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冬から春の必需家電! 空気清浄機は「加湿&集塵」の1台2役を兼ねた型落ちコスパモデルが大人気

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第6回は、空気が乾燥しやすく健康に気をつかう冬から、花粉の飛散が始まる春まで大活躍の「空気清浄機」の最新トレンドについて解説しよう。

空気清浄機は加湿機能付き・イオン放出機能付きがもはや標準。初冬から春先までが需要のピーク

空気清浄機という製品は、元々空気中に浮遊する微細な物質をフィルターでろ過し、清浄化された空気を室内に放出するという原理で作られている。微細な物質とは、たとえばホコリや花粉のような比較的サイズの大きなものから、カビ菌やタバコの煙などの微粒子、さらにはウイルスレベルまでさまざまなものが該当する。現在、空気清浄機で一般的に用いられている集塵フィルターは「HEPAフィルター」と呼ばれるもので、JIS規格では「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」と定義されている。つまり、0.3μmレベルの微粒子であれば、ほぼ100%近くろ過できるというものだ。よく話題になる有害物質「PM2.5」は、直径2.5μmレベルの微粒子であるから、このレベルなら間違いなくろ過可能。また昨今注目されている「ウイルス」については、その種類によっても大きさは異なるが、0.1μmレベルのものが多く、単純な「HEPAフィルター」ではろ過できない場合も考えられる。このため、空気清浄機の各メーカーは、静電気などの力を使い、ウイルスなど0.1μmレベルの微粒子もろ過できるよう、さまざまな工夫を行っている。

このように、空気清浄機の基本設計は、HEPAフィルターに代表される「集塵フィルター」およびニオイを消臭する「消臭フィルター」を中心に、室内の空気を取り込み、放出するための「ファン」を組み合わせて構成されている。この構成自体は、国内外どのメーカーの製品でも変わらないが、日本国内メーカーの製品は、これに加えて「加湿機能」を備えている「加湿空気清浄機」が多く、こちらが主流になっている。ここでいう加湿機能とは、水トレイと気化式の加湿フィルターを組み合わせた「気化式」の加湿機能で、ほとんどの場合、上述の集塵フィルター、消臭フィルターと並行に設置され、清浄化された空気を室内に放出する際に、水分を含んだ加湿フィルターを通らせることで、室内の空気を潤すという仕組みだ。この「加湿空気清浄機」は、1台2役で別々に設置するより場所を取らないため、日本国内では人気がある。

なお、国内メーカーの空気清浄機は、上述の加湿機能のほかに「イオン放出機能」を搭載しているのが標準的となっている。シャープの「プラズマクラスター」、パナソニックの「ナノイー」などが有名だが、これらの空気イオンを室内に放出することで、空気中を浮遊するカビ菌などの雑菌やウイルスなどを不活化させる効果があると言われている。また、こうした雑菌を基にしたニオイの消臭にも効果があるとされ、室内の空気の清浄化を一段とサポートするものであるが、これらはあくまでプラスαの機能であり、空気清浄機の基本は、やはり上述したように、花粉やほこり、ハウスダストなどの集塵であることは覚えておくべきだろう。

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数(過去13か月)

【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数(過去13か月)

図1は、価格.com「空気清浄機」カテゴリーの閲覧者数(過去13か月)を示したものだが、空気清浄機の需要が高まるのは、例年11〜2月くらいの間であることがわかる。元々、日本国内で空気清浄機の人気が高まったのは、春先の花粉症対策としてであり、そういう意味では花粉の飛散がピークを迎える2〜3月くらいが需要のピークだったのだが、上述のとおり、加湿空気清浄機が主流になったことにより、加湿機としての需要のピークである11月〜1月も合わせて需要を形作るようになった。ちなみに昨シーズンのピークは1月24日で、今シーズンもほぼ同様のピークを迎えるものと思われる。

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの主要メーカー別閲覧者数(過去13か月)

【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーの主要メーカー別閲覧者数(過去13か月)

図2は、価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数(過去13か月)を示したもの。これを見ると、主要メーカーの中ではシャープがダントツで、次いでダイキンという結果になっている。シャープは空気清浄機のラインアップがかなり幅広く、同社独自の「プラズマクラスター」機能も人気であることから、全般的な人気が高い。また2位のダイキンは、独自の「ストリーマ」という除菌機能を搭載しており、集塵フィルターでろ過した物質自体を分解できるため、フィルターの目詰まりが起こりづらいのが特徴だ。続き3位は、長らくパナソニックがその地位を保ってきていたが、最近では、新興の海外ブランド「Airdog」がこれに迫りつつあるという状況が続いている。

空気清浄機の基本的な選び方

空気清浄機の基本的な選び方だが、まずは基本に基づいて、空気中の浮遊物質をしっかり集塵できるかどうかが重要になる。その際に確認すべきは、「集塵(フィルター)性能(方式)」と「風量」である。フィルター性能が高ければ高いほど、浮遊物質をろ過しやすくなるし、ファンの風量が多ければ多いほど、一度に多くの空気を取り込んで集塵できるようになるからだ。空気清浄機の基本性能はこの2つの要素のかけ算で決まると言っても過言ではない。

なかでも注意したいのは、フィルターの性能だ。0.1μmレベルの微細物質まで集塵できるとしている一部のメーカーもあるが、上述のとおり、HEPAレベルのフィルターでは0.3μmレベルがひとつの限界点で、これを超える細かい目のフィルターでは逆に風を通しにくくなってしまい、集塵効果が落ちてしまう。では、どのようにして集塵性能を上げているのかというと、独自の技術で空気中の物質を帯電させ、目の粗さが異なる多層フィルターで吸着しやすくしているのだ。このほか、HEPAレベルの集塵フィルターをプリーツ状にして重ねて、集塵力を向上させている製品もある。ちなみに、今では「集塵フィルター10年交換不要」をうたう製品が多いが、使っているうちにどうしてもフィルターが目詰まりしてきてしまい、性能が落ちてくるので、2〜3年で交換するものと思っていたほうがよいだろう。

また、風量についてだが、日本国内の空気清浄機の場合、おおまかに分けて、小〜中くらいの部屋用(風量5.0m3/分レベル)と、中〜大くらいの部屋用(風量7.0m3/分レベル)の2クラスに分類される製品がほとんどだ。寝室や書斎などの利用であれば風量5.0m3/分レベル、リビングルームなど広めの部屋の利用であれば風量7.0m3/分レベルの製品を選べばよいだろう。これより大風量のモデルも最近増えてきているが、これらは吹き抜けのあるリビングなど、比較的オープンな空間で使うような用途に向いている。使用する部屋の大きさに合わせて適切な風量のモデルを選ぶようにしよう。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する空気清浄機6選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年1月17日 時点のものです。

【7.0m3/分クラス】

ダイキン「ACK70X」

ダイキン「ACK70X」

価格.com最安価格:28,700円
発売日:2020年12月発売
ユーザー評価:★4.63(34人)

ダイキン独自の除菌機能「ストリーマ」を2基搭載する「ツインストリーマ」による、強力な除菌機能を有する加湿空気清浄機。採用しているTAFUフィルターは、撥水・撥油効果の高い素材を使用しているため、汚れが広がりにくく静電力が落ちにくくなり、目詰まりが起こりづらいのが特徴だ。最大風量は7.0m3/分で、31畳までの部屋に対応。加湿機能も650mL/hと十分な性能で、オールラウンドに強力な性能を誇る。なお、室内の空気に作用するアクティブプラズマイオン発生装置も備えている。後継モデル(ACK70Y)では5万円弱はする製品だが、2シーズン前の製品のため、3万円以下で買えるのは非常にオトクだ。

シャープ「KI-PX70」

シャープ「KI-PX70」

価格.com最安価格:39,580円
発売日:2022年1月14日発売
ユーザー評価:★4.62(8人)

シャープの加湿空気清浄機のハイグレードモデル。「価格.comプロダクトアワード2022」の加湿機部門では金賞を受賞するほど高評価を得ている。1cm3あたり50,000個以上という高濃度のプラズマクラスターイオンを放出する「プラズマクラスターNEXT」を搭載し、室内の空気の除菌・消臭が期待できる。7.0m3/分の大風量で、31畳までの部屋に対応(空気清浄時)。センサーで感知した空気の汚れに合わせて、3方向に気流を切り替えて空気の循環をうながすルーバーも搭載する。集塵フィルターには静電HEPAフィルターを採用。加湿機能については、二層構造の加湿フィルターを採用することで、750mL/hという高性能を実現。スマートフォンのアプリと連動して使える「COCORO AIR」も搭載する。

パナソニック「F-VC70XU」

パナソニック「F-VC70XU」

価格.com最安価格:40,680円
発売日:2021年9月21日発売
ユーザー評価:★4.35(3人)

パナソニックの加湿空気清浄機のハイクラスモデル。同社独自の「ナノイーX」イオンの高濃度版である「ナノイーX 9.6兆」を搭載し、室内の空気の除菌・消臭が期待できる。また、3方向に吹き出す気流と、本体横下部に配置されたセンサーによって、床付近の花粉なども効率よく取り込む「3Dフロー花粉撃退気流」を搭載。花粉の集塵量は従来比約1.5倍になったという。6.7m3/分の大風量で、31畳までの部屋に対応(空気清浄時)。集塵フィルターにはHEPAフィルターを採用し、加湿性能は700mL/h。ウッディな部屋のインテリアに合う木目調デザインも特徴的だ。1シーズン前のモデルのため、4万円台で購入可能なのもうれしい。

【5.0m3/分クラス】

ダイキン「MC55Y」

ダイキン「MC55Y」

価格.com最安価格:32,800円
発売日:2021年10月13日発売
ユーザー評価:★4.82(14人)

エアフローを縦型にすることで、ボディをスリム&コンパクトにしたダイキンの空気清浄機。風量は5.5m3/分で、25畳までの部屋に対応。ダイキン独自の除菌機能「ストリーマ」を搭載し、TAFUフィルターとの組み合わせで、目詰まりが起こりづらいのが特徴だ。室内の空気に作用するアクティブプラズマイオン発生装置も搭載。加湿機能は非搭載だが、その分、ボディがコンパクトでお手入れも楽というメリットがある。

シャープ「KC-P50」

シャープ「KC-P50」

価格.com最安価格:19,480円
発売日:2021年12月3日発売
ユーザー評価:★4.52(4人)

遠くのホコリも大きな背面全体の吸込口でパワフルに吸引し、乾燥が気になる季節でもしっかり加湿もできる。1シーズン前の製品ということもあり、2万円以下で購入できるコスパの高さが魅力だ。最大風量は5.1m3/分で、23畳までの部屋に対応(空気清浄時)。1cm3あたり7,000個以上のプラズマクラスターイオンを放出する「プラズマクラスター7000」を搭載。加湿機能は500mL/hと十分な性能を持つなど、加湿空気清浄機としての基本的な機能は取りそろえた高コスパモデルだ。

シャープ「KI-NS40」

シャープ「KI-NS40」

価格.com最安価格:18,500円
発売日:2020年9月上旬発売
ユーザー評価:★3.98(9人)

置き場所を選ばないコンパクトでスリムな形が特徴。最大風量は4.0m3/分で、18畳までの部屋に対応(空気清浄時)。1cm3あたり25,000個以上のプラズマクラスターイオンを放出する「プラズマクラスター25000」を搭載し、小さめの部屋なら十分な420mL/hの加湿機能を搭載するなど、ボディはコンパクトでも基本性能は十分なもの。なお、フィルターは集塵・脱臭の一体型フィルター(2年間交換不要)を採用する。昨シーズンモデルのため、2万円以下で購入可能な高コスパもうれしい。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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