「ヤクルト1000」が爆売れするなど、近年は“睡眠の質”を意識する人が増えています。睡眠には、寝室の環境や生活習慣といったさまざまなことが影響しますが、今回は、その中のひとつ、寝具内温度に注目。快適な睡眠をサポートする温度調節機能を搭載したパナソニックの暖房敷きパッド(電気毛布)「DB-BM1L」を使い、普段と違いを感じるか試してみました。
結果を先に伝えると、想像していた以上に快眠に役立ちました。電気毛布を購入しようと考えている人はもちろん、これまで使っている電気毛布に不満がある人も要チェックです!
電気毛布には、体の上にかける「掛け毛布」と敷き布団の上に敷く「敷き毛布」、どちらの用途でも使える「掛け・敷き布団」があります。今回紹介する「DB-BM1L」は、敷くタイプ。厚みがあり、固定するためのゴムバンドが付いた仕様なので「暖房敷きパッド」と称されています。
毛布は約1(幅)×2(長さ)mのシングルサイズで、厚みは20mm。電源コードの長さは1.91mです
ヒーターをオンにしてサーモグラフィーカメラで撮影してみると、枕を置く部分以外はまんべんなく赤くなりました。足側(左側)のほうが少し高めに見えますが、頭寒足熱になるように足元のほうが高い温度になるように設定されているのだそう
毛布内にヒーター(電熱線)を配置し、電源コードやコントローラーを装備したその基本的な構造は一般的な電気毛布と同じですが、コントローラーに内蔵された温度センサーで室温を検知し、室温が約5℃下がると、設定した温度を自動で約1℃上げて運転する自動温度調節機能を備えています。さらに、設定した温度で温め続けるだけでなく、睡眠の経過時間に合わせた温度調節を行う「快温モード」を搭載しているのが特徴。人は、就寝時間が近づくにつれ深部体温が下がり、起床に向けて体温が徐々に高くなるというように体温が変動します。この体温変動と同じように、眠りとともに温度を下げ、起床時間に合わせて温度を上げていくのが「快温モード」。一般的な電気毛布は一定の温度で温め続けるため、寝ている途中で暑くなって目が覚めたり、汗だくになったりすることがありますが、睡眠の経過時間にあわせて設定温度が変わる「快温モード」を使えば、そうした快眠を妨げる状態になりにくくなります。
睡眠中は温め過ぎない温度に下がり、設定した起床時間が近づくとゆるやかに温度が上昇するのが「快温モード」の特徴
「快温モード」は、上のグラフのように「おやすみ前」「睡眠中(おやすみ中)」「お目覚め」の順で温度が変化する運転コースですが、「おやすみ前」は設定温度まで上昇させる助走のような行程なので、「睡眠中(おやすみ中)〜お目覚め」の部分が「快温モード」となります。なお、体温を検知して自動で温度調節するのではなく、設定温度と睡眠時間をかけ合わせたプログラムで制御するため、「快温モード」を使用する際には温度と起床時間の設定が必要。
電源をオンにし、「コース選択」ボタンで運転コースを選択します。今回は「快温モード」を使用しますが、一定の温度で温める「連続」コースと、1〜12時間の範囲で設定できる「切タイマー」コースも用意。温度は9段階で設定でき、室温20℃の環境下での標準表面温度は温度設定「3」で34℃、「強」で50℃となっています
「コース選択」ボタンで「快温モード」を選択したら、「時刻設定」ボタンを押して起床時間を設定。その後、「時刻設定」ボタンを押すと現在時刻が表示されるので、時間がずれていないか確かめておきましょう。問題なければ、「時刻設定」ボタンを押して完了です
設定が完了すると、設定した温度に向かって温度が上がります。これが「おやすみ前」の状態。その後の「就寝中(おやすみ中)」→「お目覚め」と温度変化させるためには、「おやすみスタート」ボタンを押す必要があります。そして、ここで重要なのが、「おやすみスタート」ボタンを押すタイミング。理想は、今から寝るという時です。布団に入ったもののゴロゴロして起きているなら、まだ押さないほうがベター。ただし、「快温モード」を選択すると、「おやすみスタート」ボタンを押さなくても1時間経過すると自動で「快温モード」運転が始まって「就寝中(おやすみ中)」の行程に合わせた温度に下がっていくので、ヒーター(電源)をオンにした後1時間以上起きているなら、「快温モード」ではなく「連続」コースで使用し、寝るタイミングで「快温モード」に切り替えて「おやすみスタート」ボタンを押すという方法がベストだと思います。
「おやすみスタート」ボタンを押すと、入眠&快眠しやすいように温度が下がっていきます。ただし、このボタンを押すときに設定温度まで温まっていない場合は、設定温度に到達してから「快温モード」がスタートするので、「おやすみスタート」ボタンを押すのは、電源をオンにしてから20分くらいは余裕を持っておくほうがよさそう
手順が多く、設定に手間取るように感じるかもしれませんが、運転コースや起床時間、温度はいちど設定すれば、コンセントから電源コードを抜いても記憶されているのでそれほど手間ではありません。
「快温モード」では時間の経過とともに、現在、どの段階であるのかを液晶に表示される線で確認可能。該当箇所が点滅するため写真ではわかりづらいので、イメージ画像を載せておきます
実際に上のグラフのように温度が変化するのか、「快温モード」時の「DB-BM1L」の表面温度の変化を計測してみました。検証する部屋の温度は20℃。「DB-BM1L」の温度設定は「弱」で、22時に運転をスタートし、6時に起床する設定にしました。人は布団の中に入らず、掛け布団もかけずに計測したので、実際に就寝するときの寝具内温度とは異なりますが、どのくらい温度が変化するのかは確認できます。
「快温モード」で運転した「DB-BM1L」の表面温度は、運転開始前が13.4℃→運転スタート30分後(おやすみ前)が32.8℃→「おやすみスタート」ボタンを押して温度が下がり、最も温度が低くなる「就寝中(おやすみ中)」の行程では23.7℃→設定した起床時間の60分前から温度が徐々に上昇し、起床時間の30分前から最後まで27.7℃が続くというように時間の経過とともに変化しました
今回の検証では、就寝中の「DB-BM1L」の表面温度は「おやすみ前」より9℃ダウンした23.7℃でした。厚生労働相が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」によると理想の寝具内温度は33℃前後とのことなので、数値だけ見ると「快温モード」の「弱」では温かさが足りないように思われるかもしれませんが、人の身体からも熱が放散されるので、実際の寝具内温度はちょうどよさそう。
仕組みがわかったところで、実際に「快温モード」で寝てみましょう。筆者は普段、一般的な電気毛布を使っており、いちばん低い温度に設定していても途中で暑くなって目覚めてしまいます。それでも、寝つくまではポカポカな状態でいたいので、電気毛布は絶対使いたい。そんなジレンマが「DB-BM1L」の「快温モード」で解消されるのでしょうか。
頭側と足元側が決まっているので、間違わないように敷きます。コントローラーが頭側にあれば、問題なし
固定バンドが四隅に付いているので、ズレにくいのもうれしいポイント
厚みが20mmあり、身体と触れる部分はやわらかいマイクロファイバー素材なので、手触りがいい。また、この素材自体も温かさに寄与しているのか、筆者が普段使っていた電気毛布(薄手タイプ)よりも通電する前から温かい印象
筆者が使っている電気毛布ではいつも途中で暑くて目覚めてしまうので、「DB-BM1L」の「快温モード」でも温度設定は最も低い「弱」を選択
40分くらい布団の中でゴロゴロした後、眠る前に「おやすみスタート」ボタンを押しました
実は、筆者は寝つきもあまりよくありません。いつもなら30分以上寝つくまで時間がかかるのですが、今回は「寝られないなぁ」と思うこともなくスッと眠れました
設定でオフにすることもできますが、「DB-BM1L」にはアラーム機能も搭載されています(下の動画参照)。このアラーム音で起こされるまでぐっすり寝ていました。
暑さで中途覚醒することがなかっただけでなく、背中が乾燥してかゆくなることがなかったのも感動したポイント。トータル10日ほど使用しましたが、その間、ずっとこの状態が続きました。
とはいえ、筆者は「快温モード」のことを知っているため、意識していることで睡眠の状態が変わった可能性も考えられます。そこで、何も知らない筆者の母親にも試してもらいました。なお、母も一般的な電気毛布を持っており、寒い時に使えるように掛け布団の上に敷いてあるものの、途中で暑くなって目が覚めたり、喉が乾いたり、時には汗だくになったりするから好きではないとのこと。「DB-BM1L」でも同じようなことになるのではないかと警戒しており、あまり乗り気ではなかったのですが、とりあえず使ってくれました(笑)。
普段使っている電気毛布と「DB-BM1L」を交換し、「快温モード」で寝てもらいました
「汗だくにならなかった」くらいの違いは感じてもらえるかな……と想像していたのですが、母への効果はそれ以上でした。「いつもトイレに行きたくなって目が覚めるのに、朝まで1回も起きずに寝れた」と、起床してきた母は少し興奮ぎみ。ここ数年、中途覚醒せずに眠れる日はほぼないので、アラーム音が鳴るまで寝ていたことに驚いたのだそう。3日間試してもらいましたが、結果は同じ。連日、朝まで眠れたといいます。暑くて寝苦しくなることもなかったし、汗もかかなかったし、この電気毛布すごい! と高評価でした。
体温を検知して温度制御するのではなく、時間経過で温度を変えていくプログラムなので、正直、使う前はそれほど期待していませんでした。しかし、「DB-BM1L」を使ったその夜から違いを実感して、びっくり。自分ひとりの体験だけでは確証が持てなかったのですが、何も知らない母親に試してもらっても同じような効果が得られたことから、「DB-BM1L」の「快温モード」は快眠をサポートしてくれるものだと言えそうです。途中で暑くなるのがイヤで電気毛布を使っていない人は、「快温モード」でその課題が解消できるかもしれません。
現に、今回の検証で使用した「DB-BM1L」はメーカーに借りたものなので返却しなければならず、現在、筆者はこれまで使っていた普通の電気毛布に戻ったわけですが……、温度設定「弱(1)」なのに毎日4時頃に暑くて目が覚めます。そして、乾燥するからでしょうか、背中がかゆくてヒリヒリする状態に。「DB-BM1L」を使ったときにはそうしたことが起こらなかったので、いかに「快温モード」が快適だったのかを思い知らされています。
いっぽう、筆者の母は「DB-BM1L」をゲットしました。「この電気毛布すごい。途中で目覚めずに眠れるなんて、ずっとなかった」と何度も言ってくるので、筆者がプレゼントしたのです。なので、母は今もずっと快眠が続いているとのこと。ネット通販で直接実家に届けたため、70歳を超える母がひとりで取扱説明書を見ながら「快温モード」の設定をしましたが、何ら困ることなく設定できたといいます。毎日の操作も苦にならないようなので、設定や操作についてはそれほど問題視しなくてよさそう。「DB-BM1L」の価格は約22,000円(2023年1月25日時点の価格.com最安価格)と、電気毛布としては少々高価ですが、それでも購入する価値はあると思います。
ちなみに、電気毛布を使ったことがない人の中には電気代が結構かかると思われている方もいるかもしれませんが、一般的に電気毛布の消費電力は最大100W以下と、さほど大きくありません。「DB-BM1L」の1時間あたりの標準消費電力量も、温度設定「中」で約30Wh、「強」で約52Wh。「連続」コースで温度設定を「中」にして毎日8時間使用した場合、1か月の電気代は230円くらいです(1kWhあたりの電力量料金は31円で算出)。温度を低めに設定すればさらに電気代は抑えられますし、就寝中に温度設定が下がる「快温モード」を使えば「連続」コースに比べて電気代が約30%カットできるとのこと。長時間使ったとしても、電気代はそれほどかからないので安心してください。
また、「DB-BM1L」は洗濯もできるので衛生面も問題なし。熱でダニ対策をする運転も搭載されています。
コントローラーを本体から外した状態にすれば、毛布を洗うことができます
パナソニックの縦型洗濯機であれば、洗濯キャップに入れて洗濯可能。他社の洗濯機やドラム式洗濯乾燥機には対応していないため、手洗いとなります
(※本記事は個人の感想に基づくものです)
●撮影:雪か企画
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。