家電は誰の生活にも必須なもの。ヲタクのシングルライフも例外ではありません。しかし同じ家電でも「ファミリー」と「ひとり暮らしヲタ」では、何を基準にどんな製品を選ぶべきかはもうぜんぜん違います!
というわけで、ヲタクの自由なシングルライフに役立つ家電情報をヲタク目線でお届けする連載「ヲタ家電!〜ヲタクのお宅に推せる家電〜」。今回は、筆者も10年愛用している「マキタのコードレススティック掃除機」をご紹介します! しかし単純に掃除機の紹介と思いきや、マキタのスゴさはそこに収まらないのです……。
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まず掃除機という家電をヲタに推す理由ですが、前回ご紹介した空気清浄機と同じく、「ヲタだからこそ健康、大切!」「ヲタならばアイテム保管環境、大切!」の2点です。
大切なことなので復習しておきましょう。「お仕事は休めるし代わりもいるけど、推し事はその日限りの一期一会。体調を崩して行けなかったら一生の後悔」「アイテムコレクションをキレイに飾るにしてもしっかり保管するにしても、ホコリはその大敵」。なので、健康と展示&保管環境のためにも、お部屋はちゃんとキレイにしましょう!
もうおわかりですね。我々には自身の健康とアイテムの展示&保管のためにキレイな部屋が必要であり、そのためにはよい掃除機が必要なわけです。
ハウスダスト討つべし!(それでもいざというときはパブロン!)
では、「ヲタクのシングルライフによい掃除機」とはどんな掃除機でしょうか? そこには、ファミリー層とは異なる製品選びのポイントがあります。
まず大枠での考え方として掃除機の場合、「ヲタシングルに必要な性能」を考えるよりも「ファミリー層には必要でも、ヲタシングルには必要ない性能」を見極めることがおすすめです。そこを切り捨てていけば、魅力的な製品をお手頃な価格でピックアップできるようになります。
さてその「ファミリー層には必要だけれどヲタシングルには必要ない性能」ですが、具体的には「静音性」「長時間駆動」の2点です。
どちらも掃除機に求められる基本性能、誰にとってもハイスペックこそ正義である性能に思えるかもしれませんが、筆者が思うにヲタシングルにとってはそうではありません。
まず「静音性」ですが……もうやだなあ。静かさってそれ、誰のためにですか?
想像してみてください。
あなたが実家暮らしで、実家の自室でアニメなり音楽なりを楽しんでいるとしましょう。そこでお母さまが隣の部屋やら廊下やらで大音量の掃除機を使い始めたら、文句を言える立場ではないけれど内心で「うっせ!」と思ったりはしますよね。
ですがひとり暮らしでは? あなたが掃除機を使って掃除をしているならそのときには、その部屋でアニメや音楽を鑑賞している人なんて誰もいません。逆にあなたがアニメや音楽を鑑賞しているならそのときには、その部屋で掃除をしている人なんて誰もいません。だってあなたしかいないのだから! 僕らはひとりなのだから!
掃除機がうるさくても誰にも文句は言われません。あなたが深淵を覗いているときには深淵もまたあなたを覗いているのかもしれませんが、あなたが掃除をしているときには誰もあなたを覗いていません。掃除をしているとき、あなたの部屋であなたはただひとりなのです。ただ、独りなのです……。
普通の掃除風景に見えるが……おわかりだろうか? ほかに誰もいない部屋でこれをセルフタイマー撮影してる筆者の気持ち
ちょっと悲しくなってしまいましたが、それが現実です。「あなたが掃除をしているときにはあなたはアニメを見ていないし、あなたがアニメを見ているときにはあなたは掃除をしていない。そしてそこにはあなたしかいない」という条件下においては、「掃除機の静音性」は特別に重視すべき要素ではありません。
いっぽう「長時間駆動」が不要な理由ですが……
そもそも前提として、ヲタシングルが使う掃除機は、キャニスター型ではなく充電式コードレススティック型で十分です。いや、むしろそれが最適でしょう。キャニスター型は置き場所を取るので、コレクション等の保管場所を圧迫します。それに取り回しも悪いので、アイテム等が高密度に配置されたヲタルームでは、そのアイテム等にぶつけたり引っかけたりする恐れも高まります。ヲタシングルの掃除機には、コンパクトで身軽なスティック型が適任です。
それを前提として、充電式だからこその連続駆動時間の制限についての話。ひとり暮らし部屋の広さで、掃除機を30分や1時間とかけることってあんまりないですよね。気が向いたときに、5分か10分ぱっとササッと掃除する。そんな、気持ち的に負担にならないスタイルが多いのではないでしょうか。連続10分も動いてくれれば普段は十分です。
ここまでにあげたポイント、加えてどの分野でも不変のヲタ家電的な掃除機選びのポイントをまとめるとこうなります。
●コンパクトで身軽な充電式コードレススティック型で
●静音性や長時間駆動は特には必要なくて
●お金を使っても惜しくないと思えるし「ここがすごいんだよ!」と語れるポイントもある「推せる家電」であること
それを満たすのがマキタのコードレススティック掃除機! お待たせしました、ここからやっとマキタの紹介です。
電動工具界のMR.BIGは掃除機もガチ! ちょい汚れてるのは筆者が使い込んできた私物、歴戦のマキタだから!
近年では某通販カタログを筆頭に家電系メディアからプッシュされる機会も多く、家電量販店どころかインテリアショップ的なお店でも売られていたりするので、その存在をご存知な方も多いことでしょう。だがお前はまだマキタを知らない! It's Drill Time!
Daddy! Your Brother! Your Lover and Your Little Boy! これがマキタだ!
部屋と掃除機と電動ドリル
マキタは、ハンディサイズの電動ドリルや電動ドライバーから、もっと大型の工具まで取り扱う電動工具の一大ブランドです。国内シェアは60%を超え、世界シェアも25%ほどに達しているとか。その歴史は牧田茂三郎氏が大正時代に開いたモーター販売修理の個人商店「牧田電機製作所」から始まるという、いわばモーターのプロ。だからこそ、モーターを心臓部とする電動工具のプロとなったのでしょう。
そして掃除機の心臓部もモーター! ならばマキタの掃除機はガチ!
「何とかサイクロン」だとか「何とか真空」だとか「何とかセンサーでゴミを検知して何とか」だとか、マキタの掃除機にはそういうキャッチーな売り文句とかは別にないです。しかし、何せそもそもモーターが強い!
プロ向け手持ち電動工具は、ハイパワーと小型軽量が同時に求められる世界。そこでトップを張っているマキタのモーター技術! それがコードレス掃除機にも生かされているというわけ。機種によってはズバリ「プロ用充電工具のハイパワーモータを搭載」とされているものまであるのです!
実際、マキタの掃除機はビルや駅の清掃業の方々といったプロの仕事には欠かせないツールです。その事実が、マキタ掃除機の実力を示しています。たとえば清涼感と渋さをあわせ持つこのグリーン、会社や駅で見かけたことのある方も多いのでは?
マキタのキャニスター掃除機(左)と、背中に背負うタイプの「充電式背負いクリーナー」(右)
上写真の右側は、マキタの掃除機ラインアップの中でも「充電式背負いクリーナー」というタイプ。もちろん個人宅で使うようなものではないですが、これもまた実用性をきわめた無骨なかっこよさを感じさせる逸品です。コラボして「ザク強行清掃型」というガンプラを発売してそのランドセルとして装備してほしいくらいです。
そのほか、工事現場等に向けた充電式ファンやファン内蔵の空調ジャケット、充電式のラジオやBluetoothスピーカー、ライト、USB充電アダプタなどもラインアップ。とにかくモーターとその動力たるバッテリーに強い会社なのです。USB充電アダプタやライト、ラジオあたりは災害に備えてのアイテムとしてもポイントが高いですね。
マキタの掃除機は、同社では「集じん機」「クリーナー」と呼称されていますが、今回の記事では呼び慣れた「掃除機」という呼び方にさせていただきます。
そのラインアップのうち、家庭向けとしても適当と思われるのは、コードレス掃除機「CL」シリーズのスティック型モデル。その稼働音は、掃除機として普通程度にうるさい感じ。稼働時間も特に長くはなく10〜20分のモデルが主流です。ですがここまでに説明してきたように、我々にとってはそれで問題ないのです。
しかしいざ選ぼうとするとこのシリーズ、モデル数が多い。公式サイトに掲載されているレギュラーモデルだけでも一桁に収まっていませんし、価格.comで販売しているモデル数も膨大です。どれを選んだらいいのか……。
めっちゃ種類多い(画像は2019年3月28日時点の価格.com上のラインアップ)
しかし実は、そのスペックで特にチェックするべきポイントは3点に絞れます。シリーズの製品バリエーションは、主にその3点の組み合わせ方の違いで構成されているので、その3点の組み合わせが自分にフィットするモデルを選べばよいのです。
<マキタハンディクリーナーのスペック主要3点>
●バッテリー18V/14.4V/10.8Vスライド式/10.8V/7.2V
●ダストバッグ/カプセル
●トリガースイッチ/ワンタッチスイッチ
「紙パックか? ダストカップか?」と「トリガースイッチか? ワンタッチスイッチか?」は掃除機として一般的なポイントです。吸い込んで溜めたゴミの処理の仕方、トリガースイッチを引いている間だけ運転されるのか、ワンタッチスイッチをオンにしている間は続けて運転されるのか、ですね。いずれも好み次第でOK!(個人的には、今回のテーマに沿って考えた場合、「ささっと感」にすぐれるトリガースイッチがおすすめ)
ダストバッグ式(紙パック式のこと)は消耗品ですので、その買い置きを切らさないように管理する必要がありますが、そこだけ注意すれば手間は少ないです。対してカプセル式(ダストカップのこと)は適当なタイミングで布製フィルター等の掃除が必要な手間はありますが、消耗品管理の手間やランニングコストは抑えられます。
さて、マキタの掃除機が他社の家電と様相が異なるポイントが、バッテリーの種類。その多さです。同社はコードレスの電動製品全般で、適材適所で使い分けられるよう多様なバッテリーシステムを共有しており、それは掃除機においても同じ。
掃除機以外のマキタ製品とも共有して使い回せるバッテリー(写真は過去記事から。「CL107FDSHW」に付属するタイプ)
バッテリーを見るときのポイントはまず、「電圧が高いバッテリーを使っている掃除機の方が吸込み仕事率が高い」こと。たとえば、部屋の床がフローリングではなくカーペット等だったら、18V/14.4Vなど電圧高めのバッテリーを採用しているモデルのほうがよいかもしれません。また「電圧が高いバッテリーは容量も大きくしてあるので連続駆動時間も少し長め」です。極端に大きな差ではありませんが。
対して電圧低めのバッテリーを採用しているモデルは、電圧高めのモデルの1.3〜1.4kgに対して0.8〜1.0kg前後と軽めにまとめられており、その軽さのおかげで使いやすいです。
バッテリー選びにおいてはもうひとつ、「マキタの他分野製品ではどのバッテリーが採用されているか?」も考慮することをおすすめします。たとえばバッテリーからスマホ等への充電を可能とする「USB用アダプタ」は、18V/14.4Vバッテリー用の「ADP-05」と10.8Vスライド式バッテリー用の「ADP08」が用意されています。逆に言えば10.8Vと7.2Vのバッテリー用には用意されていません。
ざっと確認してみた感触としてはおおよそ、「10.8Vスライド式以上の電圧のバッテリーであればほとんどのジャンルの製品にそのバッテリー対応のモデルが用意されている」ように思えます。今後マキタでいろいろそろえていくことも視野に入れるなら、掃除機購入の時点から「10.8Vスライド式以上」にしておくのが賢明かも。
多くのマキタ製品でバッテリーパックの規格を共有していて、「さっきまでモーターを回していたバッテリーでいざというときにはスマホを充電」なんてことも可能(画像はメーカー公式サイトより)
ところで記事の前半で、「ひとり暮らし部屋で掃除機を30分とか1時間とかかけ続けることってあんまりないですよね。10分も動いてくれれば普段は十分です」という話をしましたよね。その「普段は」に引っかかった方もいたかと思います。「普段は十分だけど大掃除的なときは心もとなくない?」と。
もうお気づきでしょう。マキタ掃除機はバッテリーパックシステムを採用しているので、駆動時間が心もとないなら予備バッテリーを用意しておけば何の問題もありません。バッテリーを本体に装着したまま充電するのではなく、本体から取り外したバッテリーを充電器にセットして充電する方式なので、充電中は本体を使えないなんてこともありません。
しかもその予備として充電してあるバッテリーはそのまま前述のラジオやライト、USB充電アダプタ等の電源にもなります。掃除機の予備電力がそのまま、災害に備えての予備電力としても常備できる状態。ムダのない美しいシステムだと思いませんか?
では最後になりますが、筆者が実際もう10年ほど愛用しているマキタのコードレススティック掃除機を実例に、現場=ヲタルームにおけるその使いやすさを見ていただきましょう。
なお「10年ほど愛用」というのは、「10年間、マキタの掃除機からマキタの掃除機へと買い替え続けている」という意味ではありません。「10年前に買ったマキタの掃除機が故障しないし、不満もないしで、そのまんまずっと現役」なのです! 消耗品は交換していますがそれだけ。そして消耗品の入手性も、この10年何の問題もありませんでした。このガチすぎる長期利用性も業務クオリティ!
というわけで先ほどと同じ写真で恐縮ですが、筆者所有のマキタ掃除機とアタッチメント。ずらっと並べたノズル等の多くは筆者が買い足したオプション
筆者が所有しているのは、「CL100D」(10.8V/カプセル集塵/トリガースイッチ)です。取説で確認してみたところ、現在の同社カタログモデル「CL100DW」と大体同じ仕様のよう。マキタ掃除機のベーシックモデルは、足し引きする要素がほとんど残されていないレベルに完成されているので、たかが10年くらいで古びたりはしないということでしょう。
以下に、標準の同梱品やオプションノズルを写真でご紹介します。なお、純正でなく百均などで売っている掃除機汎用ブラシも、保証はできませんが大体使えると思います。筆者もトイレ周り用のブラシなんかはそういうので済ませてます。
この2つ(と延長パイプ)が標準装備。たしかにとりあえずはこの2つがあればそんな不便ではない
細かい隙間にはこのノズルを使う
こういう場所のホコリ落としには、ラウンドブラシを活用
その重さはバッテリーと普通のノズルを装着した状態で0.88kg。片手で余裕ですので、細かな掃除がはかどります。スイッチはトリガー式。本当にゴミを吸い込むその瞬間だけオンにする使い方になるので、連続駆動時間12分を効率的に使えます。
軽ッ!ってほどではないが重く感じることもない
バッテリーは10.8Vタイプ。本体外側にスライド式ではめるタイプではなく、本体の中にガチャコンと埋め込む感じで入れるタイプです。掃除機用としては不満なしですが、マキタバッテリーシステム全体での汎用性としては同じ10.8Vでもスライド式に軍配が上がるでしょう。当時はあまり深く考えずにこのモデルにしたのですが、買い換えるときがあったらバッテリーだけは10.8V「スライド式」に変える予定です。
バッテリーはこんな感じで本体から取り外し
充電器の底面積は手のひらよりちょい大きめなくらい。普段は部屋の隅にて待機
筆者は延長パイプなしを標準に運用しているが、そこは生活&お掃除のスタイル次第で
フック標準装備なので、じゃまにならないところに吊るしておける
どうです? マキタのコードレススティック掃除機。特別な機能は全くありません。しかし筆者はこの10年、掃除機としての基本性能、使いやすさ、そういったベーシックな部分に不満を感じたことは全くありません。「最新」的な魅力とは対極に位置する「普遍」「不変」の完成度。そう簡単に古くさくはならないような魅力を備えた家電だと思います。
ネタではなく、みずからの体験をもとに本気で「10年使える」と言い切れる逸品です。マキタの掃除機があれば、ヲタクはあと10年は戦える!
なお何と戦っているのかは不明
オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。