熱帯夜が連日続く夏場は、エアコンの冷房運転をオンにしていてもなかなか寝つけないことがありますよね。そんな寝苦しい夜に役立ちそうな“枕”を使ってみました。頭部を冷やすことで快適な入眠と睡眠、そして気持ちのよい目覚めをサポートするという、アイリスオーヤマ「快眠クールまくら KCP-450」(以下、快眠クールまくら)の効果はどれほど?
快眠クールまくらは、本体と「冷却シート」(人の頭が接する部分)で構成されており、内蔵された冷却水(純水)をペルチェ素子で冷却し、その冷却水を冷却シートに送って頭部を冷やします。氷枕のようなものですが、冷却水は本体と冷却シートを循環して冷却し続けられるため、途中でぬるくなることはありません。また、冷却の強さを選択でき、適正な温度がキープされるようになっています。
本体と冷却シートはチューブでつながっており、取り外しはできません。サイズは本体が160(幅)×140(奥行)×166(高さ)mmで、冷却シートが540(幅)×230(奥行)mm
ペルチェ素子は電流を流すと、素子の上面で熱を吸い上げ、下面では発熱が起こります。その際に発生した熱は、本体背面の排気口から放出されますが、ほんのり暖かい弱めの風なので、快眠クールまくらを使用している時に不快さは感じにくそう
用途としては頭部を冷やすものですが、睡眠をサポートする「おやすみモード」と、発熱などの際に役立つ「連続冷却モード」の2モードが搭載されおり、2つの使い方ができるようになっています。どちらのモードも、「切」タイマーを0.5〜12時間の間で10時間までは0.5時間単位で、10時間以上は1時間単位で設定可能。冷却の強さも「強め」「標準」「ひかえめ」の3段階で選択できますが、設定される温度はそれぞれのモードで異なります。
設定した冷却の強さで温度をキープする連続冷却モードは、冷却シートの温度が、室内温度から約-9℃(強め)、-7℃(標準)、-5℃(ひかえめ)となるように設定されています。もちろん、冬場などで室温が低いときは、単純に温度を下げるわけではありません。たとえば、室温が10℃の状況で「強め」に設定しても「-1℃」になるのではなく、冷えすぎないように調整されるとのこと。とはいえ、冷却シートに頭を乗せていると中の冷却水の温度は上昇していくので、その温度変化にあわせて適正な温度に冷却されるプログラムとなっています。
操作は、電源を入れてからモードを選択して、冷却の強さ→睡眠時間の順で設定してスタートボタンを押すだけ
連続冷却モードで冷却の強さを「標準」に設定した場合、どのように冷却シートの温度が変化するのかをチェックしてみましょう。検証した部屋の温度は28℃。「標準」は「室温から-7℃」なので「21℃」になるということですが、急激に冷却されるのではなく、1時間ほどかけて徐々に温度が下がって21℃になりました。
「室温から-7℃」の温度になるまで思っていたより時間がかかりましたが、頭部はすぐにひんやりしていくるので、運転をスタートしてすぐに横になって問題なし。長時間頭をのせていても心地よい冷たさが続きます
睡眠をサポートするおやすみモードは、睡眠リズムに合わせて冷却シートの温度が自動でコントロールされるのが特徴。人は眠りにつくとき、体の深部温度がしっかり下がるとスムーズな入眠と深い眠りがうながされると言われています。そして、眠りについた睡眠後半では、起床に向けて徐々に体温が上がっていくのだそう。そんな体のリズムにもとづいた温度調節を、睡眠時間にあわせて快眠クールまくらが行ってくれるのです。冷却の強さは、冷却シートの温度が「強め」は20℃、「標準」は23℃、「ひかえめ」は26℃になるように設定されているとのこと。入眠から睡眠前半で設定温度になるように運転したあと弱冷却(27℃)に切り替わり、起床前の段階では、スッキリと目覚められるように冷却をオフにし、ゆるやかに冷却シートを常温に近づけます。
おやすみモードで運転した場合、設定した睡眠時間が4時間以上のときは低温で3.5時間冷却したのち弱冷却に切り替えて約27℃を維持。その後、冷却がストップし、徐々に冷却シートが常温になっていきます。ちなみに、設定した睡眠時間が4時間未満のときには、低温で冷却が続くとのこと
連続冷却モードを試した限り、頭部を数分冷やすだけでもだるさが解消されてスッキリしましたが、やっぱり気になるのは、おやすみモードの効果。本当に睡眠が変わるのか、実際に試してみましょう。冷却の強さは「強め」、睡眠時間は8時間に設定。そして、普段と同じようにエアコンの冷房運転をオンにしたまま就寝します。ただし、筆者は電気代が気になるので設定温度は29〜30℃と少々高め。そのせいなのか、いつもなかなか寝付けず、途中で目が覚めるなど、快適な睡眠は実現できていません……。
実際に使うときには、冷却シートは枕と枕カバーの間に入れます。冷却シートの表面がツルツルしているので、直接、頭をのせるよりも、枕カバーを挟んだほうが使用感はよさげ。枕カバーがない場合は、タオルを敷くといいでしょう
こんな感じで設置。排熱が体に当たらないよう、本体背面はベッドのほうに向けないようにしましょう
おやすみモードは運転をスタートさせると、そのタイミングから睡眠リズムに合わせた温度コントロールが始まるので、本当に就寝するときにスタートボタンを押しましょう
冷却シートは少々固さがありますが、違和感はありません。冷却の強さが「強め」設定でも冷えすぎて不快になることもなく、使用感は上々。また、いつもは熱を持った感じでなかなか眠れないのですが、快眠クールまくらを使ったこの日は、首もとからひんやりして普段よりもスッと眠りにつくことができました
メーカーの調査によると、室温25℃の部屋で快眠クールまくらを使う前と後の頭部温度を比較してみると、快眠クールまくらを使用後、頭部の温度は1.6℃も下がったとのこと。頭部だけでなく、首もとの熱も引いていますね。これは、筆者が感じたとおり!
そして、朝まで目覚めることなく、目覚まし時計のアラーム音と同時にパッと目覚めることができました。頭もスッキリしています。普段は、アラーム音を5分おきに30分間鳴らしてやっと起き上がれるというくらい寝起きが悪い筆者。目覚めてからすぐに動き始められたのは驚きでした
脳波を計り、眠りの深さ(質)を調査した結果を見ると、快眠クールまくらを使うと深い眠りの時間が増えていることがわかります。だから、筆者もスッキリ目覚められたのかも!?
なお、冷却シートの裏面にはすべり止めが付いているので、枕からズレる心配はほぼありません
おやすみモードの効果はわかっていただけたと思いますが、頭の近くで使うので運転音が気になる人もいるでしょう。ということで、おやすみモードの「標準」時の運転音を騒音計で計測してみました(下の動画参照)。運転音は約42dBなので、図書館内と同じくらいの騒音レベル。比較的本体に近い場所で計測したので、気になるようなら、なるべく本体を枕もとから離すといいでしょう(と言っても、チューブでつながっているので限度があります)。
なお、上の動画と同じ位置に本体を設置して就寝してみたところ、最初は少し気になっていた運転音が時間の経過とともに気にならなくなりました。そして、普通にぐっすり眠れ、朝も快適!
使用する前は、頭部を冷やすことで入眠や目覚めなどがそれほど変わるのか? むしろ、頭が冷えて目が覚めるのでは? など、いろいろ思っていたのですが、実際に使ってみると効果てき面。いつもと同じ環境で就寝したので、その差を実感できました。エアコンの冷房運転は控えめで使っている筆者にとって、夏場でも快適に眠れたのはうれしい限りです。なお、快眠クールまくらの定格消費電力は70Wなので、8時間使用しても15円ほど(1kWhあたりの電力量料金は27円で算出)。おやすみモードの場合、途中で冷却が弱まったあと常温運転になるため、エアコンの冷房運転と併用しても電気代がそれほど負担になることはないでしょう。
今回はおやすみモードを使って就寝しましたが、ずっと冷やしておきたい人は連続冷却モードを使ってもOKです。また、連続冷却モードは発熱した時に氷枕のように使うのが主な用途だと思っていたのですが、価格.comマガジン編集部スタッフが知り合いの家電ライターに聞いた話によると、炎天下に出かけて帰宅したときに使うとすごく気持ちいいとのこと。実際に試してみると、暑さでボーッとしていた頭がスッキリ! その家電ライターはメーカーに借りていた快眠クールまくらをすでに返却したため手もとにない状況なのですが、「快眠クールまくらがなくてつらい……」と話していたそうなので、想像しているよりも効果を得られるはずです。
冷却シートは折りたためるので、収納スペースはそれほどとりません。発熱の際に使い捨ての冷却シートを使っていてるなら、冷たさが持続する快眠クールまくらを活用するのもいいかもしれません
(※本記事は個人の感想に基づくものです)
大阪府生まれ、埼玉県育ち。編集プロダクション「雪か企画」に所属し、持ち前の体力で月に50本以上の記事を制作しています。休日はカフェ巡りや散歩を楽しみ、1日15km以上歩くことも。