スーパーなどで買い物をしている際、冷蔵庫の中に入れてある食材が思い出せず、実際にはストックがあるのに再度購入してしまったり、逆に、残っていると思って買い忘れてしまうことはありませんか? そんなシーンに役立つ機能を搭載した冷蔵庫「HXCCタイプ」「KXCCタイプ」を日立が発表。冷蔵庫に装備された「冷蔵庫カメラ」で庫内を撮影し、スマートフォンのアプリで確認できる、2022年2月24日発売予定の新モデルを見てきました。
「HXCCタイプ」は冷凍室を真ん中に配置したタイプ。庫内容量617Lの「R-HXCC62S」(市場想定価格は495,000円/税込)と540Lの「R-HXCC54S」(市場想定価格は440,000円/税込)の2機種がラインアップされ、どちらにも、クリスタルミラー(左写真)とクリスタルシャンパン(右写真)の2色が用意されています
「KXCCタイプ」は野菜室を真ん中に配置したタイプ。庫内容量498Lの「R-KXCC50S」(市場想定価格は473,000円/税込)の1機種のみで、カラーはクリスタルミラーの1色展開となっています
※この記事中に掲載したアプリ画面は開発中のものなので、リリース版とは仕様が異なる部分があります。
今回発表された「HXCC/KXCCタイプ」は、冷蔵室の中の状態を冷蔵庫と連携させたスマートフォンのアプリ上で確認できるのが大きな特徴です。冷蔵室内を撮影するカメラ「冷蔵庫カメラ」を本体上部に搭載し、冷蔵室のドアを開けると「冷蔵庫カメラ」が起動し、一定の時間が経過すると冷蔵室の棚と左右ドアポケットを撮影。そして、冷蔵室のドアを閉めると、撮影した画像がスマートフォンのアプリ「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」(無料)に送信される仕組みとなっています。なお、この機能を使うためには、インターネット接続環境と無線LANルーターが必要。
庫内ではなく、本体上部にカメラを搭載しているので、温度差や湿度差などの影響を受けにくく、レンズが曇ったりもしにくいとのこと
「冷蔵庫カメラ」で撮影できる範囲は、冷蔵室の棚と左右ドアポケット。冷蔵室の最下部にある「特鮮氷温ルーム」内は写りません
1回の撮影で、3つのエリアに分けて撮影されます。この画像のとおり、冷蔵室の棚の奥側や陰になってしまうドアポケットの奥側も写りません
ちなみに、冷蔵室の最下部にある「特鮮氷温ルーム」内は写らないということでしたが、引き出すと写すことができました
実際に、「冷蔵庫カメラ」の機能を確認してみましょう。冷蔵室からいくつか食品を取り出し、どのように撮影されるのかをチェックします。
この状態から、最上部の棚にあるビール1本と右ドアポケットにある牛乳1パックを取り出します
上の動画のとおり、冷蔵室のドアを90°以上に開けるとカメラが起動し、カメラのライトも点灯。0:04秒あたりで「ピッ」と音が鳴り、庫内のライトが消えたタイミングで撮影が行われます。全体をキレイに写すため、庫内のライトは消灯させるのだそう。そして、ドアを閉めると、撮影した画像がアプリに送信されます。
冷蔵室の棚と右ドアポケットの画像を見ると、取り出した食材がなくなっています。いっぽう、左ドアポケットの食材は変化なし(取り出した人の姿が写っています)。このようにして、食材がないことに気付けるというわけです
ちなみに、ドアを片方だけ開けた際には、閉じたままのドアポケットは撮影されません。その際の撮影画像は、「半分が冷蔵室の中、半分がドアを閉めた状態」になるのではなく、ドアを開けていないほうの庫内も過去に撮影した画像を加工することで、庫内全体を撮影したかのような画像となってアプリに届けられます。
左ドアだけを開け、冷蔵室の棚と左ドアポケットにある瓶を、それぞれひとつずつ取り出してみました
アプリを見てみると、取り出した食材がない状態の画像が届いていました。そして、注目すべきは冷蔵室の棚の画像。右ドアは閉じた状態で取り出しましたが、アプリにはこのように冷蔵室内を撮影したような加工した画像が届きます
なお、冷蔵室のドアを長時間開けておくと、その間、一定間隔で撮影が行われます。これは、取り出した後の画像を取りこぼさないための仕組み。複数枚撮影されますが、最終的にアプリに送信されるのは最後に撮影した画像となります。このシャッターを切る間隔はアプリ上で変更可能。冷蔵室のドアを開けてから何秒後に撮影も始めるかも設定できます。
ドアを開けて撮影を始める時間は、1秒、3秒、5秒で設定可能。ドアを開けている時にシャッターを切る間隔は、5秒、10秒、20秒で設定できます
また、自動で撮影するだけでなく、手動で撮影することも可能。右ドア下に装備されているボタンを押すとシャッターが切れます。ドアを閉じて画像を送信するまで、自動で撮影は行われないので、手動でシャッターを切った画像が上書きされることはありません。
手動で撮影するためのボタンは、右ドア下に装備
そして、アプリには最新の画像1枚と、過去に撮影した画像5枚の計6枚の画像が保存されているので、ひとつ前の画像と見比べて、なくなった食材を確認することが可能。なお、アプリに画像が届くまで数分のタイムラグがあります。ただ、外出先で冷蔵室内をチェックする使い方を想定しているので、それほど問題にはならないだろうとのこと。
最新の画像が最初に表示されますが、スワイプすれば過去の画像を確認できます。写真のようにひとつ前の画像と比較すると、何がなくなったのか一目瞭然
画像は拡大することもできます
外出先から冷蔵室の中を確認できるのはとても便利ですが、まだ課題はあります。ひとつは、陰になった部分や冷蔵室の奥側が写らないため、すべてを見渡すことができないこと。使用頻度の高いものやストックがあやふやになりそうな食品を、カメラに写る範囲に置くようにするなど、少し工夫が必要かもしれません。そしてもうひとつ、「冷蔵庫カメラ」で撮影した画像がアプリに届くのに時間が数分かかるのも気になるところ。というのも、家にいる家族が冷蔵室から食材を取り出してストックがなくなった場合、タイミングによっては気付かない可能性もあるからです。アプリは5アカウントまで登録できるようになっており、家族でデータを共有することができるので、購入したことや在庫がなくなったことなどを瞬時に伝えられるメッセージ機能があると便利だと思いました。
このほか、冷凍室を真ん中に配置した「R-HXCC62S」は、本体幅68.5cmのままで容量がアップ。前モデルの500Lクラスに採用されていた、冷蔵室最上段の天井を薄型化する設計を600Lクラスにも採用することで、15Lの拡大を実現しました。
手前が庫内容量617Lの「R-HXCC62S」で、奥側が540Lの「R-HXCC54S」。サイズは、R-HXCC62Sが685(幅)×738(奥行)×1,875(高さ)mmで、R-HXCC54Sが650(幅)×699(奥行)×1,875(高さ)mm
ちなみに、野菜室を真ん中に配置した「R-KXCC50S」(庫内容量498L)のサイズは、650(幅)×699(奥行)×1,875(高さ)mmとなっています。
保冷機能については、前モデルと変わりありません。冷蔵室の棚部分を少し低い温度(約2℃)と高い湿度にすることで、冷蔵室全段をチルドルームのように使える「まるごとチルド」や、約-1℃の温度帯で凍らせずに肉や魚の鮮度をキープして、おいしく保冷できる「特鮮氷温ルーム」、眠らせるように野菜を保冷する「新鮮スリープ野菜室」、冷凍室に3段のケースを設け、一番上のケースを素早く冷凍できる「デリシャス冷凍」にする機能など、人気の機能を継承しています。
冷蔵室全段がチルドルームと同じ約2℃、湿度約80%になる「まるごとチルド」に設定すれば、温かいまま(約50℃)のお鍋を入れることができ、ラップなしでも乾燥や変色を抑えて保冷できます
冷蔵室の最下部にある「特鮮氷温ルーム」は、約-1℃で凍らせずに保冷可能。お刺身は3日間、加熱料理する肉や魚は約7日間、鮮度やおいしさがキープできるといいます
冷凍室は3つのケースが用意されているので整理しやすい印象。最上部のケースは「デリシャス冷凍」スペースとなっており、素早く冷凍してくれます。一般的に、この機能を備えたスペースは製氷室の隣にあることが多いため、どうしても容量は小さめ。デリシャス冷凍は高さはそれほどありませんが、幅と奥行が広いので、平たいものならたくさん入れられます
「新鮮スリープ野菜室」は、野菜から出るエチレンガスやニオイ成分をプラチナ触媒で分解して、炭酸ガスの濃度を高めることで、野菜の呼吸活動を低下させ、眠らせるように保存するというもの。栄養素の減少が抑えられるので、鮮度を守れるのだそう
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。