近年、急速に市民権を得始めたサーキュレーターですが、「サーキュレーターって意味あるの?」と思っている方は少なくないのでは? 筆者もそのひとりで、使い方がいまいちわからないし、正直、エアコンがあればなくても困らないでしょ。という認識でした。
そこで今回は、自宅にアイリスオーヤマのサーキュレーター「KCF-SDC151T」(以下、KCF-SDC151T)を導入し、1か月ほど「サーキュレーターのある生活」を体験。サーキュレーターは正しく使えば、とっても意味があることがわかりました!
アイリスオーヤマのサーキュレーター「KCF-SDC151T」
サーキュレーターと扇風機はどちらも、羽根の回転によって風を発生させる家電製品。そのため用途が混同されやすいのですが、生み出される風の質が違うため、用途も異なります。※扇風機として使用できるサーキュレーターもあります。
扇風機
風の質:広がりながら進むやさしい風
用途:風に直接当たって涼をとる
サーキュレーター
風の質:直線的に進む強めの風
用途:部屋の空気を循環させる
サーキュレーターの風に直接当たったり、扇風機の風で換気をしたりするのは、機能に合った使用法ではありません。たしかに筆者も、サーキュレーターの風に当たった時に、肌の乾燥を感じることがありました
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今回使用したサーキュレーターは、アイリスオーヤマ「KCF-SDC151T」。ボール型形状の前面パネルとDCモーターを採用し、たっぷりの速い風で部屋の空気をかくはんする、同社のハイエンドに位置するモデルです。また、干した洗濯物の中央部は風を弱く、端側を強くすることで風による衣類やハンガーのズレ、乾燥ムラを防止して乾燥させる「衣類乾燥モード」も搭載しています。
前面パネルを丸くすることで風を中心に集め、より直進的に遠くまで飛ばせる構造
風量調整を10段階。左右首振り角度は60°、90°、120°の3段階、上下調節可能です
というわけで、自宅(1K)にサーキュレーターを導入し、部屋の換気や冷房(暖房)の効率化、部屋干しなどに活用してみることに。といっても、やみくもに使ってはサーキュレーターが実力を発揮できないと思ったので、アイリスオーヤマに、用途別の効果的な使用法についてうかがいながら使ってみました。
まず、サーキュレーターの用途といえばコレ。空気の空気を循環(circulation)させ、効率よく換気を行うことです。
部屋の換気を行う場合の最適な使用方法は、窓を開け、開けた窓に向けて運転させるというもの。この場合、首振りはさせないのがベターとのこと。
さっそく、予想もしなかった使い方です。このように配置することで、部屋の中の空気を窓から外に出しながら、窓の外の空気を効率よく室内に誘導。スムーズな換気をサポートしてくれるそうです。
設置場所は窓に近いほどよし。サーキュレーターと窓の間に障害物がない場合は、多少離れてもよいそうです
実際にこのように設置してみたところ、すぐにふんわりと室温と違う温度の風(外の空気?)を感じるようになりました。この方法を知る前は、「部屋全体の空気を循環させよう」という思いから、上下左右の首振りをフルに使用していたのですが、この方法のほうが体にサーキュレーターの風が直接当たらないので、肌の乾燥を感じることもなくなり、非常に快適です。
窓を閉めた状態で空気を循環させたい。という場合は、サーキュレーターを部屋の隅に置き、対角にある天井の角に向けて風を届けます。この場合も、首振りをする必要はありません。
このように配置し、空気を循環させるだけで空気によどみがなくなり、窓を閉めた状態でも快適に過ごすことができました。室温が適切であることと同じくらい、「空気が動いている」ということが、快適な空間の条件なのだなと実感。
部屋の中心を斜めに切るイメージです。このように設置して稼働させたところ、左の窓際にかけたカーテン代わりの布がかすかに揺れ続け、部屋の空気が動いていることが確認できました
続いて、冷暖房の効率化です。こちらは、冷房か暖房かによって、適した設置位置が変わります。
冷房効率を上げたい場合は、エアコンの真下に、エアコンに背を向ける方向でサーキュレーターを設置し、床と平行の方向に風を届けます。この場合も、首振りは必要はありません。こうすることで、下にたまりやすい冷気が拡散され、部屋全体を効率よく冷やしてくれるそう。
実際このように配置してみたところ、これまで28℃がベストだと感じていた冷房の温度設定が、29℃設定でちょうどよくなりました(6月中旬に使用時)
涼しさを隣の部屋にもおすそわけできる
隣接する部屋にエアコンがない場合も、サーキュレーターを使って、隣の部屋にも冷気を届けることができます。サーキュレーターをエアコンの下に置き、隣の部屋に向けて風を送れれば、冷気が2部屋を循環するのです。
エアコンの真下にドアがあるという都合上、エアコンと向かい合う方向で設置していますが、エアコンに背を向けるようにサーキュレーターを置いたほうがよい場合もあるそう
エアコン(冷房)の温度を28℃に設定した状態で、上の写真のようにサーキュレーターを設置したところ、30分ほどで隣の部屋(1KのK部分)の温度が約2℃下がりました。もちろん、エアコンを設置してある部屋と同じ涼しさにはなりませんが、隣の部屋に入った時の「むわん」とまとわりつくような生暖かさが緩和されています。また、我が家の場合、空気が動くことで、キッチン周り特有のニオイも軽減されたように感じられました。
約30分で2℃低下
暖房の場合は、冷房と逆です。エアコンの反対側にサーキュレーターを設置し、エアコンに向けて送風します。こちらも首振りはしなくてOK。これよって、エアコンから出る暖気をかくはんし、上にたまりやすい暖かい空気を、部屋にまんべんなく届けられます。
部屋の中央に置いて、送風口を真上に向けても、同様の効果が期待できるそう
もちろん、暖かさも隣の部屋にもおすそわけできる
エアコンがない隣の部屋にも暖気を届けたい場合は、サーキュレーターを部屋と部屋の間の間に配置し、隣の部屋に向けて風を送ります。この時、エアコンルーバーの向きをなるべく下向きにしたうえで、風の向きは床と平行にしましょう。
このほか、サーキュレーターを真上に向けられる場合は、エアコンの下に置いて真上に向けて風を送ることで、同様の効果が期待できます
ロフトのある部屋で冷暖房の効率化をしたい場合は、サーキュレーターを2台設置することで、より効果が期待できます。いずれも、1台はロフトに溜まった暖かい空気を下(部屋部分)に送り、もう1台で、部屋の空気を循環させるイメージです。
冷房時の設置例。1台目はロフトに置き、斜め上に向けて溜まった熱を逃がすために、天井方向に風を送ります。もう1台は冷気が溜まる場所にエアコンに背を向けて設置し、ロフトに冷気を送ります※画像はアイリスオーヤマ提供
暖房時の設置例。1台目はロフト内の手前に置き、暖気を下へ。2台目はエアコンの下に置き、真上に向けて風の流れを作ります※画像はアイリスオーヤマ提供
部屋干しの場合は、除湿器や換気扇を併用し、衣類から出た水分の逃げ場を作ります。そのうえで、サーキュレーターの左右(上下)の首振り機能を使用し、衣類にまんべんなく直接風を当てます。
浴室など、窓がある場所に干す場合は、窓を開けた状態で除湿器や換気扇を併用しましょう
そのほか、あまり知られていないサーキュレーター活用法として、加湿器と併用することでその効果を高めることもできるそう。サーキュレーターを加湿器の近くに置き、斜め上に向けて部屋全体に湿気を含んだ風を送ります。
暖房の効率化と送風角度が同様なので、暖房と加湿の効率化が同時に行えて一石二鳥!
この検証を行ったのは、30℃を越える日もちらほら出てきた6月上旬から下旬にかけてですが、サーキュレーターを使用することで、「例年ならエアコンを使っていたな」という気温の日でも、エアコンなして乗り切れる日が多かったです。「空気が循環している」だけで、かなり体感が違うということが実感できました。
また、サーキュレーターのメリットを享受するためには、「正しく使用する」ということが重要だということも痛感。たとえば、首振り機能はつねに稼働させて部屋の隅々にまで風を届けるためのものかと思いきや、ほとんどの場合「首振り」としては使用せず、的確な場所に風を届けるための調整機能として利用するということは、意外と知られていないのではないでしょうか。筆者はまずここを勘違いしていたので、正しく使用するようになってからは、身体への負担を感じなくなっただけでなく、より効果が実感できるようになりました。
サーキュレーターは手頃な価格で手に入るうえ、消費電力も低く、コスパのよい家電製品と言えるでしょう。1年を通して使用できる用途の幅広さも魅力です。空調家電にしては小型なので、部屋が広くない家庭でも取り入れやすいはず。「サーキュレーターって意味あるの?」と思っている方も、この夏から、「サーキュレーターのある生活」デビューをしてみてはいかがでしょうか。
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美容・健康家電を中心に新製品レポートやレビュー記事を担当。時には体を張って製品の実力をチェックします。