2022年7月21日に発売された、タイガーの圧力IH炊飯器「<炊きたて>土鍋ご泡火炊き」シリーズの最上位モデル「JPL-S100」をメディア向け体験会で見てきました! 本製品は炊飯中に“理想の火力”をキープするため、「連続ノンストップ加熱」という新しい技術を採用したのが大きな進化点。その詳細と、実際に炊いたごはんの味をレポートします。
炊飯容量は5.5合で、サイズは290(幅)×351(奥行)×220(高さ)mm。炊飯時の消費電力は1,080Wとなっています。カラーは、スレートブラックとミストホワイトの2色展開
三重県四日市市の伝統工芸品「萬古焼」を使った「本土鍋」を内釜に採用するJPL-S100は、最高温度約280℃の大火力で炊くことができます。これは、蓄熱性の高い土鍋だからできること。同社の金属釜と比較すると、金属釜は蓄熱性が低く外に温度が逃げてしまうため、釜底の温度は130℃程度にしかならないのだそう。釜底の温度ではありますが、その温度が内釜全体に伝わって加熱されるので、ごはんの炊き上がりに差が出ることはあきらか。さらに、土鍋が持つ高い遠赤効果による輻射熱が米の芯まで届き、甘みと旨みをじっくり引き出します。
本土鍋の最高温度は同社金属釜の約2倍以上。加えて、遠赤効果も一般的な金属釜の4倍となります
本土鍋は一般的な土鍋と比べて約2倍以上の強度を持つとのことですが、万が一の場合でも、割れたりフッ素コーティングのはがれに対し5年保証が付いています
また、炊き上げ工程で発生する泡も土鍋ならでは。一般的な金属釜に比べ泡が細かく、その量も多いため、泡が米一粒一粒の間に入ってクッションのように作用し、米同士がぶつかって傷つくのを防いでくれます。下の動画は、JPL-S100で炊飯中の内釜内の様子を撮影したもの。吸水が終わり、炊き上げのタイミングに入った状態ですが、細かな泡が大量に発生しています。泡で米を守りながら炊くことにで旨み成分のデンプンの流出を防げ、ふっくらとしたごはんが炊き上がるのだそう。
ここからは、JPL-S100の進化点を見ていきましょう。「土鍋ご泡火炊き」の最上位モデルとなるJPL型では、これまでも蒸らし工程において、高い温度をキープさせながら段階的にやさしく温度(圧力)を変化させる「多段階圧力機構」や、外気を取り込んで過剰な蒸気を外に放出して水分をコントロールする「ハリつやポンプ」など、ごはんのおいしさを高める仕上げ段階の機能が搭載されていましたが、新モデル「JPL-S100」には最大火力を延ばす新機能が追加されました。メーカーの担当者によると、以前から、炊き上げ時の約106℃(1.25気圧)という温度をもう少し長くキープしたかったそうなのですが、吹きこぼれを防ぐため、途中で温度(圧力)を下げていたのだそう。これは炊飯器では仕方のないことなのですが、JPL-S100はこの課題を“風の力”で解決。「ハリつやポンプ」に新しいダクトを追加し、沸騰時の泡を受けるところに風を送り、泡を抑える仕組みとしたのです。この新機能「連続ノンストップ加熱」により、炊き上げ時に約106℃を維持できる時間が、タイガーの目指すところに到達したのだそう。
「ハリつやポンプ」はフタに内蔵。センサーで吹きこぼれが起きそうな状態を検知すると、「ハリつやポンプ」から風が送られ、吹きこぼれを強制的に抑制します(下の動画参照)
「連続ノンストップ加熱」により、内釜内の温度を約106℃(1.25気圧)でキープできる時間が、従来モデル(JPL-G100)より約1.5倍も長くなり、理想的な炊飯を実現
本土鍋による高火力と、吹きこぼれを防ぐ「連続ノンストップ加熱」により、従来モデルと比べて炊きあがったごはんの甘みは約17%、粘りは約3倍アップしたそうです。
JPL-S100で炊いたごはん。米粒が、ふっくらと立っているのがわかります
体験会では、JPL-S100で炊いたごはんを試食することができました。
表面がつややかで、見るからにおいしそう。ひと口ほおばってみるとハリがあり、モチモチしながらもしっかりした粒感があって、甘みが感じられます
他社製炊飯器で炊いたごはんとの食べ比べも行いましたが、それぞれ大きく味や食感などが違ってびっくり! いちばん左がJPL-S100で炊いたごはんで、残り3つが他社製炊飯器で炊いたものですが、JPL-S100で炊いたごはんは最も粒感があり、甘みも感じられました。また、ごはんの香りが強かったのも印象的
米を一粒ずつ比較してみると、JPL-S100で炊いたごはんがいちばんふっくらしているのがわかります。本土鍋から発生する泡で米が傷つくのが抑えられ、米の中の成分が保持されるからこそ、形状が崩れずにふっくら炊き上がるのだそう
このほか、従来モデルで人気の機能や構造を継承。ごはんが炊き上がったあと、「ハリつやポンプ」で外気を取り込んで熱と蒸気を外に放出し、最適な湿度で保温することでごはんのべちゃつきを軽減する「おひつ保温」も搭載しているので、保温したごはんもおいしく食べられます。なお、この保温方法により、従来モデルと比較して、12時間保温したごはんのニオイは約22%、黄ばみは約19%低減したとのこと。また、業界最多となる70銘柄に対応したお米の炊き分け機能「銘柄巧み炊きわけ」や、一膳分(0.5合)でもおいしく炊ける「一合料亭炊き」も搭載しています。
本体底にある温度センサーで状況をチェックし、必要なタイミングで「ハリつやポンプ」が稼働。木製のおひつに近い保温ができるそうです
「一合料亭炊き」は、付属する専用の中ぶたを使用して炊飯空間を小さくすることで、1合分でもおいしく炊けるようにしたもの。少量炊きニーズに応えるうれしい機能です
大きなバックライト付きのタッチパネルを搭載し、操作性もスマート
使用後に洗う必要があるパーツは内釜と内ぶたの2点だけ。内ぶたは食器洗い乾燥機にも対応しています
内ぶたはマグネット式着脱式なので、パチッとふたに吸い付くように装着できてスマート
<炊きたて>シリーズのミドルクラスモデルとして、保温したごはんのおいしさにこだわった「JPV-A」シリーズも新たに登場しました。蓄熱性を高める素材「ヒートカットパウダー」や、遠赤効果のある土鍋コーディングを施した内釜「遠赤5層土鍋蓄熱コート釜」を採用。土鍋の温度コントロールを参考にした新しい炊飯プログラム「旨み粒立ち炊飯プログラム」を搭載しており、従来モデルよりも少し低めの温度で長く吸水を行い、その後、急速に温度を上昇させることで米の甘みを引き出し、弾力のあるふっくらとしたごはんを炊き上げます。
5.5合炊きの「JPV-A100」(市場想定価格46,800円/税込)と、1升炊きの「JPV-A180」(市場想定価格49,800円/税込)がラインアップされており、2022年8月21日発売予定。本体カラーは、JPV-A100がマットブラックとマットホワイトの2色展開、JPV-A180がマットブラック1色展開となります
上位機同様に炊飯時には細かい泡が立ち、米同士の傷つきを防いでくれます。米本来の甘みのある、弾力がありもっちりとした食感のごはんが炊き上がるとのこと
そして、JPV-Aシリーズのこだわりである保温時には「粒立ち保温プログラム」が作動します。一般的に炊飯器での保温は菌の繁殖を防ぐため、庫内を高めの温度にする「昇温」が何回か行われますが、粒立ち保温プログラムは昇温時と通常時の温度が従来モデルよりも少し低めの設定となっているのがポイント。蒸気センサーで温度を検知し、温度が高くなりすぎないように管理することで、ごはんから出る余計な蒸発水量を抑え、最適な水分をごはんに留めます。これにより、旨み粒立ち炊飯プログラムで保温したごはんは米粒の輪郭を保ったまま、べたつきが抑えられるとのこと。
炊きたての状態から13時間保温したごはんの硬さの変化率を、粒立ち保温プログラムを搭載したJPV-A100と非搭載の従来モデル「JPK-S100」で比較すると、JPV-A100のほうがごはんに含まれる水分がキープできていることがわかります
ちなみに、JPV-Aシリーズもお手入れ点数は内釜と内ぶたの2点だけ
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。