冷え込みが厳しい冬場の夜は、ほかほかの布団で眠りたくなるもの。エアコンで部屋を暖めておくのもよいですが、布団乾燥機で布団を暖めてから寝床に入ると、さらに心地よく眠れることでしょう。ここ数年で布団乾燥機の機能性や使い勝手は向上しており、小型・軽量で扱いやすい製品が増えています。そんな布団乾燥機について、専門家が選び方をガイド。おすすめの製品について評価も行います。
<監修> コヤマタカヒロ氏
1973年生まれのデジタル&家電ライター。PCやデジタルガジェット、白物家電を専門分野として執筆活動を展開し、寄稿先は多岐にわたる。調理家電のテストの空間「コヤマキッチン」を都内に構え、さまざまなメディアに向けて実際の検証に基づく情報を発信。「米・食味鑑定士」資格を保有。企業のコンサルティングやアドバイザーなども務める。
冬場は家族で布団乾燥機を使用しており、家中で大活躍。長くマットタイプの布団乾燥機、三菱電機「AD-S80LS」を使っていたが、現在はアイリスオーヤマの「カラリエ ハイパワー KFK-301」を愛用している。
布団乾燥機は、冬場に布団を暖めておくと、ほかほかの布団で眠ることができ、梅雨の時期などはダニ対策も期待できるので、一家に一台あると便利な家電製品です。電気代をそれほどかけずに使える場合もあります。
「近年の住宅環境では、布団の天日干しがしにくくなっており、布団乾燥機を使う家庭が増えています。布団乾燥機は、省電力で寝床を暖められるだけでなく、ダニ対策にも効果が期待でき、一年中活躍してくれます」(コヤマタカヒロ氏)
布団乾燥機には、敷布団の上に敷くマットが付属しているものと、していないものがあります。近年は、マットが付属せず、布団乾燥機から風を送るノズルやその先のアタッチメントを、敷布団と掛け布団の間に挟んで暖めるノズル式の布団乾燥機が主流となっています。
ノズル式布団乾燥機は、暖めの準備が簡単で、小型・軽量なため持ち運びがしやすいなど、使い勝手にすぐれています。ただし、ノズル式布団乾燥機にもデメリットはあります。アタッチメントを立体形状にするなど工夫はされていますが、構造上、どうしても暖めムラが発生することがあります。
「マットなしのノズル式布団乾燥機でも、アタッチメントで布団の中に広い空間を作ることができるものだと、布団の隅々まで熱が届きやすくなります。なかには、除菌や消臭機能が付いているものも。また、いろんな使い方ができるのもポイントで、アタッチメントを交換することで、布団のほかに、衣類や靴の乾燥ができるものもあります」(コヤマタカヒロ氏)
敷布団と掛け布団の間に挟むマットが付いたマット式布団乾燥機は、以前からあるタイプです。マットを使って布団の隅々まで温風を届けるので、布団の乾燥ムラが少なくなります。また、ダニは50℃以上の熱に30分以上当たると死滅しますが、熱の低いほうに逃げていく性質があるため、ダニ対策には暖めムラの少ないマット式布団乾燥機のほうが有効です。
ただし、使うたびにマットをノズルに取り付けて、布団の間に挟み込む作業や、使用した後にマットを折りたたんで収納する作業に手間がかかるので、最近はマット式布団乾燥機の製品数は減少傾向にあります。そこで次章では、マットなしのノズル式布団乾燥機の選び方を中心に解説します。
「ダニは湿気の多い木造家屋や、犬や猫などのペットがいる家庭で多く発生する傾向があり、マット式布団乾燥機はこうした住まいで頼りになります」(コヤマタカヒロ氏)
布団乾燥機は、ノズル式のタイプでワット数が600〜700W程度のものが多く、50℃以上の温風によって、布団を暖めて乾燥させます。暖めなら30分程度、乾燥なら1時間以上が目安。ただし、布団乾燥能力を、出力だけで比較するのは困難です。ワット数のほかに、ノズルやアタッチメントが、布団の中にまんべんなく温風が広がる空間を作れる設計になっているかも合わせて比較するとよいでしょう。
「ワット数は、どちらかというと暖める布団のサイズに影響します。出力が1,000Wなどハイパワーなモデルだと、ダブルサイズの布団も乾燥が可能。大きなサイズの布団を暖めたい場合は、「対応布団サイズ」の確認を忘れずに。また、マットレスや布団の素材がポリエステルの場合は、高温の設定だと生地を傷めることがあるのでご注意を」(コヤマタカヒロ氏)
ノズルやアタッチメントの形状は、布団の中に温風を広げるうえで、特に重要です。ノズル式布団乾燥機の場合、ノズルやアタッチメントが布団の中に空間を作ることで温風が行き渡りやすくなるので、ノズルやアタッチメントが立体方向にも開くか、温風の吹き出し口が多いかなどをチェックしましょう。
「温風の吹き出し口が多いほど布団の暖め効果が強くなりますが、多すぎるとアタッチメントが大型になり、収納しにくくなるというデメリットも。アタッチメントは、フラップで高さ方向の空間を広げられる形状のものが効果的です」(コヤマタカヒロ氏)
最近の布団乾燥機は、ほとんどが靴や衣類も乾燥できるようになっており、アタッチメントやノズルの形状が工夫されています。最新モデルには、脱臭機能やイオン発生機能を備えたものも。特に一人暮らしだと使う機会も多くなりそうなので、靴や衣類の乾燥方法や乾燥時間も確認しておくとよいでしょう。
「布団乾燥時に使うノズルを、そのまま衣類に向けて温風を送れる便利な製品もあります。衣類乾燥機や浴室乾燥機ほど本格的ではありませんが、一人暮らしで少量の衣類をサッと乾かしたい場合には、便利な機能といえます。なお、靴の乾燥はアタッチメントを交換する方法が基本です」(コヤマタカヒロ氏)
布団乾燥機は通年にわたって使用できますが、しけっぽい梅雨期や汗をかきやすい夏場、冷え込みの厳しい冬場などは、特に使用頻度が多くなります。こうした時期は、家具の隙間に省スペースで置いておきたくなったりすることがあります。そのため、サイズやデザインも重要になってきます。
「実は、デザインは設置性も左右することがあります。木目調のおしゃれなデザインでコンパクトなものだと、出しっぱなしにしておいても違和感がないので便利です。マンションでは収納が少ないことも珍しくないので、ワンシーズン出しっぱなしにしておけるような、デザイン性の高い製品も人気を集めています」(コヤマタカヒロ氏)
価格.comの「布団乾燥機」カテゴリーにおける人気売れ筋ランキングで上位にランクインしている人気モデルから、人気のおすすめ製品を厳選。豊富なラインアップのアイリスオーヤマや、多機能な日立、ダニ対策に強いといわれる三菱電機など、人気メーカーの製品がずらり。専門家による評価も行いました。
2本のノズルで2組の布団や靴などを一度に乾燥できるハイパワーモデル。DCブラシレスモーターを採用し、「ターボモード」も新たに搭載しました。ホースが最長約80cmと長いので、ベッドの上などにノズルを設置しても、布団の隅々まで温風が届きます。高温風/低温風/室温の3段階で運転状況を知らせるランプや、大きな文字の残り時間表示も便利。しかも約2.1kgと軽量です。タイマー機能も搭載。
【基本スペック】
消費電力:1,000W
本体サイズ・重量:約16.8(幅)×21.3(奥行)×37(高さ)cm・約2.1kg
付属品:靴乾燥アタッチメント×2個、布団乾燥アタッチメント
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:5、機能:4、使い勝手:4、総合評価4.7
「1,000Wのハイパワーで2組の布団を20分で暖められます。30分で乾燥できるターボモードも便利。また、ピンチハンガーに吊した衣類を効率よく乾燥させることもできます」
11か所の吹き出し口を備えた独自のV字形状のアタッチメントが、上下、左右、前後に送風する「3Dブロー方式」により、約28分の短時間で布団を乾燥可能。敷布団と掛け布団を均一に乾燥させたり、敷布団を上下から挟んで裏表を同時に乾燥させたりすることもできます。長めのノズルと前後に約13cm伸縮するアタッチメントにより、ベッドの下からの乾燥も可能。アタッチメントやホースを本体に入れられるオールインワン収納もポイントです。
【基本スペック】
消費電力:680W
本体サイズ・重量:約28.3(幅)×21.7(奥行)×33.8(高さ)cm・約4.3kg
付属品:布団乾燥アタッチメント、靴・ブーツ乾燥アタッチメント、布団乾燥アタッチメントホルダー
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:5、機能:5、使い勝手:4、総合評価4.7
「独自のV字型アタッチメントが特徴のモデル。アタッチメントを利用すれば、布団の隅々まで効率的に暖められます。アタッチメントやホースは本体内部に収納できるので、使っていない時もすっきり。ただし、本体サイズはその分大きめ」
ホースもアタッチメントもなく、本体上部の開閉式ノズルを開き、布団の隙間に差し込むだけで乾燥できる使いやすいモデル。ノズルの角度は6段階に調整ができ、布団から衣類、靴まで、アタッチメントを付け替えずに乾燥できます。ファンの設計や風の流れる経路、吹き出し口の構造を見直すことで、ダブルサイズの布団乾燥にも対応。ホースがないため、蛇腹が劣化することもありません。
【基本スペック】
消費電力:905/910W(50/60Hz)
本体サイズ・重量:約23(幅)×15(奥行)×36(高さ)cm・約3.8kg
付属品:なし
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:5、機能:4、使い勝手:5、総合評価4.7
「アタッチメントを布団の中央に配置するのではなく、布団の端から温風を届ける仕組みとなっていますが、最短35分での乾燥に対応するほか、ダブルサイズの布団にも対応できるパワフルさが魅力です」
ノズル先端のフラップを立てて布団の中に空間を作り、敷布団と掛け布団へ向けて上下に温風を送る「すぐぽかノズル」が、布団の広範囲に温風を広げます。ノズルとホースは一体構造のため、取り出しも収納もスムーズ。ホースは長さが約1mあり、ベッドの上など高さのある設置面にもノズルが届きます。ナノイーと温風の組み合わせにより、ニオイを脱臭する効果も期待できます。
【基本スペック】
消費電力:445/460W(50/60Hz)
本体サイズ・重量:約30(幅)×14(奥行)×39.8(高さ)cm・約3.3kg
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:3、機能:5、使い勝手:5、総合評価4.3
「奥行き14cmの薄型ボディで収納性の高いモデル。ホースによる布団乾燥だけでなく、本体から温風を吹き出して靴や少量の衣類を乾燥できるのも便利。ナノイーによる消臭効果が期待できるのもよいですね」
円形でシンプルなフォルムのデザインで、使用後にそのまま置いておいても違和感が少ないのが特徴。コンパクトながらハイパワーで、シングルサイズの布団なら30分で暖めが完了。ダブルサイズの布団にも対応し、60℃の温風を送る「ダニ退治モード」も搭載しています。靴や衣類も簡単に乾燥できて、自動電源オフタイマーも備えるなど機能性も十分です。
【基本スペック】
消費電力:540W
本体サイズ・重量:約30.3(幅)×16(奥行)×29.3(高さ)cm・約2.4kg
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:3、機能:5、使い勝手:5、総合評価4.3
「一見しただけでは布団乾燥機に見えない個性的なデザイン。ホースが一体型となっており、布団に差し込むだけで使用できるので手軽です。最高70℃の高温に対応し、ダニ対策も期待できます」
先述の「HFK-VS3000」と同じ3Dブロー方式を採用しつつ、コンパクトサイズを追求したモデル。アタッチメントやノズル、ホースをすべて本体に収納した状態でも幅が約14cmとコンパクトなので、押し入れや棚の隙間にも収納しやすいです。消費電力は420Wと省エネですが、長時間乾燥によって、布団全体をしっかり乾燥させることが可能です。靴乾燥用のアタッチメントが付属。
【基本スペック】
消費電力:420W
本体サイズ・重量:約14.4(幅)×23.2(奥行)×31.3(高さ)cm・約2.9kg
付属品:布団乾燥アタッチメント、靴乾燥アタッチメント
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:4、機能:4、使い勝手:4、総合評価4.0
「上位モデルと同じV字型のアタッチメントが付属し、布団の隅まで素早く暖められます。本体はスリムなデザインでアタッチメントやホースも本体内に収納できるのですっきり。シングルサイズの布団乾燥が45分と速いのもポイント」
胞子を遠くに飛ばすきのこの形状を応用したという、独自の「きのこアタッチメント」が、広範囲へ効率的に温風を届けます。また、プラズマクラスターイオンを同時に行き渡らせ、カビや汗、加齢臭などを抑える効果も期待できます。ベッドの下にも収まりがよい奥行き約13.5cmの薄型設計です。
【基本スペック】
消費電力:500W
本体サイズ・重量:約28(幅)×13.5(奥行)×29.7(高さ)cm・約3.1kg
付属品:靴乾燥アタッチメント
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:3、機能:5、使い勝手:4、総合評価4.0
「使っていない時にベッドの下などに収納できる奥行き13.5cmのスリムボディが特徴。本体にハンドルを搭載しているので持ち運びもラクラク。プラズマクラスターイオンを布団の中に行き渡らせられるのもユニーク」
重さ約1.8kgの小型・軽量設計で人気のベーシックモデル。ノズル先端のフラップを立ち上げて布団の中に空間を作り、温風を広範囲に行き渡らせます。ホースもコンパクトに収納することが可能。予約タイマー機能を備えており、就寝時間に合わせて布団を暖めておくこともできます。
【基本スペック】
消費電力:560W
本体サイズ・重量:約16(幅)×14(奥行)×36(高さ)cm・約1.8kg
付属品:靴乾燥アタッチメント
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:3、機能:4、使い勝手:4、総合評価3.7
「コンパクトサイズで価格も安い人気モデル。最大65℃の高温風が選べるのがポイントです。ホース一体型なのも使いやすく、本体にハンドルが付いているので簡単に持ち運ぶことができます」
布団をぴったりと包み込む「ヒートパンチマット」を付属し、布団の隅々まで温風を届けることにこだわったロングセラーモデル。敷布団全体に60℃の高温を届けるパワフルさで、乾燥ムラができにくいほか、ダニ対策にも定評があります。独自の「快適温度コントロール」機能は、室温を検知して、季節に合わせて眠りにつきやすい布団の温度に自動で調整。乾燥効果を重視する人におすすめです。
【基本スペック】
消費電力:680W
本体サイズ・重量:約35.5(幅)×16.1(奥行)×31.4(高さ)cm・約3.6kg
付属品:ヒートパンチマット、枕用乾燥マット
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:4、機能:5、使い勝手:4、総合評価4.3
「マット式布団乾燥機を探している人には、まずおすすめしたいモデル。布団の隅々までしっかりと暖め、乾燥させてくれます。ダニ対策も期待度大。また、マット不要で暖められる機能も備えています」
低価格ながら、ダブルサイズマットを用い、上位モデル「X80」ゆずりの乾燥効果を発揮する実力派。「プラチナ抗菌フィルター」を通したきれいな風で、清潔に乾燥できます。マットには枕乾燥ポケットを備え、布団と同時に枕も乾燥させることが可能。ホースの先端に靴乾燥用のノズルが付いているので、そのまま靴を乾燥できるのも便利です。
【基本スペック】
消費電力:600W
本体サイズ・重量:約27.5(幅)×15.6(奥行)×32.9(高さ)cm・約2.8kg
付属品:ダブルサイズマット
【コヤマタカヒロ氏の評価】
パワー:4、機能:4、使い勝手:3、総合評価3.7
「付属のダブルサイズマットで布団と枕を包み込んで乾燥できるモデル。布団乾燥は45分とスピーディ。マットを使わない足元暖房機能も搭載。また、低価格ながらTシャツや小物、長靴、靴乾燥機能も備えています」
今から選ぶなら、手軽に使えるマットなしのノズル式布団乾燥機がいいでしょう。また、布団乾燥機を買ってみて意外と気になるのが、サイズやデザイン。梅雨期や夏場、冬場など使用頻度が多い時期は、使用後に部屋へ置きっぱなしにしても違和感の出にくいものがおすすめです。
布団乾燥機の能力は、出力や運転モード、アタッチメントの形状で差が出ます。ダニ対策をアピールしているものもありますが、効果が見えにくいので、使い勝手を優先させて選ぶといいでしょう。店頭で触れる機会がある場合は、可動部を動かしてノズルやホースを収納したりして試してみてください。
また、部屋数が多い場合は、高機能なモデルを1台用意しておいて、子供部屋用にシンプルなモデルを買い足すのもよし。冷え込みの厳しい冬場は、布団乾燥機を効果的に使えば、エアコンで部屋を暖める時間を短くでき、電気代を少なくできる場合も。常用すると手放せなくなるのが布団乾燥機の魅力です。
パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!