価格.com 家電トレンド研究所

縦型洗濯機は「洗浄力」で選ぶ! 圧倒的な人気の日立からわかる「価格」以上に大事なこと

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第9回は、前回のドラム式洗濯機に続いて、もうひとつの方式である縦型洗濯機について、その最新トレンドを解説する。

新生活需要で1〜3月に伸びる縦型洗濯機

前回の第8回で、ドラム式洗濯機の需要は毎年1〜3月にかけてピークを迎えるとお伝えしたが、縦型洗濯機の需要もドラム式と同様の時期にいちばん盛り上がる(図1)。これは、春に向けての新生活需要にともなうところが大きい。

【図1】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける閲覧者数推移(過去2年)

【図1】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける閲覧者数推移(過去2年)

図1のグラフは、ドラム式と縦型の両方が含まれるため、縦型洗濯機だけのピークは今ひとつわかりづらいが、価格.comの「洗濯機」カテゴリーに掲載される製品のうち、約6割が縦型洗濯機であることを考えれば、縦型洗濯機のピークもほぼこれと同じと考えてよいだろう。なお、比較的小型で価格も安い縦型洗濯機は、ドラム式洗濯機に比べると、学生や単身赴任のサラリーマンによる需要が高いため、こうした人が引っ越しを迎える2〜3月がピークの山になる傾向がある。

前回のドラム式洗濯機のトレンドでも記載したが、最近は、乾燥機能の需要の高まりなどからドラム式洗濯機の人気がかなり強まってきている。とはいえ、価格.comの「洗濯機」カテゴリーに登録されている製品の6割が縦型洗濯機で占められていることからもわかるように、今も主流なのは縦型洗濯機のほうだ。

縦型洗濯機の最大のメリットは「洗浄力の高さ」にある。基本的に「たたき落とし」による洗濯が主になるドラム式洗濯機に比べると、たっぷりの水を使って衣類などをかくはんしながら洗う縦型洗濯機は、一般的に洗浄力が高めと言われている。同様に、たっぷりの水を使ったすすぎや遠心力を使った脱水も強力で、この洗浄力の高さから縦型洗濯機を愛用しているという人は多い。逆に、乾燥機能はドラム式洗濯機のメリットだが、縦型洗濯機にも乾燥機能を搭載するモデルは存在する。ただ、洗濯槽が横に回転するドラム式洗濯機のほうが乾燥の仕上がりは圧倒的に有利であるため、あくまでも補助的な機能と思っておいたほうがいいだろう。

このほか、ボディが比較的コンパクトで済むことや、本体価格の安さなども、ドラム式洗濯機に比べたときの縦型洗濯機のメリットとなる。洗濯物の乾燥は基本的に外干しで行っている人や、ほかに乾燥機や浴室乾燥などの設備を持っている人なら、むしろ縦型洗濯機を選ぶメリットは大きいと言えるだろう。

人気トップは日立「ビートウォッシュ」。パナソニック、東芝、シャープが追随する展開

【図2】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける主要メーカー5社の閲覧者数推移(過去2年)

【図2】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける主要メーカー5社の閲覧者数推移(過去2年)

では、価格.comでは、どのメーカーの洗濯機が人気なのだろうか。図2は、価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける過去2年間の主要メーカー5社の閲覧者数推移を示したもの。なお、こちらのデータもドラム式と縦型の両方が含まれているデータであることはご了承いただきたい。これを見ると、2年前くらいまでは、パナソニックと日立が首位を争う2強状態で、次点で東芝、シャープが続くという感じだったが、その後、日立がしばらくシェアを落とし、代わりに東芝、シャープが上がってくるといった形で、4つのメーカーが入り乱れる4強時代へと移り変わっていることがわかる。

【図3】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける、縦型洗濯機・主要モデル5製品の閲覧者数推移(過去6か月)

【図3】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける、縦型洗濯機・主要モデル5製品の閲覧者数推移(過去6か月)

続いて、縦型洗濯機の人気製品がどのようになっているか見てみよう。図3は、価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける、縦型洗濯機の主要モデル5製品の閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、直近のデータでは、日立「ビートウォッシュ BW-V80H」の人気が飛び抜けてきており、いちばんの人気だ。次いで、だいぶ離される形で、パナソニック「NA-FA10K1」がつけており、3位グループでは、日立「ビートウォッシュ BW-X100H」、東芝「ZABOON AW-8DH2」、パナソニック「NA-F7PB1」がほぼダンゴ状態で争っている。また、全体的には日立の製品が人気では頭ひとつ抜けており、次いでパナソニック、東芝という形で人気となっている様子が見て取れる。実際、日立の「ビートウォッシュ」シリーズは、価格.com上では以前から安定した人気を維持しており、今もそのブランド人気は衰えていないことがわかる。

【図4】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける、縦型洗濯機(洗濯容量8kg)の各メーカー主要モデル5製品の最安価格推移(過去3か月)

【図4】価格.com「洗濯機」カテゴリーにおける、縦型洗濯機(洗濯容量8kg)の各メーカー主要モデル5製品の最安価格推移(過去3か月)

図4は、上位5メーカーにおける縦型洗濯機(洗濯容量8kg)の主要モデル5製品の最安価格推移を比較したもの。細かい性能が異なるうえ、発売時期が異なる製品が混ざっているので一概には比較できないが、およそ各メーカーの縦型洗濯機の販売価格がわかる結果になっている。

各モデルとも、昨年11月の時点では8.5〜9.5万円のレンジで売られていたが、年末を前にAQUA「Prette AQW-VA8N」が大きく値を崩し、7万円台前半に。そのほかのメーカーのモデルも年末年始くらいを境に徐々に値下がりしており、昨年11月時点では最も高かった日立「ビートウォッシュ BW-V80H」が8.2万円程度まで下げ、比較的安定していたパナソニック「NA-FA8H1」もおよそ8.0万円まで下がっている。東芝「ZABOON AW-8DH2」はこれよりも値下がり幅が大きく、約8.6万円から7.6万円前後まで下げた。意外なのはシャープ「ES-GV8G」で、11月時点の約9.3万円から一時期8.3万円まで下げたものの、2月に入ってからやや値上がりして8.5万円台まで戻していることだ。この背景には、製品の供給がやや鈍っている面も関係していそうだが、現状で見るといちばん高いモデルということになる。現状で高いほうから順に見ると、シャープ、日立、パナソニック、東芝、AQUAということになる。

上述したように、縦型洗濯機の人気メーカーはまず日立で、次いでパナソニック、東芝、シャープ、AQUAといった順になるが、価格的には必ずしもこの順番にならないこともあるということは覚えておきたい。ただ、AQUAのモデルはほか4社のモデルに比べると、やはり価格面では頭ひとつ抜けて安い。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する縦型洗濯機(洗濯容量8kg)5選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年2月28日 時点のものです。

日立「ビートウォッシュ BW-V80H」

BW-V80H

価格.com最安価格:81,947円
発売日:2022年8月下旬発売
ユーザー評価:★4.60(7人)

価格.comでも長年人気の「ビートウォッシュ」最新モデル(洗濯容量8kg)。洗濯槽の底面に備わる独自の羽根型形状のパルセーター「ビートウィングX」で、押し洗い、たたき洗い、もみ洗いの効果をうながし、そこに洗剤液を循環させ大流量で洗う「ナイアガラシャワー」を組み合わせることで、他の追随を許さない高い洗浄力を発揮。すすぎでもたっぷりの水を循環させ、高速回転などで洗剤を残さないように徹底している。また、すすぎの後に洗濯槽を水道水で洗い流す「自動おそうじ」機能も搭載。洗濯物がからみにくい「ほぐし脱水」や、幅約38cmの広い投入口など使いやすさへの配慮も万全だ。

パナソニック「NA-FA8H1」

NA-FA8H1

価格.com最安価格:79,980円
発売日:2022年6月25日発売
ユーザー評価:★4.69(3人)

縦型洗濯機は一般的に手前に操作部を備えていることが多いが、パナソニックは大半のモデルが投入口の奥に設置しているため、洗濯物を投入しやすい。また、パナソニックと言えば、洗剤を泡立ててから投入することで洗浄力を高める「泡洗浄」が有名だが、もちろん本製品にも搭載。泡立てた洗剤液が素早く洗濯物全体に浸透し、強い水流を生み出す「パワフル立体水流」と3枚羽根のパルセーターで上下内外に洗濯物を動かすことで、高い洗浄力を実現している。すすぎをいちど行った後の2回目のすすぎの水を使い、洗濯のたびに槽をお手入れして黒カビの発生を抑える自動槽洗浄機能も搭載。

東芝「ZABOON AW-8DH2」

ZABOON AW-8DH2

価格.com最安価格:76,400円
発売日:2022年5月下旬発売
ユーザー評価:★4.02(5人)

洗剤成分を吸着したナノサイズの微細な泡が洗浄効果を高める、東芝独自の「抗菌ウルトラファインバブル洗浄」を採用した縦型洗濯機(洗濯容量8kg)。パルセーターと直結された、東芝ならではの高トルクなDDモーターが強力な水流を生み出し、洗濯物を立体的に動かすことで、ウルトラファインバブルを含んだ洗剤液が繊維のすき間に行き渡り、繊維の奥から汚れをしっかり洗浄する。複数回行われるすすぎの最終行程で、すすぎ水を使って洗濯槽の清潔性をキープする自動槽洗浄機能も搭載。なお、DDモーターによる静音性・低振動も魅力だ。

シャープ「ES-GV8G」

ES-GV8G

価格.com最安価格:85,600円
発売日:2022年9月発売
ユーザー評価:★4.00(2人)

シャープの縦型洗濯機は下位モデルの除くすべてのモデルに洗濯槽に穴のない「穴なし槽」を採用しているのが特徴。この穴なし槽は、一般的な縦型洗濯機でありがちな、内槽の裏側に洗剤汚れなどが付着し、カビの温床になるということが基本的にない。そういう意味では清潔性にすぐれた設計といえる。さらに、ムダな空間がないため、節水面でもメリットがあり、ひいては洗濯の時短にも寄与。最短10分で洗濯が完了する時短コースも搭載するなど、使いやすさにも定評がある。洗濯のたびに脱水の水を利用して槽の外側を洗い流す「自動槽洗い」も搭載。

AQUA「Prette AQW-VA8N」

Prette AQW-VA8N

価格.com最安価格:74,000円
発売日:2022年8月上旬発売
ユーザー評価:★-(-人)

旧三洋電機を母体とするAQUAの最新モデル(洗濯容量8kg)。最大の魅力はその安さで、本機は、最近流行りの液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能を搭載しながらも7万円台なかばで購入できるという高コスパを実現。価格は安いが、基本性能はしっかりしており、泡だった高濃度の洗剤液で汚れを浮かせ、立体水流で大きくかくはんしてもみ洗いする「スピンバブル洗浄」を採用。洗濯槽の自動洗浄機能も搭載する。洗濯中に中の状態がしっかり見えるガラストップも使いやすいという声が多い。なお、液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能を省いた「AQW-V8N」なら、6万円台半ばで購入可能だ。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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