長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第15回は、これからの夏の必需品とも言える「扇風機」「サーキュレーター」の最新トレンドについて解説する。
【図1】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年間)
夏になると一気にアクセスが増加する季節家電の代表格に「扇風機」や「サーキュレーター」がある。図1は、価格.comの「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの過去2年間における閲覧者数推移を示したものだが、これを見ればわかるように、毎年5〜8月くらいの時期に需要が一気に高まり、それ以外の時期にはほとんど動かないのが、このカテゴリーだ。最近では、冬の暖房時にもサーキュレーターを併用して、室内の空気をかくはんさせたり、ダイソンの一部製品のように、扇風機+ヒーター、あるいは扇風機+空気清浄機といった機能を組み合わせることで1年中使えるようにした製品も存在するが、それでもなお、このカテゴリーは5〜8月の夏季に需要が集中していることに変わりはない。なお、価格.comのカテゴリー種別では、暖房機能を持った製品は「ヒーター・ストーブ」カテゴリーに、空気清浄機能を持った製品は「空気清浄機」カテゴリーに分類しているので、その点はご注意いただきたい。
【図2】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3か月)
「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの直近の閲覧者数推移を詳しく見たのが図2だ。これを見ると、今年の場合、4月後半からアクセスが増加し始め、5月のゴールデンウィーク中に若干動きが大きくなり、5月半ばくらいから本格的にアクセスが増加していることがわかる。この動きは気温の上昇と密接に関係しており、東京の気温を例に取ると、4月20日〜21日に最高気温が26度を超え、その後は5月5日〜6日にやはり26〜27度を超えている。5月17日〜18日には30度を超える夏日を観測しており、このグラフの動きとほぼ連動していると見ることができる。こうした傾向は例年同様に見られることから、気温の上昇が比較的早く訪れた年は、扇風機やサーキュレーターの需要も上がりやすく、そうでない年は上がりにくいということが如実にわかる。
【図3】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの主要メーカー別閲覧者数推移(過去1年)
価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーにおける人気メーカー5社をピックアップすると、上から、アイリスオーヤマ、YAMAZEN(山善)、シャープ、日立、ダイソンといった形となる(図3)。ただし、アイリスオーヤマとYAMAZENについては、サーキュレーター製品も数多くラインアップしているのと、ダイソンについては上述のようなカテゴリー分類の問題もあるので、こと扇風機の閲覧者数に限って言えば、この5メーカーの間に差はほとんどないと思われる。
【図4】扇風機の直近人気製品ベスト5の閲覧者数推移(過去1か月)
【図5】サーキュレーターの直近人気製品ベスト5の閲覧者数推移(過去1か月)
なお、全体での直近における扇風機の人気ベスト5製品を見ると(図4)、シャープの「PJ-P2DS-W」がダントツの人気。やや離される形で、ダイソン「Dyson Pure Cool Link タワーファン TP03WS」、シャープ「PJ-P3AS」、日立「HEF-DL300E」、C:NET「CFDF307WH」が2位グループという状況だ。サーキュレーターに限定すると(図5)、実に4製品がアイリスオーヤマの製品で占められており、1製品のみYAMAZENが入っているという状況となる。扇風機については、さまざまなメーカーの製品が比較的ダンゴ状態で売れ筋を競っているのに対し、サーキュレーターでは、アイリスオーヤマの強さが目立つ結果となっている。
【図6】扇風機の直近人気製品ベスト5の最安価格推移(過去1か月)
ちなみに、扇風機の人気ベスト5製品の最安価格推移を見てみると(図6)、同じ扇風機のカテゴリーとはいえ、かなりの価格差があることがわかる。安いものは、6,000〜7,000円台で、その上に15,000〜20,000円くらいの製品があり、いちばん高いものになると30,000円前後というものまである。このように、一概に扇風機の人気製品と言っても、実に多様化していることがわかる。なお、扇風機のおよその価格帯と性能をまとめると、以下のように分類できる。
・最安価格:およそ4,000〜10,000円
・従来型の扇風機で、交流型モーター(ACモーター)を採用する製品。
・構造がシンプルなので価格が安い。風はややムラがあり、弱風設定が不得意。
・安価格:およそ13,000〜25,000円
・比較的最近増えてきた直流型モーター(DCモーター)を採用する製品。
・モーターのトルクが太く、弱風でもゆらぎの少ない自然な風を再現できる。
・最安価格:およそ25,000円以上
・ダイソンの「羽根のない扇風機」に代表される高機能モデル。
・DCモーターを採用し、遠くまで風を届けられるのが特徴。
図6で見たように、価格.comでは、いずれのタイプも人気があり、使用するシチュエーションや予算で選べばよさそうだ。とにかく安く抑えたいのであれば、(1)のACモーター採用モデルを、就寝時などに使いたい場合は音が静かな(2)のDCモーター採用モデルを選ぶとよいだろう。また、ダイソンに代表される高機能モデルは、リビングなど比較的大きな部屋で使うのに向いている。
※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年6月7日 時点のものです
価格.com最安価格:14,889円
発売日:2022年4月発売
ユーザー評価:★3.96(5人)
DCモーターを採用するうえ、シャープ独自のアホウドリの翼を応用したという、細く長い羽根「ネイチャーウイング」とも相まって、自然なゆらぎのやさしい微風から、強く直進性の高い強風まで、8段階の風を再現する。上下100度、左右90度に首を振る「3Dターン」にも対応しており、部屋の空気をかくはんするサーキュレーターとしても利用可能。さらに、シャープならではの「プラズマクラスター7000」の放出機能も備えており、浮遊するカビ菌の除菌や部屋干しなどの消臭効果も期待できる。就寝時など、表示部分の明るさを抑える「おやすみモード」付き。リモコン付属。昨年発売の旧モデルだが、最新モデル「PJ-R2DS-W」と比べると、1万円程度の価格差がありお買い得。
価格.com最安価格:16,900円
発売日:2023年4月発売
ユーザー評価:★4.40(4人)
DCモーター採用モデルを多く展開する日立の最新モデル。DCモーターと8枚羽根を採用し、「うちわであおいだような自然な風」を実現すると言われるように、自然で穏やかな微風をはじめ、6段階の風を再現する。就寝時など、表示部分の明るさを抑える「減灯&消音モード」付き。リモコン付属。最新モデルとしては価格も安く、お買い得感がある。
価格.com最安価格:6,219円
発売日:2022年4月中旬発売
ユーザー評価:★4.29(3人)
DCモーター採用ながら、6,000円台から購入できる高コスパモデル。30cm経の9枚羽根を備え、静かでやさしい風を実現する。微風から強風まで6段階の風量調節が行え、リズムモード、調光モード、オン/オフタイマーなど必要な機能はおよそ搭載。操作部は取り外してリモコンとしても利用可能だ。首振りは左右約75度。
価格.com最安価格:7,139円
発売日:2022年6月9日発売
ユーザー評価:★4.51(10人)
こちらもDCモーター採用ながら、7,000円台から購入できるYAMAZENの高コスパモデル。30cm経の7枚羽根を備え、静かでやさしい微風から強風まで9段階の風量調節が可能。リズムモード、おやすみモード、オン/オフタイマーなど必要な機能はおよそ搭載。首を上方向90度に曲げることもでき、サーキュレーター代わりにも利用できる。リモコン付属。
価格.com最安価格:10,170円
発売日:2021年4月発売
ユーザー評価:★4.27(7人)
数多くのサーキュレーターを展開するアイリスオーヤマのベストセラーモデル。2021年の発売ながら、今でも価格.com上ではいちばんの人気を誇る。コンパクトなボディにDCモーターを搭載し、直進性が高く到達距離25mの「スパイラル気流」を実現。適用畳数は20畳。パワフルなのに静音性にすぐれており、風量モードは8段階用意され、1〜5までのモードで35dB以下の静音性を誇る。左右120度、上下60度の首振りが可能。リモコン付き。
価格.com最安価格:10,451円
発売日:2022年発売
ユーザー評価:★4.36(5人)
その名のとおり、分解が簡単でさっと水洗いできるサーキュレーター。羽根などにホコリが付着しやすいサーキュレーターとしてはありがたい設計だ。DCモーターと15cm経の3枚羽根を採用し、コンパクトボディながら、静かでパワフルな風を再現する。適用畳数は18畳で、風量は5段階に設定可能。左右上下75度の首振りが可能だ。リモコン付き。
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価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。