実践主義! 高橋庄太郎の山道具コレクト

愛用歴20年の能力を超えた圧倒的な機能のリストウォッチ! スント「スパルタン ウルトラ ホワイト」

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アウトドア系ギアの中でも進化が著しいのが、リストウォッチだ。従来のアウトドアウォッチも時刻、標高、気圧、方位時間などの基本機能は搭載していたが、現在はスマートフォンやパソコンと連携することによって、より高度な能力を発揮するようになり、いまや「スマートウォッチ」という呼び名も一般化しつつある。

今回ピックアップしたのは、スントのフラッグシップモデルともいうべき「スパルタン ウルトラ ホワイト」だ。これから紹介するように、あまりにも高機能なモデルであるため、自分が使いこなせるかが非常に気になる。インポーターに事前レクチャーを受けようかと悩むほどだったが、今回はあくまでもいちユーザーとして、自力でどれくらい使えるのかを試すことにした。

高度や方位などセンサー精度は上々!

「スパルタン ウルトラ ホワイト」は「マルチスポーツ」をうたっており、サイクリング系、スイミング系、スキー系、球技系など、なんと80ものスポーツに対応している。僕自身、カヤックなどにも興味があり、試してみたいとは思うが、ここではやはり「登山系」系に特化してチェックを行なっていく。

重量はシリコンストラップ込みで73g。直径50mmのフェイスには傷つきにくく、視認性が高いサファイヤクリスタルを採用しており、タッチパネルとなっている。そのため、操作にはサイドのボタンを押す以外に、パネルをスワイプするなどの方法が併用されている

シリコンストラップは肌へのなじみがよく、フィット感も上々。腕につけてもそれほど重量を感じさせない。ベゼルはチタン製だ。なお、防水性能は10気圧(水深100m)。登山中に遭遇する暴風雨程度ならば、まったく問題はない

ところで、先に述べておきたいことがある。今回はさまざまな山で何度も試してみたため、写真上で表示されている日時、標高などの数値はバラバラで一貫性がない。しかも、フェイスに使われているサファイヤクリスタルは尋常ではないほど周囲のものを映し込んでしまい、表示内容がわかるように撮影するのがとても厳しかった。ゆえに、ここで使われているのは、条件がよい時になんとか撮影できたものを集めたもの。数値にはあまり意味がなく、イメージカットとして見ていただきたい。

「スパルタン ウルトラ ホワイト」の表示部にはフルカラーの液晶が採用されている。時刻などの表示方法は自分の好みに変更可能だ。その1例を紹介しよう。

シンプルな、針による時刻表示。右側に標高も表示されているが、時間が経つと消え、さらにすっきりとした見た目になる

クロノグラフ的な表示では分単位の時間がより分かりやすくなり、アクティビティに関する表示も加わる。この写真では秒針がグリーンになっているが、このようなアクセントに使われるカラーは9色から選べる

時刻、日付、標高がデジタル表示されるパターン。僕にとって、歩行中にもっとも重要なデータは標高なので、この表示方法は現在地の高さが大きめの文字でわかり、いちばん使いやすかった

ボタンひとつでパネルは点灯でき、明るさの調整も可能。初期設定でも予想以上に明るく、僕は暗いテントの中で一時的な簡易ライトとしても使い、本物のヘッドライトを探すのに役立てたほどだ

「スパルタン ウルトラ ホワイト」には、「高度」「気圧」「方位」「加速度」のセンサーが搭載されている。これらセンサーとGPSとの連動により、現在地の把握はじつに精密。山頂などの標高が確実な場所で何度も確認してみたが、誤差はあってもせいぜい1〜2m程度だった。驚くべき精度である。

現在の高度ばかりか、これまでに積算でどれくらい登り、どれくらい下ったのかも簡単に把握できる。これらの数値の誤差がどれくらいになるのかは、GPSで計測する頻度次第だ。当然ながら、1分に1回よりも、1秒に1回のほうが正しい数値になる

方位に関しても、磁極の方角をもとに漠然と東西南北を示しているのではない。しっかりと磁針偏差を変更することができ、わずかな誤差すら打ち消すことができる。

磁針偏差は0.5°ずつ変更できる。従来のアウトドア系リストウォッチよりも精度が高く、読図にも役立つだろう

磁針偏差は0.5°ずつ変更できる。従来のアウトドア系リストウォッチよりも精度が高く、読図にも役立つだろう

赤い三角が北を指す。シンプルでわかりやすい表示が好印象だ

赤い三角が北を指す。シンプルでわかりやすい表示が好印象だ

なお、同梱されている心拍ベルトを装着すれば、心拍数を正しく測定し、消費カロリーをより正確に把握できるようになる。リカバリータイムまで計測してくれるので、なかなか便利だ。

心拍ベルトは30m防水で、ストラップは長さの調整も可能

心拍ベルトは30m防水で、ストラップは長さの調整が可能

スマートフォンと連携してみると?

Bluetoothでスマートフォンと接続すれば、「スパルタン ウルトラ ホワイト」で取得したデータをスマートフォンアプリ「SUUNTO MOVESCOUNT」で管理できる。距離、速度、消費カロリーなどが把握でき、写真を加えてFacebookやTwitterで自分の登山情報を発信することも簡単だ。

スマートフォンアプリ「SUUNTO MOVESCOUNT」はアクティビティで細分化されている。登山系だけでもトレッキング、ハイキング、登山などに分けられているが、それらの違いが正直なところよくわからなかった。アプリが直観的に使える仕様にしてほしい

今回は「エクササイズ」にある「ハイキング」でログを取ってみた。リストウォッチで操作するほうが、アプリよりも直観的に扱えるようだ

リストウォッチには歩行時間や速度、消費カロリーが表示され、一目瞭然。このような数値が行動中にわかると、やる気が出てくる

いっぽう、スマートフォンではこのように確認できる。画面が大きいので行動中はもちろん自宅でもデータを把握しやすい。パソコンでもデータを管理できるが、スマートフォンのアプリだけでも十分だ

行動中にスマートフォンで確認できるデータの1例。左は行動時間や高度、気温などが網羅された数値のデータで、中央は現在地の周囲での人気コースを教えてくれるヒートマップといわれる地図。右は時間に行動時間にともなう標高の変異を示している

パソコンでのデータを見るとこのようになる。スマートフォンよりもできることが増え、データの管理や検索も非常にスムーズ。マップも大きく、使いやすい。高機能なリストウォッチを使うと、帰宅してからパソコン上で登山を反芻(はんすう)するのが楽しくなる。自分の体力やペース配分などを正しく把握することは、次の山行を計画するにも大きく役立つはずだ

リストウォッチでデータを確認できるのはありがたい。だが、その大きさには限度があり、わかりやすさを考えれば、やはりスマートフォンと連携させ、大きな画面で確認できるのは便利だ。だが、「スパルタン ウルトラ ホワイト」で利用するスマートフォンアプリ「SUUNTO MOVESCOUNT」は、あまりにも多くのバッテリーを消耗してしまう。僕のスマートフォンとの相性や、同時に使用していたカメラ機能などが消費した電力もあるので正確には判断しかねるが、通常の2〜3倍以上バッテリーを消費したような気がする。事実、僕のスマートフォンの場合は半日でバッテリーが切れてしまい、最後までデータを取れないことが多かった。このアプリが改善されない限り、僕なら、スマートフォンとの連携は短時間の登山の時のみにとどめ、長期の山歩きでは使わないであろう。

スマートウォッチは本体自体もバッテリーを消費しがちで、この「スパルタン ウルトラ ホワイト」もGPSを毎秒作動させるモードにしておくと18時間しかもたない。つまり、詳細なデータを得ようとすると日帰りか1泊2日程度の登山が限度になるわけだ。GPSでの確認の頻度を下げ、1分に1度の更新にとどめれば最大65時間使用できるが、もう少し長い時間使い続けられるといいのだが……。とはいえ、この使用時間はスマートウォッチとしてはかなり長く、メーカーの努力を感じずにはいられない。また、GPSを完全に停止させておけば15日以上、バッテリーは切れない。

充電は付属のUSBケーブルで行う。スマートウォッチに接続する端子はマグネットで本体にカッチリと組み合い、外れにくい。以前からスントではUSB充電のモデルを出しているが、それらよりも格段に接触がよくなり、スムーズに充電できるようになった。データの移管もこのケーブルで行なえる

身につけていても違和感のないデザイン

このような多機能なリストウォッチは、いまや登山の基本装備になりつつある。人によって本当に必要な機能は異なるだろうが、それ以外に「使って楽しい」という点も重要だ。そのためには本体そのもののデザインに加え、表示される画面も美しくあってほしい。もちろん、「わかりやすい」という前提のうえだ。外観的な部分では、僕はサイドのボタンの位置や大きさ、本体の厚みにこだわりがある。行動中にじゃまにならず、身につけていることを忘れるようなデザインが望ましい。

「スパルタン ウルトラ ホワイト」の厚みは17mmで、ボタンの高さは2o程度。肌に当たる部分はカーブを描き、違和感は少ない

このように手首を曲げた時、リストウォッチによっては手の甲でボタンを押してしまい、思わぬ誤作動を起こすことが多々ある。だが「スパルタン ウルトラ ホワイト」は、まったく問題なかった。本体にある程度の厚みがあり、しかもボタンが低いので、手の甲がボタンを圧迫するほど接触しないからだろう。この点は、非常にすばらしい

長袖の上着を着ても、手首のもたつき感はそれほど多くない。しかし、もう少しだけ厚みを抑えられれば、ウェアを何枚も着込むようなシーンでもますます使いやすくなるだろう

下山の様子をグラフ化したもの。左から右にかけて急速に下がっていく赤いグラフによって、急な坂道を駆け降りるように短時間で下ってきたことがわかる。自分のがんばりが直感的に把握できるので、気持ちも高ぶる

山行を終えて

「スパルタン ウルトラ ホワイト」は、やはり多機能だった。あまりにも多機能すぎて、ここで紹介したのはごく一部でしかない。そして、僕自身どこまで機能を把握できたのか、実は少々自信がない。

僕が使い方を覚えようとしたのは主にメーカーのウェブサイトからだが、これがなかなか大変な作業だった。YouTubeを利用した動画による使い方の説明もあるのだが、日本語訳にはなっておらず、なかなか理解が進まない。ダウンロードした説明書の情報量も膨大で、しかもリストウォッチ本体だけではなく、連動して使うアプリにも理解しなければならず、お恥ずかしながら、もはやとても覚えきることはできない気がした。僕はこれまでにスントの製品を20年近く愛用し、それなりに活用してきたつもりだが、とうとう僕の使用能力を完全に超えたと思わざるを得ないのが、この「ススパルタン ウルトラ ホワイト」なのだ。

だが、どんな電子機器にもいえるように、モノというものはすべての機能を把握しなければ使えないというわけではない。僕自身、「スパルタン ウルトラ ホワイト」の完全理解は無理だとしても、基本機能の把握は完了し、最新リストウォッチの便利さをたっぷりと味わうことができた。特にスマートフォンのアプリと連携させ、数値や地図を見ながら山を歩くのはとてもおもしろかった。まずは自分に必要な機能を利用するようにして、「スパルタン ウルトラ ホワイト」のフル機能はおいおい覚えていけばいいのだ。

ただし、問題はバッテリーだろう。前述のように、アプリを利用するとスマートフォンのバッテリーの消耗があまりにも激しい。GPSでデータを頻繁に取得する設定では、リストウォッチ自体のバッテリーも切れやすい。モバイル充電器を持っていけば山中で再充電できるが、荷物は重くなり、手間もかかる。よりコンパクトで長持ちするバッテリーが搭載されるといいのだが。

ともあれ、「スパルタン ウルトラ ホワイト」の機能は、現時点のアウトドア系リストウォッチの中では最高だ。あとは使う人の能力次第なのである。

高橋庄太郎

高橋庄太郎

テント泊での登山を中心に1年の半分近くは野外で過ごす、山岳/アウトドアライター。好きな山域は北アルプス。「山道具 選び方、使い方」など、著書も多数。

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2017.11.21 更新
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