ティファール「ディスプレイ コントロール 1.0L」開封の儀。ちなみにポット側面のデジタル表示はシールです
今回からいきなり始まった新連載「価格.comマガジン編集長 自腹購入レビュー」。読んで字のごとく、価格.comマガジンの編集長である筆者が、自腹で購入した家電製品を、何の忖度(そんたく)もなくレビューするという、いたってシンプルな企画です。それなりに家電製品に詳しいワタクシが自腹で買うからには、それなりの理由もありますし、当然ながらそれなりの厳しい目で製品をチェックさせていただきます。というわけで、記念すべき第1回は、ティファールから2022年3月1日に発売されたばかりの新型電気ケトル「ディスプレイ コントロール 1.0L」をレビューします。
まずは、「ディスプレイ コントロール 1.0L」の概要から説明しましょう。というか、なぜ筆者がこの製品を購入することになったのかを説明します。
そもそも電気ケトルっていう製品は、今から約15年くらい前くらいから一般化してきた製品かと思いますが、基本的な構造が超シンプルなうえに、すでに各メーカーからいろんなタイプの製品が発売されているので、デザイン以外の部分ってもうあんまり進化しないんじゃないかと思っていたわけです。筆者も2010年に購入した電気ケトルをずっと壊さずに使い続けていますし、シンプルなだけに壊れにくく、買い換えのタイミングもなかなか難しかったりするわけです。
しかし、昨年秋に住居を引っ越したことをきっかけに、電気ケトルももう少しカッコいいものに買い換えようかなーと思い始め、さまざまな製品を物色し始めました。まずは安定のティファールという選択肢を当然考えましたが、できれば樹脂製じゃないほうがいいという妻の意見もあり(どうも樹脂が溶けたようなニオイがするそうです)、ラインアップの多くが樹脂製のティファールは若干選外に。そうなると、ステンレス製の製品ということになり、デロンギあたりの製品がカッコいいなと思って見ていましたが、ステンレス製なのはいいとして、外側まで熱くなっちゃうっていうのがどうにも悩みどころ。
そうこうするうち、今年の2月に我が家に第一子が誕生しまして、従来のコーヒーを淹れるとか、スープを作るといった利用方法以外に、「粉ミルクを作る」という日常的な業務が発生。ご存じの方も多いでしょうが、粉ミルクって70℃以上のお湯で溶かしたあと、人肌レベルまで冷まさなくちゃいけません。ということは、毎回100℃のお湯なんか沸かしてたら、冷ますのが大変すぎて、時間も取られる! そうだ、それなら、温度設定付きの電気ケトルにすればいいじゃない! 我ながら名案です。
というわけで、今度は温度設定付きの電気ケトルを物色し始めましたが、温度設定付きモデルって、どうしても、製品下の台座(加熱プレート部)にいろんなボタンやら液晶モニターやらが並ぶので、台座部分の設置面積がどうしても大きくなっちゃうんです。しかも、ちょっと言わせてもらうなら、デザイン性が今ひとつ……。せっかくそれなりにカッコいい製品でキッチン周りも統一しようと思っているのに、今ひとつピンと来る製品がなかったのです。
2022年3月1日発売のティファール「ディスプレイ コントロール 1.0L」。見よ!この台座まで一体化した美しいボディを! 製品名の通り、ポット側面に温度のデジタル表示が出るという、このちょっとした未来感を! もう久々の即買いでした
そんな筆者が2月末に知ったのが、今回紹介するティファール「ディスプレイ コントロール 1.0L」発売のニュースでした。詳細はよくわからないものの、どうも台座はスッキリコンパクトになっていて、ポットの側面にいろんな表示が出るというギミック付き。しかもどことなくオシャレなブラックボディで、ティファール製品には珍しい、内部ステンレス製のボディとか! これは神の啓示か!とばかりに、珍しく、発売前に即ポチしました。そして、発売日の3月1日当日に、コイツが届いたというわけです。
というわけで、筆者が本製品を選んだ理由は下記の3点です。現状、この条件をすべて満たす電気ケトルは本製品以外にはないと思います。
1:ボディが樹脂製ではない
2:デザインがカッコいい
3:温度調整機能が付いている
ちなみに、本製品の発売前時点での市場想定価格は15,000円。電気ケトルとしてはかなり高額の部類に入りますが、上記の条件を満たす製品としては唯一でしたので、この点については特に文句はありません。
さて、では発売日当日に我が家に届いた、ティファール「ディスプレイ コントロール 1.0L」をレビューしていこうと思います。
キッチンに本機を置いてみたところ。ポットの中に水を入れて台座に奥だけで、このようにポット内の水温が表示されるのがいいです(すぐ消えます)。周囲は光沢感のあるクリアブラックのプラスチック製なので、映り込みはご愛敬ということで……(笑)
まずボディですが、外側は、写真を見てわかるとおりの真っ黒なプラスチック製ボディ。とはいえ、このブラックは若干クリアになっており、よく見ると中側が透けています。というのも、これは後述する、ボディ側面のデジタル表示を透けて見させるためのもの。ただ、よく見なければ真っ黒のボディなので、デザイン性を損なうということはなく、むしろ高級感のある仕上がりと言えます。
ポットのふたは天面の丸いボタンをワンプッシュするだけで開きます。コーヒーポット形状の電気ケトルの場合、これが手動でしかもフタが固いのが多いんですよね、実際。これなら楽々開けられます。細かいけど、こういう気配りがいいです
ポット内部をのぞくとステンレス製となっており、本機が外側プラスチック+内側ステンレスという二重構造になっていることがわかります。当然ながら、樹脂製ポットにありがちな、熱くなっても樹脂が溶けたようなニオイはしません。またポットの容量は製品名にもある通り、1.0L。ティファールの電気ケトルはたいてい中身のお湯の量が外からでも視認できるようになっていますが、本製品の場合、内側がステンレスで覆われているため、内部のお湯の量を外から確認することはできません。
ポット内部はステンレス製。そうです。こういうのが欲しかったんですよ。やっぱり樹脂製よりもなんか安心感あります(重いけど)
操作ボタンはポットの取っ手上部に2つ装備されています。向かってポット寄りの前側にあるボタンは、温度調整ボタンになっており、これを押すことで設定温度が、100℃→95℃→90℃→80℃→60℃と5段階で変わっていきます。その後ろ、取っ手寄りにあるのは100℃の湯沸かしボタン。つまり、普通に100℃のお湯を沸かす場合は後ろのボタンを押せばよく、ほかの温度に設定したい場合は、前のボタンを何回か押して温度設定すれば、あとは自動的にその温度までお湯が沸くというシンプル設計です。
取っ手の上部にボタンが2つ装備されています。写真向かって手前側のボタンが100℃の沸騰ボタン、奥側のポットに近い側が温度設定ボタンとなっており、温度設定ボタンを何度か押すことで設定温度が切り替わります。ちなみにいずれも長押しする保温モード(60分)に切り替わります
ちなみに、ポット側面のデジタル表示ですが、電源をつないだ台座の上に置くことで、ポット内部の水の温度が表示される仕組み。そして、上記の設定ボタンを押すと、その内容がこちらに表示されるので、温度設定を間違うということはありません。もちろん、湯沸かし中もポット内の水の温度がリアルタイムに表示されるので、あとどれくらいでお湯がわくのかは直感的にわかります。しかも温度表示が大きいので、見やすいのがポイント。こういう見やすい電気ケトルってこれまでほとんどなかったように思うので、ちょっと感動です!
必要なものは全部ポット側に搭載したので、台座はいたってシンプルかつコンパクト。これが本機を購入した理由のひとつでもありました
ちなみに台座部分ですが、本当にスッキリしており、設置面積もほとんど取らないのが素晴らしいところ。ポットとのデザインの一体感もバッチリなので、キッチンなどにスッキリ収まります。これも素晴らしい!
さて、お湯が沸けば、ピーッという音でお知らせしてくれ、当然ながらヒーターは自動的に切れます。中がステンレス製なので、樹脂製の製品寄りも若干お湯は冷めづらく、上述の温度設定ボタンを長押しすれば、60分間、その温度での保温もしてくれます(100℃沸騰の場合は95℃で保温)。これだけシンプルかつ、欲しい機能が入っていれば、たいていの用途で便利に使えるのではないでしょうか。
では、実際にいろいろな設定でお湯を沸かしてみましょう。なお、本製品の出力は1250Wで、ほかのティファール製ケトルとほぼ同じスペックです。
湯沸かしテストスタート! ポットの中に入れた水温が表示されるので、テストでも、いちいち温度計を持ち出さなくてすんだのも地味にうれしい(笑)
当然ながら、お湯の温度が上がってくるにつれ、デジタル表示も変化します。何しろこれがわかりやすい!
まずは、普通に100℃設定で、1Lのお湯(元の水温22℃)を沸かしてみました。これにかかった時間は4分34秒。特に早いというわけではありませんが、まあこんな感じでしょうか。これだけだと速いのか遅いのかよくわからないので、これまで10年以上使ってきた電気ケトル(2010年製・900W)で、800mLのお湯を沸かしてみたところ、なんと6分ジャストかかりました。本製品で0.8mLのお湯を沸かすのにかかかった時間は4分18秒だったので、1分30秒以上速いことになります。もちろんヒーターの出力が30%ほどアップしているので、当然と言えば当然ですが。ちなみに、片手鍋+ガスという組み合わせで同様に800mLのお湯を沸かしてもみましたが、こちらにかかった時間は4分23秒。ガスはやはり火力が強いなーという感じですが、本機でも十分にそれに対抗できるほどの速さでお湯をわかせることが確認できました。
確認のため、筆者がこれまで10年以上使い続けてきた電気ケトル(右)とで、0.8mLのお湯を沸かす速度を比較してみましたが、従来機は6分、「ディスプレイ コントロール 1.0L」は4分18秒と圧倒的に速かったです。ちなみにガス+片手鍋で沸かしたのと同じくらいの時間でした
しかし、電気ケトルの本骨頂は、もっと少ない量のお湯を早く沸かせることにあります。なので、いくつかの水量・温度の組み合わせでお湯を沸かしてみました。
まずは、よく利用するコーヒーカップ1杯分(250mL)のお湯を、コーヒー用に100℃で沸かしてみたところ、1分36秒で沸きました。コーヒー豆やらドリッパーやらを準備しているうちにお湯が沸くという感じでしょうか。十分に早いです。
次に、温度設定を低くしてテストしてみます。前述の通り、我が家で最近需要が高まっている赤ちゃん用の粉ミルクを入れるため、80℃設定で200mLのお湯を沸かしてみます。こちらにかかった時間はわずか1分7秒。粉ミルクをほ乳瓶に用意しているうちにお湯が沸きますね。さらに新生児用に100mLという少量のお湯を80℃で沸かしてみたところ、41秒しかかかりませんでした。さすがに鍋ややかんではこの温度設定も無理ですから、本機の利便性と湯沸かしスピードは十分満足できる内容です。
80℃設定で粉ミルク用のお湯を沸かしてみたところ、200mLなら1分7秒、100mLなら41秒で完了。この速さはうれしい! やはり少量のお湯を沸かすのなら電気ケトルがいちばんいいです
というわけで、駆け足ではありましたが、ティファールの電気ケトルの新モデル「ディスプレイ コントロール 1.0L」をレビューしました。上記の内容の通り、現在の我が家のニーズをすべてかなえてくれて、なおかつ使いやすく、デザインもオシャレ。電気ケトル選びには正直迷っており、コレと言った強みを持った製品が見当たらなかった中で、本製品の発売はまさに天恵でした。すでに3週間ほど使っていますが、現状、どこを取っても満足なのですが、あえて言うなら、ステンレスとプラスチックの二重構造で、なおかつ温度設定などの機能すべてをポット側に詰め込んだため、ポットの重量が重い(おそらく1kgくらいある)のがやや難点でしょうか。ここに1Lの水を入れると合計2Lになるので、女性が片手でひょいと、というわけにはいかないかと思います(妻は問題ないようでしたがw)。あと、注ぎ口がやや広めなので(ティファールの電気ケトルとしては標準的ですが)、小さなほ乳瓶とかにピンポイントでお湯を入れようとしたときに、うまく注げなかったこともありました。
しかし、上記の2点を除けば、機能・使い勝手とも満足で、いい製品に巡り会ったと感じています。同じような悩みをお持ちの電気ケトラーの皆さん、ぜひ本製品をお試しいただければと思います。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。