三菱電機の冷蔵庫のハイエンドモデルには、野菜室を真ん中に配置したタイプと冷凍室を真ん中に配置タイプがラインアップされていますが、今回、野菜室が真ん中レイアウトのタイプがフルモデルチェンジ。本体幅や奥行はそのままに庫内容積を拡大したほか、冷蔵室の棚やポケットに工夫を凝らすことで使い勝手も大きく向上しました。そんな新モデル「MZシリーズ」の詳細を紹介します。
MZシリーズには、庫内容量602Lの「MR-MZ60H」(市場想定価格は47万円/税込)と540Lの「MR-MZ54H」(市場想定価格は43万円/税込)がラインアップ。2機種とも、フロストグレインブラウン、グレイングレージュ、クリスタルホワイトの3色が用意されています。2022年2月25日発売予定
冷蔵庫は外部からの熱の侵入を防ぐため、外壁の内側が断熱材でおおわれています。三菱電機の冷蔵庫はウレタンと真空断熱材を用いており、独自のウレタンの発泡技術によりウレタン部分を薄くしながら高い断熱性を発揮する「薄型断熱構造SMART CUBE」を採用しているので、もともと“外観サイズを抑えて大容量”を実現しているのですが、新モデルではSMART CUBEがさらに進化。細いスペースにも行き渡りやすいように、これまで発泡性を高めていたウレタン原液の調合を見直すことでウレタンの厚みをさらに薄型化したのです。断熱材が薄くなった分、庫内容量を拡大することができ、2021年モデル「MXDシリーズ」(MR-MXD57G/MR-MXD50G)と比べると、MZシリーズ(MR-MZ60H/ MR-MZ54H)は本体幅685mmのMR-MZ60Hは容量が30Lアップした602Lに、本体幅650mmのMR-MZ54Hは37Lアップした540Lになりました。
従来の断熱材に比べ、SMART CUBEはウレタン部分の厚みが薄いのが特徴。これで、断熱性能は同等です
新モデルに採用されたSMART CUBEは、新しいウレタン原液を採用することでさらなる薄型化を実現。断熱材は配置する場所により厚みが異なりますが、野菜室と冷凍室の間の仕切り部分の断熱材を比較すると、前モデルで採用されていたものより16mmも薄くできたといいます
本体幅685mmの新旧モデル。新モデルは高さが7mm高い1,833mmになりましたが、本体幅と奥行(738mm)は同じなので、ほぼ外観サイズは変わっていません。それでいて、容量は30Lアップ。買い物かご約1個分、容量が増えたことになります
ちなみに、SMART CUBEが開発される前に発売されていた「MR-G52N」(2007年発売)と比べると、本体幅は同じ685mmですが、容量は87Lもアップ。ほぼ同サイズの冷蔵庫に買い替えすると、たくさん庫内に入れられるようになるほか、省エネ性も高くなっているので電気代も抑えられます
新モデルは進化したSMART CUBEを採用しただけでなく、内箱の傾斜が少ない設計とされたのもポイントです。デッドスペースが削減されたことも、容量アップに寄与
冷蔵室や冷凍室、野菜室それぞれの容量が増えるとともに、ドアポケットも大きくなりました
さらに、庫内容積が増えたことで、給水タンクの配置を変え、チルドルーム下にある「氷点下ストッカールーム」が拡大。氷点下ストッカールームは、チルドや冷蔵室よりも低い約-3℃〜0℃で保冷できるスペースで、生肉の場合、約10日間も鮮度のよい状態をキープできます(冷凍室では約3日、チルドでは約4日)。従来モデルから搭載されている人気の高いスペースですが、氷点下ストッカールームの横に製氷のための給水タンクがあるため、上段のチルドルームに比べて容量は小さめでした。そこで、新モデルでは給水タンクの配置場所を冷蔵室手前に変更。氷点下ストッカールームがワイドになり、食材をさらに入れられるようになりました。
前モデルでは、氷点下ストッカールームの横に給水タンクが配置されていました。なお、このようにチルドルームなどの横に給水タンクがあるのが一般的です
いっぽう、新モデルは氷点下ストッカールームの手前に給水タンクを配置。従来に比べ約1.4倍以上容量が増え、名称も「ひろびろ氷点下ストッカーD A.I.」に変更されました
実際に食材を入れてみると、氷点下ストッカールームが格段に大きくなったことがわかります
ちなみに、給水タンクを冷蔵室の床に埋め込む構造は「洗える埋めちゃっタンク」と称されています。実は、この構造は10年ほど前に採用されていたもの。しかし、当時の断熱材の厚みでは庫内スペースに余裕がなく、給水タンクの奥にしか製氷皿を配置できなかったため、製氷皿を取り出すことができませんでした。これが課題となり、その後、衛生面に関心が高まったことから「埋めちゃっタンク」は廃止。それが今回、断熱材の薄型化により、給水タンクの横に製氷皿を配置できるようになり、衛生面とスペースの効率を両立させられるようになったのです。
庫内のスペースに余裕が生まれたことで、製氷皿を手前に配置できるようになり、取り外して洗浄もできるようになりました
製氷皿だけでなく、ポンプ、パイプ、フィルターもすべて外して洗うことが可能。さらに、製氷皿には抗菌加工が施されています
このほか、野菜室や冷凍室も容量はアップしましたが、性能は従来のまま。約-7度で凍らせて保冷した食材を解凍せずに切ったり使ったりできる「切れちゃう瞬冷凍」ルームや、野菜室で保冷している野菜の栄養素を3色LEDの光で増やす仕組みも継承されています。
製氷室の横に「切れちゃう瞬冷凍」ルームを完備。芯から一気に凍らせることができるので、冷凍に不向きなじゃがいもやタケノコの食感を損なわずに保冷できます
冷凍室の容量はMR-MZ60Hが105Lで、MR-MZ54Hが91L。下段のケースは500mLペットボトルを立てて入れられるほど深さがあり、まとめ買いした冷凍食品もたっぷり入れられます
野菜室の容量はMR-MZ60Hが115Lで、MR-MZ54Hが103Lとなっています。野菜室の底面にはトレイが装備されており、取り外しも可能。トレイは抗菌加工されているので、汚れが付きにくく、付いた汚れも落としやすいのだそう
野菜室に搭載された3色LED。朝は青・赤・緑の3色を点灯、昼は赤・緑の2色を点灯、夜は消灯させて、野菜室内で1日の光の変化のサイクルを作り出します。光合成の仕組みを活用することにより、野菜の栄養素が増え、緑化も促進。キャベツで検証したところ、ビタミンCが約23%アップしたそうです
ちなみに、冷凍室と野菜室は下から引っかけて引き出す仕様なので、力が入れやすい印象
新モデル「MZシリーズ」は、使いやすさにこだわったのもポイントです。冷蔵室の棚を前モデルより若干低い位置にすることで、幅広い人が庫内を見渡しやすく、かつ、食材の出し入れもしやすくし、3段目の棚の高さを左右で変えることで、収納しやすさに配慮。冷蔵室のLEDライトの色味も、食品がよりおいしそうに見える色に変更されました。また、ドアポケットの収納にもユニークな工夫を採用。下段のドアポケットのみですが、「思うままボトルストッパー」を使って仕切りを設定できるようにすることで、収納の自由度をアップ。さらに、近年、ハイエンドモデルの冷蔵庫では冷蔵室の棚に設置するタイプが一般的となっているたまごケースが、ドアポケットにも設置できる仕様となりました。
それぞれの棚の位置は約2〜6cmほど低くなった程度ですが、最上部の棚へのアプローチも新モデルのほうがしやすくなった印象
冷蔵室の棚の変更点は、まだあります。前モデルでは、高さのあるものを入れる際に空間を広げられるように、冷蔵室の3段目の棚が奥にスライドさせられる仕様となっていましたが……
高さのあるものの数が少なかった場合、スペースのムダになるということから、新モデルは3段目の棚の高さに差をつけた仕様に変更
そして、ドアポケットには、仕切りを任意で設定できる「思うままボトルストッパー」(矢印の部分)を採用。前モデルでは仕切りが固定だったため、収納できる飲み物などの組み合わせがある程度決まってしまっていましたが、「思うままボトルストッパー」は着脱できるようになっており、取り付ける場所を変えれば、これまで入れられなかったサイズのものも収納できます
たとえば、「思うままボトルストッパー」を縦向きに装着すれば、奥行のある浄水ポットも収納可能に。ストッパーのおかげで、その横の牛乳パックなどの安定感も担保されます
たまごケースは、冷蔵室の棚に置いて使用するか、ドアポケットに装着して使用するか選べるようになりました
そして、配置場所が変わった給水タンクは形状も変更され、取っ手も装着されたことで持ち運びやすくなりました
三菱電機の冷蔵庫は全室が独立した構造となっており、全室に温度センサーと扉開閉センサーを搭載。部屋ごとの温度や扉の開閉回数などを見張って、それぞれを最適な温度で冷やしてくれます。さらに、新モデル「MZシリーズ」にはAIが家庭ごとの生活パターンを学習し、最適な運転を自動で行う「全室独立おまかせA.I」機能も完備。この機能をオンにしておくと、冷凍室に入れた食品への霜付きを抑える運転を行ったり、氷が多く欲しいタイミングを分析して急速製氷を始めるなど、おいしく便利に保冷できるようにサポートしてくれます。その全室独立おまかせA.Iも進化。給水タンクの水がなくなったり、なくなりそうだと予測した時に冷蔵庫のタッチパネルに「給水」を点灯するとともに、冷蔵庫と連携させたスマートフォンのアプリにもお知らせしてくれるようになりました。
また、「切れちゃう瞬冷凍」を使って簡単に作れるレシピを、専用アプリに掲載。料理レシピ動画を配信する「DELISH KITCHEN」とコラボしたレシピも動画で紹介されています。
現時点では、三菱電機が考案したレシピが64件、DELISH KITCHENとのコラボレシピが8件掲載されています
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。