シャープの大ヒット家電「ヘルシオ ホットクック」と言えば、今や自動調理鍋の代名詞的存在。食材を切って調味料と一緒に内鍋に入れたら、あとはほうっておく(ほっとく)だけで、超簡単においしい料理が作れる便利さがウケています。というわけで今回は、2021年9月に登場したホットクックの最新モデル「KN-HW16G」(1.6L)を購入した筆者がレビューをお届けします!
……と言っても、価格.comマガジンでは過去に何度もホットクックシリーズをご紹介していますので、基本的なことはサラッとご紹介するにとどめる予定です。ここでは、筆者が普段の食事作りでリアルにホットクックを使って実感していることを軸に、いちユーザーとして本音をお届けしたいと思います。
まずは、筆者がこのタイミングでホットクックを購入した理由をお話ししましょう。ホットクックについては、以前から取材で何度も使用していたこともあり、世の中の評判通りの調理家電であることはもちろん知っていました。むしろ個人的に、長年買いたい家電ナンバーワンだったんです。しかし、1台の調理家電で5〜6万円の価格帯というのは、我が家では気軽に手を出せるものでもなく、「今年はまだいいか」とずっと購入を見送っていました。
そんな中、2021年9月に登場した新型ホットクックは、それまでのモデルと比べ、外観サイズが少しコンパクトになり、キッチンに置きやすくなったのです。この進化はデカい! 正直、従来のホットクックは本体サイズが大きくてキッチンに置くと圧迫感があるのがネックのひとつでした。しかし、横幅が小さくなった最新モデルではこの圧迫感が減ったので「これなら買いどきと判断してよいのでは……?」ということになり、2021年冬のボーナスが出たその日にポチったのです。
ホットクック最新モデルは、持ち手の部分が小さくなり、本体の容量はそのままで省スペース化されました。本体の横幅が2.4Lモデルで約50mm、1.6Lモデルで約36mmも小型化しているんです。我が家は夫婦2人暮らしということもあり、最大4人分まで調理できる1.6Lモデルをチョイスしました
1.6Lモデルの本体カラーはホワイトとブラックの2色から選べるのですが、特にブラックがつや消し仕上げであることも気に入りました。シックなたたずまいがイイ
そのほか、新モデルのスペック詳細については、以下の速報レポート記事をご参照ください。
そして新型ホットクックの機能的な特徴は、自動かき混ぜ機能が強化されたこと。ホットクックと言えば、調理中に鍋の中の食材を自動でかき混ぜる「まぜ技ユニット」を備えているのがポイントで、これによってさまざまな料理をお任せで作ることができます。最新のホットクックでは、この「まぜ技ユニット」の最大回転スピードが約2倍にアップ! 食材をかき混ぜるだけでなく、「つぶす」「泡立てる」といった作業もできるように進化しました。
パワーが強化された「まぜ技ユニット」により、作れるレシピの幅がぐんとアップ
強くなった自動かき混ぜ機能のおかげで作れるようになった新レシピが、速報レビューでも取り上げている「ポテトサラダ」と「オープンオムレツ」なのですが、実際に作ってみたらその出来ばえに衝撃を受けたので、その感動をレポートしたいと思います。
まずポテサラについては、生のジャガイモをカットして内鍋に入れれば、イモを加熱してつぶすところまでやってくれるんです。これが死ぬほど便利。
最初は、「ジャガイモはレンチンで加熱できるし、つぶすぐらいなら自分でやるよ」って思っていたんですけど、ホットクックで作れば「加熱」から「つぶす」までノンストップでお任せ。途中で、ジャガイモの芯までちゃんと火が通ったかをいちいち確認するような、細かい手間もいらないのでとても楽。何なら、ジャガイモをつぶしている時間を有効活用して、別のおかずを作ることができます。
手順はとにかく簡単です。1〜2cm角にカットしたジャガイモ、いちょう切りにしたニンジン、薄切りにした玉ネギを内鍋に入れ、そこに水を大さじ4杯入れます
フタを閉めて、メニューから「ポテトサラダ(ゆで〜つぶし)を選ぶ → 調理を開始する → スタート
約25分後に加熱終了してフタを開けてみると、こんな状態に! スゴイ!
最後に輪切りのキュウリ、短冊切りのハム、マヨネーズ、塩コショウ、砂糖を入れて混ぜて完成です。仕上げはどうしても手動で混ぜないといけないので、完全にお任せというわけではないのですが、もう衝撃的な楽チンさ! ジャガイモと一緒に加熱したニンジンやタマネギがグチャグチャに混ざらず、存在感がちゃんと残っているのもスゴイです
また、もうひとつの注目メニューであるオープンオムレツもスゴかった。卵や具材、調味料を一気にホットクックの内鍋に入れて、あとはフタを閉めてボタンを押すだけ。卵と具材をかくはんするところから焼き上げるところまで、全部ホットクックがやってくれて、約1時間後にフタを開けたらちゃんとオムレツが焼き上がっているんですよ。もはやトランスフォーメーション。
1cm角に切った玉ネギ(約1/2個)、パプリカ(約1/2個)、ピーマン(1個)、プロセスチーズ(3枚)、輪切りにしたウインナー(2本)を内鍋の中に投入。続いて、生卵(4個)を割り入れ、最後にオリーブオイル(大さじ1)と塩コショウ(少々)を入れます。ただ食材をカットして鍋に入れただけ! このままフタを閉めてメニューから「オープンオムレツ(材料まぜ〜焼き上げ)」を選択 → 調理を開始する → スタート
約1時間後に加熱終了。フタを開けてみると、ちゃんと具材がかくはんされて、オムレツになっています。食材を「混ぜる」→「焼く」の作業を、自動でやってくれてる! なおこのレシピの注意点としては、ホットクックの調理時間が1時間ほどかかるので、早めに準備をしておく必要があります
上記の2品は、新型ホットクックで作れるレシピの代表格ですが、もちろん既存のレシピもおいしくて簡単なものばかりです。というか、実際にホットクックを購入して驚いたのは、思った以上に使うシーンが多いこと。実は購入するまでは、我が家でホットクックを使うタイミングは週3〜4回程度だろうと予想していました。「カレー」「豚の角煮」「パスタ」など、ホットクックの売りである主菜作りがメインになると思っていたからです。
ところが現実的には、筆者は現在ほぼ毎日ホットクックを使っています。その理由は、夕食の「味噌汁」や「スープ」などの汁物をホットクックで作るようになったから。
ホットクックで味噌汁作り! 「まぜ技ユニット」でかき混ぜてくれるからこそ実現できるメニュー
もちろん、ホットクックの公式レシピに味噌汁やスープがあるのは元々知っていました。しかし、「味噌汁くらいだったら大した手間でもないし、これまでどおり鍋で作ればよいだろう」と思っていたのです。……が、試しにホットクックで味噌汁を1度作ってみたら、これが楽すぎて。
ホットクックの内鍋に、水と味噌と好きな具材を入れてフタを閉め、自動メニューの「具だくさん味噌汁」を選択すれば、あとはたった20分で味噌汁を仕上げてくれるのです。「まぜ技ユニット」が、味噌をしっかりかき混ぜてくれるからできるレシピ。しかも、最初に出汁をとる必要もなく、具材と一緒に出汁用の煮干しも入れちゃってOK! できあがった味噌汁はちゃんと出汁が出ているし、煮干しも含めて具材がちゃんとやわらかくなっていて、おいしく食べることができます。
つまり、味噌汁作りで必要な「事前に出汁をとる手間」「具材に火が通るのを見計らう手間」「味噌を溶き入れる手間」を、全部しなくてよいのです。これが想像以上に楽チンで、衝撃を受けました。味噌汁作りって、実は地味に面倒くさかったということに初めて気付いた瞬間です(笑)。
なお、ホットクックで味噌汁を作る際のレシピは「水600mlに対して味噌40g」(4人分)が基本。これさえ押さえておけば、あとは好みの具を入れればOKなので、冷蔵庫のありものをたくさん入れて栄養満点の味噌汁を作ることができます。
鍋で作った味噌汁とそん色ない完成度です。ちなみに、ネギや豆腐など水分が多く出る食材を使うときは、元の水分量を減らす、または味噌を多く入れるなど調整が必要
長ネギもちゃんとクタクタに甘くなっていますし、出汁の煮干しもやわらかくなっていて、具材のひとつとして食べることができます(もちろん、インスタントの出汁を使用してもOKです)
結局、我が家ではホットクックに汁物作りをお任せして、主菜のほうを手作りする日のほうが多くなりました。逆に、主菜をホットクックで作りたい日は、汁物を鍋で手作りすることになるわけですが、そのたびに「2台目のホットクックが欲しい!」と思います。ホットクックユーザーの多くが「もう1台欲しい」と言っている気持ちがよくわかりました。
さて、ホットクックは自動調理レシピを搭載するタイプの自動調理鍋です。基本的に、調理中にフタを開けて途中経過を確認することができません。筆者は使い方に慣れるまでは、公式レシピにある食材と分量を全部守って、失敗しないように料理を作っていました。
でも、ホットクックの公式レシピに合わせて毎度食材を買いに行くのは少々面倒だし、お金もかかります。毎日の食事作りで活用するには、冷蔵庫のありもので適当に料理をしたいですよね? ……はい、実はコツさえつかめば、ホットクックでも適当料理ができます。
冷蔵庫のありものを臨機応変に使いやすいレシピの代表は、上述の味噌汁など汁物系。例の「水600mlに対して味噌40g」(4人分)という基本を押さえておけば、あとは好きな具材を入れられるからです。
そのほかにも、臨機応変にレシピを変えられるメニューがいくつかあります。たとえば、ホットクックのお得意レシピであるパスタ料理。パスタを乾麺のまま具材や調味料と一緒に内鍋に入れれば、あとはホットクックが自動で麺の茹でから加熱まで仕上げてくれる超楽チンレシピなわけですが、その基本は「スパゲティ120g(7分ゆで・太さ1.6mmのもの)に対して水300ml」(2人分)。この基本さえ守れば、冷蔵庫のありものを何でも具材として入れてしまってよいのです。
公式メニュー「ナポリタン風パスタ」を活用して、冷蔵庫のあまりものを整理! パスタを乾麺のまま内鍋に入れれば(ロングパスタの場合は、半分に折って入れる必要があります)、ほかの具材や調味料と合わせて自動で加熱して仕上げてくれる、ホットクックならではの便利メニューです
公式レシピの具材であるシメジやウインナーに加えて、冷蔵庫であまっていたニンジンも薄切りにして一緒に入れちゃいました。ちゃんと火が通ってやわらかくなっています(硬い根菜類はできるだけ薄切りや小さめにカットしたほうが、失敗が少ないです)
また、ホットクックならではの無水カレーも、意外と臨機応変がきくレシピ。公式レシピでは「トマト3個(450g)、タマネギ2個(400g)、セロリ1本(100g)に対して市販のカレールウ4〜5皿分」(4人分)を入れる必要があるのですが、セロリが冷蔵庫にない場合は、その分を別の香味野菜&水分を含む野菜に変更すれば、アレンジがききます。
我が家では、セロリの代わりに冷蔵庫にあまっていた長ネギの青い部分とシイタケを細かく刻み、さらに固形のトマトではなくトマト缶を入れて汁気をプラスして作ってみました。公式レシピの無水カレーとはひと味違う、トマト風味とシイタケのうま味のきいたカレーになりましたよ!
というわけでこちら、公式レシピ「チキンと野菜のカレー(無水カレー)」を活用し、セロリとトマトの代わりに長ネギ・シイタケ・トマト缶を入れて作ってみました
トマトみ多めでおいしい! 大事なのは、具材から出る水分量に対するカレールウの量を、できるだけ公式レシピと合うよう調整することです(大量の水分が出るタマネギだけは、公式レシピの分量通りに入れたほうがうまく行くと思います)
ちなみにこちらは、公式レシピの鶏肉を牛肉に変えて作ってみた無水カレーです。見てくださいよ、この牛肉のしっとり感! ほろりとおいしく仕上がっています。もちろん鶏肉もイイんですが、ホットクックの無水カレーは牛肉アレンジもおすすめ
ホットクックは、ご飯を炊くこともできます。ただ、炊飯器でおなじみのいわゆる「早炊き」はできないのと、炊飯後の保温ができないことに注意。また、当たり前ですが炊飯中はホットクックで別のおかずを作ることはできません(炊飯とおかず作りを同時に行える「同時調理」メニューもありますが、レシピの種類と分量に制限があります)。なので、個人的にはホットクックでご飯を炊くことは今後ともあまり多くないかな〜という感じ。ご飯は炊飯器で炊いて、ほかのおかずや汁物をホットクックで作るというのが、我が家ではベストな体制です。
参考までにこちら、ホットクックで炊いたご飯です。炊飯にかかる時間は、1合で約50分。公式レシピ通りの水分量で炊いたら、しゃっきり系でおいしく仕上がりました。ホットクックを炊飯にも使うなら、同時にほかのおかずも作れるように最低2台は必要です
また、細かい部分でもホットクックはユーザビリティがよく考えられているなあ〜と実感したポイントがあるので、続いてはその辺をご紹介しましょう。
まず、ホットクックと言えば予約調理。筆者はテレワークになってから、昼食を自宅でとることが多くなりましたが、わざわざ昼休みに昼食作りをするのって少々面倒なんですよね。そんなときは、前夜のうちにホットクックでランチを仕込んでおいて、翌日の正午にできあがるように予約調理をすると便利。そう、ホットクックはテレワークのランチ作りにもピッタリなわけです。
最大15時間後まで予約調理を設定できるので、夜21時頃に翌日のお昼ごはんを仕込んでおけばバッチリ!
また、感動したのは電源の仕様です。先日、ホットクックで調理をスタートして数分経過したところで、不注意で電源プラグを手に引っかけて抜いてしまいました。当然、ホットクックの稼働は止まります。「やってしまった! 全部最初から作り直し……?」と焦ったのですが、すぐに電源プラグを挿し直したら、ちゃんと調理の途中から再開できたのです。
実はコレ、調理中に電源が切れても、10分経過するまでに電気が戻ったら、引き続き加熱を行う仕様になっているとのこと。こういう調理中の不注意まで考えられているのは助かる!
電源プラグがマグネット式なので、強く手を引っかけたら抜けてしまうことがあるのです。でも、10分以内に電源を挿し直せば途中から調理を再開できる! なお、電源が切れて10分以上経過したら調理を終了し、復帰後に停電があったことをエラー表示でお知らせするようになっています
あと細かい部分では、内鍋に付いている「持ち手」に注目してほしいです。というのも、この持ち手部分だけは熱を通さない素材でできているので、熱くなりません。なので、調理終了直後すぐに内鍋を持つことができるんです。これがすっごく便利で、料理が冷めないうちに内鍋ごと食卓に持っていて、その場でお皿によそうこともできますし、とにかく使い勝手がよいです。
熱くならない内鍋の持ち手。加熱終了後にすぐ内鍋を持ち運べますし、鍋を傾けて料理をよそうときなんかに、スゴく便利です。改めて、ユーザビリティがよく考えられているなあ……
ちなみに内鍋本体も、フッ素コーティングされていて、汚れがこびりつかず清潔にお手入れできるのがうれしい
Wi-Fi対応で、購入したあとも新しいレシピをどんどん追加できるのもありがたいです(画像はシャープ公式サイトより:https://jp.sharp/hotcook/products/knhw16g/feature/wifi/)
あと、ホットクックが調理中に「おいしくできますように」とかしゃべってくれるのも結構かわいい。正直、そのうちしゃべる設定には飽きて機能オフにするだろうなとか思っていたんですが、思いのほか愛らしくて楽しんでいます。
ホットクックの購入を検討している人の中には、「最近人気の電気圧力鍋とホットクック、どっちがイイの?」と悩む人も多いのではないでしょうか? 筆者は電気圧力鍋も普段使いにしていたことがありますが、今回ホットクックをリアルに使ってみて、両者は立ち位置が異なることを実感しました。最後に、そのあたりに軽く触れておきましょう。
電気圧力鍋とホットクック、その違いがわかりやすい2大ポイントは、「圧力調理をするかしないか」「自動でかき混ぜられるかかき混ぜられないか」です
電気圧力鍋はその名の通り、圧力調理で食材に素早く火を通すので、時短家電の面があります。ただ実際は、余熱に少々時間がかかったり、調理後に圧力を抜くためにひと手間必要な場合があるので、ものすごく一瞬で料理ができるというわけではないことに注意。また、ホットクックのように食材を自動でかき混ぜてくれるわけではないので、完全なお任せ調理はできません。レシピによっては、加熱終了後に手動で混ぜたりと、仕上げをする必要があります。逆に言うと、手動で作業をする自由度があるので、臨機応変なレシピアレンジが可能です。
対してホットクックは、圧力調理はできませんが、「まぜ技ユニット」のおかげで基本的に調理をすべて自動でできるのが特徴です。自動かき混ぜ機能と予約調理ができるという面も含めて、トータルで調理作業をお任せできるのが強み。ただレシピにもよりますが、調理自体はじっくりと時間をかけて行うので、「時短」の側面は弱いです。その半面、調理作業をホットクックにお任せできることで、その間に別のおかずを作ったり、別の仕事をする時間にあてられます。
電気圧力鍋は「あと20分で夕食を作らなきゃ!」というシーンなど、夕食作りの時間に手間を減らしたり短縮したい場合に便利。いっぽうのホットクックは、普段の生活における料理のタイミングや時間をコントロールすることができるようになる調理家電と言えるでしょう。
というわけで、ホットクック買っちゃいましたレビューをお届けしてきましたが、いかがでしたか? 伝えたいことを簡単にまとめると、「やはりホットクック便利!」です。最終的に普通の感想になってしまってすみません(笑)。でも、ユーザー側が何も考えず普通に便利に使えるというのは、ユーザビリティがしっかり考えられているからこそのスゴいことだと思うんですよね。
それに何より、ほうっておけば料理が完成するという利便性はもちろん、できあがった料理がちゃんと「おいしい」のがすばらしい。いくら簡単に調理できると言っても、それが最終的においしくなければ意味がないわけで。念願のホットクック、やっぱり買ってよかったです!
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。