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粒感がさらにアップ! ほどよいもっちり感と甘みのあるごはんが炊ける三菱電機「本炭釜 紬」

三菱電機が業界初の炊飯器を開発してから50周年となる本年、IH炊飯器「本炭釜」のフラッグシップモデルを7年ぶりにフルモデルチェンジ。従来どおりの圧力をかけない炊飯方式はそのままに、粒立ちをさらに高めた「本炭釜 紬(つむぎ) NJ-BWD10」(市場想定価格は121,000円/税込、発売日未定)をメディア説明会で見てきました。

<2022年5月16日追記>発表当時は2022年5月21日発売予定となっていましたが、発売日が延期となり未定となりました。

非圧力×炭の内釜だからこそ実現した粒立ちのあるごはん

米は、使用する米の銘柄や水の違いだけでなく、浸水/炊き上げ/蒸らしの時間、温度(火加減)によって炊き上がりの味や食感が変わるもの。IH炊飯器の場合、これらに加え、熱の伝わり方(内釜の素材)、断熱性能など炊飯器の構造によって差が出るため、それが各メーカーや炊飯器の特徴となります。その中でも、大きな差となるのが圧力の有無。炊き上げ工程で加圧し、水の沸点を100℃以上にして加熱する圧力式は、甘みと粘りの強いごはんが炊き上がりますが、その半面、食感がやわらかくなる傾向があります。それに対し、硬さのある炊き上がりになるのが非圧力式。ただし、現在、IH炊飯器の主流は圧力式となっており、フラッグシップモデルで非圧力式をリリースしているのは三菱電機のみとなっています。

1972年に保温機能付き電子ジャー炊飯器を業界初で開発した三菱電機は、蒸気レス機構など革新的な炊飯器を続々とリリースしてきました。今ではめずらしくない10万円を超える高級炊飯器を最初に発売したのも同社。その高級炊飯器第1号が、2006年発売「本炭釜 NJ-WS10」です

1972年に保温機能付き電子ジャー炊飯器を業界初で開発した三菱電機は、蒸気レス機構など革新的な炊飯器を続々とリリースしてきました。今ではめずらしくない10万円を超える高級炊飯器を最初に発売したのも同社。その高級炊飯器第1号が、2006年発売「本炭釜 NJ-WS10」です

非圧力式のIH炊飯器は硬めの食感に炊き上がりますが、吸水が足りず硬めになるのとは別物。しっかり吸水させ、大熱量で炊飯するため弾力があり粒立ちがよく、ほのかな甘みと粘りのあるごはんが炊き上がります。そもそもごはんは粒食であり、粒感を楽しみ、米粒を噛んで広がる甘みや旨みを楽しむもの。そうした食感と米本来の味を堪能できる炊き上がりを理想として開発された「本炭釜」で炊いたごはんは、ごはんと主菜、副菜などを交互に食べ、口の中でごはんと合わせる「口中調味」という食べ方をすることの多い日本人の食事にもぴったりなのだそう。

【ポイント1】急速沸騰でさらに粒感のある炊き上がりに

粒立つ食感と、もっちりで甘みのある炊き上がりを実現するためにポイントとなるが、圧力をかけずに炊く炊飯方式と炊き上げ時の連続沸騰、そして断熱構造です。新モデル「NJ-BWD10」は炊き上げ工程で急速に立ち上がる制御にすることで、さらに粒感をアップ。もちろん、ただ高い電力を加えるだけでは熱の伝わり方にムラができてしまうため、熱伝導率の高い内釜も欠かせません。「本炭釜」の内釜は形状を変えながら進化しているものの、純度99.9%の炭素材を使っている点は変わらず。多くの炊飯器で作用されているステンレスや鉄よりも発熱が早く熱伝導にもすぐれる炭素材の内釜だからこそ、急速沸騰ができたのだそう。

浸水工程のあとに従来モデルの約23%も多い電力を加えることで、沸騰開始までの時間を短縮。素早く高温で加熱したほうが米がやわらかくなりにくく、硬さは6.4%アップしたそうです

浸水工程のあとに従来モデルの約23%も多い電力を加えることで、沸騰開始までの時間を短縮。素早く高温で加熱したほうが米がやわらかくなりにくく、硬さは6.4%アップしたそうです

炭素材の内釜は素早く釜全体に熱を届けられるので、IHと相性がバツグン。遠赤外線効果で米の芯まで一気に熱を入れられることができ、高い蓄熱性も備えているのも特徴です

炭素材の内釜は素早く釜全体に熱を届けられるので、IHと相性がバツグン。遠赤外線効果で米の芯まで一気に熱を入れられることができ、高い蓄熱性も備えているのも特徴です

IHは電気を流すとコイルから磁力線が出て、その磁力線が金属に当たって発熱します。そのため、磁力線の浸透する深さが高いほうが電気は深いところまで到達しやすく、電気が通過した部分の抵抗(電気抵抗)が大きいほど熱を伝える力も強いということになるのですが、ステンレスと炭で比較すると、IHと相性がいいのは炭であることが明白

IHは電気を流すとコイルから磁力線が出て、その磁力線が金属に当たって発熱します。そのため、磁力線の浸透する深さが高いほうが電気は深いところまで到達しやすく、電気が通過した部分の抵抗(電気抵抗)が大きいほど熱を伝える力も強いということになるのですが、ステンレスと炭で比較すると、IHと相性がいいのは炭であることが明白

ステンレス釜と本炭釜をIHコンロで加熱すると、本炭釜は内側がほぼ均一の温度になったのに対し、ステンレス釜は上下でかなり温度差が出ていることがわかります

ステンレス釜と本炭釜をIHコンロで加熱すると、本炭釜は内側がほぼ均一の温度になったのに対し、ステンレス釜は上下でかなり温度差が出ていることがわかります

説明会では、ステンレスと鉄、炭の板(直径12cm、厚さ6mm)をIHコンロで30秒加熱し、それぞれの素材がどのように発熱するかを検証する実演が行われました(下の動画参照)

説明会では、ステンレスと鉄、炭の板(直径12cm、厚さ6mm)をIHコンロで30秒加熱し、それぞれの素材がどのように発熱するかを検証する実演が行われました(下の動画参照)

上の動画を見ると、炭は6秒くらいで周囲から中心部に向けて一気に高温になり、30秒後の様子も明らかに赤くなっている範囲が違います。また、中心部の温度を見比べても、100℃近くになっているのは炭のみ。炭がIHと相性がいいことが、実演でも確認できました。

【ポイント2】うまみや甘みを引き出すための連続沸騰

一般的なIH炊飯器はふきこぼれを防ぐため、炊き上げ工程で電気のオン/オフを繰り返す間欠加熱をしなければなりませんが、「本炭釜」は独自の羽釜形状で沸騰時の泡を抑えることで、連続加熱を実現しているのも特徴です(下の動画参照)。この炊き上げ方により、うまみや甘みを最大限に引き出すことができるのだそう。新モデルではさらに多くの泡を抑えられるように、内釜の面積を広げ、羽釜上部に段を付けた「新・段付き内釜」を採用。段付き部分で消泡させることで、急速沸騰でもふきこぼれることなく炊き上げられるようになったといいます。

炊飯器に内釜をセットすると、羽根の上部がかまど内からはみ出る構造は従来どおり。上部の温度が低くなり、温度差を生み出すことで沸騰した泡がふきこぼれないようにする工夫です

炊飯器に内釜をセットすると、羽根の上部がかまど内からはみ出る構造は従来どおり。上部の温度が低くなり、温度差を生み出すことで沸騰した泡がふきこぼれないようにする工夫です

新モデルは羽釜の上部の面積を拡大し、段付き構造に変更。沸騰時に発生した泡が段の部分に当たって変形し、潰れることで消泡を促進させるのだそう。ちなみに、釜底の中央と両側が肉厚になっていますが、これにより大きな泡が発生し、激しい対流を起こします

新モデルは羽釜の上部の面積を拡大し、段付き構造に変更。沸騰時に発生した泡が段の部分に当たって変形し、潰れることで消泡を促進させるのだそう。ちなみに、釜底の中央と両側が肉厚になっていますが、これにより大きな泡が発生し、激しい対流を起こします

【ポイント3】しっかり断熱しながら本体をスリム化

内釜の発熱性が高く、高火力で炊飯ができるだけでなく、その温度を維持する断熱性も必要です。「本炭釜」はもともと非常に高い断熱性を備えていましたが、新モデルは断熱材と空気断熱層を追加し、さらに断熱性がアップ。5層の断熱構造により、釜内の暖かい空気をキープして火力を後押しします。また、断熱構造を見直したことで、本体がサイズダウンしたのもうれしいポイント。設置面積は10.1%削減され、炊飯器がひとまわり小さくなった印象です。

従来は内釜を囲むように3mmと10mmの断熱材を配置していましたが、新モデルは3mm、5mm、5mmの厚みの断熱材に変更。さらにその間に空気層を追加することで、断熱構造をスリム化しながら従来と変わらない断熱性を確保しています

従来は内釜を囲むように3mmと10mmの断熱材を配置していましたが、新モデルは3mm、5mm、5mmの厚みの断熱材に変更。さらにその間に空気層を追加することで、断熱構造をスリム化しながら従来と変わらない断熱性を確保しています

新モデルのサイズは261(幅)×314(奥行)×257(高さ)mm。最大炊飯容量(白米)は5.5合です

新モデルのサイズは261(幅)×314(奥行)×257(高さ)mm。最大炊飯容量(白米)は5.5合です

こちらは前モデル「NJ-AWB10」ですが、パッと見ただけでも新モデルがスリムになったことがわかるのではないでしょうか。サイズは285(幅)×320(奥行)×249(高さ)mm

こちらは前モデル「NJ-AWB10」ですが、パッと見ただけでも新モデルがスリムになったことがわかるのではないでしょうか。サイズは285(幅)×320(奥行)×249(高さ)mm

従来どおり、内釜とかまど部分が接する部分には密閉性を高める「熱密封リング」を装備。これも断熱性を高める工夫のひとつです

従来どおり、内釜とかまど部分が接する部分には密閉性を高める「熱密封リング」を装備。これも断熱性を高める工夫のひとつです

さて、肝心のごはんの味わいについては……、新モデルで炊いたごはんは粒感がたしかに増していると感じました。筆者は前モデルで炊いたごはんも食べたことがありますが、新モデルで炊いたごはんのほうが口の中で粒感を楽しめ、弾力もある印象。といっても、パラパラとした感じではなく、適度なもっちり感もあります。そして、ごはんを噛むと感じるほのかな甘み。ごはんの味や香りが強く主張してこないので、おかずと一緒に食べやすかったです。

「本炭釜 紬」で炊いたごはん(赤いシール)と、圧力式IH炊飯器で炊いたごはん(黄色と青のシール)を食べ比べ。軽く握った状態での試食だったこともあってか、圧力式のごはんは粘りが強いためベチャッとして米粒がくっつく感じで、個人的には、食感は断然、非圧力式のほうが好み。また、「本炭釜 紬」で炊いたごはんが、口から鼻に抜けるごはんの香りが感じられました

「本炭釜 紬」で炊いたごはん(赤いシール)と、圧力式IH炊飯器で炊いたごはん(黄色と青のシール)を食べ比べ。軽く握った状態での試食だったこともあってか、圧力式のごはんは粘りが強いためベチャッとして米粒がくっつく感じで、個人的には、食感は断然、非圧力式のほうが好み。また、「本炭釜 紬」で炊いたごはんが、口から鼻に抜けるごはんの香りが感じられました

いろいろな味のおかずと食べても、ごはんの味わいがちょうどいい。ごはんの味や風味がおかずに負けるということもなく、バランスがいい印象です。口の中でごはん粒がほぐれ、おかずと混ざって、「口中調味」に合うごはんなのだと実感できました

いろいろな味のおかずと食べても、ごはんの味わいがちょうどいい。ごはんの味や風味がおかずに負けるということもなく、バランスがいい印象です。口の中でごはん粒がほぐれ、おかずと混ざって、「口中調味」に合うごはんなのだと実感できました

もちろん、ごはんだけで食べてもおいしいので、普段、試食はひとくち食べて終える筆者ですが、お茶碗1杯分を完食してしまいました

もちろん、ごはんだけで食べてもおいしいので、普段、試食はひとくち食べて終える筆者ですが、お茶碗1杯分を完食してしまいました

ちなみに、お手入れ性もよくなっています。従来は2枚構造だった内ぶたが1枚構造になり、洗い物は内釜と内ぶたの2点のみと、より手軽になりました。

従来は2枚構造だったため、洗浄のたびに分解する必要がありましたが、新モデルの内ぶたは1枚構造なので、炊飯器から取り外すだけでOK。重量も約42%軽量されました

従来は2枚構造だったため、洗浄のたびに分解する必要がありましたが、新モデルの内ぶたは1枚構造なので、炊飯器から取り外すだけでOK。重量も約42%軽量されました

炊飯時に蒸気とともに沸き上がるうまみをキャッチし、蒸らし時に内釜内のごはんに還元する機構も、スリムになった内ぶたに搭載されています

炊飯時に蒸気とともに沸き上がるうまみをキャッチし、蒸らし時に内釜内のごはんに還元する機構も、スリムになった内ぶたに搭載されています

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。

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