食器洗い機(食洗機)が少しずつ普及している。ここでは、使用歴20年、使用機種数累計4台、修理歴6回の筆者が、長く使う家電製品という視点で食器洗い機に迫った。
長く使う家電品という視点で、食器洗い機の使い方や製品選びの注意点をまとめていきたい
まず、筆者の食器洗い機の利用歴を簡単に紹介しよう。
筆者「田中巧」の食器洗い機の購入・修理歴
・某国内メーカーの卓上型の中古品を1年ほど使ったが引っ越しを機に手放した(型番失念)。
・東芝のOEMである無印良品の卓上型食器洗い機「M-D32A」を7年間使用。その間にノズルを1回交換。不意に停止するなど挙動があやしくなったころに引っ越しが重なり処分。
・パナソニックの60cm幅のビルトイン型食器洗い機「NP-P60V1PKPK」を13年使用。使用期間が10年を超えたあたりから1年に数回、合計5回修理する(排水ホースの寿命による交換、センサーの交換、ブレードの交換、リレーの交換、制御基板やボタン周りのアッセンブリー交換を行う)。最終的に漏電が発生して処分を決断。修理費は合計15万円以上で、買い替えくらいの費用がかかった。
・現在、パナソニックの「NP-60MS8W」を使用して現在4か月目。
そんな筆者が言える食器洗い機への心構えは5点あるので、ひとつずつ解説したい。
食器洗い機を導入する場合、洗浄力とか収納数、サイズや設置性、価格などが注目される。これらは確かにいずれも大切な要素だ。しかし、可動部分が多いうえに水回りでかなりの長期間使うという性質から、故障はいずれ起こると考えたほうがよく、使い続けるほどに修理のしやすさや故障への対応と言ったサポートの重要性が浮上してくる。
一般に、食器洗い機の寿命は卓上型なら6〜7年、ビルトイン型は10年と言われる。筆者の使った卓上型はちょうど7年使用、ビルトイン型は13年で買い替えており、初期不良やいわゆるハズレ品に出会わない限り、上記の寿命にはそれなりに説得力があるように感じられた。
卓上型とビルトイン型両方を経験した筆者だが、故障に対する考え方はそれぞれ少し違う。卓上型は、自分で製品を入れ替えることも、自分でサービスセンターに持ち込める可能性がある。近ごろ人気のタンク式なら交換の手間はさらに下がるだろう。いっぽうで、ビルトイン型は、何か起こったら出張修理が前提になる。場所を取らずたくさん収納できる利点はあるが、修理には出張料もかかるので決して安くはないのが現実。時間が経つほどにお金がかかる。卓上型のほうが総じて負担は少ないと言えるかもしれない。
ビルトイン型の場合、近ごろはメーカーで延長保証を用意していることが多い。長く使うなら、こうした延長保証は魅力だ。ただし、手厚い延長保証は費用も高価で、修理のたびにお金を払ったほうがお得になることは十分考えられる。
ビルトイン型を対象にした有償の延長保証を用意しているメーカーもあり、なかには10年の保証が可能なものもある。また、設置業者・修理業者が独自に保証を用意している場合もある
いずれは修理が必要なら修理体制はとても大切な要素になる。そのため、家からそれほど離れていない場所に修理窓口があるかは購入前に確認したほうがよいだろう。この点、大手の国内メーカーは長い時間をかけて全国にサービス網を用意しているのであまり問題はない。そのいっぽうで、歴史が浅いメーカーの場合、保証の内容や保証終了後から製品の寿命となる6〜7年の期間(卓上型の場合)で故障した場合の対応は確認したほうがよい。
食器洗い機の修理は出張対応になることが多い。新興メーカーでは修理体制は確認したほうがよいだろう
保証期間とは別に、注目したいのはメーカーの部品の保存期間である「補修用性能部品の保有期間」だ。これは「製造終了から何年」という形で定められており、保証期間が過ぎても部品の在庫がある限りは修理できる。逆に言えば期間を過ぎて部品がなくなったら修理はかなり難しい。なお、パナソニックでは卓上型では6年、ビルトイン型では6〜10年、ミーレでは最低でも10年、最長で15年を保証している。
故障の場合だが、いちいちメーカーを頼らなくても、自分で対応できる場合がある。たとえばノズルやかごのような部品は、ネットで販売されていることが多い。ただし、水回りで使うものなので電気系統の修理を自分で行うのはおすすめできない。
ノズルやごみ受けのようにメーカーに頼らず自分で交換修理が行えるものもある。部品はネット通販で取り寄せられることも多い※保証期間内に自分で交換修理する場合は、サポートを受けられなくなる可能性もあるので自己責任でお願いします。
ひとたび修理となると面倒な食器洗い機だが、日々の使用で故障を防げるかもしれない。ここではそんな使い方を解説しよう。
食器洗い機に限らないが、平常時の動作音や挙動を把握しておき、異音や普段と異なるふるまいに気づくことがとても大切だ。もし異変に気づいたら、自然に直ることは期待せず、別の故障を招く前に修理したほうが結局はお得だったりする。
たくさん詰め込んだ食器をパワフルモードで洗浄することもあるだろう。ただしそうした状態で常用するのはやはり負担がかかる。また、ヒンジやレールのような駆動部分は摩耗が避けられないので、無駄な開閉や想定外の力がかかるようなことも避けたい。焦げついた鍋や調理器具のように、何度洗っても落ちない汚れは素直に手洗いしたほうがよいだろう。無駄な利用が減れば製品の寿命をすり減らすこともないはずだ。
機械に負担をかけ過ぎないことも製品の故障を抑えるためには大切だ
故障を抑えるという視点で見ると、故障する部分がそもそも少ないシンプルモデルは悪くない選択だ。また、設置においても、電源コードやホースの取り回しに無理がないようにすることも、故障の可能性を下げるだろう。長く使うのであれば、無理をさせ続けないことが重要と言えるだろう。
省力化や資源の節約にもつながる食器洗い機。うまく使えば生活の質を高めてくれる多くの人に使ってほしい生活家電だ。洗濯機や冷蔵庫のように生活に密着した長く付き合う製品ということを理解して、末永く付き合ってほしい。
FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。