳)
 暖房出力:1.23〜5.70kW/燃焼時の定格消費電力:80〜191W

・コロナ「FH-WZ5718BY」(対応畳数:20畳)
 暖房出力:0.9〜5.65kW/燃焼時の定格消費電力:25〜27W

・トヨトミ「LC-SL53H」(対応畳数:19畳)
 暖房出力:1.41〜5.25kW/燃焼時の定格消費電力:21W

このように、同じ19〜20畳クラスの製品でも、暖房出力の幅、特に最低出力については各メーカーごとに差がある。この値が小さいほうが、弱火にできるということを意味しており、省エネ運転が得意ということだ(たいていの場合、「エコモード」などを選択した場合の出力)。もちろん、寒い地域においては最低出力はあまり意味がないだろうし、お住まいの環境によって必要なスペックは異なるが、省エネ性能を重視するのであれば、こういった部分もチェックしておくといいだろう。

また、上記1で見たように、燃焼方式によって、燃焼時の消費電力も結構変わってくる。3社中では、コロナとトヨトミの製品が20W台と低いいっぽう、ダイニチだけが80〜191Wと圧倒的に消費電力は多い。その分、ダイニチの製品は点火までが早く、燃焼効率も高いのだが、その分、運転時の電力もかかるということは知っておこう。

3)その他、便利な付加機能を確認する

コロナ「FH-WZ5718BY」(左)とトヨトミ「LC-SL53H」(右)には、操作に使える小型リモコンが付属する。ダイニチ「FW-5718SGX」には付属しない

基本的には、上記の1と2を押さえておけば、およそ自分が選ぶべき石油ファンヒーターは決まってくるが、各メーカーとも、多彩なシリーズラインアップを展開しており、数千円から購入できるような低価格シリーズから、数万円する高価格帯シリーズまで、いろいろなシリーズが存在する。これらのシリーズの違いは、主に付加機能の有無によるところが大きいので、必要に応じてチョイスすればいいが、一般的に、上位モデルになればなるほど、液晶画面が大きくなったり、人感センサーなどのセンサー類が多くなったりする。また、最近のトレンドとして、エアコンのようにルーバーが自動で可変するモデルも上位シリーズでは登場してきており、こうした製品であれば、その時々の室温に合わせて、最適な気流を作ってくれたりもする。また、上記で少し触れた「エコ運転」などの運転モードや、消火時の灯油特有の臭いをなるべくカットする消臭機能、リモコンの有無なども、シリーズによって若干異なってくる付加機能だ。

これらの付加機能は必ずしもマストではないが、あれば便利なのは間違いない。必要に応じて、賢く選ぼう。

3大メーカーの最新フラッグシップモデルを紹介

本特集では、ダイニチ、コロナ、トヨトミという3大メーカーのフラッグシップモデルをピックアップして、詳細に至るまで徹底チェックした。まずは、各製品のプロフィールをそれぞれ紹介しよう。

ダイニチ「FW-5718SGX」

比較的コンパクトにまとまった本体デザイン。カラーは写真のロイヤルブラウンとクールホワイトの2色展開

燃焼方式:ブンゼン式
対応畳数のめやす:20畳(コンクリート)、15畳(木造)
暖房出力:1.23〜5.70kW
燃焼時の定格消費電力:80〜191W
油タンク容量:9.0L
燃焼継続時間:16.2時間(最大燃焼時)
外形寸法:445(高さ)×476(幅)×336(奥行)mm
重量:約13.6kg

国内シェアNo.1を誇る、ダイニチ「ブルーヒーター」のフラッグシップシリーズ「SGX」タイプの20畳(コンクリート)対応モデル。ボディデザインはシックなブラウンで、和室にも洋室にもしっかりマッチする。今回紹介する3機種の中ではもっともボディの横幅が小さく、見た目もコンパクトだ。ただし、油タンクは3機種内で最大容量の9.0L。そのため、最大燃焼時の燃焼継続時間も16.2時間と、3機種中ではもっとも長い。

背面。ごく一般的なファンとホコリフィルターが備わる

背面。ごく一般的なファンとホコリフィルターが備わる

ダイニチ「ブルーヒーター」は、上記でも紹介した「ブンゼン式」の燃焼方式を採用するのが特徴だ。灯油をノズル内で電気ヒーターによって温めながら気化させるため、燃焼効率が高く、点火までの時間も短い。多くのモデルで「35秒着火」をうたっており、本機も40秒で点火できるとしているが、これは3機種中でも圧倒的な速さだ。また、燃焼開始後は出力を上げて燃焼を行う「オートターボ運転」を備えており、室温が15℃になるまで自動で最大火力をアップするなど、立ち上がりの暖房性能にすぐれている。ただし、燃焼時に他製品より電力を多めに消費する点は注意したい。

操作部は斜め上向きになっており、上からも正面からも操作しやすく見やすいデザイン

操作部は斜め上向きに設置されているので、操作しやすく見やすい。ボタン、液晶画面ともにシンプルにまとまっていて、デザイン性の高さを感じる。なおリモコンは付属しない

最新モデルのフラッグシップ機らしく、「快温トリプルフラップ」と呼ばれる自動可動のルーバー(フラップ)を備え、大出力時は遠くまで届くように前方向きに、小出力時には床に沿って温風が広がるように斜め下向きに可動するのも特徴だ。

エコ運転については、設定温度プラス2℃で消火する「ecoおまかせモードプラス」と、人の動きを見ながら運転をセーブする人感センサーを備える。リモコンは非搭載。

油タンクは3機種中最大の9.0L。満タンに入れるとなかなかの重量になるが、持ち運びやすいように2つのハンドルが付いているので、意外に持ち運びはラクだ。給油口は回すのではなく、脇のボタンをプッシュして開ける方式

コロナ「FH-WZ5718BY」

オーソドックスにまとまった本体デザイン。カラーは写真のエレガントホワイトとアーバンブラウンの2色展開

オーソドックスにまとまった本体デザイン。カラーは写真のエレガントホワイトとアーバンブラウンの2色展開

燃焼方式:ポンプ噴霧式
対応畳数のめやす:20畳(コンクリート)、15畳(木造)
暖房出力:0.9〜5.65kW
燃焼時の定格消費電力:25〜27W
油タンク容量:7.2L
燃焼継続時間:13.1時間(最大燃焼時)
外形寸法:466(高さ)×520(幅)×338(奥行)mm
重量:13.2kg

コロナのフラッグシップシリーズ「WZシリーズ」の20畳(コンクリート)対応モデル。ボディデザインはある意味オーソドックスだが、前面に装備される2枚の可動式ルーバーが特徴的。火力に合わせてこのルーバーが自動的に可動する「ルーバースイング」によって、温度ムラの少ない快適空間を作り出せる点は、上記ダイニチ「FW-5718SGX」と同様だ。操作ボタンが天面上向きに設置されているので、立ちながらの操作がしやすいのに加えて、リモコンも付属するなど、操作性は3機種中もっとも洗練されている印象だ。

操作系はボタン類が上部に、表示部が前面にというように分かれているので、操作しやすく、運転時には内容を確認しやすい。機能が多いため、ボタン類もやや多めだが、細かい制御は一番得意。リモコンも付属する

コロナが採用する燃焼方式「ポンプ噴霧式」は、燃焼効率と消費電力のバランスがいいのが特徴だが、本機は、3機種中では唯一、細かい火力調整が行える。基本となる自動運転モードのほか、弱、中、強の3段階で火力を調整できるので、細かく運転を制御したいという人には向いている。エコモードにも注力されており、最大火力を40%抑えて運転することも可能。このため、3機種中もっとも最小暖房出力が小さく、秋口や春先など、ちょっと肌寒いといった時期の運転にも幅広く利用できる。なお、灯油の使用量を表示させる「エコガイド」機能も搭載しており、燃焼時の消費電力も25〜27Wと総じて低い。

油タンクは3機種の中で一番ユニーク。右側のレバーを引っ張ることで、給油口全体がパカッと開くというギミックで、給油口付近自体に触れることがない。持ち運びのためのハンドルは、上と下両方に備わっており、給油口を上にしたまま持ち運べるのも便利

センサー関係では、温度センサーのほかに人感センサーを搭載。人の動きに合わせて、運転をセーブしてくれる。また、消化時にルーバーが閉まるため、消火時の臭いもしっかり消してくれる。

背面。ファンのあるフィルター部の上部には光触媒除菌脱臭ユニットが備わる。下の丸い穴は燃焼空気取入口

背面。ファンのあるフィルター部の上部には光触媒除菌脱臭ユニットが備わる。下の丸い穴は燃焼空気取入口

トヨトミ「LC-SL53H」

やや横に長いデザインが特徴。カラーはホワイトのみの展開

やや横に長いデザインが特徴。カラーはホワイトのみの展開

燃焼方式:ポット式
対応畳数のめやす:19畳(コンクリート)、14畳(木造)
暖房出力:1.41〜5.25kW
燃焼時の定格消費電力:21W
油タンク容量:7.0L
燃焼継続時間:13.7時間(最大燃焼時)
外形寸法:445(高さ)×550(幅)×327.5(奥行)mm
重量:12.7kg

トヨトミのフラッグシップシリーズとなる「スマートファンヒーター」シリーズの19畳(コンクリート)対応モデル。外見上は、3機種中もっとも横幅が長いが、その分、奥行きは短く、ややスリムなイメージだ。操作系はすべて前面に集中しており、上方向からは若干操作しづらそうな印象もあるが、ボタン類や液晶画面が大きめに配置されているほか、リモコンも付属するので、実際には操作しづらくはない。デザインはオーソドックスで、カラーはホワイトのみ。なお、ほかの2機種が備えている可動式のルーバーは備えていない。

操作系は前面に集中している。上から見下ろす形だとやや操作しにくいが、ボタン類が大きく、液晶画面も大きいので、さほど問題はない。リモコンも付属する

トヨトミの石油ファンヒーターは、燃焼方式にシンプルな「ポット式」を採用する。燃焼塔内で灯油を直接熱して気化させ燃焼させるため、ほかの2社が採用する噴霧式(ノズル式)と比べて、劣化灯油などでも燃焼させやすいのが特徴。昨年の余り灯油などでも、問題なく燃焼できるという。もちろん消費電力は少なめで、燃焼時の消費電力は21Wと、3機種中では最小となる。コンクリート住宅で19畳対応のため、他の2機種より若干暖房出力は低めとなるが、その分、燃費はいい。

油タンクは3機種の中でもっともシンプル。持ち運び用の取っ手は底部のハンドルのみ。給油キャップも回して外すオーソドックスなものだ

エコ運転については、設定温度より3℃上回ると自動的に消化するほか、設定温度付近で安定した場合には、設定温度を1℃下げて運転することで、灯油の消費をセーブする。そのほか、人感センサーによって人の動きを認識し、不在時には運転をセーブする機能も備えている。

裏面には、一般的なファンとホコリフィルターが備わる。燃焼空気取入口は正面向かって左側面に備わる。リモコン用ケースも背面に備わる

3機種による燃焼運転テスト

写真の部屋(25畳)の半分を使ってテストを行った。ファンヒーター本体から約4mのところに低めのチェストを置き、その上に温度計を設置(A地点)。さらに離れたダイニングテーブルの上にもうひとつの温度計を置いて(B地点)、それぞれの温度変化を記録した

上記の3機種を用いて、実際の利用シーンに近い部屋(マンションのリビングダイニング・約25畳)にて、燃焼運転テストを行った。3機種の対応畳数よりはやや広い部屋であるため、テストにはやや厳しめの環境ではあるが、燃焼の実力を測るのには問題ない広さだろう。

テストでは、ファンヒーター本体から約2m程度離れたスツール上(A地点)と、4m程度離れたダイニングテーブル上(B地点)に温度計を置いて、それぞれの地点における温度変化を計測した。なお、室温はA地点で14℃、B地点で15℃の同条件になるように調整した後、ファンヒーター側の設定温度を23℃に設定して運転を開始している。運転モードはすべて自動モードで行い、火力調整は行っていない。ちなみに、テストを行ったのは、すべて12月下旬の夜で、外気温は約10℃程度であった。

室温はA地点で14℃、B地点で15℃近辺に調整したうえでテストを行った

室温はA地点で14℃、B地点で15℃近辺に調整したうえでテストを行った

1)着火時間テスト

圧倒的な点火の速さを見せたのは、燃焼方式にブンゼン式を採用するダイニチ「FW-5718SGX」だった

圧倒的な点火の速さを見せたのは、燃焼方式にブンゼン式を採用するダイニチ「FW-5718SGX」だった。3枚の可動フラップで遠くまで温風を届けられるのも、早く部屋を暖めるのに貢献していた

各製品で運転ボタンを押してから、実際に着火するまでの時間を計測した。計測結果は以下の通りだ。

・ダイニチ「FW-5718SGX」 約42秒

・コロナ「FH-WZ5718BY」 約78秒

・トヨトミ「LC-SL53H」 約101秒

この結果で一目瞭然だが、ブンゼン式を採用するダイニチの「FW-5718SGX」が42秒と、着火までは圧倒的な速さを見せた。カタログでうたわれている40秒はややオーバーしたものの、十分に速い。ほかの2機種はどちらも着火までに1分以上かかっており、燃焼方式による差が如実に出た形となった。

なお、コロナ「FH-WZ5718BY」には、約7秒で点火できる「秒速点火」という機能が備わっているが、これはあらかじめヒーターを暖めておく予熱方式で、こちらを使った場合もカタログ値で75秒かかることから、実質的には同じ結果となる。また、トヨトミ「LC-SL53H」については、点火までさらに時間がかかっており、初動という意味ではやや不利な結果となった。

2)暖房運転テスト

全体的にバランスのよいコロナ「FH-WZ5718BY」。暖まり方はややマイルド

全体的にバランスのよいコロナ「FH-WZ5718BY」。こちらも2枚の可動ルーバーを装備するが、ダイニチに比べると暖まり方はややマイルド

さらにそのまま、A地点とB地点の2点で、18℃、20℃、23℃の3つの温度に達するまでの時間を計測した。計測結果は以下の通りだ。

・ダイニチ「FW-5718SGX」
 A地点:18℃ --分、20℃ 約5.5分、23℃:約11.3分
 B地点:18℃ 約16.3分、20℃ 約28.1分、23℃:--分

・コロナ「FH-WZ5718BY」 約78秒
 A地点:18℃ 約24.5分、20℃ 約36.4分、23℃:--分
 B地点:18℃ 約19.3分、20℃ 約33.3分、23℃:--分

・トヨトミ「LC-SL53H」 約101秒
 A地点:18℃ 約23.1分、20℃ 約36.2分、23℃:--分
 B地点:18℃ 約20.6分、20℃ 約39.0分、23℃:--分

結果から言うと、こちらのテストでも、ダイニチ「FW-5718SGX」の暖房出力の高さが際立った。本機種は上で解説した「40秒着火」に加えて、燃焼開始後は出力を上げて燃焼を行う「オートターボ運転」を備えているため、特に初動の暖めスピードは他の2機種を圧倒した。可動式ルーバーの恩恵もあり、遠くまで温風が届いており、約4m離れたB地点のテーブル上でも、唯一30分以内に20℃に達することができた。

トヨトミ「LC-SL53H」も、暖まり方自体はコロナ「FH-WZ5718BY」と同じような傾向となった

トヨトミ「LC-SL53H」も、暖まり方自体はコロナ「FH-WZ5718BY」と同じような傾向となった。こちらはルーバーは固定式

その他の2機種に関しては、ほぼ同等くらいの暖まり方となった。面白いのは、よりヒーターに近いA地点よりも、遠いB地点のほうが早めに暖まったということ。どちらの機種も、燃焼開始時は遠くまで温風を届けることで室内の空気の対流を呼び、距離的には遠いものの、やや高めのB地点の温度を先に上げたものと考えられる。いずれも、B地点の計測で、18℃に達するのに20分前後、20℃に達するのに30分以上という結果で、テスト時間内に23℃に達することはなかった。

3)消費電力テスト

ワットチェッカーで3機種の燃焼中の電力を計測。左からトヨトミ「LC-SL53H」、コロナ「FH-WZ5718BY」、ダイニチ「FW-5718SGX」

最後に、燃焼運転時の消費電力をワットチェッカーで計測した。計測結果は以下の通りだ。

・ダイニチ「FW-5718SGX」 117W

・コロナ「FH-WZ5718BY」 20W

・トヨトミ「LC-SL53H」 19W

消費電力では、やはりブンゼン式を採用するダイニチ「FW-5718SGX」が突出して高いという結果になった。コロナとトヨトミの2機種は、燃焼運転時にはほぼ19〜20W程度で安定していたが、ダイニチだけは運転中ずっと100Wを超える電力を消費していた。設定温度に達した後は、やや下がってくるが、カタログスペックでも下限が80Wと、ほかの2機種よりは圧倒的に高い。これがブンゼン式のデメリットで、上記のテスト1、テスト2で見たように、暖房出力としてはかなり強力だが、消費電力はそれだけ多くなる。

まとめ:早く部屋を暖めたいならダイニチ、エコ重視ならコロナかトヨトミ

以上、さまざまな観点から、石油ファンヒーターの3大メーカーのフラッグシップモデル3モデルをチェックしてきた。いずれの機種も最新モデルだけあって、機能性や使いやすさ、消臭性、デザインなど、高いレベルでまとまっており、それぞれに魅力があるが、早く部屋を暖めるという意味では、燃焼方式に特色のあるダイニチ「FW-5718SGX」が頭ひとつ抜き出ているという結果になった。消費電力は高めであるものの、燃焼効率が高く、素早く部屋全体を暖められるという意味では、ダイニチの製品は、特に寒冷地などでもっとも威力を発揮しそうだ。

いっぽうで、消費電力も合わせたトータルでのエコ性能ということになると、コロナやトヨトミの製品のほうが有利だ。こちらの2機種は、暖房性能的にはさほど差はないので、好みで選んでいいだろう。操作性や機能性ではコロナ「FH-WZ5718BY」のほうが豊富だが、劣化灯油などでも対応できる燃焼方式を持っているトヨトミ「LC-SL53H」の懐の深さ、バーナーの耐久性も捨てがたい。

本記事を参考に、ご自身の生活環境や、必要な機能などを考えつつ、最適な製品を選んでいただきたい。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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