真空の泡が弾けるパワーで衣類などの部分汚れを洗浄する、シャープ「超音波ウォッシャー」に新モデル「UW-X1」が登場。使い勝手はそのままに、汚れを短時間で落とせるようになり、従来モデルではできなかった衣料用漂白剤を使った洗浄にも対応しました。そんな新モデルの進化点と、実際に試した汚れ落ちの実力を紹介します。
洗濯機で洗うだけでは落ちにくい食べ物や飲み物などの汚れは、手で揉んだり、ブラシで擦って予洗いしますが、それでもなかなか汚れは落ちず、揉んだり擦ったことで布が伸びたり傷んだりしたり、手が荒れることがあります。そのような問題を解消するために2016年に誕生したのが、部分洗いアイテム「超音波ウォッシャー」。毎秒約38,000回の超音波振動が水の中に微細な泡を発生させ、その泡が繊維のすき間に入り込み、真空の泡が弾けるパワーで汚れを弾き飛ばします。ケチャップ、コーヒー、ワインなどの食べ物や飲み物の汚れだけでなく、皮脂汚れや手垢、ファンデーションや口紅などの化粧汚れ、絵の具やペンなどの汚れ、泥汚れ、黒ずみといった幅広い汚れに効果を発揮。しかも、布製の鞄や靴、ダウンジャケットなど洗濯機で洗いにくいものも「超音波ウォッシャー」で洗浄できます。そして、短時間で汚れが落とせるうえに布傷みが起こりにくく、操作が簡単で作業工数も少ないのもポイント。汚れを落としたい衣類を水に浸し、汚れを落としたい部分に「超音波ウォッシャー」の先端を当ててなぞり、最後に衣類を水でサッとすすぐだけで洗浄が完了します。この仕組みや使い方は、新モデルでも変わりません。外観やサイズもほぼ前モデルと同じです。
ロゴの入り方が違いますが、前モデル「UW-A2」と新モデル「UW-X1」の見た目は同じ。サイズはどちらも40(幅)×40(奥行)×168(高さ)mmです。なお、新モデルはカラーがシルバー系の1色展開になりました。市場想定価格は22,000円前後(税込)で、2023年7月14日発売予定
キャップを外すと現れる金属の部分「超音波ホーン」から約38kHzの超音波が出ます
衣類が軽く浸かるくらい水を溜めて衣類を浸し、電源をオンにして汚れた部分に超音波ホーンを当ててなぞると汚れが落ちます
超音波ホーンから出た超音波で毎秒約38,000回の超音波振動が起こり、水中に真空の泡が発生。この泡が衣類の繊維のすき間に入り、破裂する力で汚れが弾き出されます
「超音波ウォッシャー」で洗浄するには水が必要ですが、水に浸すことができないものの場合、蛇口から水を流しながら洗浄したり、霧吹きで水をかけて洗浄することも可能(布製のソファなどの汚れを落とす場合は、霧吹きで水をかけて「超音波ウォッシャー」で洗浄し、乾いたタオルで叩いて汚れを確認。再度、水を吹きかけて洗浄するという作業を繰り返します)。ただし、水に浸して洗浄したほうが落とした汚れの再付着が防げるので、浸せるものは通常の使い方で洗浄するほうがいいでしょう
基本的な構造は前モデルと同じですが、新モデルは、衣類洗浄に適した周波数「1秒間に約38,000回」を保持したまま出力をアップさせたことで洗浄のパワーが高まり、前モデルと比べ汚れ落ちスピードが約25%向上。下の動画は、前モデルと新モデルの超音波振動の比較ですが、新モデルのほうが水面に立つしぶきや波が大きく、超音波振動のパワーが増したことがわかります。
汚れ落ちスピードが向上したことで、前モデルでは約60秒かかっていたワイシャツの襟汚れは約45秒で洗浄できるようになったとのこと。実際に、3日間着用したワイシャツの襟元に付いた皮脂汚れを新モデルで落としてみたところ、30秒ちょっとでキレイになりました(下の動画参照)。
襟元に付いていた黒い皮脂汚れが、30秒強の洗浄でキレイに!
「超音波ウォッシャー」は水だけで洗浄できますが、ぬるま湯を使ったり、衣料用液体洗剤を汚れた部分に塗布して洗浄するとより汚れが落としやすくなります。ただ、それでも汚れが付いてから長時間経ってしまった食べこぼしや色落ちしにくい口紅、衣類の黄ばみなどは落としづらかったそう。そこで、そうした汚れも落とせるように、新モデルは超音波ホーンに強化アルマイト加工を施し、表面の被膜の厚みを従来モデルの2倍にアップして耐久性を向上させることで衣料用漂白剤(酸素系)と併用できるようにしました。
若干、新モデルのほうが超音波ホーンの色が濃くなったように見えますが、サイズは同じ。摩耗を防ぐためにアルミの表面を人工的に厚くする強化アルマイト加工が施されているか、いないかが違います
強化アルマイト加工をしたうえで毎秒約38,000回の超音波振動を維持できるように、内部構造を微調整しているとのこと。そのため、本体重量(キャップ除く)は前モデルより6g増した約206gになりましたが、使い勝手に影響はありません
衣料用漂白剤を使用する際は、酸素系を用意。塩素系の使用は禁止されています。汚れを落としたい部分に衣料用漂白剤(酸素系)を塗布し、1分ほど放置
1分経過したら40度のぬるま湯に衣類を浸し、「超音波ウォッシャー」で洗浄します
写真では見にくいのですが、ワイシャツの襟にできた黄ばみも衣料用漂白剤を併用した「超音波ウォッシャー」でキレイになります
色落ちしにくい口紅(ティントリップ)、汚れが付いてから24時間経過したコーヒーやミートソースも「超音波ウォッシャー」+衣料用漂白剤で落とせるそう
ここまでメーカーが用意した展示物と実演を見てきましたが、筆者は疑り深いので自分で使わないと実力が信じられません。ということで、「超音波ウォッシャー」の新モデルを価格.comマガジン編集部に持ち帰って検証しました。
カレーが付いてしまった子ども用の前掛けを洗浄。カレーが付いてから8時間経過した汚れなので、衣料用漂白剤を使用します
カレーの汚れは1〜2往復くらいでほぼ落とせました。少し黒ずんでいた白地の部分もクリアな白色になったような気がします
襟元が黄ばんだTシャツがあったので、衣料用漂白剤を併用して洗浄してみたところ……
首の後ろ側が当たる部分しか洗浄していませんが、「超音波ウォッシャー」で洗浄した部分は黄ばみが薄くなりました。真っ白というまでにはなっていませんが、もう少し長く洗浄すればもっと白くなると思います
写真だとわかりづらいですが、襟元の黄ばみは洗浄している最中に白くなっていくことが視認できました。「超音波ウォッシャー」を使えば、衣料用漂白剤を使うときに30分以上浸け置きしなくてもいいですし、手袋も不要。短時間で汚れが落とせるだけでなく、汚れが落ちていく様子が見えるので楽しく洗浄できるのも「超音波ウォッシャー」のいいところだと思います。
ちなみに、汚れの種類によっては衣料用漂白剤を使わなくても落とせました。
汚れを付けてから22時間経過したワイシャツ。汚れの種類は、上からソース、ラー油、ファンデーションです。汚れた部分に衣料用液体洗剤を塗布し、常温の水に浸して洗浄してみたところ、下の動画のように「超音波ウォッシャー」でなぞった部分の汚れが消えていきました
同じ汚れを反対側の前身頃に付けておいたので、そちら側は何もせずに洗濯機で洗ってみました。すると、「超音波ウォッシャー」を使っていないほうには落とし切れていない汚れが! 長時間放置したラー油とファンデーションの汚れは洗濯機の洗いだけでは落とし切れないようです。ソースの汚れは結構落ちましたが、それでも薄らと茶色い染みが……。「超音波ウォッシャー」を使ったのは数十秒。それだけで洗い上がりに差が出るのですから、「超音波ウォッシャー」で部分洗いしておくほうが断然効率がいい!
そして、充電の仕様も変わりました。従来モデルは本体にケーブルを挿して充電するスタイルでしたが、新モデルは無接点充電に対応。ケーブルの抜き差しの作業がなくなり、使いたいときにパッと手に取ることができ、使用後もサッと元に戻せます。
新モデルはスタンドに置くだけなので、充電中もすっきりとした印象。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約5時間かかります
無接点充電になり、使い勝手もよくなりました
充電時間は変わりませんが、新モデルは出力がアップしたことで消費電力が7Wから10Wになりました。そのため、満充電の状態から使用できる時間は前モデルの半分となる約15分に。汚れ落ちスピードが約25%向上していますが、使用できる時間が短くなったのは気になるポイントです。「超音波ウォッシャー」は部分汚れを落とすためのアイテムなのでこのくらいの稼働時間で十分なのかもしれませんが、落としたい汚れや衣類が複数あると時間が気になりそう。実際、使ってみると、楽に汚れが落ちるうえ、汚れを落としているのが気持ちよくてあれもこれも洗浄したくなります。電源コード付きのタイプがラインアップに加わってほしい!
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。