価格.com 家電トレンド研究所

今夏の冷蔵庫は「型落ち」よりも「最新モデル」がお得!? 15万円前後の500Lクラスが売れるワケ

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第18回は、初夏にかけて盛り上がりを見せる大型冷蔵庫の最新トレンドについて解説する。

夏になると冷蔵庫が売れる。その理由は、故障しやすくなるから

【図1】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年)

【図1】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年)

本格的な夏が近づき、気温が高くなってくるにしたがって売れ行きが伸びる家電製品の1つが「冷蔵庫」だ。価格.comの「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーの過去2年間の閲覧者数推移(図1)を見ても、例年いちばんのピークは6〜8月の夏季に来ており、気温の上昇と密接な関係があることがうかがえる。なお、2番目のピークは、2〜3月の年度末に向けた期間となるが、こちらは以前の記事でも紹介したように、新生活向けの製品がメインで動く。これに対し、夏季のピークは、冷蔵庫の故障や不調にともなって買い替えることが多い。というのも、1年365日24時間稼働し続けている冷蔵庫は、家電製品の中でも最も通電時間の長い製品であり、それだけ酷使されている。特に気温が上がる夏は、その心臓部であるコンプレッサーにより高い負荷がかかるため、コンプレッサーが故障したり不調になったりしやすい。この時期、冷蔵庫が故障しやすいのには、そうした理由があるのである。

ちなみに、上記の理由から、数ある家電製品の中でも年間の消費電力が最も大きいのは冷蔵庫だ。昨今、電気料金の値上がりにともなって、省エネ意識が高まってきているが、家電製品の省エネ化を考えるのであれば、冷蔵庫の年式や使い方に気を配ったほうがよい。もしすでに冷蔵庫を10年以上使い続けているのであれば、最新のものに買い替えるだけでも、消費電力はかなり下げられる。また、長期間使い続けることで、上記のコンプレッサーの性能が衰えて、故障する確率も高くなる。急に冷蔵庫が冷えなくなり、中の食材がすべてダメになったという話はよく聞くが、そうならないうちに買い替えるのが賢明だと言えるだろう。

【図2】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移(過去2年)

【図2】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移(過去2年)

では、価格.com上では、どんなメーカーの冷蔵庫が人気なのだろうか。図2は、価格.comの「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数(過去2年)を示したものだが、これを見ると2年前ほどから、三菱電機の人気が高まっており、今では他社を引き離して1位となっている。この理由については、以前の記事で紹介したのでここでは割愛するが、三菱電機のブランド力はかなり確立されている印象だ。なお、トップの三菱電機から少し離された2位グループは、パナソニック、日立、東芝、AQUAの4メーカー。このうち、パナソニック、日立、東芝に関しては、2年前は三菱電機と並んで人気を争っていたが、今はやや人気を下げている印象だ。

人気の庫内容量は500L前後。価格は13万〜17万円台が人気の中心

冷蔵庫選びの際にまず重要になるのは、設置サイズと庫内容量である。庫内容量は大きいほうが何かと便利だが、庫内容量が大きくなるのに比例して、ボディサイズは大きくなる。広いキッチンを持つ家なら問題ないが、マンションなどの限られたキッチン空間では、置けるサイズがより重要になってくる。キッチンに無理なく置けるサイズで、なるべく大きな庫内容量を求めるのは自然なことだが、現実的なラインとしては、庫内容量500〜600Lというのがひとつの目安になるだろう。

なお、現在、都市部のマンションのキッチンなどで想定されている冷蔵庫置き場のサイズは幅が70cm程度のことが多く、ここに無理なく(多少の隙間を空けながら)冷蔵庫を設置するとなると、65cmという横幅がほぼ限度いっぱいということになる。この幅65cmというのが、日本の冷蔵庫設計のひとつの基準となっており、各メーカーとも幅65cmでなるべく庫内容量を増やそうと努力を重ねている。その結果、庫内容量500L前後というのが、庫内容量とボディサイズの両方でちょうどよいラインになっており、これがこのクラスの製品の人気を高めている大きな理由となっている。

【図3】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気製品の庫内容量区分

【図3】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気製品の庫内容量区分

価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける売れ筋製品のスペック区分(図3)を見ると、「400〜500L」と「500L〜」の2つの区分がそれぞれ4分の1程度の割合で、この2つを合わせると全体の半数を超える。このことからも、今の冷蔵庫の売れ筋は、500Lを基準にその前後の庫内容量が中心になっていることがわかる。ちなみに、売れ筋ランキング(2023年7月14日時点)を見ると、ベスト10中の8製品が500L前後(458〜540L)の庫内容量となっており、人気の中心がこのクラスの製品で占められている。なお、これら製品の最安価格の中間値を取ると13万〜17万円台となっており、予算としては15万円を挟んだプラスマイナス2万円程度というのが、ひとつの目安になりそうだ。

2023年夏は、機能を絞った割安感のあるスタンダードモデルが人気

というわけで、大型冷蔵庫の狙い目は、庫内容量が500L前後で、価格としては13万〜17万円程度ということがわかってきたが、いわゆる新製品の場合、ここまで安く購入できるケースは少ない。そうなると、どうしても昨年の夏以前に発売された型落ちモデルに目が行くが、今年2023年夏の場合は、その公式が当てはまらなそうなケースが散見される。

【図4】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気モデル5製品(庫内容量500L前後)の閲覧者数推移(過去3か月)

【図4】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気モデル5製品(庫内容量500L前後)の閲覧者数推移(過去3か月)

【図5】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気モデル5製品(庫内容量500L前後)の最安価格推移(過去3か月)

【図5】価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気モデル5製品(庫内容量500L前後)の最安価格推移(過去3か月)

図4は、価格.com「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリーにおける人気モデル5製品(庫内容量500L前後)の閲覧者数推移を示したものだが、この5モデル中型落ちモデルは、三菱電機「置けるスマート大容量 WXシリーズ MR-WX52H」のみで、あとの4モデルはすべて2023年になってから発売された最新モデルである。こうした例は珍しい。ちなみに、この5モデルの最安価格推移を示したのが図5であるが、これを見ると、最新モデルではあっても、価格的にはかなり下がっていることがわかる。さすがに庫内容量が540Lにもなる日立「R-H54T(S)」だけは20万円レベルだが、そのほかのモデルは、まさに上で見た13万〜17万円のレンジで購入可能だ。このように、今年の夏商戦では、最新モデルでありながらも、価格的にはかなり購入しやすいモデルが軒並み人気となっている。

しかし、これらの製品は最新モデルでありながらも、どうしてここまで価格を下げられるのか。それは、これらのモデルがある程度機能を絞ったスタンダードモデルであるからだ。ただ、スタンダードモデルと言っても、基本機能や基本性能面は上位モデルとあまり変わらないというのがミソ。各メーカーで人気の機能はしっかり押さえつつも、プラスアルファ的な機能を非搭載とすることで、価格を抑えている製品がほとんどなのだ。

例をあげると、現時点で売れ筋1位の三菱電機「MR-R46J」は、庫内容量462Lのスタンダードモデルだが、三菱電機の冷蔵庫で人気の「切れちゃう瞬冷凍」や「2段チルド」などの機能はしっかり備えている。確かに上位の「MZシリーズ」などのモデルと比べると、瞬間冷凍の機能が最新の「切れちゃう瞬冷凍A.I.」でなかったり、「熱いまま瞬冷凍」に対応していなかったり、チルドルームが「氷点下ストッカーD A.I.」に対応していなかったりなどの違いはある。しかし、同クラスの上位モデル「MR-MZ49J」の最安価格が233,000円なのに対して、「MR-R46J」は133,980円(いずれも2023年7月18日時点)と、その価格差は10万円近くにまで達することを考えると、これらの機能にそこまでの価値を感じないのであれば、「MR-R46J」はかなりのお買い得製品ということになるだろう。

同様に、必要機能を絞り込むことで価格を下げたスタンダードモデルが、各メーカーとも今夏は人気となっている。何かと物価の高騰が気になる昨今、こうした細かい機能のありなしをメーカーサイトなどでよく確認し、コストパフォーマンスをしっかり吟味したうえで冷蔵庫を選ぶ人が増えているとも言えそうだ。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する高コスパ冷蔵庫(庫内容量500L前後)、4選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年7月18日 時点のものです。

三菱電機「MR-R46J」

MR-R46J

価格.com最安価格:133,980円
発売日:2023年2月24日発売
ユーザー評価:★4.55(4人)
庫内容量:462L

価格.comでも人気の三菱電機の冷蔵庫製品ではスタンダードモデルに当たる「Rシリーズ」の最新モデル。庫内容量462Lというファミリーでも十分な大容量の6ドアモデルながら、13万円台から購入できる高コスパが光る。機能的にはある程度絞られているものの、同社製品で人気の「切れちゃう瞬冷凍」や「2段チルド」などの機能はしっかり備えており、上位モデルに搭載されるAIによる温度管理機能などはないが、その分、価格はかなり低価格に抑えられており、同クラスの上位モデル「MR-MZ49J」と比べると、その価格差は約10万円にもなる。なお、野菜室については、潤いを与える「朝どれ野菜室」ではないので、その点は注意。年間消費電力量は359kWh/年。

東芝「VEGETA GR-V460FH」

VEGETA GR-V460FH

価格.com最安価格:154,800円
発売日:2023年4月下旬発売
ユーザー評価:★4.00(1人)
庫内容量:462L

東芝「VEGETA」の大容量スタンダードモデル「FHシリーズ」のボトムを担う製品。庫内容量462Lというファミリーでも十分な大容量の6ドアモデルで、まだ発売から3か月弱という最新モデルながら、15万円台で購入可能という高コスパだ。スタンダードモデルではあるが、東芝「VEGETA」シリーズの特徴である「新鮮 摘みたて野菜室」を庫内真ん中に備えるほか、潤いのある冷気で冷やす「うるおい冷蔵室」や、2段式の「速鮮チルド&解凍モード」を搭載するなど、人気の高い機能はしっかり対応している。上位モデルに搭載される「もっと潤う 摘みたて野菜室」や「氷結晶チルド」などの機能は搭載しないが、上位モデル「GR-V450GT」との価格差は約8万円もあり、お買い得。年間消費電力量は264kWh/年で、省エネ性も高い。

パナソニック「NR-F509EX」

NR-F509EX

価格.com最安価格:159,133円
発売日:2023年5月下旬発売
ユーザー評価:★-(0人)
庫内容量:501L

パナソニックの庫内容量500Lクラスの冷蔵庫としては破格とも言える、15万円台の最安価格を付けた新モデル。同社の冷蔵庫では人気の「微凍結パーシャル」「シャキシャキ野菜室」「ナノイーX」などの機能を搭載した6ドアモデルとなっている。上位モデルである「NR-F539HPX」との主な機能差は、クーリングアシストルームを使った「はやうま冷凍」や、「うまもり保存」、無線LAN機能の有無と、野菜室が「Wシャキシャキ野菜室」になっている点など。もちろんドアの材質や庫内容量も異なるが、それでも最安価格の価格差が12万円以上あることを考えると、相当にお買い得と言える。年間消費電力量は279kWh/年で、省エネ性も高い。

日立「R-H54T(S)」

R-H54T(S)

価格.com最安価格:195,813円
発売日:2023年2月上旬発売
ユーザー評価:★5.00(1人)
庫内容量:540L

ボディの幅を65cmに抑えつつも540Lというワンランク上の大容量を実現。しかも最新モデルでありながら20万円を切る最安価格を付けているお買い得モデル。冷蔵室をまるごとチルドルーム化できる日立の人気機能「まるごとチルド」を採用し、ラップなしでも料理や食品を冷蔵保存できる。このほか、約-1度で凍らせずに、肉や魚を保存できる「特鮮氷温ルーム」や、冷気を直接当てずに野菜の鮮度を守る「うるおい野菜室」などの人気機能をしっかり搭載。上位モデルに搭載される「デリシャス冷凍」や「新鮮スリープ野菜室」などには非対応だが、こうした機能がほしい人はワンランク上の「R-HWC54T」も約22万円から購入できるので、こちらもお買い得。なお、年間消費電力量は295kWh/年で、このクラスでは省エネ性も高い。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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