水拭き、から拭き、吸引掃除を1台で行える吸引式床拭き掃除機「MIZUKI JC-M1A」(以下、MIZUKI)をハイアールが発表。同社が中国で発売していた製品をベースに日本向けに改良したもので、日本空港ビルディングに所属するカリスマ清掃員 新津春子さんの協力のもと、「体に負担のかかる水拭き掃除をもっと楽にしたい」という思いで開発したそうです。2023年5月11日発売予定の本製品を発表会で見て、体験してきました。
コードレススティック掃除機に拭き掃除機能を搭載した「MIZUKI」は、ヘッドの裏面にゴミを吸い取る吸込口とローラータイプのモップ「モップローラーブラシ」を装備。このモップローラーブラシを装着していないと使えない仕様なため、常に吸引と拭き掃除が同時に行われます。ただし、拭き掃除は「水拭き」と「から拭き」を使い分け可能。から拭き(吸引+から拭き)は掃除モードを「ドライ吸引」にして普通に掃除機がけすればOKですが、「水拭き」モード(吸引+水拭き)ではモップローラーブラシに水を供給するため、掃除モードを「水拭き」にする前に、本体にある給水タンクに水を補充しておく必要があります。
サイズは261(幅)×266(奥行)×1,116(高さ)mm。市場想定価格は39,800円前後(税込)で、ブラシなどを一緒に立て掛けられる充電スタンドが付属します
本体には、水を入れる「給水タンク」と吸い取ったゴミなどが溜まる「回収タンク」を搭載
給水タンクに水を入れる際は、取り外して補充します。水だけでなく、60度以下のぬるま湯や洗剤(竹洗剤、中性床洗剤など)を入れてもOK。ただし、泡の立つ洗剤は使用禁止なので、注意しましょう
ヘッド裏には500回転/分の速さで回転するモップローラーブラシと、その奥に吸込口を装備
中国の家屋に使用される床面の素材は石が多いそうなのですが、日本の場合は、フローリング、畳、カーペットなどさまざま。そのため、モップローラーブラシ装着部に金属のバーを配置し、ブラシの水分を絞り出す効果を生み出すことで、モップローラーブラシに含まれる水分が少なくなるようにしているそう。これが、日本向けに改良されたポイントです
掃除モードは、ハンドルにあるボタンで切り替えます。操作部には電源ボタンと、吸引力の強さを「標準(AUTO)」と「パワー」の2段階で選べるボタンも装備。選択中のモードやバッテリー残量は本体天面のパネルで確認できます。連続使用時間は「標準(AUTO)」モードで約32分、「パワー」モードで約17分
本体重量は4kgとコードレススティック掃除機としては重めですが、床に付着した汚れはある程度力を入れて拭き上げないと取れないため、「MIZUKI」は掃除機全体の重量で圧力かけることで、人の手で行う雑巾がけと同じような拭き取り効果を発揮します。
ヘッド後方に車輪が付いているので、ヘッドを持ち上げて車輪で転がすと楽に移動できます
「MIZUKI」の掃除力を試してみましょう。まずは、ドライ吸引モードを検証。何度も同じところを掃除機がけしなくても、畳に撒いたゴミはワンストロークでほぼ吸い取れました(下の動画参照)。掃除機本体の重量は比較的重めですが、ヘッドは自走式なので、実際に動かしてみると苦労することなくスムーズに動かせます。
さらに、細かい粒子のゴミをカーペットタイルに撒いてドライ吸引モードで掃除してみたところ、下の動画のように前進させるだけでキレイに吸い取れました。取り残しはまったくありません。
次は、水拭きモードを試します。「MIZUKI」は水拭きと同時に吸引も行うため、床に付着した汚れを拭き上げるだけでなく、こぼしてしまった飲み物(液体)を吸い取ることも可能。水拭きモードは、給水タンクからモップローラーブラシに30ml/分のキレイな水を常に供給しながら拭き上げますが、それと同時にブラシに含まれた水分を吸引しているので、モップローラーブラシは清潔に保てるそうです。
牛乳、オレンジジュース、ケチャップを撒いたフローリングを水拭きモードで掃除します(下の動画参照)
牛乳やオレンジジュースのようなしゃばしゃばした液体もケチャップも、スーッと動かすだけでキレイに。モップローラーブラシに含まれた汚れで、逆に汚れを広げてしまうのではないかと心配していましたが、こってりしたケチャップを拭き上げた後にヘッドを後方に動かしてみても、そうした汚れの再付着は起こりませんでした。床上の汚れを吸い取るとともに、モップローラーブラシに含まれた汚れも吸引されているのは間違いないようです。
水拭きした後のフローリング。見た目には濡れた感じはありませんが、触るとほんのり湿っていました
最後に、皮脂汚れにみたてたフットクリームを付着させたフローリングを掃除してみましょう。給水タンクには洗剤も入れられるので、対応している洗剤を入れて水拭きモードで掃除してみると、下の動画のようにスルッと汚れが取れました。ねっとりとしたフットクリームでしたが、掃除後のフローリングはサラサラ!
「MIZUKI」で掃除できる床材は、フローリング、石タイル、塩ビ床(塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル)、カーペットタイル、畳(から拭きのみ)。室内用なのでベランダなどでは使用できませんが、玄関のタタキなどでも使えますし、浴室の床に残った水滴を拭き取りたいときにも役立ちます。一般的な掃除機のように奥に入り込んだゴミを掻き出して吸い上げる構造ではないため、毛足の長いカーペット類の掃除には向きません。また、今回試した限りでは、カーペットタイルに染み込んで乾いてしまった液体は水拭きモードでも落ちませんでした。
なお、モップローラーブラシは交換用のものが1つ付属するので、水拭きモードの後にブラシを交換し、ドライ吸引モードで続けて掃除することもできます。
掃除後は、回収タンクに溜まったゴミを捨てます。ドライ吸引の場合、集じんしたゴミは濡れていないので都度ゴミ捨てしなくても大丈夫ですが、水拭きモードで掃除した後は、汚水が溜まるので毎回お手入れしたほうがいいでしょう。モップローラーブラシも取り外して水洗いできます。
水拭きモードで掃除した後の回収タンクには汚水と、吸い取ったゴミが溜まります
このほか、モップローラーブラシを自動でキレイにする「セルフクリーニングモード」も搭載しています。回収タンクを空にし、給水タンクに水を入れた状態で充電スタンドにセットして掃除機のハンドル部にあるボタンを押すと、ブラシにキレイな水が供給されるとともにモップローラーブラシが回転。クリーニングが約90秒実行されます。その後、自動で風乾燥がスタート。乾燥が完了するまで約4時間かかりますが、その間も本体への充電は行われます。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約4時間かかるとのことなので、充電と同じタイミングでセルフクリーニングするのがよさそう。なお、風乾燥機能はオフにすることもできます。
充電スタンドにセットしてからハンドル部の「セルフクリーニング」ボタンを押して、セルフクリーニングをスタート。セルフクリーニング中だけでなく、風乾燥中も全面を乾かすためモップローラーブラシは回転します(風乾燥中は5分ごとに回転)
家電流通専門誌で白物家電と家電量販店と流通に関する取材・執筆・編集を担当。趣味は料理、旅行、舞台鑑賞、米国ドラマ視聴など。クラシック音楽の”現代音楽ファン”というと変人扱いされることが悩み。