価格.com 家電トレンド研究所

電気代の値上げで燃焼系暖房が再注目! 低消費電力な「コロナ」の石油ファンヒーターが大人気

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第3回は、冬の時期に欠かせないアイテム、「暖房(ヒーター・ストーブ)」について、今年の最新トレンドを紹介しよう。

電気代高騰の影響か? 今年の冬は暖房トレンドに変化あり!

価格.comの「ヒーター・ストーブ」カテゴリーには、セラミックヒーターやハロゲンヒーターなどの電気系暖房と、石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどの燃焼系暖房が掲載されている。この2つは構造的に言ってもまったくの別ものと言っていいが、「暖を取る」という点においては、同じ目的で使われるものであり、両者を比較検討する人も少なくはないだろう。

【図1】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける閲覧者数推移(過去13か月)

【図1】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける閲覧者数推移(過去13か月)

図1は、「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける過去13か月の閲覧者数推移を示したものだが、これを見ると、昨年に比べて今ひとつ出足が鈍いことがわかる。ピークはおそらくこれから寒さが厳しくなる11月後半から12月前半になると思われるが、10月のアクセスを比較すると、今年は前年にはあったピークの山が小さい。それだけ10月の気温が高めに推移したということもあるだろうが、暖房製品の買い替えを見送っている人も少なくないのかもしれない。

【図2】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおけるタイプ別の売れ筋シェア

【図2】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおけるタイプ別の売れ筋シェア

そのうえで、現状の「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける、タイプ別の売れ筋シェア(図2)を見てみると、最も大きいのが「石油ファンヒーター」(28.46%)で、次いで「石油ストーブ」(12.07%)、「ガスファンヒーター」(10.46%)となっており、この3つの燃焼系暖房だけで半数を占めている。例年、寒さがそれほど厳しくないこの時期には、電気系暖房の人気のほうが高いので、今年に関して言えばやや異例だ。図1の結果と合わせて考えると、例年に比べて、電気系暖房の需要が落ちているとも考えられる。

実際、「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの売れ筋ランキングの上位製品の顔ぶれを見てみると、例年以上に石油ファンヒーターやガスファンヒーター、石油ストーブの数が多く、セラミックヒーターやハロゲンヒーターなど、電気系暖房の数が少ないように見える。この理由は定かではないが、今年ならではの大きなトピックとして「電気料金の高騰」という状況があり、これが電気系暖房の人気下落に影を落としているのはないか、ということが想像できる。

方式が異なるので一概には比較できないが、一般に、得られる火力(出力)に対するコストの安さ順に並べると、エアコン、燃焼系暖房、電気系暖房というように言われており、電気系暖房はただでさえ、ランニングコストはよくないと言われてきた。ただ、ここ数年の灯油・ガスの値上がりに比べると、電気代は上がっていなかったことから、これまでは、電気代はさほど気にされず、手軽に暖を取れる電気系暖房の人気が高かったのだ。

しかし、今年については、電気料金はすでに昨年より20%ほど値上がりしており、今後さらなる値上げも予想されている。もちろん、灯油やガスも値上がりしているのだが、政府による石油販売元請け業者への補助金政策などもあって、灯油やガスはそこまで大きな値上がりはしていない(もちろん数年単位で考えるとかなり上がっているのだが)。こうしたエネルギー価格の上昇度合いが、電気系暖房に対してはネガティブに働き、いっぽうの燃焼系暖房に対してはややポジティブに働いたというのが、今年のこの状況を生んでいる大きな理由だと思われる。

石油ファンヒーターでは、コロナの人気が高い。その理由はやはり「電気代」

では、今年人気が再燃してきているように見える燃焼系暖房のトレンドはどのようになっているのだろうか。図3は、価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける、人気メーカー3社の閲覧者数推移だ。コロナ、ダイニチ、トヨトミというこの3社は、石油ファンヒーター製造では御三家とも目されているメーカーだが、比較するとコロナの人気が抜きんでていることがわかる。もっともコロナは「コアヒート」などの電気系暖房も広く展開しているので、これがすべて石油ファンヒーターの人気というわけではないが、そのことを差し置いても、コロナの人気はほか2社より明らかに高い。

【図3】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける3メーカーの閲覧者数推移(過去3か月)

【図3】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける3メーカーの閲覧者数推移(過去3か月)

この理由をクチコミなどからひも解いてみると、ここでもやはり「電気代」という言葉が頻出していることがわかる。実は、この3社の石油ファンヒーターは、それぞれ燃焼方式が異なっており、トヨトミがもっともシンプルな「ポット(気化)式」、コロナが「ポンプ噴霧(気化)式」、そしてダイニチが「ブンゼン(気化)式」をそれぞれ採用している。詳細は割愛するが、「ポット式」と「ポンプ噴霧式」では、電気は着火時と温風を作り出すファンの動作だけに基本使われるのに対し、ダイニチの「ブンゼン式」は灯油をあらかじめヒーターで熱するため、プラスアルファの電気が必要になる。機種にもよるが、同じ10畳対応の製品でも、コロナやトヨトミの製品は最大消費電力が20W程度なのに対し、ダイニチの製品は100Wを超えることも。この消費電力の差が、昨今話題の電気代節約というトレンドと結びついて、ダイニチの製品にはややネガティブに働いているようだ。

ただし、ダイニチのブンゼン式は、灯油を一度温めてから燃焼させるため、着火が早く、暖まり方もほかの方式より早いという特徴がある。このため、暖房がマストな寒冷地を中心にダイニチ製ファンヒーターの人気は底堅いものがあるが、それでも今年の電気料金値上げは、いくばくかの影響を及ぼしているようだ。なお、同じく消費電力の小さいトヨトミの製品がコロナほどの人気でないのは、ラインアップの数がコロナのほうが圧倒的に多いためと思われる。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する暖房器具6選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2022年11月15日時点のものです。

コロナ「FH-VX3622BY(W)」

コロナ「FH-VX3622BY(W)」

価格.com最安価格:25,200円
発売日:2022年8月下旬
ユーザー評価:★4.72(4人)

「ポンプ噴霧式」を採用するコロナの石油ファンヒーター。同社の製品ラインアップの中では「高性能スタイリッシュモデル」に位置する本製品は、オシャレなカラーリングと、燃焼用送風モーターと送風モーターという2つのDCモーターを採用した業界No.1の低消費電力が特徴。ただでさえ低消費電力がウリのコロナ製品の中でも、さらなる低消費電力を実現した点が評価されている。本製品は10畳用のホワイトカラーとなるが、同シリーズには19畳まで対応する多彩な製品が用意されており、カラーリングもホワイトのほか、グレーも用意される。

ダイニチ「FW-4222NC」

ダイニチ「FW-4222NC」

価格.com最安価格:16,280円
発売日:2022年8月8日
ユーザー評価:★3.96(3人)

「ブンゼン式」を採用するダイニチの石油ファンヒーター。同社ラインアップの中ではベーシックなモデルだが、ブンゼン式ならではのスピーディーな点火と、暖まりの速さは、しっかり備えており、ダイニチならではの耐久性の高さも評価されている。比較的本体価格が安いのも魅力だ。気になる消費電力は、大火力時143W/小火力時63Wと、ほかの方式を採用する石油ファンヒーターより高めではあるが、暖まりを優先するならやはりダイニチという声は多い。本製品は11畳対応モデルとなるが、9畳対応モデル「FW-3222NC」も用意される。

トヨトミ「RB-25M」

トヨトミ「RB-25M」

価格.com最安価格:20,700円
発売日:2022年9月
ユーザー評価:★5.00(1人)

トヨトミと言えば、この形のストーブ!という印象をお持ちの方も少なくないだろう。昔ながらの対流型石油ストーブである本製品は、電気を使わない(点火用の乾電池を除く)で暖が取れるため、昨今その便利さが見直されている。本体は小型なので、部屋から部屋への移動も楽々。アウトドアシーンにも持ち出せ、いざいという時の備えとしても使える。しかも炎がガラスを通してレインボーカラーに見えるなど、オシャレな一面も、石油ファンヒーターのようにスピーディーに部屋を暖めるのは苦手だが、火の温かさでじんわりと暖める心地よさは、対流型ならではのよさだ。

リンナイ「SRC-365E [都市ガス]」

リンナイ「SRC-365E [都市ガス]」

価格.com最安価格:19,000円
発売日:2019年6月28日
ユーザー評価:★4.65(21人)

都市ガスを燃料にするガスファンヒーターは、石油ファンヒーターと同等の火力を実現しつつも、給油の面倒がなく、ランニングコストも比較的低め。ガスコンセントを利用できる環境であれば、非常に便利な製品だ。本製品は2019年に発売された製品だが、コンパクトなボディと、シンプルな操作系、そして価格も安めなことから今も絶大な人気を誇る。本製品は11畳対応となる。

日本エー・アイ・シー「Aladdin AEH-G100B」

日本エー・アイ・シー「Aladdin AEH-G100B」

価格.com最安価格:10,799円
発売日:2022年9月2日
ユーザー評価:★5.00(1人)

対流型石油ストーブの「ブルーフレームヒーター」で知られる日本エー・アイ・シーが発売した、遠赤グラファイトヒーター。同「Alladin」ブランドのオーブントースターにも用いられているグラファイトヒーターは、わずか0.2秒で立ち上がる速暖性と遠赤外線効果で体の芯まで暖まるのが魅力。本製品はそのグラファイトヒーターを2菅使用し、一気に周囲を暖める。出力は250/500/750/1000Wの4段階で、手動での首振りも可能。消費電力は高めだが、エアコンとの併用などで近くを暖めるのに便利な製品だ。

シャープ「HX-PK12-W」

シャープ「HX-PK12-W」

価格.com最安価格:19,400円
発売日:2021年9月16日
ユーザー評価:★4.08(16人)

シャープが発売するセラミックファンヒーター。ユニークなのは、加湿機能を備えており、暖房と一緒に加湿もできる点。一般的にエアコンや電気ファンヒーターは、室内が乾燥しやすいとされているが、本製品なら加湿器いらずで室内の空気を潤わせることができる。シャープならではのプラズマクラスター機能も搭載しており、空気清浄機能もあわせ持つ。なお、加湿量は650ml/hと十分な性能で、気化式加湿機で問題になりやすい加湿フィルターの清潔性についても、フィルター自動洗浄運転などの便利機能によって、お手入れの手間を軽減している。6畳対応なので個室向けのスポット暖房として便利。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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